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1回目の人生
バーベキュー2
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奥様により、ビールを浴びせかけられた山根部長は、そのままバーベキューもロクに食べないまま、奥様を引きずって帰宅されることになった。
バーベキュー大会は、そのまま続行となり、その多雨海中に美和子をはじめとする役員会は、隠密裏に会議を進める。
美和子の提案した議題の内容は、社内託児施設及び社内学童施設を作れないかとのことで、重役たちから、それぞれ意見を出してもらい、実現可能かどうかのプランを作ってもらうことにしたのだ。
概ね役員たちの反応は、良好で、昨今の少子化を考えても0歳児から12歳までの中学生になる年頃までの子供たちを一か所に集め、遊ばせたり、勉強をさせたり、宿題を観たりさせることに賛成多数であっら、
美和子自身も、赤薔薇で、社長の娘だろうが、政治家の娘だろうが、学者の娘だろうが、医者の娘だろうが、親の社会的地位に関係なく、一つの学び舎の中で共に切磋琢磨して、育ってきた環境があったため、美和子の子たちも同じように、育ってほしいという思いがあったのだ。
学童指導員や学童保育士は、社員の配偶者から優先的に選び、それで足りないときは、外部から公募することになった。
試験的に、ここ営業会社から始め、好評であれば、全国的に展開する予定である。
また託児施設の人的、物的余裕がある場合は、広く一般家庭の子供も預かるようにするつもりでいるが、それは遠い未来のことになる予定。まずは社員のための託児施設の整備が第1段階であることは間違いない。
遊び疲れたのか、お腹が空いたのか、わからないけど正弘が美和子のエプロンの端を持ったまま、ぐずり始めた。
今日の美和子のいでたちは、TシャツにGパン、それに上からエプロンというみょうちくりんな姿、夫の正幸も似たようなもので、エプロンをしていないだけ。
仕方なく、続きは会議室でということになり、美和子はママの顔に戻り、子供をあやしながら、バーべキューで焼けた肉を頬張る。
「うーん、美味しいね。マー君ももっと、おあがり。」
子会社だった頃からの社員の家族は、美和子のことを陰でヒソヒソ言っている声がここまで聞こえてくる。
「あの人、だ~れ?」
「本社から来た人みたいよ。」
「なんか、重役さんたちをアゴで使って、感じ悪いね。」
「山根夫人がこの場にいなくて正解だったかも?その姿を見たら、激怒して、ひと波乱起きそうだものね。」
「でも、あの女の御主人は、かっこいいわよ。」
「本当、ステキね。」
「本社の係長だったらしいよ。」
「えーっ!あの若さで?ここの会社、顔で選んでいるって噂あるから、本当みたいだよね。」
ただ、夫の正幸に関しては、好感度が高く、やっぱりイケメンは得だなぁと感じる。
美和子も娘時代はイケてる女だったが、子供を出産してからは、ゆるゆるふわふわの服が増えたことは認める。妻ではなく、母になったから、美和子の中の女の部分は、もうどこかに置き忘れていて、取りに行くこともできない。
だから今日みたいにGパンとTシャツなんてカラダのラインが出る装いは久しぶりで、けっこう頑張っているつもり。
営業会社での仕事が落ち着いたら、スイミングスクールにでも通い、プールエクササイズを始めてみようかしらん、とぼんやり考えている。
そんな美和子の姿を、離れたところからジッと見ている男性の姿に気づき、慌てて、側にいた常務の奥様に聞いた。
「ああ、あの方は、子会社からの残留の下村課長ですよ。かなりやり手の課長だから、前の社長が自分は相談役に退いても、下村君の任は解かないでくれって、アナタのお父様に泣きついたって話を聞いたわ。」
へー。そうなんだ。じゃ、正幸の課長昇格は難しいか?でも、下村さんを山根さんの後任にすれば、正幸の課長は実現できる。
バーベキュー大会は、そのまま続行となり、その多雨海中に美和子をはじめとする役員会は、隠密裏に会議を進める。
美和子の提案した議題の内容は、社内託児施設及び社内学童施設を作れないかとのことで、重役たちから、それぞれ意見を出してもらい、実現可能かどうかのプランを作ってもらうことにしたのだ。
概ね役員たちの反応は、良好で、昨今の少子化を考えても0歳児から12歳までの中学生になる年頃までの子供たちを一か所に集め、遊ばせたり、勉強をさせたり、宿題を観たりさせることに賛成多数であっら、
美和子自身も、赤薔薇で、社長の娘だろうが、政治家の娘だろうが、学者の娘だろうが、医者の娘だろうが、親の社会的地位に関係なく、一つの学び舎の中で共に切磋琢磨して、育ってきた環境があったため、美和子の子たちも同じように、育ってほしいという思いがあったのだ。
学童指導員や学童保育士は、社員の配偶者から優先的に選び、それで足りないときは、外部から公募することになった。
試験的に、ここ営業会社から始め、好評であれば、全国的に展開する予定である。
また託児施設の人的、物的余裕がある場合は、広く一般家庭の子供も預かるようにするつもりでいるが、それは遠い未来のことになる予定。まずは社員のための託児施設の整備が第1段階であることは間違いない。
遊び疲れたのか、お腹が空いたのか、わからないけど正弘が美和子のエプロンの端を持ったまま、ぐずり始めた。
今日の美和子のいでたちは、TシャツにGパン、それに上からエプロンというみょうちくりんな姿、夫の正幸も似たようなもので、エプロンをしていないだけ。
仕方なく、続きは会議室でということになり、美和子はママの顔に戻り、子供をあやしながら、バーべキューで焼けた肉を頬張る。
「うーん、美味しいね。マー君ももっと、おあがり。」
子会社だった頃からの社員の家族は、美和子のことを陰でヒソヒソ言っている声がここまで聞こえてくる。
「あの人、だ~れ?」
「本社から来た人みたいよ。」
「なんか、重役さんたちをアゴで使って、感じ悪いね。」
「山根夫人がこの場にいなくて正解だったかも?その姿を見たら、激怒して、ひと波乱起きそうだものね。」
「でも、あの女の御主人は、かっこいいわよ。」
「本当、ステキね。」
「本社の係長だったらしいよ。」
「えーっ!あの若さで?ここの会社、顔で選んでいるって噂あるから、本当みたいだよね。」
ただ、夫の正幸に関しては、好感度が高く、やっぱりイケメンは得だなぁと感じる。
美和子も娘時代はイケてる女だったが、子供を出産してからは、ゆるゆるふわふわの服が増えたことは認める。妻ではなく、母になったから、美和子の中の女の部分は、もうどこかに置き忘れていて、取りに行くこともできない。
だから今日みたいにGパンとTシャツなんてカラダのラインが出る装いは久しぶりで、けっこう頑張っているつもり。
営業会社での仕事が落ち着いたら、スイミングスクールにでも通い、プールエクササイズを始めてみようかしらん、とぼんやり考えている。
そんな美和子の姿を、離れたところからジッと見ている男性の姿に気づき、慌てて、側にいた常務の奥様に聞いた。
「ああ、あの方は、子会社からの残留の下村課長ですよ。かなりやり手の課長だから、前の社長が自分は相談役に退いても、下村君の任は解かないでくれって、アナタのお父様に泣きついたって話を聞いたわ。」
へー。そうなんだ。じゃ、正幸の課長昇格は難しいか?でも、下村さんを山根さんの後任にすれば、正幸の課長は実現できる。
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