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ひと夏の経験
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菊池先輩は楽天家である。麗華は菊池先輩を異世界に連れてきたことをすっかり忘れているのに、自分は、麗華とともにニッポンへ帰れると信じている。
今日も今日とて、透明人間のまま、ふらふらぶらぶら気楽だね。まったく。
その頃、麗華はというとアンスターシアちゃんを玉の輿に乗せるべく八面六臂の大活躍をしているのである。
まず、ハロルド王太子殿下に今婚約者がいないことを確認して、さりげなくアンスターシアちゃんのことが気に入るように少しばかりマインドコントロールを施す。
ブラッドフォード国から逃げてきた女性が聖女様であるとのうわさを流す。
一応、ズルして、聖女認定されているけど、念には念を入れなきゃね。
王都で舞踏会がいよいよ始まる。ここにアンスターシアちゃんに行ってもらって、ハロルド王太子殿下にプロポーズしてもらって結婚してめでたしになる。予定では。
それがどういうわけかアンスターシアに招待状が届かない!どうして、菊池先輩のせいか?あのヤロー!どうしてくれようか?でも、菊池先輩が今どこにいるかわからない。
仕方なく、アンスターシアの前に姿を見せることにして、今後の話し合いをする。
公爵邸の鏡に映りこむように姿を見せたのである。
「あ!聖女様ですか?」
アンスターシアは、鏡の麗華に気づく。
「私の名前はレイカ、ちょっと相談があるのだけど。いいかしら?」
「あ、はい。もちろんですわ。この前は、聖女にしていただき、ありがとう存じます。」
「今ね、単刀直入に話すけどいい?」
「はい。どうぞ。」
「王都で舞踏会が開かれるのよ。その招待状が届いてないみたいだけど、本当?その舞踏会にアンスターシアちゃんは、行くと王太子のハロルド殿下から、プロポーズされるはずだったんだけど、誰かがその邪魔をしているのよ。誰かというのは、わかっているのだけど、その犯人が今どこにいるかがわからないの?それで、相談なんだけど、ハロルドと結婚したい?したくないのなら、ここから脱出しましょう。」
「え?話が見えないのですが。」
「簡単に言うと、舞踏会があって、それにアンスターシアちゃんが行くと王太子のハロルド殿下が結婚を申し込む、という予定だったはずが、ある人物がその将来を台無しにしてしまったので、この国から出て、その犯人の裏をかくっていうのはどう?」
「簡単ではないですね。」
「そうでしょう?だから、相談なのよ。」
「ハロルド殿下とは、お会いしたことがないので、結婚したいかどうかといえば、したくないかな?だから、この国を捨てて、別の国へ行くのもいいです。」
「私が必ず、アンスターシアちゃんを玉の輿に乗せるから心配しないで。そのために聖女だったほうが都合はいいからね。今から、聖女の力を分け与えるから、そのつもりでいてね。」
「はい。わかりました。よろしくお願いします。」
しばらく菊池先輩を探すのは、やめよう。また、どんなふうに改ざんされるかわからないから。
それでは、この国以外で、どこの国がいいか公爵様と相談してくれるように言い残して、レイカは去る。なぜ、舞踏会の招待状が届かないのかを調べるために。
今日も今日とて、透明人間のまま、ふらふらぶらぶら気楽だね。まったく。
その頃、麗華はというとアンスターシアちゃんを玉の輿に乗せるべく八面六臂の大活躍をしているのである。
まず、ハロルド王太子殿下に今婚約者がいないことを確認して、さりげなくアンスターシアちゃんのことが気に入るように少しばかりマインドコントロールを施す。
ブラッドフォード国から逃げてきた女性が聖女様であるとのうわさを流す。
一応、ズルして、聖女認定されているけど、念には念を入れなきゃね。
王都で舞踏会がいよいよ始まる。ここにアンスターシアちゃんに行ってもらって、ハロルド王太子殿下にプロポーズしてもらって結婚してめでたしになる。予定では。
それがどういうわけかアンスターシアに招待状が届かない!どうして、菊池先輩のせいか?あのヤロー!どうしてくれようか?でも、菊池先輩が今どこにいるかわからない。
仕方なく、アンスターシアの前に姿を見せることにして、今後の話し合いをする。
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「あ!聖女様ですか?」
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「私の名前はレイカ、ちょっと相談があるのだけど。いいかしら?」
「あ、はい。もちろんですわ。この前は、聖女にしていただき、ありがとう存じます。」
「今ね、単刀直入に話すけどいい?」
「はい。どうぞ。」
「王都で舞踏会が開かれるのよ。その招待状が届いてないみたいだけど、本当?その舞踏会にアンスターシアちゃんは、行くと王太子のハロルド殿下から、プロポーズされるはずだったんだけど、誰かがその邪魔をしているのよ。誰かというのは、わかっているのだけど、その犯人が今どこにいるかがわからないの?それで、相談なんだけど、ハロルドと結婚したい?したくないのなら、ここから脱出しましょう。」
「え?話が見えないのですが。」
「簡単に言うと、舞踏会があって、それにアンスターシアちゃんが行くと王太子のハロルド殿下が結婚を申し込む、という予定だったはずが、ある人物がその将来を台無しにしてしまったので、この国から出て、その犯人の裏をかくっていうのはどう?」
「簡単ではないですね。」
「そうでしょう?だから、相談なのよ。」
「ハロルド殿下とは、お会いしたことがないので、結婚したいかどうかといえば、したくないかな?だから、この国を捨てて、別の国へ行くのもいいです。」
「私が必ず、アンスターシアちゃんを玉の輿に乗せるから心配しないで。そのために聖女だったほうが都合はいいからね。今から、聖女の力を分け与えるから、そのつもりでいてね。」
「はい。わかりました。よろしくお願いします。」
しばらく菊池先輩を探すのは、やめよう。また、どんなふうに改ざんされるかわからないから。
それでは、この国以外で、どこの国がいいか公爵様と相談してくれるように言い残して、レイカは去る。なぜ、舞踏会の招待状が届かないのかを調べるために。
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