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マザコン
4.
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新婚旅行に帰ってから、智子は本格的に新居への引っ越しを始める。お義母様は、今ある家財道具を全部捨てなさいとおっしゃったけど、もったいなくて、そんなことできない。
一つ一つの家具に思い入れと思い出があるから、なおさら躊躇してしまう。
それで新居に泊まったり、元のマンションに掃除がてら止まったりを繰り返し、べったりと新居ではまだ暮らしていない。
そんなある時お義父様の出張と智子の出張が偶然重なり、帰りの新幹線が偶然同じ車両になってしまったことがあった。
このまま帰宅するには、あまりにも遅い時間になる。さりとて、いくら義父と息子の嫁としての関係だとしても、どこかで一泊するのは、変な誤解を生みかねない。
悩んだ挙句、やはりここは家人を起こすことになったとしても、帰るべきだという結論が出たことは言うまでもない。
新居のタワーマンションは、あまりにも広いので、普段は4分割にして使っている。南安島の角のスペースは久志と智子の新婚スペース。反対側の北北西のスペースは社長御夫妻のスペースと完全に分かれていて、新婚スペースから社長御夫妻のスペースまで行くのに、20分ぐらいかかるので、滅多に行かないし、マンション内で舅姑に会うことはほぼない。
残りのスペースは、表鬼門と裏鬼門に当たるため、普段は使用していない空きスペースで、ホームパーティや急な来客用のためのスペースになっている。
新幹線の駅を降り、在来線に乗り換え、タワーマンションに到着する頃には、日付が変わろうとしていた時間になってしまった。いつもは、それぞれ、居宅スペースの地階エレベーターを利用するのだが、その日に限って、メンテナンス中で、空いているのは、新婚スペースに程近い一基のみのエレベーターであったため、お義父様と一緒にそのエレベーターに乗り込む。
そしてお互いのパートナーはすでに夢の中の住人となっているであろう時間帯に、抜き足差し足で、玄関ドアのカードキーを通す。
玄関のセンサーライトがけたたましく光り、申し訳なさでいっぱいになる中、そっと靴を脱ぎ、新婚スペースに入る。
「「?」」
その時、お義父様と同時に違和感を覚えた。
誰かがセックスをしている。それも新婚スペースで。パンパントカラダを打ち付けあう音、息遣い、喘ぎ声、それに独特のにおいがしている。
これは……!たぶん、久志が誰か女を引っ張り込んで、智子が留守なのをいいことにして、浮気しているのだと頭から湯気が出そうになるほど腹が立つ。
鬼の形相をしていただろう智子は、なぜかお義父様とともに、薄明かりが付いている寝室へ足を速める。
首根っこを押さえつけて、怒鳴ってやろうか?それとも股間を蹴り上げ二度と使い物にならないようにしてやろうか?と考えをめぐらす。
それはお義父様も同じ思いだったようで、小声で
「智子さん、落ち着くんだよ。くれぐれも無茶をしないように。いや、その前に俺が張り倒すかもしれんな。」
「先に電気を点けましょう。確たる証拠を押さえて、話はそれからにした方がいいと思います。」
「わかった。」
お義父様がゴクリと生唾を飲み込む音がしたのを合図に部屋の電気を点ける。
!!!!
そこには、衝撃過ぎて、言葉を完全に失ってしまった智子とお義父様が、ただ茫然と繰り広げられている現実から目を逸らすこともできないでいる。
久志の浮気相手は、なんと!お義母様だった。
「そんな……近親相姦だなんて、汚らわしい!」
「神への冒涜だ。」
お義父様は、その場に膝をついて、座り込んでしまわれる。
慌てふためいているのは久志とお義母様も一緒だ。
「いつからの関係だ?」
「俺が中学に入ったころ、ママが俺のためにカラダを開いてくれたことが最初だった。
悪いことだとは、わかっていたがやめられなかった。」
一つ一つの家具に思い入れと思い出があるから、なおさら躊躇してしまう。
それで新居に泊まったり、元のマンションに掃除がてら止まったりを繰り返し、べったりと新居ではまだ暮らしていない。
そんなある時お義父様の出張と智子の出張が偶然重なり、帰りの新幹線が偶然同じ車両になってしまったことがあった。
このまま帰宅するには、あまりにも遅い時間になる。さりとて、いくら義父と息子の嫁としての関係だとしても、どこかで一泊するのは、変な誤解を生みかねない。
悩んだ挙句、やはりここは家人を起こすことになったとしても、帰るべきだという結論が出たことは言うまでもない。
新居のタワーマンションは、あまりにも広いので、普段は4分割にして使っている。南安島の角のスペースは久志と智子の新婚スペース。反対側の北北西のスペースは社長御夫妻のスペースと完全に分かれていて、新婚スペースから社長御夫妻のスペースまで行くのに、20分ぐらいかかるので、滅多に行かないし、マンション内で舅姑に会うことはほぼない。
残りのスペースは、表鬼門と裏鬼門に当たるため、普段は使用していない空きスペースで、ホームパーティや急な来客用のためのスペースになっている。
新幹線の駅を降り、在来線に乗り換え、タワーマンションに到着する頃には、日付が変わろうとしていた時間になってしまった。いつもは、それぞれ、居宅スペースの地階エレベーターを利用するのだが、その日に限って、メンテナンス中で、空いているのは、新婚スペースに程近い一基のみのエレベーターであったため、お義父様と一緒にそのエレベーターに乗り込む。
そしてお互いのパートナーはすでに夢の中の住人となっているであろう時間帯に、抜き足差し足で、玄関ドアのカードキーを通す。
玄関のセンサーライトがけたたましく光り、申し訳なさでいっぱいになる中、そっと靴を脱ぎ、新婚スペースに入る。
「「?」」
その時、お義父様と同時に違和感を覚えた。
誰かがセックスをしている。それも新婚スペースで。パンパントカラダを打ち付けあう音、息遣い、喘ぎ声、それに独特のにおいがしている。
これは……!たぶん、久志が誰か女を引っ張り込んで、智子が留守なのをいいことにして、浮気しているのだと頭から湯気が出そうになるほど腹が立つ。
鬼の形相をしていただろう智子は、なぜかお義父様とともに、薄明かりが付いている寝室へ足を速める。
首根っこを押さえつけて、怒鳴ってやろうか?それとも股間を蹴り上げ二度と使い物にならないようにしてやろうか?と考えをめぐらす。
それはお義父様も同じ思いだったようで、小声で
「智子さん、落ち着くんだよ。くれぐれも無茶をしないように。いや、その前に俺が張り倒すかもしれんな。」
「先に電気を点けましょう。確たる証拠を押さえて、話はそれからにした方がいいと思います。」
「わかった。」
お義父様がゴクリと生唾を飲み込む音がしたのを合図に部屋の電気を点ける。
!!!!
そこには、衝撃過ぎて、言葉を完全に失ってしまった智子とお義父様が、ただ茫然と繰り広げられている現実から目を逸らすこともできないでいる。
久志の浮気相手は、なんと!お義母様だった。
「そんな……近親相姦だなんて、汚らわしい!」
「神への冒涜だ。」
お義父様は、その場に膝をついて、座り込んでしまわれる。
慌てふためいているのは久志とお義母様も一緒だ。
「いつからの関係だ?」
「俺が中学に入ったころ、ママが俺のためにカラダを開いてくれたことが最初だった。
悪いことだとは、わかっていたがやめられなかった。」
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