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6.再び江戸へ
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治癒魔法を駆使し、天子様の脚気を治した。もう二度と江戸時代に行く気がないのできつく清兵衛さんと宮様に「旅に出る」と方便をついて、現代へ戻った。
それなのに、その夜、清兵衛さんからまた、お手紙が…。
「歴代の跡取り娘の中でアンタぐらいやで。こないお手紙来るのんは。」おばあちゃんに呆れられても、それって、私のせい?
御上からの呼出しで、清兵衛さんも気が気でないだろうから、お土産を持って行った。
結衣の手土産は、伏見の名酒、清酒ならこの時代でもあるだろうから、月桂樹の「月」、桃桜の「呑」と結衣の一押し「桃の滴」をコモ樽に入れて、持って行った。一升瓶は重いし、もしかしたらガラスは、ギヤマンと言われ、ご禁制扱いかもしれないので、これ以上「宇治屋」が御上に目を付けられることはあってはならないという結衣の気遣いである。
実は、結衣も異空間収納持ちだった。ただし、通販ができないのでマリさんのようになれなかった。宇治屋で異空間から次々コモ樽を出しても、もう誰も驚かなかった。
京都所司代からの呼出しだった。
京都所司代は、江戸幕府の管轄。宮様の件が所司代の耳に入ったのであろうと推察された。
所司代は、京の御所の西側に位置し、現代は、京都府庁になっている。文化庁が移転するのも、府庁の前あたりである。
所司代からの要請内容は、江戸城の火災除けと将軍様の江戸患い(脚気)の治療だった。
京の宇治屋に戻ったら、神棚に結衣のお酒が上げられていた。
「こんな濁りのないササ(酒)どないしゃはったんどすか?」
しまった!まだ、この時代は、濁り酒が主流だったかと思ったけど、後の祭り。
「まーよろしいわ。店の者も口外したらあきまへんで。」何かを察してくれたみたいだった。
翌朝、江戸へ行き、店から出ようとしたら、お城から迎えの「かご」が来ていた。
「しんどい。気持ち悪い。」かごに揺られるのは、想像以上に辛い。外の景色を見る余裕もない。
二の丸に着いてから、厠(トイレ)を借りた。厠は当然、水洗じゃないから余計気分が悪くなり、結局、半日ほど休んだ。どっちが病人かわからないほどの顔色だった。治療どころじゃないから、その日は、お城に泊まった。
城中は、夜中でもけっこうやかましい。防犯のため、寝ずの番をしている人がいるからだ。
「あー。耳栓、持ってきたらよかった。まさか、お泊りするとは思わへんかった。」
その時、「火事だ」と声がした。火事の現場は、火の気のない「書庫」明らかに付け火?
結衣は、Tシャツにホットパンツのまま、飛び出した。現代でも寝巻なんて、ずるずるしたもの着られない。朝起きたら、紐だけになって、前ははだけている状態になる。
女中さんたちは、懸命に手桶で消火活動をしている。そこへ、結衣が来て水魔法を使い一瞬で消し止めた。ほっとした女中さんたちは、結衣の姿を見て呆然としていたが、近習のお侍様(?)が「控えおろ、陰陽師様である」と言ってくださり、助かりました。
その場ですぐ、水魔法の結界を張り、ついでに寝ている部屋にも防音魔法の結界を張り、その後、爆睡した。
翌日、朝食後、将軍様の治療を開始した。
と言っても、治癒魔法で一瞬だったけどね。
帰りも「かご」で送ると言ってもらったけど、丁重にお断りをして、異空間収納から自転車を出して、宇治屋の店の近くまで乗った。
物珍しい異物を見るような目で見られたけど、もう慣れたわ。
こうなりゃ、なんでもアリよ。
途中、奉行所のお役人様から呼び止められたけど、「アノ陰陽師」だとわかって、お咎めなしだったわ。
さ、帰ろっと♪
おしまい
それなのに、その夜、清兵衛さんからまた、お手紙が…。
「歴代の跡取り娘の中でアンタぐらいやで。こないお手紙来るのんは。」おばあちゃんに呆れられても、それって、私のせい?
御上からの呼出しで、清兵衛さんも気が気でないだろうから、お土産を持って行った。
結衣の手土産は、伏見の名酒、清酒ならこの時代でもあるだろうから、月桂樹の「月」、桃桜の「呑」と結衣の一押し「桃の滴」をコモ樽に入れて、持って行った。一升瓶は重いし、もしかしたらガラスは、ギヤマンと言われ、ご禁制扱いかもしれないので、これ以上「宇治屋」が御上に目を付けられることはあってはならないという結衣の気遣いである。
実は、結衣も異空間収納持ちだった。ただし、通販ができないのでマリさんのようになれなかった。宇治屋で異空間から次々コモ樽を出しても、もう誰も驚かなかった。
京都所司代からの呼出しだった。
京都所司代は、江戸幕府の管轄。宮様の件が所司代の耳に入ったのであろうと推察された。
所司代は、京の御所の西側に位置し、現代は、京都府庁になっている。文化庁が移転するのも、府庁の前あたりである。
所司代からの要請内容は、江戸城の火災除けと将軍様の江戸患い(脚気)の治療だった。
京の宇治屋に戻ったら、神棚に結衣のお酒が上げられていた。
「こんな濁りのないササ(酒)どないしゃはったんどすか?」
しまった!まだ、この時代は、濁り酒が主流だったかと思ったけど、後の祭り。
「まーよろしいわ。店の者も口外したらあきまへんで。」何かを察してくれたみたいだった。
翌朝、江戸へ行き、店から出ようとしたら、お城から迎えの「かご」が来ていた。
「しんどい。気持ち悪い。」かごに揺られるのは、想像以上に辛い。外の景色を見る余裕もない。
二の丸に着いてから、厠(トイレ)を借りた。厠は当然、水洗じゃないから余計気分が悪くなり、結局、半日ほど休んだ。どっちが病人かわからないほどの顔色だった。治療どころじゃないから、その日は、お城に泊まった。
城中は、夜中でもけっこうやかましい。防犯のため、寝ずの番をしている人がいるからだ。
「あー。耳栓、持ってきたらよかった。まさか、お泊りするとは思わへんかった。」
その時、「火事だ」と声がした。火事の現場は、火の気のない「書庫」明らかに付け火?
結衣は、Tシャツにホットパンツのまま、飛び出した。現代でも寝巻なんて、ずるずるしたもの着られない。朝起きたら、紐だけになって、前ははだけている状態になる。
女中さんたちは、懸命に手桶で消火活動をしている。そこへ、結衣が来て水魔法を使い一瞬で消し止めた。ほっとした女中さんたちは、結衣の姿を見て呆然としていたが、近習のお侍様(?)が「控えおろ、陰陽師様である」と言ってくださり、助かりました。
その場ですぐ、水魔法の結界を張り、ついでに寝ている部屋にも防音魔法の結界を張り、その後、爆睡した。
翌日、朝食後、将軍様の治療を開始した。
と言っても、治癒魔法で一瞬だったけどね。
帰りも「かご」で送ると言ってもらったけど、丁重にお断りをして、異空間収納から自転車を出して、宇治屋の店の近くまで乗った。
物珍しい異物を見るような目で見られたけど、もう慣れたわ。
こうなりゃ、なんでもアリよ。
途中、奉行所のお役人様から呼び止められたけど、「アノ陰陽師」だとわかって、お咎めなしだったわ。
さ、帰ろっと♪
おしまい
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