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「万事休す、か?」
死体を積み重ね、徐々に範囲を狭めてくるベェスチティに対して、僕たちは機械的に動いているベェスチティを撃ち続け倒していった。近寄られたら終わる。
「いったい何体いるんだろうね、もう結構倒したよ……」
ジュリが愚痴る。
そうなのだ、結構な数を倒しているはずなのに、一向にベェスチティの勢いが変わらないのだ。
「ちょ……とや、休んでもいい?」
タッツーは限界が近そうだった。飲まずのまま背負い続けていたからだ。
「みんな、いったんここでタッツーを休憩させ、僕たちは引き続きベェスチティを倒し、可能な限り近づけさせないようにしよう」
そのあと、どうすればいい。どうしたらいいんだと僕は自問自答した。
「わかった」
「了解」
と各自反応、頷いたり声で反応してくれたりした。
タッツーはハルミンをテント内に敷くクッション材を召喚した上に置き、水のペットボトルを召喚して口を潤していた。全身から湯気が出ているかのような汗のかき方をしており、肩で息をしていた。
遠くでは爆発音が聞こえ、火も遠くで燃え盛っているのが見えた。また何もかも火で覆いつくされるのかと思ったりした。倒したベェスチティを見て、奇妙だと感じ、何かおかしいと気づいた。倒したと思ったベェスチティから赤い汁が止まっており、傷口も塞がっていたのだ。
「まさかっ」
僕はそれが違うことを願った。だが、それが現実だとクリスベクターカスタムブレイクスルーを照射し続けて発覚した。倒したと思ったベェスチティたちは死んでいなく、ただ横たわっていただけだった。肉体の一部が欠損しただけで、生きていたのだった。
スススッスススッスススッ
ただ一体に銃弾を撃ち肉片にした先に、ベェスチティだったものはドロドロに溶けて赤い水たまりになったのだ。
「ムッツー、マナチ、ツバサ、ジュリ、見えているベェスチティはすべて生きている! 粉々にするほど撃たないと死なない!」
生存確率が31%になった。
僕はなぜ30%のままだったのか、よく考えていなかった。僕がベェスチティがどうやったら死ぬのか伝えた事で周りを包囲していたベェスチティが一斉に動きだした。身体が、頭部が、どこか欠損していようとドロドロに溶けていないベェスチティは動き始めた。
「嘘でしょう!」
ツバサが悲鳴に似た声を上げた。
「わ、私の銃じゃ……ッ!」
ジュリが悲痛な声を上げた。
「舐めるな、舐めるなよ‥‥舐めるなよ」
ムッツーが吠える。
「僕はジュリの方をフォローする! ジュリ、弾は他にあったりするか、僕が時間を稼いでる間に何かっ、何かアビリティ・スキルを探してくれ、きっと何かあるはずだ」
僕は思いついたことを口にしながら、迫りくるベェスチティに向けて銃弾を浴びせた。一体を肉片に変えるのに、想像以上に時間がかかるがやるしかない。
「む、むりだよ……嫌だよぉぉぉ」
マナチが銃を撃ちながら迫りくる恐怖に弱気になっていた。くそ、もっと早く気づけばよかったと僕は後悔し、焦った。
「ジュリ、何か、何かあったか?」
「ううっ、ううぅ……」
ジュリは唸っていた。それを見て、多分、彼女は見つくしていてこれ以上何か見つからないのかもしれないと僕は頭をよぎっていた。
「あ、諦めないで……ハァハァ……」
タッツーが肩で息をし、座りながらも銃を構え、ジュリを励ました。
タタタタタタッタタタタタタッ
「私は諦めないわ、まだ戦えるもの、ハァハァ」
タッツーはおぼつかないが銃を撃ち、ベェスチティに対して攻撃をし続けた。
何分経ったのか、それはとても長く感じ、もう何時間も戦っているような感覚だった。迫りくるベェスチティによって次第に包囲が狭まっていっていた。倒していたと思っていたベェスチティがまさか死んだ真似をしていたのだ。
――仲間になろう。
ここでさらにアカネの声で僕たちを揺さぶってきた。
――痛い、痛いよ。やめて、やめて。
ポキポキと音を鳴らしながら、こちらにアカネの声を発しながら迫り、腕や足がないベェスチティは這うように、どこか欠損してるベェスチティはある腕と足で動き、覆いつくされるものだと考えなくてもわかった。
それでも諦めず僕たちは戦った。
視界の隅にある生存確率が35%になっていた。さっきの状況から悪くなっていってるのに、変わらず35%だった。僕はただ何かに縋るのではなく、この状況だろうと何か打開できるのだと数字が教えてくれた。
ベェスチティを一定の肉片にするとドロドロに溶けていくのを見て、次のベェスチティに標準を合わせ同じように肉片にしていった。ベェスチティはどれも狙われるとわかると圧をかけるように腕や足を広げ迫ってきて、僕はその足を止めるように足や腕、頭部などを肉片にするように撃っていた。
それはムッツー、マナチ、ツバサ、タッツーもだった。
もしかして、殺し方が間違ってるのか、肉片にするのではなく……弱点があるのかもしれない。そう僕は考え、今までとは逆に撃つ順番を変えた。
スススッスススッスススッ
するとベェスチティは途端にドロドロに溶けていった。
「下腹部の付け根、そのあたりが弱点だ!」
僕は叫び、目に入るベェスチティに向けて、クリスベクターカスタムブレイクスルーを撃ち、本当の死体に変えてやった。
ただ、それでも僕たちに迫るベェスチティに対して追いついていなかった。
生存確率が40%――と視界の隅に表示されていた。
死体を積み重ね、徐々に範囲を狭めてくるベェスチティに対して、僕たちは機械的に動いているベェスチティを撃ち続け倒していった。近寄られたら終わる。
「いったい何体いるんだろうね、もう結構倒したよ……」
ジュリが愚痴る。
そうなのだ、結構な数を倒しているはずなのに、一向にベェスチティの勢いが変わらないのだ。
「ちょ……とや、休んでもいい?」
タッツーは限界が近そうだった。飲まずのまま背負い続けていたからだ。
「みんな、いったんここでタッツーを休憩させ、僕たちは引き続きベェスチティを倒し、可能な限り近づけさせないようにしよう」
そのあと、どうすればいい。どうしたらいいんだと僕は自問自答した。
「わかった」
「了解」
と各自反応、頷いたり声で反応してくれたりした。
タッツーはハルミンをテント内に敷くクッション材を召喚した上に置き、水のペットボトルを召喚して口を潤していた。全身から湯気が出ているかのような汗のかき方をしており、肩で息をしていた。
遠くでは爆発音が聞こえ、火も遠くで燃え盛っているのが見えた。また何もかも火で覆いつくされるのかと思ったりした。倒したベェスチティを見て、奇妙だと感じ、何かおかしいと気づいた。倒したと思ったベェスチティから赤い汁が止まっており、傷口も塞がっていたのだ。
「まさかっ」
僕はそれが違うことを願った。だが、それが現実だとクリスベクターカスタムブレイクスルーを照射し続けて発覚した。倒したと思ったベェスチティたちは死んでいなく、ただ横たわっていただけだった。肉体の一部が欠損しただけで、生きていたのだった。
スススッスススッスススッ
ただ一体に銃弾を撃ち肉片にした先に、ベェスチティだったものはドロドロに溶けて赤い水たまりになったのだ。
「ムッツー、マナチ、ツバサ、ジュリ、見えているベェスチティはすべて生きている! 粉々にするほど撃たないと死なない!」
生存確率が31%になった。
僕はなぜ30%のままだったのか、よく考えていなかった。僕がベェスチティがどうやったら死ぬのか伝えた事で周りを包囲していたベェスチティが一斉に動きだした。身体が、頭部が、どこか欠損していようとドロドロに溶けていないベェスチティは動き始めた。
「嘘でしょう!」
ツバサが悲鳴に似た声を上げた。
「わ、私の銃じゃ……ッ!」
ジュリが悲痛な声を上げた。
「舐めるな、舐めるなよ‥‥舐めるなよ」
ムッツーが吠える。
「僕はジュリの方をフォローする! ジュリ、弾は他にあったりするか、僕が時間を稼いでる間に何かっ、何かアビリティ・スキルを探してくれ、きっと何かあるはずだ」
僕は思いついたことを口にしながら、迫りくるベェスチティに向けて銃弾を浴びせた。一体を肉片に変えるのに、想像以上に時間がかかるがやるしかない。
「む、むりだよ……嫌だよぉぉぉ」
マナチが銃を撃ちながら迫りくる恐怖に弱気になっていた。くそ、もっと早く気づけばよかったと僕は後悔し、焦った。
「ジュリ、何か、何かあったか?」
「ううっ、ううぅ……」
ジュリは唸っていた。それを見て、多分、彼女は見つくしていてこれ以上何か見つからないのかもしれないと僕は頭をよぎっていた。
「あ、諦めないで……ハァハァ……」
タッツーが肩で息をし、座りながらも銃を構え、ジュリを励ました。
タタタタタタッタタタタタタッ
「私は諦めないわ、まだ戦えるもの、ハァハァ」
タッツーはおぼつかないが銃を撃ち、ベェスチティに対して攻撃をし続けた。
何分経ったのか、それはとても長く感じ、もう何時間も戦っているような感覚だった。迫りくるベェスチティによって次第に包囲が狭まっていっていた。倒していたと思っていたベェスチティがまさか死んだ真似をしていたのだ。
――仲間になろう。
ここでさらにアカネの声で僕たちを揺さぶってきた。
――痛い、痛いよ。やめて、やめて。
ポキポキと音を鳴らしながら、こちらにアカネの声を発しながら迫り、腕や足がないベェスチティは這うように、どこか欠損してるベェスチティはある腕と足で動き、覆いつくされるものだと考えなくてもわかった。
それでも諦めず僕たちは戦った。
視界の隅にある生存確率が35%になっていた。さっきの状況から悪くなっていってるのに、変わらず35%だった。僕はただ何かに縋るのではなく、この状況だろうと何か打開できるのだと数字が教えてくれた。
ベェスチティを一定の肉片にするとドロドロに溶けていくのを見て、次のベェスチティに標準を合わせ同じように肉片にしていった。ベェスチティはどれも狙われるとわかると圧をかけるように腕や足を広げ迫ってきて、僕はその足を止めるように足や腕、頭部などを肉片にするように撃っていた。
それはムッツー、マナチ、ツバサ、タッツーもだった。
もしかして、殺し方が間違ってるのか、肉片にするのではなく……弱点があるのかもしれない。そう僕は考え、今までとは逆に撃つ順番を変えた。
スススッスススッスススッ
するとベェスチティは途端にドロドロに溶けていった。
「下腹部の付け根、そのあたりが弱点だ!」
僕は叫び、目に入るベェスチティに向けて、クリスベクターカスタムブレイクスルーを撃ち、本当の死体に変えてやった。
ただ、それでも僕たちに迫るベェスチティに対して追いついていなかった。
生存確率が40%――と視界の隅に表示されていた。
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