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死に戻り1
10.騒動
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それから孤児院の子供たちと年齢が変わらないので、すぐ打ち解けて一緒に遊んでいると、急にお腹から盛大な音が!
「ぐぅぅぅ~!」
あー。お腹空いた。
今朝は、日の出とともにたたき起こされたのよね。今日が王子のお誕生日会でお母様曰く
「女は少しお腹が空いたぐらいが一番綺麗」
ということからまだ夜も明けきらないうちに朝食を摂ったので、もう……!恥ずかしいったらありゃしない。
孤児院の子供たちからも盛大に笑われる。
確か、前世の記憶が正しければ、王宮でランチタイムの時に、王子のお妃候補の発表が行われていたはず、とすると今回は、誰も出席していないだろうから今から帰っても、大目玉を食らうことには変わりがないが、家でご飯を食べることができる……はず。
そろそろお暇を……と身支度を整えていると、そこに昼食のトレーが運ばれてきた。
「ささ、アンジェ様、粗末な食事ですが、どうぞ」
見るとスープと小皿に乗ったパンの1片。
「いえいえ、わたくしもうお暇させていただきますから」
「ご遠慮なさらずに、ケインを助けていただいたお礼でございます。この野菜は、庭を畑にしていまして、子供たちが育てた野菜なのです」
へえー!こんなに小さな子供たちが野良仕事をしているとは!感動して思わず涙がこぼれそうになる。
「お姉ちゃん、このニンジン、僕が作ったんだよ。美味しいから食べてね」
「ありがとう。いただくわ。とっても美味しい」
昼食後はみんなでお片づけをして、その後、一緒に遊ぶ。気が付けば、空が真っ赤に燃えていて、すっかり遅くなってしまったので、今度こそと暇乞いを始める。
いくら何でも今頃まで外で遊んでいたとバレたら大目玉だろうな。と考えつつも帰る時、再び孤児院の方を見上げるとみんな窓から身を投げ出すような姿勢で手を振り続けてくれている。
「さようなら、また遊びに来てね」
その言葉に後ろ髪をひかれるように、帰りかけたアンジェリーヌは踵を返し、着ていたドレスを脱ぎ去る。
「このドレスを売って、支援金の足しにしてください」
「え?でも、こんな高価なドレスを……?」
「このドレスには無数の宝石の小粒がくっついています。宝石の小粒だけ外し売れば、アシが付かないでしょう。残布は雑巾にでもしてくださいませ」
それだけを言い残し、スリップ姿のまま、ポニーちゃんに跨り転移魔法を使って、公爵邸の厩舎の中に横たわった。遊び疲れて、眠くなってきたので、ちょうどいい。
後は、何を聞かれても知らぬ存ぜぬで押し通すつもり。だって、まだ5歳だもの。
残された院長先生の言葉、「あのお方は聖女様か……女神さまの化身に違いない」を聞くことなく忽然と消える。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
マキャベリ公爵の鼻血騒動の後、公爵邸では上を下への大混乱が起こった。
ようやく鼻血が止まったマキャベリは、愛娘のアンジェリーヌの姿がないことに気づき、騒ぎ始めたのだ。
「アンジェリーヌ……。どこへ行ってしまったのだ?きっと、アンジェリーヌの余りの可愛らしさに目を奪われ、かどわかされたに違いがない!」
マキャベリは今にも泣きだしそうな顔で、真っ青になり椅子の下やテーブルの下まで這いずり回って探している。
「屋敷内をくまなく探せ、それとまだ子供の足だ。近くにきっといるはずだから、屋敷の近辺をしらみつぶしに探せ!」
「……アンジェリーヌ、パパがきっと助け出すから、待っていておくれ」
当然、お誕生日会は欠席する。肝心の娘がいなければ、そもそも出席する必要などないのだ。
だから今回のクリストファー殿下の御誕生日会は、殊の外寂しいものとなったのだが、そんなこと知ったこっちゃない。
「ぐぅぅぅ~!」
あー。お腹空いた。
今朝は、日の出とともにたたき起こされたのよね。今日が王子のお誕生日会でお母様曰く
「女は少しお腹が空いたぐらいが一番綺麗」
ということからまだ夜も明けきらないうちに朝食を摂ったので、もう……!恥ずかしいったらありゃしない。
孤児院の子供たちからも盛大に笑われる。
確か、前世の記憶が正しければ、王宮でランチタイムの時に、王子のお妃候補の発表が行われていたはず、とすると今回は、誰も出席していないだろうから今から帰っても、大目玉を食らうことには変わりがないが、家でご飯を食べることができる……はず。
そろそろお暇を……と身支度を整えていると、そこに昼食のトレーが運ばれてきた。
「ささ、アンジェ様、粗末な食事ですが、どうぞ」
見るとスープと小皿に乗ったパンの1片。
「いえいえ、わたくしもうお暇させていただきますから」
「ご遠慮なさらずに、ケインを助けていただいたお礼でございます。この野菜は、庭を畑にしていまして、子供たちが育てた野菜なのです」
へえー!こんなに小さな子供たちが野良仕事をしているとは!感動して思わず涙がこぼれそうになる。
「お姉ちゃん、このニンジン、僕が作ったんだよ。美味しいから食べてね」
「ありがとう。いただくわ。とっても美味しい」
昼食後はみんなでお片づけをして、その後、一緒に遊ぶ。気が付けば、空が真っ赤に燃えていて、すっかり遅くなってしまったので、今度こそと暇乞いを始める。
いくら何でも今頃まで外で遊んでいたとバレたら大目玉だろうな。と考えつつも帰る時、再び孤児院の方を見上げるとみんな窓から身を投げ出すような姿勢で手を振り続けてくれている。
「さようなら、また遊びに来てね」
その言葉に後ろ髪をひかれるように、帰りかけたアンジェリーヌは踵を返し、着ていたドレスを脱ぎ去る。
「このドレスを売って、支援金の足しにしてください」
「え?でも、こんな高価なドレスを……?」
「このドレスには無数の宝石の小粒がくっついています。宝石の小粒だけ外し売れば、アシが付かないでしょう。残布は雑巾にでもしてくださいませ」
それだけを言い残し、スリップ姿のまま、ポニーちゃんに跨り転移魔法を使って、公爵邸の厩舎の中に横たわった。遊び疲れて、眠くなってきたので、ちょうどいい。
後は、何を聞かれても知らぬ存ぜぬで押し通すつもり。だって、まだ5歳だもの。
残された院長先生の言葉、「あのお方は聖女様か……女神さまの化身に違いない」を聞くことなく忽然と消える。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
マキャベリ公爵の鼻血騒動の後、公爵邸では上を下への大混乱が起こった。
ようやく鼻血が止まったマキャベリは、愛娘のアンジェリーヌの姿がないことに気づき、騒ぎ始めたのだ。
「アンジェリーヌ……。どこへ行ってしまったのだ?きっと、アンジェリーヌの余りの可愛らしさに目を奪われ、かどわかされたに違いがない!」
マキャベリは今にも泣きだしそうな顔で、真っ青になり椅子の下やテーブルの下まで這いずり回って探している。
「屋敷内をくまなく探せ、それとまだ子供の足だ。近くにきっといるはずだから、屋敷の近辺をしらみつぶしに探せ!」
「……アンジェリーヌ、パパがきっと助け出すから、待っていておくれ」
当然、お誕生日会は欠席する。肝心の娘がいなければ、そもそも出席する必要などないのだ。
だから今回のクリストファー殿下の御誕生日会は、殊の外寂しいものとなったのだが、そんなこと知ったこっちゃない。
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