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 元婚約者が死んだ頃、オフィーリアは、グリーンマウンテン国の王都へ到着していたのである。

 今一度、聖女判定のため教会に来ている。何度やっても結果は同じ。公爵家の使用人たちは、当然だという顔をしている。ブルッスリンの兵士のちぎれた腕を再生させた腕前があれば、食うに困らないであろう。

 グリーンマウンテン国王陛下から呼出し命令がかかり、執事とともに、王城へ行くと、控えの間に通され、聖女の衣装がプレゼントされる。これを着て謁見の間へ来いってことかしら。仕方なく、聖女風の衣装を身に着け、謁見の間へ。

 何を着てても着なくても、聖女は聖女だということがわからないのかしらね。

 国外追放となった身だから、まだこの国に逗留するとは決まっていないから、これから公爵邸の使用人全員の意見を聞いて決めるのである。

 謁見の間に入ったオフィーリアは予想通り、王太子殿下との婚約を勧められ、戸惑うもののどうして、この国に来てまで政略で相手を決めなければいけないの?との思いから、断ってしまう。

 「恐れながら、まだ旅の途中でありますので、この国に逗留するかどうかは、家人の者たちと相談しなくてはいけません。」

 「そうか、ならば褒美を遣わすぞ。なんなりと好きなものを言え。」

 特にはなかったので、お金でもらうことにする。お金はあっても邪魔にならないから。
 公爵邸の使用人の給料を支払わなくてはいけないからね。オフィーリアについてきてくれて、家も家族も国も捨ててくれたのだから。せめてこれぐらいはしてあげないと罰が当たりそう。

 使用人たちの元へ戻る。もうまたどこかの空き地に公爵邸を出している。そういえば、家を持ってきたので、お父様たち困っているのではないかしら。急に心配になる。オフィーリア、また体罰が待っているかもしれない。でもあの卒業パーティで娘でも何でもないと勘当されたんだ。

 一応、この家、返したほうがいいんじゃない?領地の公爵邸は、もらっといてもいいかもしれないけど。ということを相談する。

 すると驚いたことに、ブルッスリン国の情報を持っている者がいて、その使用人が言うには、ブルッスリン国にオフィーリア様が聖女であるという連絡が砦の兵士からいって、第2王子はその場で国王陛下の手にかかって絶命、王太子夫妻とモンドバール公爵夫妻も死罪になるらしい。

 「ええ?どうして?って、まぁお姉さまが嘘を吐いていることがバレたのね。バレるような嘘を吐くからよ。」

 となると、公爵家は断絶で、領地も没収ってことね。だったら、この家、もらっといてもいいよね。もう主のいない家なのだから。

 なんでも聖女と魔女は一対らしく、イヴリージュが魔女だったみたい。魔女は自分に魅了魔法をかけて、聖女を敵対視し蔑ろにするように無意識に周りに魔法をかけているものらしい。

 それでお姉さまは、オフィーリアのことを最初から、毛嫌いされていたのね。それにしてもお姉さまが魔女だったとは……。

 いくら、あの5人が処刑されたとしても、もうブルッスリン国へ帰るつもりはさらさらない。

 使用人全員、イヴリージュの魔女認定に納得して頷き合っている。
 とにかく今夜はここで泊まって、明日からのことは、明日考えることにしましょう。
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