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1.朝チュン
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篠原はるか24歳、大学を卒業して税理士格を取得し三栄物産の経理部に所属している。税理士を持っているから、一応係長で管理職最年少なのだ。
恋人は、3歳年上の営業部のエース荻島健介27歳、スポーツマンで、とにかくカッコよすぎるイケメンで、でも入社した時に、社食で声をかけられ、そのあまりのイケメンぶりに唖然としてしまい、付き合いを拒否したのだけど、それがカレの闘争心に火を点けてしまって。
それからというもの、事あるごとに食事に誘ってきて、仕方なく付き合いをすることになってからは、さらに溺愛ぶりがヒートアップして、社内でも有名なぐらいのラブラブカップルで通っていたのよ。
でも、健介は、はるかをちゃんとカノジョとして扱ってくれて、はるかはとても幸せな毎日を送っていて、昨年のクリスマスには、プロポーズをしてくれ、もちろん即OKしたわ。
それなのに……。
緑岡営業部長の娘陽子と、たった一度の浮気だけでデキ婚され、捨てられてしまったのだ。
健介も「本当に俺の子かどうか、疑わしい。」と言っていたけど、結局緑岡部長の手前、堕ろせ、とは言いにくく、押し切られるままに結婚したっていうけど、本当かなぁ。
1回だろうが、何回だろうが、浮気したことに変わらないっつうのよ。
入籍だけを先に済ませ、結婚式は後にすることになったそうだけど、おかげではるかは針の筵状態。
サレ女、略奪され捨てられ女と異名がつく。もう、いくら役職が付いていようが、無資格の部長の娘の方が偉いって、話になるのだから。こんなの、やってられないわよ!
だけど、世の中、何が起こるかわからないわよね。
その日は償却資産の申告書を書くだけだったので、早く終わり、退社した。そのまま、まっすぐ帰るのも癪だから、居酒屋に寄って、一杯引っ掛けることにしたのだ。
税理士になってから、酒税の計算ができるようになり、今の血中のアルコール度数は……なんて思いながら飲むと、不思議と酔えない。ビールは、アルコール度数がハナから低いから酔えないのだけど、清酒は純米酒か吟醸かが、やたら気になるようになったことは確か。
とりあえず、ビールとめざし、だし巻き卵の注文をする。大根の煮物も美味しそうだから、清酒を注文するときに、それでも頼むとするか、調子よく、ナマ中をあおるように飲む。
「カノジョぉ、いい飲みっぷりだね。」
声をかけてきた男を見ると、イケメンだけど、いかにもチャラそうな奴、無視。無視。
それでも、しつこく声をかけてきて、はるかのつまみが美味しそうだと言って、
「オジサン、俺にも同じものを一つ。」
そのうち、酒談義で意気投合したことまでは、覚えている。
翌朝、目が覚めてみると、まさかの朝チュンで……。ウソでしょ。チャラ男はとっくの昔にいなくなっていたが、ホテル代に飲み代までチャラ男が出してくれていたみたいで。
というか、相手がチャラ男だという確証がない。まったく別の誰かだったようにも思う。
いや、そんなことはどうでもいい。問題はそこじゃない。
昨夜のことを必死に思い出そうにも二日酔いか?頭が痛くて、思い出せない。
ラブホの部屋で素っ裸の自分と、いかにもヤりましたというシーツの汚れを見ただけで青くなる。
どうしよう。もう健介とは、別れたから浮気にはならない。
ウチの会社は、基本的に管理職になれば、女子社員の制服は着なくていいことになっているのだけど、昨日と同じ服で出社するわけにもいかない。今日だけ、女子社員の制服を着るのも、ちょっと……。
悩んだ挙句、ラブホで大急ぎのシャワーを浴びて、家に帰って、服を着替えることにして、それからまた化粧をして、会社へ行く。
始業時間にはまだ間に合ったが、改札ロビーの様子がざわついている。
たまたま、同期入社の早苗を見つけたので、駆け寄り聞いてみると、
「なんかね。今日から社長の息子さんが、新社長に就任して、来られるみたいなの。」
そういえば、そんなことを業務会議の席で言われたような気もする。
「社長の息子さんって、MBA持っていらっしゃるんだって、どんな人だろう。楽しみだわ。イケメンだったらいいのに。でも、前の社長の顔から想像するとね。プ。」
「……。」
さらりと、ずいぶん失礼なことを言う。と呆れて聞いた居たら、ビデオメッセージ?一応、LIVEみたいだけど、が流れてくる。
恋人は、3歳年上の営業部のエース荻島健介27歳、スポーツマンで、とにかくカッコよすぎるイケメンで、でも入社した時に、社食で声をかけられ、そのあまりのイケメンぶりに唖然としてしまい、付き合いを拒否したのだけど、それがカレの闘争心に火を点けてしまって。
それからというもの、事あるごとに食事に誘ってきて、仕方なく付き合いをすることになってからは、さらに溺愛ぶりがヒートアップして、社内でも有名なぐらいのラブラブカップルで通っていたのよ。
でも、健介は、はるかをちゃんとカノジョとして扱ってくれて、はるかはとても幸せな毎日を送っていて、昨年のクリスマスには、プロポーズをしてくれ、もちろん即OKしたわ。
それなのに……。
緑岡営業部長の娘陽子と、たった一度の浮気だけでデキ婚され、捨てられてしまったのだ。
健介も「本当に俺の子かどうか、疑わしい。」と言っていたけど、結局緑岡部長の手前、堕ろせ、とは言いにくく、押し切られるままに結婚したっていうけど、本当かなぁ。
1回だろうが、何回だろうが、浮気したことに変わらないっつうのよ。
入籍だけを先に済ませ、結婚式は後にすることになったそうだけど、おかげではるかは針の筵状態。
サレ女、略奪され捨てられ女と異名がつく。もう、いくら役職が付いていようが、無資格の部長の娘の方が偉いって、話になるのだから。こんなの、やってられないわよ!
だけど、世の中、何が起こるかわからないわよね。
その日は償却資産の申告書を書くだけだったので、早く終わり、退社した。そのまま、まっすぐ帰るのも癪だから、居酒屋に寄って、一杯引っ掛けることにしたのだ。
税理士になってから、酒税の計算ができるようになり、今の血中のアルコール度数は……なんて思いながら飲むと、不思議と酔えない。ビールは、アルコール度数がハナから低いから酔えないのだけど、清酒は純米酒か吟醸かが、やたら気になるようになったことは確か。
とりあえず、ビールとめざし、だし巻き卵の注文をする。大根の煮物も美味しそうだから、清酒を注文するときに、それでも頼むとするか、調子よく、ナマ中をあおるように飲む。
「カノジョぉ、いい飲みっぷりだね。」
声をかけてきた男を見ると、イケメンだけど、いかにもチャラそうな奴、無視。無視。
それでも、しつこく声をかけてきて、はるかのつまみが美味しそうだと言って、
「オジサン、俺にも同じものを一つ。」
そのうち、酒談義で意気投合したことまでは、覚えている。
翌朝、目が覚めてみると、まさかの朝チュンで……。ウソでしょ。チャラ男はとっくの昔にいなくなっていたが、ホテル代に飲み代までチャラ男が出してくれていたみたいで。
というか、相手がチャラ男だという確証がない。まったく別の誰かだったようにも思う。
いや、そんなことはどうでもいい。問題はそこじゃない。
昨夜のことを必死に思い出そうにも二日酔いか?頭が痛くて、思い出せない。
ラブホの部屋で素っ裸の自分と、いかにもヤりましたというシーツの汚れを見ただけで青くなる。
どうしよう。もう健介とは、別れたから浮気にはならない。
ウチの会社は、基本的に管理職になれば、女子社員の制服は着なくていいことになっているのだけど、昨日と同じ服で出社するわけにもいかない。今日だけ、女子社員の制服を着るのも、ちょっと……。
悩んだ挙句、ラブホで大急ぎのシャワーを浴びて、家に帰って、服を着替えることにして、それからまた化粧をして、会社へ行く。
始業時間にはまだ間に合ったが、改札ロビーの様子がざわついている。
たまたま、同期入社の早苗を見つけたので、駆け寄り聞いてみると、
「なんかね。今日から社長の息子さんが、新社長に就任して、来られるみたいなの。」
そういえば、そんなことを業務会議の席で言われたような気もする。
「社長の息子さんって、MBA持っていらっしゃるんだって、どんな人だろう。楽しみだわ。イケメンだったらいいのに。でも、前の社長の顔から想像するとね。プ。」
「……。」
さらりと、ずいぶん失礼なことを言う。と呆れて聞いた居たら、ビデオメッセージ?一応、LIVEみたいだけど、が流れてくる。
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