21 / 35
断罪後
21.ざまあ2
しおりを挟む
神様がリリアーヌを断罪している最中のこと、それぞれの頭上に今まで聖女アンジェリーヌに対して行ってきたすべての悪行がモニターのごとく?走馬灯のごとく?映し出されている。
「聖女様に対して、なんてことをしてしまったのだ!」騎士の一人が叫び出し首筋に剣を当て、自害を図るも死ねない。
血は流れるし、痛みはあるのだが、どうしても死にきれない。それは、神があてた死ねない罰があるから。
「聖女様はどんなに辛くても、死ぬことさえ自由にならなかったのだ。それをさせたのは、貴様らすべてに罪がある。死んで楽になろうなどは、お門違いも甚だしい」
リリアーヌの正体が魔物に食い殺された魔女だということが分かった途端、リリアーヌがかけていた魔法が解けたのだ。
泣きながらその場にしゃがみ込み、嘔吐をする者。
神官の前に跪き、懺悔に勤しむ者もいるが、それは真に反省しているからではない。そのポーズをとっているに過ぎない。だが神の眼は欺けない。容赦ない鉄槌が振り下ろされ、さらなる窮地へと立たされてしまう。
反省の言葉を文にして100枚書いて提出を強要されたり、具体的にどのようにすれば今後、こういった事態を防げるか、などを徹底的に追及される。
決して、己の罪から逃れられない現実を突き付け、心が折れることも、発狂することも、許されない。
そもそも発狂することは、自分の心を護るための防衛手段なわけで、ひとまず現実から目を背けることに他ならない行為。
聖女様を寄って集って、なぶり殺しにした事実は変わらない。
「愛していた。アンジェリーヌただ一人を愛していたのに、魔女の呪いに引っかかってしまい、永遠に大切な女性を失ってしまった。この責任をとるため、俺は国王の座を退位するものとする」
「もっともらしいことを言うでない。お前が退位しようが、どうしようが、それはお前自身を守るための方便に過ぎない。そんなもので、アンジェリーヌの心は救われない」
「なら、どうすればよいのだ?教えてくれ」
「生前のアンジェリーヌは、お前のそういうところを嫌っていた。愛していると言えば、何でも許されるものではない。自分で考えろ」
「ならばヒントをやろう。お前の親父はどうだったか?最後の最後、今際の際までアンジェリーヌの身を案じ、他国へ逃がそうとしていたではないか?息子の嫁となる義娘のために。王である前に、人としてのあるべき姿だ」
「そういえば、人間として最低の家族がいたな。実の娘を見紛えるなど、あってはならない所業、それどころか暴言を吐き、鞭で打ち、痰を吐き掛け、さらには、実の妹を犯す。鬼畜にも劣る所業よ」
マキャベリ公爵が、ハッとしたように顔を上げ、シャーロックの方を睨みつけている。
「お前など我が娘ではない!と言われたアンジェリーヌが気の毒で、分相応の夢を見ろと、母親を振った男とその息子から、純潔を奪われ何度も犯され、さぞ口惜しかっただろう。その父子は、他人でも、実の兄が同じことをするとは、……世も末になっても仕方があるまい。罰として、アンジェリーヌに狼藉を働いた男は、一生女を抱けないカラダにしてやろう。聖女様を抱いたことを一生悔いて生きるがよい」
「そんな……」
ガックリと膝から崩れ落ちた男が大半にのぼる。この先、死ぬことも、発狂することもできないカラダとなった男たちは、もう死んだ目をしている。
マキャベリ家では、この後夫婦喧嘩、親子喧嘩が絶えなくなる。
「では、王として命ずる。アンジェリーヌに狼藉を働いた貴族は、貴族籍を抜き、領地返還を求めるものとする」
うーん。そうなるか?それなら、この国は王国でなくなるぞ?と神様は思案顔になっていることに気づかないクリストファーがいる。
「聖女様に対して、なんてことをしてしまったのだ!」騎士の一人が叫び出し首筋に剣を当て、自害を図るも死ねない。
血は流れるし、痛みはあるのだが、どうしても死にきれない。それは、神があてた死ねない罰があるから。
「聖女様はどんなに辛くても、死ぬことさえ自由にならなかったのだ。それをさせたのは、貴様らすべてに罪がある。死んで楽になろうなどは、お門違いも甚だしい」
リリアーヌの正体が魔物に食い殺された魔女だということが分かった途端、リリアーヌがかけていた魔法が解けたのだ。
泣きながらその場にしゃがみ込み、嘔吐をする者。
神官の前に跪き、懺悔に勤しむ者もいるが、それは真に反省しているからではない。そのポーズをとっているに過ぎない。だが神の眼は欺けない。容赦ない鉄槌が振り下ろされ、さらなる窮地へと立たされてしまう。
反省の言葉を文にして100枚書いて提出を強要されたり、具体的にどのようにすれば今後、こういった事態を防げるか、などを徹底的に追及される。
決して、己の罪から逃れられない現実を突き付け、心が折れることも、発狂することも、許されない。
そもそも発狂することは、自分の心を護るための防衛手段なわけで、ひとまず現実から目を背けることに他ならない行為。
聖女様を寄って集って、なぶり殺しにした事実は変わらない。
「愛していた。アンジェリーヌただ一人を愛していたのに、魔女の呪いに引っかかってしまい、永遠に大切な女性を失ってしまった。この責任をとるため、俺は国王の座を退位するものとする」
「もっともらしいことを言うでない。お前が退位しようが、どうしようが、それはお前自身を守るための方便に過ぎない。そんなもので、アンジェリーヌの心は救われない」
「なら、どうすればよいのだ?教えてくれ」
「生前のアンジェリーヌは、お前のそういうところを嫌っていた。愛していると言えば、何でも許されるものではない。自分で考えろ」
「ならばヒントをやろう。お前の親父はどうだったか?最後の最後、今際の際までアンジェリーヌの身を案じ、他国へ逃がそうとしていたではないか?息子の嫁となる義娘のために。王である前に、人としてのあるべき姿だ」
「そういえば、人間として最低の家族がいたな。実の娘を見紛えるなど、あってはならない所業、それどころか暴言を吐き、鞭で打ち、痰を吐き掛け、さらには、実の妹を犯す。鬼畜にも劣る所業よ」
マキャベリ公爵が、ハッとしたように顔を上げ、シャーロックの方を睨みつけている。
「お前など我が娘ではない!と言われたアンジェリーヌが気の毒で、分相応の夢を見ろと、母親を振った男とその息子から、純潔を奪われ何度も犯され、さぞ口惜しかっただろう。その父子は、他人でも、実の兄が同じことをするとは、……世も末になっても仕方があるまい。罰として、アンジェリーヌに狼藉を働いた男は、一生女を抱けないカラダにしてやろう。聖女様を抱いたことを一生悔いて生きるがよい」
「そんな……」
ガックリと膝から崩れ落ちた男が大半にのぼる。この先、死ぬことも、発狂することもできないカラダとなった男たちは、もう死んだ目をしている。
マキャベリ家では、この後夫婦喧嘩、親子喧嘩が絶えなくなる。
「では、王として命ずる。アンジェリーヌに狼藉を働いた貴族は、貴族籍を抜き、領地返還を求めるものとする」
うーん。そうなるか?それなら、この国は王国でなくなるぞ?と神様は思案顔になっていることに気づかないクリストファーがいる。
142
お気に入りに追加
393
あなたにおすすめの小説
完結 貴族生活を棄てたら王子が追って来てメンドクサイ。
音爽(ネソウ)
恋愛
王子の婚約者になってから様々な嫌がらせを受けるようになった侯爵令嬢。
王子は助けてくれないし、母親と妹まで嫉妬を向ける始末。
貴族社会が嫌になった彼女は家出を決行した。
だが、有能がゆえに王子妃に選ばれた彼女は追われることに……
根暗令嬢の華麗なる転身
しろねこ。
恋愛
「来なきゃよかったな」
ミューズは茶会が嫌いだった。
茶会デビューを果たしたものの、人から不細工と言われたショックから笑顔になれず、しまいには根暗令嬢と陰で呼ばれるようになった。
公爵家の次女に産まれ、キレイな母と実直な父、優しい姉に囲まれ幸せに暮らしていた。
何不自由なく、暮らしていた。
家族からも愛されて育った。
それを壊したのは悪意ある言葉。
「あんな不細工な令嬢見たことない」
それなのに今回の茶会だけは断れなかった。
父から絶対に参加してほしいという言われた茶会は特別で、第一王子と第二王子が来るものだ。
婚約者選びのものとして。
国王直々の声掛けに娘思いの父も断れず…
応援して頂けると嬉しいです(*´ω`*)
ハピエン大好き、完全自己満、ご都合主義の作者による作品です。
同名主人公にてアナザーワールド的に別な作品も書いています。
立場や環境が違えども、幸せになって欲しいという思いで作品を書いています。
一部リンクしてるところもあり、他作品を見て頂ければよりキャラへの理解が深まって楽しいかと思います。
描写的なものに不安があるため、お気をつけ下さい。
ゆるりとお楽しみください。
こちら小説家になろうさん、カクヨムさんにも投稿させてもらっています。
【短編】成金男爵令嬢? ええ結構。従姉ばかり気にする婚約者なんてどうでもいい。成金を極めてみせます!
サバゴロ
恋愛
「私がいないとだめなの。ごめんなさいね」婚約者を訪ねると、必ず従姉もいる。二人で私のわからない話ばかり。婚約者は私に話しかけない。「かまってあげなきゃ、かわいそうよ」と従姉。疎外感だけ味わって、一言も交わさず帰宅することも。だけど、お金儲けに夢中になって、世界が広がると、婚約者なんてどうでもよくなってくる。私の幸せは貴方じゃないわ!
完結 白皙の神聖巫女は私でしたので、さようなら。今更婚約したいとか知りません。
音爽(ネソウ)
恋愛
もっとも色白で魔力あるものが神聖の巫女であると言われている国があった。
アデリナはそんな理由から巫女候補に祀り上げらて王太子の婚約者として選ばれた。だが、より色白で魔力が高いと噂の女性が現れたことで「彼女こそが巫女に違いない」と王子は婚約をした。ところが神聖巫女を選ぶ儀式祈祷がされた時、白色に光輝いたのはアデリナであった……
完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件
音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。
『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』
『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』
公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。
もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。
屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは……
*表紙絵自作
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています
【完結/短編】いつか分かってもらえる、などと、思わないでくださいね?
雲井咲穂(くもいさほ)
恋愛
宮廷の夜会で婚約者候補から外されたアルフェニア。不勉強で怠惰な第三王子のジークフリードの冷たい言葉にも彼女は微動だにせず、冷静に反論を展開する。
二度目の婚約者には、もう何も期待しません!……そう思っていたのに、待っていたのは年下領主からの溺愛でした。
当麻月菜
恋愛
フェルベラ・ウィステリアは12歳の時に親が決めた婚約者ロジャードに相応しい女性になるため、これまで必死に努力を重ねてきた。
しかし婚約者であるロジャードはあっさり妹に心変わりした。
最後に人間性を疑うような捨て台詞を吐かれたフェルベラは、プツンと何かが切れてロジャードを回し蹴りしをかまして、6年という長い婚約期間に終止符を打った。
それから三ヶ月後。島流し扱いでフェルベラは岩山ばかりの僻地ルグ領の領主の元に嫁ぐ。愛人として。
婚約者に心変わりをされ、若い身空で愛人になるなんて不幸だと泣き崩れるかと思いきや、フェルベラの心は穏やかだった。
だって二度目の婚約者には、もう何も期待していないから。全然平気。
これからの人生は好きにさせてもらおう。そう決めてルグ領の領主に出会った瞬間、期待は良い意味で裏切られた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる