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家政婦

7.

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 花園の義母は、殺人罪と殺人未遂罪で起訴され、花園の舅から離婚を言い渡されてしまう。

 花園和夫に対する結婚詐欺疑惑については、和夫はあくまで香りを愛していたから妻に舌だけで、花園家に同居させるきっかけは、自分の母親が一方的に決めたことであり、結婚そのものは詐欺に当たらないと主張する。

 そして今まで育てて来てくれた恩に報いるため、かおりには無茶な要求をさせてしまったことを心から反省するとともに、離婚に際しての慰謝料を上乗せして支払うことで誠意を見せる。

 沙也加は、かおりよりも早く崎島に離婚を言い渡され、泣く泣く承諾して実家に戻るものの実家では、家事を担うものがいなくなったため、沙也加に家事全般が押し付けられることになり、不満タラタラである。

 宗とは、自分の妻が犯罪者だったことになり、会社を解雇されてしまう。

 和夫も、取引先の人と結婚したまでは良かったが、その人権を無視して、自分の母親がかおりを殺そうとしたことから会社にいづらくなり依願退職をする。

 かおりの貯金から沙也加の結婚費用として使い込みされていたことがわかり、その分と利息を含め賠償する。

 かおりの無給の無休での賃金相当額は5000万円にも上り、その支払いのため花園家は先祖伝来の土地家屋その他の不動産を売却し、かおりへの慰謝料と賠償金にあてる。

 そして花園家は、近所の手前、どこか遠くの土地で風呂梨アパートを借り、生活することになったのだが、相変わらず、家事は沙也加に押し付け舅と和夫は、ハローワークで職探しに明け暮れている。

 若いだけあって、和夫の方が早く仕事が決まるが、その仕事は工場のラインで単純作業。今のところはまじめに働いているが、いつ投げ出してもおかしくない。

 舅は、工事現場での作業車の誘導係をして、生計を立てているが、今まで底辺の人間がする仕事だと思っていたことを自分がやる羽目になり、毎日、親子喧嘩が絶えない。

 自業自得と言えば、自業自得。

 かおりは両親の生命保険金を施設長から、受け取らなくてよかったと思っている。もし、受け取っていたなら、そのお金も確実に使い込まれているかと思うとゾッとする。

 結局、両親の生命保険金と合わせて、花園家からの賠償金や慰謝料の総額は1億2000万円にも及び、いきなり金持ちになった気分がする。

 ふつうであれば、宝くじでも当たらない限り、こんな大金にお目にかかることはない。

 とりあえず、翔ちゃんに、借金を返し、当面の生活費だけを手元に置いて、これはないものとして、全額貯金することにした。

 このお金で大学に通うことも考えたけど、今までの家政婦生活で、ついもったいないと思う生活が身に染みてしまって、毎月20万円ずつ使っても、50年間は遊んで暮らせる金額をいざ、目の前にすると、もったいなくて使えない。

 翔ちゃんとは、あの日以来ずっと子供の頃に戻ったみたいに気軽に付き合っているけど、いいのかな?聞けば、警察の偉い人になっているという。

 私のような高卒の底辺にいる人間が気軽に話せる立場の人ではないと思いつつも、翔ちゃんは「気にするな。」と言ってくれて、嬉しい。

 仕事は、結婚前に勤めていた会社からオファーがあり、またそこで働くことにした。

 大学進学もいいけど、今は身の丈に合った生活に戻りつつある。

 今夜、仕事が終わったら、翔ちゃんとデートの予定がある。

 だから、朝からかおりにしては。ワンピースを着て、めかしこんでいる。翔ちゃんは、会社の前にタクシーで横づけにして、出てくるのを待ち構えてくれていた。

 そして香りの姿を確認すると、タクシーから降りて、エスコートしてくれる。いつもは、翔ちゃんの愛車なのに、今日はお酒を飲むつもりなのかしら。

 連れて行かれたところは、帝国ホテルのレストラン。フレンチを予約してくれていたみたいだった。こんな高そうなところ、もったいないと思っていると、サプライズに翔ちゃんから指輪のプレゼントがある。ビックリしていると、さらにもっと驚きの言葉をかけてもらって、嬉しすぎて戸惑ってしまう。

 「かおりちゃん、小さいときからかおりちゃんのことが大好きだった。もしよかったら、俺と結婚してください。」

 え……でも、もう子供は無理かもしれないのに、良いの?

 「俺も、生い立ちがあんなんだから、それを知ってくれているかおりちゃん出ないとダメなんだよ。」

 「わかりました。私でよければ、よろしくお願いします。」

 翔ちゃんは、初婚。かおりは再婚だから、式はせずに入籍だけをして、早速一緒に引っ越すことにする。

 会社の人にも報告し、幸せを実感。

 取引先の人の口から、和夫に知られることになり、和夫は地団駄踏んで悔しがっても、もう後の祭りということは間違いない。
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