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40暗殺部隊
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オリヴィアは、司祭様より転移魔法を習得し、さらに複数人でもてんいできる方法を教えてもらう。これさえできれば、アンダルシアへ日帰りで往復できるから。
意気揚々としているところに、ヤーパン人と思われる一団がなだれ込んできたのだ。
修道士たちが大声を上げて、ヤーパン人を威嚇するも相手は、暗殺部隊なのだから怯まない。
「我らは怪しいものではない!聖女様はおられぬのか?」
「聖女様は、王子殿下との御婚礼が間近なので、領地へ帰られている。」
「……は……、やっとここまでたどり着いたのに、領地とは?やはり聖女様は、アデセル国の聖女様だったというのか……?」
「その通り。アデセルの聖女様にヤーパン国の兵士が、何用があるというのだ?」
「我らは、ヤーパン国に失望し、聖女様のおられる国へ移住したいと考えて、追いかけてきたのです。この国に聖女様がおられるのなら、この国に移住したいのです。お許しいただけるでしょうか?」
「それは教会が決めることではないのです。王都に入られるとき、入国税を支払っており、門衛が認めたのであれば、旅行者としては、ここに住むことは可能でしょう。ただし、路銀も尽きることでしょうし、……後は、直接ご本人に問うてみるが良いでしょう。」
「???」
戸惑うオリヴィアを司祭様は、前に出るように促す。
「わたくしに何かご用事があるのでしょうか?はるばるヤーパンから来られるとは?」
「アナタ様が、聖なる森に住まれる聖女様でございますか?お初にお目にかかります。我らは、ヤーパン国第9騎士団、別名暗殺部隊の隊長でユリウス・エバーライトと申す若輩者でございます。以後、お見知りおきを。」
「え?暗殺部隊がなぜ、わたくしを付け狙っているのでございますか?」
ユリウスは、今までのいきさつを事細かに話し始めた。
ライオンちゃんは、オリヴィアの傍で眠そうにしている。
「わかりましたわ。とりあえず、これからアンダルシアへ商売に参りますから、護衛としてついて来てもよろしいかしら?」
「ありがたき幸せに存じ上げ奉ります。」
「では、いったんわたくしは、領地へ戻りますから、アナタ方はどうなさいます?」
「できれば聖女様と行動を共にしたいのですが、妻子を近くに待たせておりますゆえに……。すぐ呼んでまいりますが、よろしいでしょうか?」
「かまいませんが、信頼できる人かどうか、面接を行います。ユリウスは合格です。」
面接と聞いて、他の暗殺部員たちは、皆一様に居住まいを正す。
結局、全員を合格にし、妻子とともに、転移魔法をかけ領地へ連れ帰ることにしたのである。
アンダルシアのバーモンドは何をしでかすかわからない男だから、オリヴィアが抵抗でもすれば、武力に訴え、投獄され獄門台に送られることになるかもしれない。
自分だけなら、転移魔法で逃げられるかもしれないが、マルコス・ジェシードを心配して、運よく近くにいれば、一緒に転移魔法をかけられるけど、離れていては、それも難しい。
司祭様の仰る方法なら、大丈夫かもしれないけど、先にマルコスが捕まればどうしようもない。腕の立つ護衛が欲しかったところ。
それを司祭様は案じて、ユリウスと引き合わせてくれたのだろう。
急に大人数で、領地へ戻ったオリヴィアに、スカイダウン領地の使用人たちは驚き、そわそわしている。
「この方たちは、遠路はるばるヤーパン国から、わたくしのいる国へ移住したいと仰せで、今度アンダルシアへ絨毯を売りさばきに行くので、その護衛として来てもらうことにしましたのよ。とりあえず、ご家族の方のために旧辺境伯邸を出しますから、引っ越しの手伝いをしてちょうだい。」
「おい。リヴィ、アンダルシアへ行くときは、その屋敷のほうが好都合ではないか?ここは、南国だから、もっと風通しが良い涼しい邸宅のほうがよさそうだが?」
言われてみれば、その通りで、辺境伯邸は冬用の住居。暑くて住めたものではない。
意気揚々としているところに、ヤーパン人と思われる一団がなだれ込んできたのだ。
修道士たちが大声を上げて、ヤーパン人を威嚇するも相手は、暗殺部隊なのだから怯まない。
「我らは怪しいものではない!聖女様はおられぬのか?」
「聖女様は、王子殿下との御婚礼が間近なので、領地へ帰られている。」
「……は……、やっとここまでたどり着いたのに、領地とは?やはり聖女様は、アデセル国の聖女様だったというのか……?」
「その通り。アデセルの聖女様にヤーパン国の兵士が、何用があるというのだ?」
「我らは、ヤーパン国に失望し、聖女様のおられる国へ移住したいと考えて、追いかけてきたのです。この国に聖女様がおられるのなら、この国に移住したいのです。お許しいただけるでしょうか?」
「それは教会が決めることではないのです。王都に入られるとき、入国税を支払っており、門衛が認めたのであれば、旅行者としては、ここに住むことは可能でしょう。ただし、路銀も尽きることでしょうし、……後は、直接ご本人に問うてみるが良いでしょう。」
「???」
戸惑うオリヴィアを司祭様は、前に出るように促す。
「わたくしに何かご用事があるのでしょうか?はるばるヤーパンから来られるとは?」
「アナタ様が、聖なる森に住まれる聖女様でございますか?お初にお目にかかります。我らは、ヤーパン国第9騎士団、別名暗殺部隊の隊長でユリウス・エバーライトと申す若輩者でございます。以後、お見知りおきを。」
「え?暗殺部隊がなぜ、わたくしを付け狙っているのでございますか?」
ユリウスは、今までのいきさつを事細かに話し始めた。
ライオンちゃんは、オリヴィアの傍で眠そうにしている。
「わかりましたわ。とりあえず、これからアンダルシアへ商売に参りますから、護衛としてついて来てもよろしいかしら?」
「ありがたき幸せに存じ上げ奉ります。」
「では、いったんわたくしは、領地へ戻りますから、アナタ方はどうなさいます?」
「できれば聖女様と行動を共にしたいのですが、妻子を近くに待たせておりますゆえに……。すぐ呼んでまいりますが、よろしいでしょうか?」
「かまいませんが、信頼できる人かどうか、面接を行います。ユリウスは合格です。」
面接と聞いて、他の暗殺部員たちは、皆一様に居住まいを正す。
結局、全員を合格にし、妻子とともに、転移魔法をかけ領地へ連れ帰ることにしたのである。
アンダルシアのバーモンドは何をしでかすかわからない男だから、オリヴィアが抵抗でもすれば、武力に訴え、投獄され獄門台に送られることになるかもしれない。
自分だけなら、転移魔法で逃げられるかもしれないが、マルコス・ジェシードを心配して、運よく近くにいれば、一緒に転移魔法をかけられるけど、離れていては、それも難しい。
司祭様の仰る方法なら、大丈夫かもしれないけど、先にマルコスが捕まればどうしようもない。腕の立つ護衛が欲しかったところ。
それを司祭様は案じて、ユリウスと引き合わせてくれたのだろう。
急に大人数で、領地へ戻ったオリヴィアに、スカイダウン領地の使用人たちは驚き、そわそわしている。
「この方たちは、遠路はるばるヤーパン国から、わたくしのいる国へ移住したいと仰せで、今度アンダルシアへ絨毯を売りさばきに行くので、その護衛として来てもらうことにしましたのよ。とりあえず、ご家族の方のために旧辺境伯邸を出しますから、引っ越しの手伝いをしてちょうだい。」
「おい。リヴィ、アンダルシアへ行くときは、その屋敷のほうが好都合ではないか?ここは、南国だから、もっと風通しが良い涼しい邸宅のほうがよさそうだが?」
言われてみれば、その通りで、辺境伯邸は冬用の住居。暑くて住めたものではない。
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