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前世
6.側近の結婚
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学園に入ってからは、アンジェリーヌには、すぐ取り巻き令嬢なる集団が付くことになった。今まで一度も出会ったことがない深窓の令嬢たちだ。お妃選定会の時、領地にかくまわれていて、クリストファーの目にとまらなかった人々。
学園内には、クリストファー派の集団とアンジェリーヌ派の集団が目立つようになってきたころ、クリストファーは、王太子になる儀式を終えた。
王太子になってからのクリストファーは、いささかバカが薄れたようにも見えた。
ちょうど、その頃、クリストファーとアンジェリーヌのところへ王命が下り、両名ともそれに従う。
「学園では、なるだけ二人で時を過ごすように」
それに伴い、将来の優良物件探しに躍起になっている令嬢たちは、一気にアンジェリーヌ派へ流れ込んでくる。
将来の国王の側近を結婚相手に捕まえるために。とはいうものの、側近の婚約者になるには、侯爵家以上の家格が必要で、クリストファーの側近の数は昔から決まっているので、効率の悪い椅子取りゲームをしているようなもの。
アンジェリーヌ派の令嬢の中で、一人、また一人とクリストファー殿下の側近とイイ仲になっていく者が出てきた。あぶれた令嬢たちはどうするのかと思っていたら、なんとクリストファーに粉をかけだす令嬢も出てきたのだ。
中でも積極的に動いていたのがキャサリン・アンドリュー侯爵令嬢で、正妃になりたいわけではなく、あくまでも側妃として、公式行事に参加することもなく、王宮で優雅な生活を送りたいと考えているらしかった。
他にもジュリエンヌ・マッカーサー公爵令嬢も、側妃狙いであったみたい。確か、ジュリエンヌ様は隣国の侯爵令息と昵懇だったと噂に聞いていたが、噂なんて、しょせんアテにはならない。
まんざらでもないのか?とクリストファーの顔色を窺っていると、明らかに嫌がっているような素振りを見せている。
アンジェリーヌは、「いいわよ?欲しけりゃ、くれてやる」と思っているのだが、なぜかこの頃から、頻繁にクリストファーはアンジェリーヌに愛の言葉を囁くようになってきた。気持ち悪い。
側近の熱々ぶりに影響され感化されたのかもしれない。
その頃のアンジェリーヌは、そんなものかという感じで、特に拒みもせず、クリストファーの気のすむまでやらせておいた。いわば、放置していたわけだが、これをクリストファーは盛大に勘違いをしていたらしく、アンジェリーヌはクリストファーの言うことなら何でも聞いてくれる従順な女だと側近に喋っていたらしい。
側近もそれを「殿下の躾の賜物です」と持ち上げていたから、ますますクリストファーは調子に乗る。
クリストファーは、ちょっと甘い言葉を囁けば、アンジェリーヌなどイチコロだと思っていたらしい。
ったく、アタマにくるったら、ありゃしない。
それでも高位貴族の令嬢たちから傅かれることは気持ちがいい。悪い気はしない。決して、友達と呼べるものではないが、今まで一人も友達がいなかったアンジェリーヌからしてみれば、大進歩であり、彼女たちのおかげで快適な学園生活を送れた。
アンジェリーヌの側近の令嬢の中の一人がシャーロックお兄様と婚約したのも、この頃のことだったように思う。
エリーゼ・シャルマン公爵令嬢で、他のあぶれた令嬢とは違い最初からお兄様に狙いを定めていたみたい。
将来の国母の兄嫁になるわけだから、側近を狙うよりも手堅いと思ったのだろう。
エリーゼは、アンジェリーヌのご学友という地位を利用して、度々、マキャベリ家を訪れ、お兄様を懐柔していたと聞く。
人生は生まれ堕ちた時から、すべて競争社会であること。いかに相手を出し抜き、利用して望みを手に入れるかは本人次第というところか。
実際のところ、押し倒したのか、咥えたのかはわからないが、エリーゼは、お兄様との結婚を機に学園を退学していった。
学園内には、クリストファー派の集団とアンジェリーヌ派の集団が目立つようになってきたころ、クリストファーは、王太子になる儀式を終えた。
王太子になってからのクリストファーは、いささかバカが薄れたようにも見えた。
ちょうど、その頃、クリストファーとアンジェリーヌのところへ王命が下り、両名ともそれに従う。
「学園では、なるだけ二人で時を過ごすように」
それに伴い、将来の優良物件探しに躍起になっている令嬢たちは、一気にアンジェリーヌ派へ流れ込んでくる。
将来の国王の側近を結婚相手に捕まえるために。とはいうものの、側近の婚約者になるには、侯爵家以上の家格が必要で、クリストファーの側近の数は昔から決まっているので、効率の悪い椅子取りゲームをしているようなもの。
アンジェリーヌ派の令嬢の中で、一人、また一人とクリストファー殿下の側近とイイ仲になっていく者が出てきた。あぶれた令嬢たちはどうするのかと思っていたら、なんとクリストファーに粉をかけだす令嬢も出てきたのだ。
中でも積極的に動いていたのがキャサリン・アンドリュー侯爵令嬢で、正妃になりたいわけではなく、あくまでも側妃として、公式行事に参加することもなく、王宮で優雅な生活を送りたいと考えているらしかった。
他にもジュリエンヌ・マッカーサー公爵令嬢も、側妃狙いであったみたい。確か、ジュリエンヌ様は隣国の侯爵令息と昵懇だったと噂に聞いていたが、噂なんて、しょせんアテにはならない。
まんざらでもないのか?とクリストファーの顔色を窺っていると、明らかに嫌がっているような素振りを見せている。
アンジェリーヌは、「いいわよ?欲しけりゃ、くれてやる」と思っているのだが、なぜかこの頃から、頻繁にクリストファーはアンジェリーヌに愛の言葉を囁くようになってきた。気持ち悪い。
側近の熱々ぶりに影響され感化されたのかもしれない。
その頃のアンジェリーヌは、そんなものかという感じで、特に拒みもせず、クリストファーの気のすむまでやらせておいた。いわば、放置していたわけだが、これをクリストファーは盛大に勘違いをしていたらしく、アンジェリーヌはクリストファーの言うことなら何でも聞いてくれる従順な女だと側近に喋っていたらしい。
側近もそれを「殿下の躾の賜物です」と持ち上げていたから、ますますクリストファーは調子に乗る。
クリストファーは、ちょっと甘い言葉を囁けば、アンジェリーヌなどイチコロだと思っていたらしい。
ったく、アタマにくるったら、ありゃしない。
それでも高位貴族の令嬢たちから傅かれることは気持ちがいい。悪い気はしない。決して、友達と呼べるものではないが、今まで一人も友達がいなかったアンジェリーヌからしてみれば、大進歩であり、彼女たちのおかげで快適な学園生活を送れた。
アンジェリーヌの側近の令嬢の中の一人がシャーロックお兄様と婚約したのも、この頃のことだったように思う。
エリーゼ・シャルマン公爵令嬢で、他のあぶれた令嬢とは違い最初からお兄様に狙いを定めていたみたい。
将来の国母の兄嫁になるわけだから、側近を狙うよりも手堅いと思ったのだろう。
エリーゼは、アンジェリーヌのご学友という地位を利用して、度々、マキャベリ家を訪れ、お兄様を懐柔していたと聞く。
人生は生まれ堕ちた時から、すべて競争社会であること。いかに相手を出し抜き、利用して望みを手に入れるかは本人次第というところか。
実際のところ、押し倒したのか、咥えたのかはわからないが、エリーゼは、お兄様との結婚を機に学園を退学していった。
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