66 / 82
66
しおりを挟む
そんな事はあり得るのか?
ふと、瓦礫の山で爆発物を投げ、火の近くにいるのに無傷だった二人組を思い出した。あれがその効果として活用していたのだとしたら、ジュリが読み上げた使用者とパーティメンバーは効果無効というのは、とんでもない強さを発揮する武器だ。
「フレンドリーファイアがされないように設定がある、ってこと?」
ツバサが驚愕していた。確か、前にただの異世界転移かゲームを元にした世界に異世界転移なのか話した時に言っていた言葉だ。つまり、この世界はゲームを元にしている異世界なのか?
「ま、待って、ちょっと待って……え、えっ!?」
ツバサが何を見つけたのかアビリティ・スキルの何かを見て狼狽していた。
「何を見つけたんだ?」
僕がツバサに聞くと、頭を抑えふるふると首を振っていた。呼吸がなにかおかしく、極度の興奮状態になっていた。
「お、落ち着けってどうした? 大丈夫か?」
僕が心配して近寄ろうとすると、ツバサは持っていた銃の銃口をもう片方の手に向けた。
「はっ?」
――スススッ! チリンチリンチリン。
僕は目を疑った、ツバサが自分の手に向けて銃を撃った。ただそれ以上に驚いたのは、ツバサの手のひらの前で銃弾がパラパラと落ちたのだ。
「「「えぇ!?」」」
僕、マナチ、ハルミンは驚いた。
「ちょっとツバサ何やってるんですか!」
「ジュリ、これはすごいわ! 味方同士なら攻撃が無効化されるわ!」
「そうじゃなくて、どこにそんな事が書いてあっ……もしかして今の注意書きがパーティメンバーの所に書かれていたんですか!?」
「ええ、つまり…」
「これはゲームを元にした世界に異世界転移されてる可能性がある!」
二人は興奮していた。ゲームを元にした世界に異世界転移だとしても、死んだ人は生き返るのか? それとも何かクリアしたら元の世界に戻れるとかそういうのがあるってことなのか? ゲームなら――
「クリア条件やゲームの仕様がわかれば、もしかしたらムッツーやタッツーが生き返るかもしれないですし、あとは、そう元の世界に戻るために何か必ずあるはず」
「あのクライドという人がキーマンの可能性が高いですね」
二人が興奮して話しはじめたのをハルミンとマナチが少しばかり引いていた。
「ふ、二人ともとりあえずコントロールセンターに向かおう、話の続きは地上に出てからにしないか? ここにはあまり長居をしたくないだろ?」
僕が二人を落ち着かせるように言うと、ぴたりと会話は止まり申し訳なさそうに頭を下げた。
「「すみません」」
見事にハモっていた。
「とりあえず、先を向かおう。お互いの攻撃が無効化されているけれど、今までと変わらず気を付けて進もう」
「「「はい」」」
+
僕たちはコントロールセンターに進んでいくと、明らかに人に擬態しているミミックがいた。人の形は保っているものの、うねうねと触手が無数に出ており、怖気と気持ち悪さがあった。
「撃っていいよね」
ハルミンの目が座っていた。
「あ、ああ」
二丁の銃による照射がミミックをひるませ、肉片にさせるだけだと思った。しかし、攻撃された事によりこちらに気づいたのか向かってきた。
「んなっ!?」
「ひぃ!」
「いやぁぁぁ」
みんなそれぞれ悲鳴を上げ銃を構え照射し、僕たちの所に到達する前に肉片と化した。遠目でもわかるくらいバラバラになっていたが、まだもぞもぞと肉片が動いていて、非情に気味が悪かった。
――ピンッ
何か引き抜くような音がした。
「ふんっ!」
ハルミンが銃をいつの間にか消して、円筒の何かを投げていた。僕はその円筒の何かに見覚えがあり、ネズミの駆除の時にアカネが大量に投げていた致死性の毒ガス武器だ。さっきジュリが話をしていたのをハルミンが使ったのだった。
――カンッカカンッ……プシュー!
薄い白色の煙が散布され、それに触れた肉片がビクビクと痙攣しだすと動かなくなっていった。数秒、数分経ったのか白い煙が無くなり、肉片はどれも砂のようになっていた。
「ハ、ハルミン」
「よしっ」
ガッツポーズをしているハルミンにマナチがハルミンの肩を揺さぶっていた。ツバサとジュリはぽけーっとしていた。僕ももうこれでいいや、と深く考えるのはやめた。正直、ミミックがひるまずに襲ってこようとしたのは怖かったからだ。とどめを刺せるのならよしとしようと思った。
通路の奥を見るとさっきまでミミックが居た場所に新たな人影があった。
「お、おいあれ……」
僕は銃を構え、通路の先にいる人影をみんなに知らせた。異常だとわかり、ハルミンは銃を召喚し、構えた。それぞれ銃を構えたが、通路の先にいる人影がじょじょに増えていった。
「こ、これヤバくないか?」
僕がそう言うと、人影だったものが集まり一つの大きな塊へと変わっていった。通路を塞ぐくらいの大きさに代わり、段々とこちらに近づいていくようなうねりをしていた。
「へ、変な事いうから現実になるんですよ。フラグですよフラ、フラグ」
「ど、どど、どうした声が震えてるぞ」
ツバサがフラグとかいうので言い返してみたが僕の声も震えた。正直クソ怖い。
――ピンッ
「ふんっ!」
――ピンッ
「ふんっ!」
二回とも義腕と義手になったハルミンが投げた円筒の致死性の毒ガス武器はミミックに直撃した。当たった時の音がゴッ! という鈍い音がし、あと白い煙が出ると通路を塞ぎながら迫ってきたミミックは痙攣し、その場で砂のようになっていった。
「バルサンッ!」
ハルミンがガッツポーズをしながら叫び、さっきまでの恐怖を消し去ってくれた。
ふと、瓦礫の山で爆発物を投げ、火の近くにいるのに無傷だった二人組を思い出した。あれがその効果として活用していたのだとしたら、ジュリが読み上げた使用者とパーティメンバーは効果無効というのは、とんでもない強さを発揮する武器だ。
「フレンドリーファイアがされないように設定がある、ってこと?」
ツバサが驚愕していた。確か、前にただの異世界転移かゲームを元にした世界に異世界転移なのか話した時に言っていた言葉だ。つまり、この世界はゲームを元にしている異世界なのか?
「ま、待って、ちょっと待って……え、えっ!?」
ツバサが何を見つけたのかアビリティ・スキルの何かを見て狼狽していた。
「何を見つけたんだ?」
僕がツバサに聞くと、頭を抑えふるふると首を振っていた。呼吸がなにかおかしく、極度の興奮状態になっていた。
「お、落ち着けってどうした? 大丈夫か?」
僕が心配して近寄ろうとすると、ツバサは持っていた銃の銃口をもう片方の手に向けた。
「はっ?」
――スススッ! チリンチリンチリン。
僕は目を疑った、ツバサが自分の手に向けて銃を撃った。ただそれ以上に驚いたのは、ツバサの手のひらの前で銃弾がパラパラと落ちたのだ。
「「「えぇ!?」」」
僕、マナチ、ハルミンは驚いた。
「ちょっとツバサ何やってるんですか!」
「ジュリ、これはすごいわ! 味方同士なら攻撃が無効化されるわ!」
「そうじゃなくて、どこにそんな事が書いてあっ……もしかして今の注意書きがパーティメンバーの所に書かれていたんですか!?」
「ええ、つまり…」
「これはゲームを元にした世界に異世界転移されてる可能性がある!」
二人は興奮していた。ゲームを元にした世界に異世界転移だとしても、死んだ人は生き返るのか? それとも何かクリアしたら元の世界に戻れるとかそういうのがあるってことなのか? ゲームなら――
「クリア条件やゲームの仕様がわかれば、もしかしたらムッツーやタッツーが生き返るかもしれないですし、あとは、そう元の世界に戻るために何か必ずあるはず」
「あのクライドという人がキーマンの可能性が高いですね」
二人が興奮して話しはじめたのをハルミンとマナチが少しばかり引いていた。
「ふ、二人ともとりあえずコントロールセンターに向かおう、話の続きは地上に出てからにしないか? ここにはあまり長居をしたくないだろ?」
僕が二人を落ち着かせるように言うと、ぴたりと会話は止まり申し訳なさそうに頭を下げた。
「「すみません」」
見事にハモっていた。
「とりあえず、先を向かおう。お互いの攻撃が無効化されているけれど、今までと変わらず気を付けて進もう」
「「「はい」」」
+
僕たちはコントロールセンターに進んでいくと、明らかに人に擬態しているミミックがいた。人の形は保っているものの、うねうねと触手が無数に出ており、怖気と気持ち悪さがあった。
「撃っていいよね」
ハルミンの目が座っていた。
「あ、ああ」
二丁の銃による照射がミミックをひるませ、肉片にさせるだけだと思った。しかし、攻撃された事によりこちらに気づいたのか向かってきた。
「んなっ!?」
「ひぃ!」
「いやぁぁぁ」
みんなそれぞれ悲鳴を上げ銃を構え照射し、僕たちの所に到達する前に肉片と化した。遠目でもわかるくらいバラバラになっていたが、まだもぞもぞと肉片が動いていて、非情に気味が悪かった。
――ピンッ
何か引き抜くような音がした。
「ふんっ!」
ハルミンが銃をいつの間にか消して、円筒の何かを投げていた。僕はその円筒の何かに見覚えがあり、ネズミの駆除の時にアカネが大量に投げていた致死性の毒ガス武器だ。さっきジュリが話をしていたのをハルミンが使ったのだった。
――カンッカカンッ……プシュー!
薄い白色の煙が散布され、それに触れた肉片がビクビクと痙攣しだすと動かなくなっていった。数秒、数分経ったのか白い煙が無くなり、肉片はどれも砂のようになっていた。
「ハ、ハルミン」
「よしっ」
ガッツポーズをしているハルミンにマナチがハルミンの肩を揺さぶっていた。ツバサとジュリはぽけーっとしていた。僕ももうこれでいいや、と深く考えるのはやめた。正直、ミミックがひるまずに襲ってこようとしたのは怖かったからだ。とどめを刺せるのならよしとしようと思った。
通路の奥を見るとさっきまでミミックが居た場所に新たな人影があった。
「お、おいあれ……」
僕は銃を構え、通路の先にいる人影をみんなに知らせた。異常だとわかり、ハルミンは銃を召喚し、構えた。それぞれ銃を構えたが、通路の先にいる人影がじょじょに増えていった。
「こ、これヤバくないか?」
僕がそう言うと、人影だったものが集まり一つの大きな塊へと変わっていった。通路を塞ぐくらいの大きさに代わり、段々とこちらに近づいていくようなうねりをしていた。
「へ、変な事いうから現実になるんですよ。フラグですよフラ、フラグ」
「ど、どど、どうした声が震えてるぞ」
ツバサがフラグとかいうので言い返してみたが僕の声も震えた。正直クソ怖い。
――ピンッ
「ふんっ!」
――ピンッ
「ふんっ!」
二回とも義腕と義手になったハルミンが投げた円筒の致死性の毒ガス武器はミミックに直撃した。当たった時の音がゴッ! という鈍い音がし、あと白い煙が出ると通路を塞ぎながら迫ってきたミミックは痙攣し、その場で砂のようになっていった。
「バルサンッ!」
ハルミンがガッツポーズをしながら叫び、さっきまでの恐怖を消し去ってくれた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
可不可 §ボーダーライン・シンドローム§ サイコサスペンス
竹比古
ライト文芸
先生、ぼくたちは幸福だったのに、異常だったのですか?
周りの身勝手な人たちは、不幸そうなのに正常だったのですか?
世の人々から、可ではなく、不可というレッテルを貼られ、まるで鴉(カフカ)を見るように厭な顔をされる精神病患者たち。
USA帰りの青年精神科医と、その秘書が、総合病院の一角たる精神科病棟で、或いは行く先々で、ボーダーラインの向こう側にいる人々と出会う。
可ではなく、不可をつけられた人たちとどう向き合い、接するのか。
何か事情がありそうな少年秘書と、青年精神科医の一話読みきりシリーズ。
大雑把な春名と、小舅のような仁の前に現れる、今日の患者は……。
※以前、他サイトで掲載していたものです。
※一部、性描写(必要描写です)があります。苦手な方はお気を付けください。
※表紙画:フリーイラストの加工です。
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
私のスキルが、クエストってどういうこと?
地蔵
ファンタジー
スキルが全ての世界。
十歳になると、成人の儀を受けて、神から『スキル』を授かる。
スキルによって、今後の人生が決まる。
当然、素晴らしい『当たりスキル』もあれば『外れスキル』と呼ばれるものもある。
聞いた事の無いスキル『クエスト』を授かったリゼは、親からも見捨てられて一人で生きていく事に……。
少し人間不信気味の女の子が、スキルに振り回されながら生きて行く物語。
一話辺りは約三千文字前後にしております。
更新は、毎週日曜日の十六時予定です。
『小説家になろう』『カクヨム』でも掲載しております。
こじらせ中年の深夜の異世界転生飯テロ探訪記
陰陽@2作品コミカライズと書籍化準備中
ファンタジー
※コミカライズ進行中。
なんか気が付いたら目の前に神様がいた。
異世界に転生させる相手を間違えたらしい。
元の世界に戻れないと謝罪を受けたが、
代わりにどんなものでも手に入るスキルと、
どんな食材かを理解するスキルと、
まだ見ぬレシピを知るスキルの、
3つの力を付与された。
うまい飯さえ食えればそれでいい。
なんか世界の危機らしいが、俺には関係ない。
今日も楽しくぼっち飯。
──の筈が、飯にありつこうとする奴らが集まってきて、なんだか騒がしい。
やかましい。
食わせてやるから、黙って俺の飯を食え。
貰った体が、どうやら勇者様に与える筈のものだったことが分かってきたが、俺には戦う能力なんてないし、そのつもりもない。
前世同様、野菜を育てて、たまに狩猟をして、釣りを楽しんでのんびり暮らす。
最近は精霊の子株を我が子として、親バカ育児奮闘中。
更新頻度……深夜に突然うまいものが食いたくなったら。
勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~
霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。
ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。
これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である
【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのにいつのまにか溺愛ルートに入りそうです⁉︎
sutera
恋愛
仕事に疲れたボロボロアラサーOLの悠里。
遠くへ行きたい…ふと、現実逃避を口にしてみたら
自分の世界を建て直す人間を探していたという女神に
スカウトされて異世界召喚に応じる。
その結果、なぜか10歳の少女姿にされた上に
第二王子や護衛騎士、魔導士団長など周囲の人達に
かまい倒されながら癒し子任務をする話。
時々ほんのり色っぽい要素が入るのを目指してます。
初投稿、ゆるふわファンタジー設定で気のむくまま更新。
2023年8月、本編完結しました!以降はゆるゆると番外編を更新していきますのでよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる