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1回目の人生
トイレの神様2
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掃除着からスーツ姿に着替え、壇上に上がる美和子を総務担当役員が紹介している。
チラリと和美を見るが、まったく、さっきトイレの前で会った私だとは気づいていない様子。
あれが猫をかぶっているってことなのよね。
「皆さん、入社おめでとうございます。ここにお集りの肩は、ほとんどが中途での採用組となられたわけですが、新卒者にいつも言っている言葉がありますが、それと同じことを皆さんにも聞いてほしくて、言います。……(省略)……、学生時代は、100点満点を取ればSランク評価がもらえたと思いますが、会社に入ってからでは、100点満点をとれて、当たり前なのです。それが会社というものです。会社では、さらに高みを目指して、1000点、2000点を獲れるように励んでください。……(省略)……、以上、権藤不動産株式会社代表取締役権藤美和子。」
ちゃんと名乗っているのに、ぁ済みは、まったく気づいていない。掃除着を着ている私も、立派なスーツに身を包んでいる私も中身は一緒だって言うことを。
入社式が終わると、新卒者ではないから、研修せずに即戦力として、格配属先に行き、チームの一員としての仕事が始まる。
江藤和美は、いい年をして、何もスキルを持っていないばかりか、美人ではないので、営業事務に配属が決まる。
営業事務は営業の受注から取引先との交渉、電話応対、営業マンのサポートまでを一挙に引き受ける。まさに営業部の縁の下の力持ちなのだが、どこまでその仕事に耐えられるかが見ものである。
美和子の婚約者の正幸がいるところで、少々不安があるが、二人がどうにかなるとは、微塵も疑っていない。
正幸にとって、それは 不利益でしかないからだ。ただ、正幸は美和子の学歴を承知しているから、中等部まで和美と同級生だったことを知っている。いや、正幸は履歴書の内容を鵜呑みにしているから高等部まで一緒だと思っているはず。
正幸には、トイレの前で、江藤和美から罵倒されたことを事実として、話しているから、ひょっとすれば、和美に早々に引導を渡す役目を担ってくれるかもしれないと期待している。
翌日、美和子が出勤し、掃除着に着替えて、社長室を出るころは、まだ7時前だというのに、和美はもう出勤していて、「遅いわね!」と嫌味を言ってくる。
美和子はむしして、ゴム手袋をはめ、洗剤を使いながらトイレの一つ一つを掃除していく。
「初出勤は、どうでしたか?」
「そんなことなんで、アンタに言わなきゃいけないのよ。でも、営業部に私この身のイケメンがいたの。必ず、この6か月間で彼を落として見せるわ。」
「そう。よかったわね。ちなみに、それが誰か当ててあげましょうか?服部正幸、帝国大学を経てケンブリッジ大学院卒業。イケメンで目下、独身中ですものね。」
「え?服部さん、ケンブリッジ出ているの!?すごーい。いい情報ありがとう。掃除婦でも使えるのね。よーし、こうなったら、頑張るぞ!」
その日から、早朝イヤミはなくなった。
そのかわり、正幸のお小言が断然増えたのだ。
仕事終わりの報告段階になって、ネチネチと江藤和美のことを言いだす。
「それで?江藤さんは、使えそう?」
「いや、それなら、いいのですが、あれは全く使い物にならない。どうして、江藤が最終面接まで残ったかが、不思議でたまらないのです。」
「それでは、人事部長を読んできて頂戴。」
しばらくすると人事部長の木原がやってくる。江藤和美について、質問すると、高校までが社長と同級生だったということが、最終面接ん位残らせた最大の理由になったそうだ。
「江藤和美は、中東部までで、後頭部には進学できませんでした。つまり経歴詐称です。」
「なんと!それが事実なら、懲戒解雇事由になりますね。明日、本人に高校の卒業証書を持ってくるように伝えます。」
「そう。もう下がって、いいわよ。」
「はい。失礼します。」
チラリと和美を見るが、まったく、さっきトイレの前で会った私だとは気づいていない様子。
あれが猫をかぶっているってことなのよね。
「皆さん、入社おめでとうございます。ここにお集りの肩は、ほとんどが中途での採用組となられたわけですが、新卒者にいつも言っている言葉がありますが、それと同じことを皆さんにも聞いてほしくて、言います。……(省略)……、学生時代は、100点満点を取ればSランク評価がもらえたと思いますが、会社に入ってからでは、100点満点をとれて、当たり前なのです。それが会社というものです。会社では、さらに高みを目指して、1000点、2000点を獲れるように励んでください。……(省略)……、以上、権藤不動産株式会社代表取締役権藤美和子。」
ちゃんと名乗っているのに、ぁ済みは、まったく気づいていない。掃除着を着ている私も、立派なスーツに身を包んでいる私も中身は一緒だって言うことを。
入社式が終わると、新卒者ではないから、研修せずに即戦力として、格配属先に行き、チームの一員としての仕事が始まる。
江藤和美は、いい年をして、何もスキルを持っていないばかりか、美人ではないので、営業事務に配属が決まる。
営業事務は営業の受注から取引先との交渉、電話応対、営業マンのサポートまでを一挙に引き受ける。まさに営業部の縁の下の力持ちなのだが、どこまでその仕事に耐えられるかが見ものである。
美和子の婚約者の正幸がいるところで、少々不安があるが、二人がどうにかなるとは、微塵も疑っていない。
正幸にとって、それは 不利益でしかないからだ。ただ、正幸は美和子の学歴を承知しているから、中等部まで和美と同級生だったことを知っている。いや、正幸は履歴書の内容を鵜呑みにしているから高等部まで一緒だと思っているはず。
正幸には、トイレの前で、江藤和美から罵倒されたことを事実として、話しているから、ひょっとすれば、和美に早々に引導を渡す役目を担ってくれるかもしれないと期待している。
翌日、美和子が出勤し、掃除着に着替えて、社長室を出るころは、まだ7時前だというのに、和美はもう出勤していて、「遅いわね!」と嫌味を言ってくる。
美和子はむしして、ゴム手袋をはめ、洗剤を使いながらトイレの一つ一つを掃除していく。
「初出勤は、どうでしたか?」
「そんなことなんで、アンタに言わなきゃいけないのよ。でも、営業部に私この身のイケメンがいたの。必ず、この6か月間で彼を落として見せるわ。」
「そう。よかったわね。ちなみに、それが誰か当ててあげましょうか?服部正幸、帝国大学を経てケンブリッジ大学院卒業。イケメンで目下、独身中ですものね。」
「え?服部さん、ケンブリッジ出ているの!?すごーい。いい情報ありがとう。掃除婦でも使えるのね。よーし、こうなったら、頑張るぞ!」
その日から、早朝イヤミはなくなった。
そのかわり、正幸のお小言が断然増えたのだ。
仕事終わりの報告段階になって、ネチネチと江藤和美のことを言いだす。
「それで?江藤さんは、使えそう?」
「いや、それなら、いいのですが、あれは全く使い物にならない。どうして、江藤が最終面接まで残ったかが、不思議でたまらないのです。」
「それでは、人事部長を読んできて頂戴。」
しばらくすると人事部長の木原がやってくる。江藤和美について、質問すると、高校までが社長と同級生だったということが、最終面接ん位残らせた最大の理由になったそうだ。
「江藤和美は、中東部までで、後頭部には進学できませんでした。つまり経歴詐称です。」
「なんと!それが事実なら、懲戒解雇事由になりますね。明日、本人に高校の卒業証書を持ってくるように伝えます。」
「そう。もう下がって、いいわよ。」
「はい。失礼します。」
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