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自分自身の答えがわからないまま、僕はツバサに動画の再生を促した。アーネルトやアンネイの動画と違い、編集されているわけでもなく、ただ記録して残っているものだった。一日一日の時間をそのまま保存しているものだったので、ただ移動していたり、何もないところをずっと見ているといった場面が多々あった。
「うまく、何かある場面だけ見れればいいのですが、ヨーちゃんはどんなのが見たいのですか?」
ツバサが操作よりも記録内容にもどかしさを感じているのか僕に聞いてきた。
「瓦礫の山で起きた毒殺がはじまる前や爆発がはじまる前とか、そのあたりに何があったのか知りたい」
「わ、わかりました」
+
ツバサが探してくれている間に、小休止しながら部屋の中にあるものでまだ何かないか探した。本や書類など書かれている言葉はわからず、誰も読めなかった。
「言葉は通じるのに、書いてある文字は読めないってなんか変」
マナチが言うとジュリが食いつくように喋った。
「そ、そう! 異世界もののお決まりなら、言語パック的なものがあって、翻訳とか自動でされるんですよ」
「言語パック」
マナチが聞きなれない言葉を復唱していた。僕も言語パックとか言われてもわからない。辛うじて、翻訳の事を意味するのだろうとわかった。
「そういうのって誰がしてくれるの?」
ハルミンが興味を示したのか、手に取っていた本を置いて、参加してきた。
「作品によりますけれど、大体は神様という存在がやってくれますね。あとはスキルに入っていたリしますね」
「スキル、ってどういう風にわかったりするの?」
「え、そりゃ作品によりますけれど、脳内にアナウンスが流れたり、私たちが見えるアビリティ・スキルのどこかに追加されたり、ですね」
「ふぅん?」
ハルミンは何か考え込み、アビリティ・スキルを表示させたのか何かを探していた。
「ジュリ、僕たちが持つアビリティ・スキルに翻訳とかあったりしないのかな」
「いやぁ、私もそれらしきものがないか探したのですが見つかりませんでした。もしかしたら、何かに触れる事でスキルが解放されるのかと本とか書類とか触ってみたり色々してみたのですがダメでした」
「そんな簡単に行く方がおかしい、って思った方がいいって事か。言葉が通じるだけでも、よく考えたらすごい気がするし」
「そうですねぇ」
「ね、さっきムッツーとタッツーが入っていた円状のケースに触ったらリジェネイトっていうのが声が聞こえたんだけど――」
ジュリがクワッと目を見開き、ハルミンの方へと近寄った。ハルミンはビクッと驚きつつも、言葉を続けた。。
「ジュリは何か知っていたリする?」、
「リジェネイト、名前からするとアビリティ・スキルの生活の中に入ってそうですね」
ジュリもアビリティ・スキルを表示させ、ハルミンが言っていたリジェネイトを探していた。
「あ、ありました。えーっと、擦り傷から骨折など元に戻すと書かれています。傷の大きさによって時間がかかったりすると書かれていて、あと肌荒れや痛んだ髪にも――」
「「マジで!」」
マナチとハルミンの食いつきがすごかった。そりゃあよく考えたら、この世界にきてから簡易シャワー、備え付けのシャンプーや石鹸やらで汚れを落としているものの、リンス、コンディショナー、ドライヤー、化粧水、乳液、美容液、ハンドクリーム、リップクリーム、諸々がない。歯ブラシすら召喚できないから、水のペットボトルで口をゆすいで、指でこすったりしたり、あ、思い出したら爪だってみんなボロボロだ。
「「リジェネイト!!」」
ハルミンとマナチが同時にし、二人はアビリティ・スキルを使用した後に髪や顔などを互いに確かめ、喜んでいた。
「リジェネイト」
「あ、リジェネイト」
僕がアビリティ・スキルを使用するとジュリも使用し、ギシギシしていた髪の毛がサラサラに戻り、ジュリもサラサラになっていた。僕とジュリは頷き合い、喜んだ。
「アビリティ・スキルって便利ーッ」
「うひょー!!」
ハルミンとマナチも嬉しそうにしていた。
「あ、あのう……ヨーちゃん。見つけましたぁ~結構グロ要素多くて見ているだけで――」
目がどんよりしているツバサが僕たちの方を見るとキレ気味な表情で凝視していた。
「ツバサ、聞いて聞いて! 新しいスキルでリジェネイトというのがあって、見て! この髪!」
「なんですとーっ!」
ツバサは立ち上がり、マナチの方に近寄って髪を確かめ、ハルミン、ジュリ、僕の順に見ていった。
「リジェネイトぉぉぉ」
そして、ツバサもつやがある髪になり、一緒に喜んだ。髪は女の命、っていう言葉を美容室で聞いた事を思い出した。そういえばこのアビリティ・スキルってムッツーとタッツーが入っていた円状のケースだったことを思い出し、あの二人がいたらと思ってしまった。
「ヨーちゃん?」
「いや、なんでもないよ」
「うまく、何かある場面だけ見れればいいのですが、ヨーちゃんはどんなのが見たいのですか?」
ツバサが操作よりも記録内容にもどかしさを感じているのか僕に聞いてきた。
「瓦礫の山で起きた毒殺がはじまる前や爆発がはじまる前とか、そのあたりに何があったのか知りたい」
「わ、わかりました」
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ツバサが探してくれている間に、小休止しながら部屋の中にあるものでまだ何かないか探した。本や書類など書かれている言葉はわからず、誰も読めなかった。
「言葉は通じるのに、書いてある文字は読めないってなんか変」
マナチが言うとジュリが食いつくように喋った。
「そ、そう! 異世界もののお決まりなら、言語パック的なものがあって、翻訳とか自動でされるんですよ」
「言語パック」
マナチが聞きなれない言葉を復唱していた。僕も言語パックとか言われてもわからない。辛うじて、翻訳の事を意味するのだろうとわかった。
「そういうのって誰がしてくれるの?」
ハルミンが興味を示したのか、手に取っていた本を置いて、参加してきた。
「作品によりますけれど、大体は神様という存在がやってくれますね。あとはスキルに入っていたリしますね」
「スキル、ってどういう風にわかったりするの?」
「え、そりゃ作品によりますけれど、脳内にアナウンスが流れたり、私たちが見えるアビリティ・スキルのどこかに追加されたり、ですね」
「ふぅん?」
ハルミンは何か考え込み、アビリティ・スキルを表示させたのか何かを探していた。
「ジュリ、僕たちが持つアビリティ・スキルに翻訳とかあったりしないのかな」
「いやぁ、私もそれらしきものがないか探したのですが見つかりませんでした。もしかしたら、何かに触れる事でスキルが解放されるのかと本とか書類とか触ってみたり色々してみたのですがダメでした」
「そんな簡単に行く方がおかしい、って思った方がいいって事か。言葉が通じるだけでも、よく考えたらすごい気がするし」
「そうですねぇ」
「ね、さっきムッツーとタッツーが入っていた円状のケースに触ったらリジェネイトっていうのが声が聞こえたんだけど――」
ジュリがクワッと目を見開き、ハルミンの方へと近寄った。ハルミンはビクッと驚きつつも、言葉を続けた。。
「ジュリは何か知っていたリする?」、
「リジェネイト、名前からするとアビリティ・スキルの生活の中に入ってそうですね」
ジュリもアビリティ・スキルを表示させ、ハルミンが言っていたリジェネイトを探していた。
「あ、ありました。えーっと、擦り傷から骨折など元に戻すと書かれています。傷の大きさによって時間がかかったりすると書かれていて、あと肌荒れや痛んだ髪にも――」
「「マジで!」」
マナチとハルミンの食いつきがすごかった。そりゃあよく考えたら、この世界にきてから簡易シャワー、備え付けのシャンプーや石鹸やらで汚れを落としているものの、リンス、コンディショナー、ドライヤー、化粧水、乳液、美容液、ハンドクリーム、リップクリーム、諸々がない。歯ブラシすら召喚できないから、水のペットボトルで口をゆすいで、指でこすったりしたり、あ、思い出したら爪だってみんなボロボロだ。
「「リジェネイト!!」」
ハルミンとマナチが同時にし、二人はアビリティ・スキルを使用した後に髪や顔などを互いに確かめ、喜んでいた。
「リジェネイト」
「あ、リジェネイト」
僕がアビリティ・スキルを使用するとジュリも使用し、ギシギシしていた髪の毛がサラサラに戻り、ジュリもサラサラになっていた。僕とジュリは頷き合い、喜んだ。
「アビリティ・スキルって便利ーッ」
「うひょー!!」
ハルミンとマナチも嬉しそうにしていた。
「あ、あのう……ヨーちゃん。見つけましたぁ~結構グロ要素多くて見ているだけで――」
目がどんよりしているツバサが僕たちの方を見るとキレ気味な表情で凝視していた。
「ツバサ、聞いて聞いて! 新しいスキルでリジェネイトというのがあって、見て! この髪!」
「なんですとーっ!」
ツバサは立ち上がり、マナチの方に近寄って髪を確かめ、ハルミン、ジュリ、僕の順に見ていった。
「リジェネイトぉぉぉ」
そして、ツバサもつやがある髪になり、一緒に喜んだ。髪は女の命、っていう言葉を美容室で聞いた事を思い出した。そういえばこのアビリティ・スキルってムッツーとタッツーが入っていた円状のケースだったことを思い出し、あの二人がいたらと思ってしまった。
「ヨーちゃん?」
「いや、なんでもないよ」
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