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アーネルトはツバサから質問されるだろう事をすべてわかっているかのような、不思議な包容力を醸し出していた。これができる大人なのかと感じ、いったい何歳なんだろうと思った。学生の自分にとって、二十代以上はみんな大人に見える。三十代となればおっさんとかおばさんだ。四十代はもういい歳の人っていうイメージだ。
「あのゾンビっていったいなんですか?」
彼女がアーネルトに対し、ゾンビとは何かと聞いた。ゾンビについてツバサとジュリは散々話しをし、どういう存在か知っている。なのに彼女が聞いたのはなぜだろうと僕は思った。
「ちょうど、一か月前くらいかな、突然住民たちが変異していった存在なんだ。最初は病気だと思ったのだけど、どうにも肉体の細胞そのものが変異し、別の何かになるものでね。ゾンビになった人を調べてみると脳が動かしているが、脳は活動を停止していて、細胞も活動していない。さらに噛まれたり、傷をつけられたらゾンビになってしまうけれど、それは個人差が存在する。個体差によるけれど、ゾンビの視覚内に人がいると近寄ってきて襲ってくる。そういった存在という認識かな」
アーネルトがいった言葉を僕たちは聞き、概ね知っている内容だった。ただ現れ始めた時期は知らなかったので、それ以前にここに多くの住人が存在していたのかなと思うとゾッとした。
「さて、それじゃ、こちらからも質問させてくれるかな、君たちはどこからきた?」
アーネルトが僕たちに問いかけた。ムッツーが事前に打ち合わせた通りに答えた。
「この街から離れた場所から歩いてきた」
「歩いて、か……それって遠くの赤くなっている空の方から?」
僕たちはこの街に人が住んでいるなら、今もなお空が赤くなっているほど燃えている廃墟の街や瓦礫の山方面が気になるだろうと話をしていた。途中で気になって確かめに行った人とすれ違わないのは、何かいけない理由があったのかと推測していた。この街がゾンビタウンと化していたならと僕は納得していた。
「ああ、そうだ」
「なるほどね、ありがとう。他に何か聞きたいことはあるかい?」
ムッツーはツバサの方を見ると、もじもじとしながらも最後に一つだけと言った。
「あなた方はどこからきましたか?」
それはアーネルトが僕たちに聞いた言葉をそっくり返したものだった。アーネルトは眉を八の字にして、少し困った表情を浮かべながら答えた。
「半年くらい前かな、この世界に突然街ごと転移させられたんだ。この世界、というのもあまりよくわかってないけど。君たちも同じように飛ばされてきた人か、それともこの世界の人か、どちらにしても争うつもりはないよ。シュシャからゾンビを倒してくれたって報告も聞いてるしね。その節はありがとう」
「い、いえ」
ツバサがぎこちなく頷いた。僕は生存確率を確かめると特に変動はしてなかったので、気に留めなかった。
「さて、仕事があるから今日はこのあたりでいいかな? まだ何か気になる事があればいつでも来てくださいな」
そういってアーネルトは席から立ち上がった。彼は僕たちをどうこうするつもりはないらしく、入口まで案内してくれた。
「あ、そうだ。シュシャから聞いてたけど、ショッピングモールにある物は好きにしても大丈夫だから、こんな状況だしね。強盗とかしない限り、問題ないよ~」
「あ、ありがとうございます」
ムッツーが頭を下げ、僕たちもそれに習って頭を下げた。
バリケードがある敷地まで案内され、そこでアーネルトと別れた。
「それじゃ、ゾンビには気を付けてね。大丈夫だと思うけれど~」
そう言って、手をひらひらと振った。
特に拘束されたり、何か根掘り葉掘り質問されたりするわけでもなかった。警戒していたので少し肩透かしした感じがあり、僕たちは病院から離れたあらため息をつくように胸をなでおろした。
「ツバサ、何かわかったのか?」
「ムッツー、とりあえず落ち着いて、拠点に戻ってから話しましょう」
タッツーにたしなめられたムッツーは頷いた。
「そ、そうだな。すまない。とりあえず戻ろうか」
僕たちはショッピングモールの拠点へ警戒しながら戻ることにした。僕はアーネルトが言っていた事を思い出し、彼らも異世界転移させられた事が気になっていた。街ごと異世界転移させられて、今この誰もいないような街になっている事が不気味に感じた。建物の多くは鉄格子みたいなシャッターで閉じられていて、中に入れない。人の気配もなく、バリケードがある建物は人の気配がするものの、街の住人同士の交流はどうなっているのか、まだ街ごとと言ってもどうして水や電気が使えている状態なのか、わからない事だらけだった。瓦礫の山、廃墟の街も異世界転移によって滅んだ街なのだろうか、と思ったりした。だけどあそこはなぜ水や電気がなかったのだろうか、その違いはなんなのだろうかと答えは出なかった。
あたりを警戒しながらとはいえ、雑念のように頭の中でなぜ、どうして、という疑問が湧いてきてモヤモヤとしていた。そういえば、この世界に来てから太陽を見ていないと空の曇り空を見て思った。ずっと雲で覆われていて、気分もどんよりとしてきた。
ふと、空を見ていた先の建物の屋上で煙が上がっていて、誰かしら人が住んでいるだと実感した。建物自体は他の建物と同じようなタイプで、十階くらいのビジネス用の建物に見えた。
ショッピングモールの方へ向かう途中の建物からの煙だった為、僕はその建物が気になり見てみると鉄格子のようなシャッターがかかっておらず、バリケードもない建物に驚いた。この違和感に僕は周りにどういったものだろうと言葉としてどう伝えればいいのか、迷った。だが、気づいたことは共有しておかないと後悔する事が重なっていたので、いったん伝える事にした。
「みんな、あそこの建物は他のところと違ってバリケードもシャッターもかかっていない。さっき屋上に煙が上がっていたから何かおかしい、と感じてる。っていうのをなんていうか共有しておきたい」
僕が指をさした方向の建物をみんな見てくれた。
「確かに何かおかしい、感じですね」
ジュリも疑問に感じてくれた。
「いったん、今日は拠点に戻って明日にでも確認しよう」
ムッツーは言うと、その建物の事はおいておき、拠点に向かう事になった。僕はあのアーネルト以外からこの街の情報が聞ければ何かわかるのかもしれないと思った。あの武装した病院は本当に病院なのか、という疑問もあったからだ。
「あのゾンビっていったいなんですか?」
彼女がアーネルトに対し、ゾンビとは何かと聞いた。ゾンビについてツバサとジュリは散々話しをし、どういう存在か知っている。なのに彼女が聞いたのはなぜだろうと僕は思った。
「ちょうど、一か月前くらいかな、突然住民たちが変異していった存在なんだ。最初は病気だと思ったのだけど、どうにも肉体の細胞そのものが変異し、別の何かになるものでね。ゾンビになった人を調べてみると脳が動かしているが、脳は活動を停止していて、細胞も活動していない。さらに噛まれたり、傷をつけられたらゾンビになってしまうけれど、それは個人差が存在する。個体差によるけれど、ゾンビの視覚内に人がいると近寄ってきて襲ってくる。そういった存在という認識かな」
アーネルトがいった言葉を僕たちは聞き、概ね知っている内容だった。ただ現れ始めた時期は知らなかったので、それ以前にここに多くの住人が存在していたのかなと思うとゾッとした。
「さて、それじゃ、こちらからも質問させてくれるかな、君たちはどこからきた?」
アーネルトが僕たちに問いかけた。ムッツーが事前に打ち合わせた通りに答えた。
「この街から離れた場所から歩いてきた」
「歩いて、か……それって遠くの赤くなっている空の方から?」
僕たちはこの街に人が住んでいるなら、今もなお空が赤くなっているほど燃えている廃墟の街や瓦礫の山方面が気になるだろうと話をしていた。途中で気になって確かめに行った人とすれ違わないのは、何かいけない理由があったのかと推測していた。この街がゾンビタウンと化していたならと僕は納得していた。
「ああ、そうだ」
「なるほどね、ありがとう。他に何か聞きたいことはあるかい?」
ムッツーはツバサの方を見ると、もじもじとしながらも最後に一つだけと言った。
「あなた方はどこからきましたか?」
それはアーネルトが僕たちに聞いた言葉をそっくり返したものだった。アーネルトは眉を八の字にして、少し困った表情を浮かべながら答えた。
「半年くらい前かな、この世界に突然街ごと転移させられたんだ。この世界、というのもあまりよくわかってないけど。君たちも同じように飛ばされてきた人か、それともこの世界の人か、どちらにしても争うつもりはないよ。シュシャからゾンビを倒してくれたって報告も聞いてるしね。その節はありがとう」
「い、いえ」
ツバサがぎこちなく頷いた。僕は生存確率を確かめると特に変動はしてなかったので、気に留めなかった。
「さて、仕事があるから今日はこのあたりでいいかな? まだ何か気になる事があればいつでも来てくださいな」
そういってアーネルトは席から立ち上がった。彼は僕たちをどうこうするつもりはないらしく、入口まで案内してくれた。
「あ、そうだ。シュシャから聞いてたけど、ショッピングモールにある物は好きにしても大丈夫だから、こんな状況だしね。強盗とかしない限り、問題ないよ~」
「あ、ありがとうございます」
ムッツーが頭を下げ、僕たちもそれに習って頭を下げた。
バリケードがある敷地まで案内され、そこでアーネルトと別れた。
「それじゃ、ゾンビには気を付けてね。大丈夫だと思うけれど~」
そう言って、手をひらひらと振った。
特に拘束されたり、何か根掘り葉掘り質問されたりするわけでもなかった。警戒していたので少し肩透かしした感じがあり、僕たちは病院から離れたあらため息をつくように胸をなでおろした。
「ツバサ、何かわかったのか?」
「ムッツー、とりあえず落ち着いて、拠点に戻ってから話しましょう」
タッツーにたしなめられたムッツーは頷いた。
「そ、そうだな。すまない。とりあえず戻ろうか」
僕たちはショッピングモールの拠点へ警戒しながら戻ることにした。僕はアーネルトが言っていた事を思い出し、彼らも異世界転移させられた事が気になっていた。街ごと異世界転移させられて、今この誰もいないような街になっている事が不気味に感じた。建物の多くは鉄格子みたいなシャッターで閉じられていて、中に入れない。人の気配もなく、バリケードがある建物は人の気配がするものの、街の住人同士の交流はどうなっているのか、まだ街ごとと言ってもどうして水や電気が使えている状態なのか、わからない事だらけだった。瓦礫の山、廃墟の街も異世界転移によって滅んだ街なのだろうか、と思ったりした。だけどあそこはなぜ水や電気がなかったのだろうか、その違いはなんなのだろうかと答えは出なかった。
あたりを警戒しながらとはいえ、雑念のように頭の中でなぜ、どうして、という疑問が湧いてきてモヤモヤとしていた。そういえば、この世界に来てから太陽を見ていないと空の曇り空を見て思った。ずっと雲で覆われていて、気分もどんよりとしてきた。
ふと、空を見ていた先の建物の屋上で煙が上がっていて、誰かしら人が住んでいるだと実感した。建物自体は他の建物と同じようなタイプで、十階くらいのビジネス用の建物に見えた。
ショッピングモールの方へ向かう途中の建物からの煙だった為、僕はその建物が気になり見てみると鉄格子のようなシャッターがかかっておらず、バリケードもない建物に驚いた。この違和感に僕は周りにどういったものだろうと言葉としてどう伝えればいいのか、迷った。だが、気づいたことは共有しておかないと後悔する事が重なっていたので、いったん伝える事にした。
「みんな、あそこの建物は他のところと違ってバリケードもシャッターもかかっていない。さっき屋上に煙が上がっていたから何かおかしい、と感じてる。っていうのをなんていうか共有しておきたい」
僕が指をさした方向の建物をみんな見てくれた。
「確かに何かおかしい、感じですね」
ジュリも疑問に感じてくれた。
「いったん、今日は拠点に戻って明日にでも確認しよう」
ムッツーは言うと、その建物の事はおいておき、拠点に向かう事になった。僕はあのアーネルト以外からこの街の情報が聞ければ何かわかるのかもしれないと思った。あの武装した病院は本当に病院なのか、という疑問もあったからだ。
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