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1回目の人生
同窓会2 ざまあ
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何、この人?どこまで挑発すれば気が済むわけ?
私は権藤不動産の代表取締役よ、銀行員の専業主婦の無職とはくらべものがないほどの収入を得ているというのに、どうして、こんな女から突っかかられなければならないのかしら?
それもこれも、美和子が同窓会理事に名前を連ねているのが面白くないと思っている人がいるのだろう。
今度こそ、同窓会理事を降りよう。そして社長業に専念しなければ、子育ても正幸の妻としての役目もあるから、専業主婦よりはるかに忙しいのだからね。
もう、めんどくさくなってきた美和子は、その山井佳代子の存在を無視することに決め込む。
言っとくけど、アナタの旦那様より、私の方が稼ぎが多いわよ?と言ってやろうかしらと思ったけど、その話をするのもめんどくさい。
すると北村元也の奥さんが、同窓会受付をやってくれていて、彼女が美和子に助け舟を出してくれる。
「社長!」
「あら、真由美ちゃん、どうしてここに?」
「主人から、社長が今日、同窓会だって聞いたので、何かお手伝いすることがないかと思って、事務局に名乗り上げ、受付をしに来ました。」
「ごめんね。全然、気づかなかったわ。その後、どう?」
北村君のお母さんが、倒れられたので、病院を紹介してあげたのだった。
「ええ。おかげさまで、社長がご紹介してくださったおかげで、義母もだいぶ良くなりました。」
「そう。良かったわ。また、何かあれば、いつでも言ってね。」
「はい。ありがとうございます。」
「ちょっとぉ、無礼ではございませんの?わたくしを無視して、二人でどうでもいいことをベチャクチャ喋って。それに社長って、何なのよ?どうせ零細企業かベンチャー企業でも?起業したって言うんじゃないでしょうね?言っときますが、宅の主人はメガバンクで支店長代理をしておりますの。美和子さんのところへは一切ローンの申し込みは受けられないように話を進めてあげますわよ。でも、もしわたくしの機嫌をおとりになりたいのなら、じゃ話は別でしてよ。」
「はあ?何、言っているんですか、このオバサン。」
「お、オバサンだなんて、アナタ、いったい誰に対して、そんな口をきいているのかわかって言っているの!?」
「ええと……、山井佳代子さんというオバサンに対してです。山井さんこそ、失礼にもほどがあるというものですわ。たかが1つ星のくせに、偉そうにして。」
「は?一つ星?一つ星って何よ?」
「美和子さんやここにいらっしゃる方のほとんどは5つ星の方ばかりですよ。赤薔薇を名乗るには、5つ星になってから、いらっしゃい。」
真由美ちゃんがそう言うと、周りから拍手が巻き起こり、
「あ、そうだわ。ついでだから、山井さんの御主人のお名刺を一枚頂けるかしら?」
「え……。どうして、主人の名刺がいるの?」
「あら?今まで、『宅の主人はメガバンクで支店長代理をしておりますのよ。』とおっしゃっていたのは、口から出まかせでしたか?それならそれでいいのですよ。ただ、本当にメガバンクの支店長代理をしていらっしゃるのかどうか確かめたいと思っただけですわ。」
そこまで言われれば、山井佳代子は、ハンドバッグの中から、旦那の名刺を出してきて、真由美ちゃんに見せる。
真由美ちゃんは、それを美和子に渡し、私たちは、クルリと背を向ける。
そして、壁際に行き、会社に電話をかけ、今すぐメガバンクに預けている預金全額を他行に移しなさいと命令を出す。
ものの15分もしないうちに、山井佳代子の旦那が同窓会の会場にすっ飛んできて、美和子の前に土下座し始めた。
「社長、お願いします。妻が何か無礼を働いたのでしょうか?お願いします。何卒、何卒、預金を引き揚げるのは辞めていただけませんか?」
「やっぱり、ご主人ね。奥様の所業を一番よくわかっていらっしゃるというのに、こんな奥様を野放しにして、同窓会に送り込むとは、大した度胸の持ち主ですわね。」
イヤミ、たっぷりに言ってやったけど、当の山井佳代子はちっともわかっていない様子に、山井支店長代理は、立ち上がって、佳代子の横っ面を引っ叩く。
「バカヤロウ。お前のせいで、俺は銀行から追い出されそうになっているんだぞ!今まで、苦労して、やっと支店長代理にまでなっやというのに、お前がすべて、台無しにしやがって。お前とは離婚だ。います婦家から出て行け!お前の顔など二度と見たくない!」
「アナタ、何をそんなに怒っていらっしゃるの?」
「まだ、わからないのか。この大バカ者が!こちらにおわすお方をどなただと思っているのだ?いくら、同級生でも社長を貧乏人だとか、パートタイマー労働者と決めつけて、無礼を働いていいことなどないということがわからないのか?」
「え?さっきから、美和子さんのことを社長、社長って言っているけど、いったいどこの社長だというのですか?」
「お前は、本当に赤薔薇出身者か?権藤不動産株式会社の代表取締役社長のことだよ。そんなこともわからず、ここにきて、無駄に自慢話ばかりをして、俺にどこまで恥をかかせる気でいる?」
「権藤不動産……、あの世界的に有名な橋を作ったり、スカイタワーよりも高いビルを建設したり、トンネルを……。」
「そうだ。その会社の社長をしておられるのが、赤薔薇同窓会理事に名前を連ねていらっしゃる社長というわけだ。やっと、わかったとしても、もう遅いがな。」
「ごめんなさい。美和子さん。アナタに張り合うようなことをして、無礼なことばかりを申しました。」
「いいのよ。でも、預貯金は引き上げさせてもらいますからね!今日は、久々に女学生気分になって、ゆっくり楽しもうと思っていたのに、台無しになってしまったのですからね。その分の腹いせをしても、罰は当たらないと思うわ。皆さんもそう思われるでしょ?」
美和子は、その場にいた5つ星に尋ねると、拍手をもって歓迎される。
「そんな……、どうあってもダメですか?」
「これからは、奥さん教育をしっかりなさることね。」
結局、山井佳代子は旦那と離婚され、その旦那もメガバンクから追い出され、地方の信用組合の営業マンから出直すことになりました。
その約半年後、美和子は、元気な女児を産み、3か月後、仕事に復帰する。
私は権藤不動産の代表取締役よ、銀行員の専業主婦の無職とはくらべものがないほどの収入を得ているというのに、どうして、こんな女から突っかかられなければならないのかしら?
それもこれも、美和子が同窓会理事に名前を連ねているのが面白くないと思っている人がいるのだろう。
今度こそ、同窓会理事を降りよう。そして社長業に専念しなければ、子育ても正幸の妻としての役目もあるから、専業主婦よりはるかに忙しいのだからね。
もう、めんどくさくなってきた美和子は、その山井佳代子の存在を無視することに決め込む。
言っとくけど、アナタの旦那様より、私の方が稼ぎが多いわよ?と言ってやろうかしらと思ったけど、その話をするのもめんどくさい。
すると北村元也の奥さんが、同窓会受付をやってくれていて、彼女が美和子に助け舟を出してくれる。
「社長!」
「あら、真由美ちゃん、どうしてここに?」
「主人から、社長が今日、同窓会だって聞いたので、何かお手伝いすることがないかと思って、事務局に名乗り上げ、受付をしに来ました。」
「ごめんね。全然、気づかなかったわ。その後、どう?」
北村君のお母さんが、倒れられたので、病院を紹介してあげたのだった。
「ええ。おかげさまで、社長がご紹介してくださったおかげで、義母もだいぶ良くなりました。」
「そう。良かったわ。また、何かあれば、いつでも言ってね。」
「はい。ありがとうございます。」
「ちょっとぉ、無礼ではございませんの?わたくしを無視して、二人でどうでもいいことをベチャクチャ喋って。それに社長って、何なのよ?どうせ零細企業かベンチャー企業でも?起業したって言うんじゃないでしょうね?言っときますが、宅の主人はメガバンクで支店長代理をしておりますの。美和子さんのところへは一切ローンの申し込みは受けられないように話を進めてあげますわよ。でも、もしわたくしの機嫌をおとりになりたいのなら、じゃ話は別でしてよ。」
「はあ?何、言っているんですか、このオバサン。」
「お、オバサンだなんて、アナタ、いったい誰に対して、そんな口をきいているのかわかって言っているの!?」
「ええと……、山井佳代子さんというオバサンに対してです。山井さんこそ、失礼にもほどがあるというものですわ。たかが1つ星のくせに、偉そうにして。」
「は?一つ星?一つ星って何よ?」
「美和子さんやここにいらっしゃる方のほとんどは5つ星の方ばかりですよ。赤薔薇を名乗るには、5つ星になってから、いらっしゃい。」
真由美ちゃんがそう言うと、周りから拍手が巻き起こり、
「あ、そうだわ。ついでだから、山井さんの御主人のお名刺を一枚頂けるかしら?」
「え……。どうして、主人の名刺がいるの?」
「あら?今まで、『宅の主人はメガバンクで支店長代理をしておりますのよ。』とおっしゃっていたのは、口から出まかせでしたか?それならそれでいいのですよ。ただ、本当にメガバンクの支店長代理をしていらっしゃるのかどうか確かめたいと思っただけですわ。」
そこまで言われれば、山井佳代子は、ハンドバッグの中から、旦那の名刺を出してきて、真由美ちゃんに見せる。
真由美ちゃんは、それを美和子に渡し、私たちは、クルリと背を向ける。
そして、壁際に行き、会社に電話をかけ、今すぐメガバンクに預けている預金全額を他行に移しなさいと命令を出す。
ものの15分もしないうちに、山井佳代子の旦那が同窓会の会場にすっ飛んできて、美和子の前に土下座し始めた。
「社長、お願いします。妻が何か無礼を働いたのでしょうか?お願いします。何卒、何卒、預金を引き揚げるのは辞めていただけませんか?」
「やっぱり、ご主人ね。奥様の所業を一番よくわかっていらっしゃるというのに、こんな奥様を野放しにして、同窓会に送り込むとは、大した度胸の持ち主ですわね。」
イヤミ、たっぷりに言ってやったけど、当の山井佳代子はちっともわかっていない様子に、山井支店長代理は、立ち上がって、佳代子の横っ面を引っ叩く。
「バカヤロウ。お前のせいで、俺は銀行から追い出されそうになっているんだぞ!今まで、苦労して、やっと支店長代理にまでなっやというのに、お前がすべて、台無しにしやがって。お前とは離婚だ。います婦家から出て行け!お前の顔など二度と見たくない!」
「アナタ、何をそんなに怒っていらっしゃるの?」
「まだ、わからないのか。この大バカ者が!こちらにおわすお方をどなただと思っているのだ?いくら、同級生でも社長を貧乏人だとか、パートタイマー労働者と決めつけて、無礼を働いていいことなどないということがわからないのか?」
「え?さっきから、美和子さんのことを社長、社長って言っているけど、いったいどこの社長だというのですか?」
「お前は、本当に赤薔薇出身者か?権藤不動産株式会社の代表取締役社長のことだよ。そんなこともわからず、ここにきて、無駄に自慢話ばかりをして、俺にどこまで恥をかかせる気でいる?」
「権藤不動産……、あの世界的に有名な橋を作ったり、スカイタワーよりも高いビルを建設したり、トンネルを……。」
「そうだ。その会社の社長をしておられるのが、赤薔薇同窓会理事に名前を連ねていらっしゃる社長というわけだ。やっと、わかったとしても、もう遅いがな。」
「ごめんなさい。美和子さん。アナタに張り合うようなことをして、無礼なことばかりを申しました。」
「いいのよ。でも、預貯金は引き上げさせてもらいますからね!今日は、久々に女学生気分になって、ゆっくり楽しもうと思っていたのに、台無しになってしまったのですからね。その分の腹いせをしても、罰は当たらないと思うわ。皆さんもそう思われるでしょ?」
美和子は、その場にいた5つ星に尋ねると、拍手をもって歓迎される。
「そんな……、どうあってもダメですか?」
「これからは、奥さん教育をしっかりなさることね。」
結局、山井佳代子は旦那と離婚され、その旦那もメガバンクから追い出され、地方の信用組合の営業マンから出直すことになりました。
その約半年後、美和子は、元気な女児を産み、3か月後、仕事に復帰する。
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