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13.その後

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 京都から、はるかの両親も来てくれて、無事結婚式が滞りなく終わる。

 正孝の友人もまだ独身者が多いから、2次会、3次会までと盛り上がりを見せた。

 正孝の類友で、会社経営者の息子が多いから、はるかの同期生たちは目をギラつかせていたみたい。

 あちこちでLIME交換をしていた。正孝は友人たちから、冷やかされながらも、まんざらでもないという顔をしている。

 はるかも久しぶりに会う大学の友人との歓談が楽しい。

 はるかの両親は、正孝の両親と寛いで、何やらお喋りに興じている。

 その日の列席者全員、そのホテルで宿泊し、翌朝になって、ゆっくり帰ってもらおうという趣向だから、その日はホテルのバーで夜が更けるまで騒いでいたようだ。

 はるかと正孝は冷やかされながらも、早めに部屋に戻り、一緒にお風呂に入って、洗いっこしながらイチャイチャする。

 「はるか。今日は疲れただろ?」

 「それほどでもないわ。みんなが笑顔になってくれてよかったわ。」

 「それより昨日の帰り改札のところにいたのが、例の雀か?」

 「そうそう。捨てられてすぐ掴んだ男なんて、大したことがないって。月曜日社長とどんな顔して遭わせるのかしらね。」

 「楽しみだな。」



-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-



 そして月曜日。

 いつものように朝早くから社長と同伴出勤。

 守衛さんも、もう家族と理解している。問題は一般社員と一部を除いた管理職に知らせなければならない。

 今日、公表するつもりで家を出たのだが、どうやって広めるべきか。

 広報室長を呼び、経理部長の名字が変わったことを言うついでに結婚したことを言うと、驚いたような顔をされたが、

 「お似合いです。おめでとうございます。」

 広報室から、社長と経理部長が結婚されました。という案内を全社に向けて発表しえもらうことになった。

 それからはというもの、あの雀どもは、すっかりおとなしくなり、廊下ですれ違っても前はサレ女、捨てられ女、略奪された女、と聞こえよがしに言われていたことも今は昔で、嘘みたいになくなった。

 それよりも、はるかから何らかの報復があると恐れて、言葉遣いが非常に丁寧になったことを付け加えておこう。

 結婚式前日、社長のことを侮辱するような発言があったからかもしれない。あの時はまだ、はるかの相手の男性が社長だと知らずにけなしていたから。

 それと結婚式に呼ばれなかったことがショックだったらしい。新婦の同期入社社員は、全員を呼び、先輩の一般職社員の雀たちは蚊帳の外だったので、新郎の友人と知り合う機会すら与えられなかったことが衝撃を走る。

 あの後、同期女子社員は、社長の友人と連絡を取り合って、時々飲みに行っているみたい。

 そして、健介はというと、いつの間にか社内から消えた。退職したのか、どこかに飛ばされたのか聞く気にもならないし、知らない。ただ、風の便りで、緑岡陽子さんとは、離婚をしたという話を聞いたぐらい。

 だってまだ、産み月にもなっていないはずなのに。なんでも健介はA型、陽子さんはB型なのに、赤ん坊の血液型はO型というから……、やっぱり健介の子供ではなかったみたい。でも、縁あって、結婚したというのに。少し残念な気もする。

 だからもう護衛は必要がないにもかかわらず、あれ以来、同期とは仲良しこよしになれて、よかった。

 1回行ったエステにハマり、あれから毎月、通っている子もいる。エステって、気持ちいいと感じる人と痛いという人がいるから、相性なのよね。その時のコンディションによるものなのかもしれない。
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