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二年目 恋よ、愛てにとって不足はない
41 死を回避する方法はたった一つ
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緊張感が走る空間と化してしまったサロンの個室、ユウヴィーとアラインは向かい合って見つめ合っていた。だが、そこはロマンチックなムードのような緊張感ではなく、互いに相手の出方を伺う動物同士の縄張り争いのようなものだった。
「君は、恋したい、またはしていたりするかい?」
「質問の意味が――」
「実はエリーレイドに恋している」
唐突にカミングアウトされ、思わずユウヴィーは「知っています」と答えそうになるが、ぐっと堪え、それがどういう意味なのか、話に耳を傾ける事にした。
「だが、この学園に入ってからというものユウヴィー嬢に関わる事に対して積極的に介入している。いや裏工作といってもいい、ほぼ付きっ切りでフォローしているような動きをしている。諸外国との調整は今まで当たり前のようにやっていたが、よりもう一歩踏み込んだような公務を行っている。もちろん、私も王太子としての立場もあり、彼女から散々要請がある。ほとんど、ユウヴィー嬢が未来のために、ユウヴィー嬢が平和のために、などどれも君が中心になっているんだ」
はぁはぁと肩で息をしながら息もつかずにアラインは言った。おでこに微妙に汗をかいているのを彼女は見てしまった。ふぅと呼吸を落ち着かせ、いつもの余裕ある表情に彼は戻った。
「改めて、君は恋しているか?」
ユウヴィーとエリーレイドは互いに恋し合っていて、喧嘩もするが、仲が良い間柄ではないか、表立っての関係は濃厚な接触はないものの、プラトニックで繋がっているのではないかとアラインは思っていのだった。
「私は恋とは違いますが、その人を応援したいという推したいというのはありますね」
アラインがエリーレイドとの時間を自分以外に盗られていて、その中心に自分がいる事に嫉妬しているとユウヴィーは感じ取ったのだった。
「どんな人なんだい?」
少しばかり目元がきつくなるアラインだった。それがエリーレイドだった場合、恋とは違うと否定しているものの応援、推しという言葉を字面通りに受け取れるほど王族は外交に疎いわけではなかった。真意というのは別にあると考えていた。ただ、その後の言葉で彼は度肝を抜かれるのだった。
「アライン王太子殿下です。推しなので、絶対に幸せになってほしい。そう思ってます!!」
ユウヴィーは噛まずに言えた事に胸を張りたかった。告白を推しにちゃんと出来た事は悔いがないといっても過言ではない程、高揚していた。
「え、あ、ありがとう? えと、独占欲とかあったりするのかな?」
彼は戸惑っていた。ユウヴィーが言っている表情、仕草からは本気度を感じとっており、それが嘘であったり裏の意味がないのがわかったのだ。ただ、それがどういう感情なのか理解できずにいた。そのため、手探りながら危険な兆候がないのか探りを入れたのだった。
「ない、と言えばウソになりますが心までは奪えませんし、その人がその人らしく生き生きと進む様が好きなんです」
思いを伝えるように彼女はゆっくりと思いを喋った。感慨極まって泣きそうになっていたが、必死に堪えながら自分の思いを伝えたのだった。アラインが少し、戸惑いを見せているので引かれたかもしれないと思っていたが、思いを伝えるだけ伝え、ダメだったら距離を置けばいいと自分に言い聞かせていた。
「強いな」
彼の口から発せられた言葉に、ユウヴィーは拒絶されたわけじゃないと確信し、感情が溢れて、気が付いたら泣いていた。涙腺が決壊し、口はへの字になりながら泣いていた。
その姿にアラインも驚いてしまい、たじたじになっていたものの、すぐにハンカチを取り出し、ユウヴィーに渡すのだった。彼女はハンカチを受け取り、涙を拭いながら頭を下げたのだった。
「みっともないところをすみません」
アラインは首を横にふり、手を口元に当てて何かを考えていた。ユウヴィーは涙を拭き終え、冷静に戻って感情的に告白した自分に恥ずかしさを覚えるのだった。
「確認したい事があるのだが、私を応援、推すといっていたがそれはどういう意味なんだ?」
「命に関わる事以外なら、応援するという意味です」
ユウヴィーはさすがに死にたくない。国の為に犠牲になって瘴気を一掃し平和にしてほしいと言われてもさすがに受け入れたくなくなかったのだった。
「そうか、なら相談にのってくれないか」
「なんなりと」
「……んんッ」
アラインは咳払いし、意を決して何か言おうとするもののあたりを見渡していた。
「この部屋に盗聴の魔法などあるかわかるか?」
ユウヴィーは首を傾げ、そういった魔法が存在するのかはわからなかった。
「この部屋全体に浄化の魔法を展開させてみることが出来ますが魔法を解除できるかはわかりませんがどうしますか?」
「浄化、浄化か……悪意や瘴気に対して効果がある魔法なら反応する可能性があるな、一応念のため頼む」
アラインの要請により、ユウヴィーはサロンの個室内に浄化をかけたのだった。
「君は、恋したい、またはしていたりするかい?」
「質問の意味が――」
「実はエリーレイドに恋している」
唐突にカミングアウトされ、思わずユウヴィーは「知っています」と答えそうになるが、ぐっと堪え、それがどういう意味なのか、話に耳を傾ける事にした。
「だが、この学園に入ってからというものユウヴィー嬢に関わる事に対して積極的に介入している。いや裏工作といってもいい、ほぼ付きっ切りでフォローしているような動きをしている。諸外国との調整は今まで当たり前のようにやっていたが、よりもう一歩踏み込んだような公務を行っている。もちろん、私も王太子としての立場もあり、彼女から散々要請がある。ほとんど、ユウヴィー嬢が未来のために、ユウヴィー嬢が平和のために、などどれも君が中心になっているんだ」
はぁはぁと肩で息をしながら息もつかずにアラインは言った。おでこに微妙に汗をかいているのを彼女は見てしまった。ふぅと呼吸を落ち着かせ、いつもの余裕ある表情に彼は戻った。
「改めて、君は恋しているか?」
ユウヴィーとエリーレイドは互いに恋し合っていて、喧嘩もするが、仲が良い間柄ではないか、表立っての関係は濃厚な接触はないものの、プラトニックで繋がっているのではないかとアラインは思っていのだった。
「私は恋とは違いますが、その人を応援したいという推したいというのはありますね」
アラインがエリーレイドとの時間を自分以外に盗られていて、その中心に自分がいる事に嫉妬しているとユウヴィーは感じ取ったのだった。
「どんな人なんだい?」
少しばかり目元がきつくなるアラインだった。それがエリーレイドだった場合、恋とは違うと否定しているものの応援、推しという言葉を字面通りに受け取れるほど王族は外交に疎いわけではなかった。真意というのは別にあると考えていた。ただ、その後の言葉で彼は度肝を抜かれるのだった。
「アライン王太子殿下です。推しなので、絶対に幸せになってほしい。そう思ってます!!」
ユウヴィーは噛まずに言えた事に胸を張りたかった。告白を推しにちゃんと出来た事は悔いがないといっても過言ではない程、高揚していた。
「え、あ、ありがとう? えと、独占欲とかあったりするのかな?」
彼は戸惑っていた。ユウヴィーが言っている表情、仕草からは本気度を感じとっており、それが嘘であったり裏の意味がないのがわかったのだ。ただ、それがどういう感情なのか理解できずにいた。そのため、手探りながら危険な兆候がないのか探りを入れたのだった。
「ない、と言えばウソになりますが心までは奪えませんし、その人がその人らしく生き生きと進む様が好きなんです」
思いを伝えるように彼女はゆっくりと思いを喋った。感慨極まって泣きそうになっていたが、必死に堪えながら自分の思いを伝えたのだった。アラインが少し、戸惑いを見せているので引かれたかもしれないと思っていたが、思いを伝えるだけ伝え、ダメだったら距離を置けばいいと自分に言い聞かせていた。
「強いな」
彼の口から発せられた言葉に、ユウヴィーは拒絶されたわけじゃないと確信し、感情が溢れて、気が付いたら泣いていた。涙腺が決壊し、口はへの字になりながら泣いていた。
その姿にアラインも驚いてしまい、たじたじになっていたものの、すぐにハンカチを取り出し、ユウヴィーに渡すのだった。彼女はハンカチを受け取り、涙を拭いながら頭を下げたのだった。
「みっともないところをすみません」
アラインは首を横にふり、手を口元に当てて何かを考えていた。ユウヴィーは涙を拭き終え、冷静に戻って感情的に告白した自分に恥ずかしさを覚えるのだった。
「確認したい事があるのだが、私を応援、推すといっていたがそれはどういう意味なんだ?」
「命に関わる事以外なら、応援するという意味です」
ユウヴィーはさすがに死にたくない。国の為に犠牲になって瘴気を一掃し平和にしてほしいと言われてもさすがに受け入れたくなくなかったのだった。
「そうか、なら相談にのってくれないか」
「なんなりと」
「……んんッ」
アラインは咳払いし、意を決して何か言おうとするもののあたりを見渡していた。
「この部屋に盗聴の魔法などあるかわかるか?」
ユウヴィーは首を傾げ、そういった魔法が存在するのかはわからなかった。
「この部屋全体に浄化の魔法を展開させてみることが出来ますが魔法を解除できるかはわかりませんがどうしますか?」
「浄化、浄化か……悪意や瘴気に対して効果がある魔法なら反応する可能性があるな、一応念のため頼む」
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