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その淡い光が何を意味するのか、僕にはわからなかった。わからなかったが、アカネが死んだ事だけはわかった。僕はそのテキストと臓器の塊を交互に見て、今起きたことを信じられずにいた。
「うっ……くっ……痛ッ、くそ」
「いたっ……なにこれ?」
ムッツーとタッツーが頭を抱え、その場でしゃがみこんで倒れた。
「二人とも、大丈夫か? 何が起きているかわかるか?」
僕は二人に駆け寄り、もしかしたら洗脳が解けたのかもしれないと思った。さっきの光が何なのかわからなかったが、僕の視界端に表示されている生存確率が上昇した事によって思えた。
アカネが取り込まれる前は、5%まで下がり、取り込まれて淡い光りがアーミーナイフに入った後では30%まで上がったからだ。
僕は三人に話しかけた。多分僕と同じく混乱してどうしていいかわからない状態だと思った。
「マナチ、ツバサ、ジュリ、早くここから出よう」
だから、いったんここから出ようと言った。
「でも、あれ……どうし――」
マナチがアカネの方を震えながら指さし、助けないといけないという考えになってるように感じた。だがアカネの眼は虚ろになっており、表情は変わらずだった。それはもうすでに死んでいるからと僕は言えなかった。
ボキボキャリと骨が折れるような音がすると臓器の塊の中に頭も取り込まれていったのだった。
ジュリは、軽量型小型自動散弾銃参禄式の銃口を臓器の塊に向けていた。手が震えており、撃ったとしてもどこかに当たるだろう。
「ジュリ、行こう。逃げよう……」
それを止めたのは、ツバサだった。ジュリは銃口を下げ、ツバサと一緒に建物の外へと向かった。
「マナチ、二人を頼む。僕はムッツーとタッツー、ハルミンを連れて外に出る」
僕は二人を立たせようとし、腕を掴もうとした。
「わ、わか――」
マナチが返事をすると外から悲鳴が聞こえた。
「きゃああああ!!」
マナチは悲鳴を聞き、すぐに外に駆け出していった。
外からハルミンの悲鳴が聞こえ、僕はいつの間に外に出たのかと思った。完全にハルミンの事を見失っていた。ムッツーとタッツーは頭を抱え、まだ本調子ではなくうまく立てないでいた。。
「ムッツー、歩けるか!?」
僕は彼女に鞭を打つように言った。ハルミンの悲鳴が気になっているのもあり、余裕がなかった。
「くっ、なんとか……」
彼女は歯を食いしばりながら立ち上がった。
「私とタッツーと外に出る。タッツー、行けるか?」
「行くわ、最悪の気分だわ」
タッツーは顔をゆがめながら立ち上がった。歯を食いしばらなかったのは彼女らしさなのだろうと思った。
「マナチ、ツバサ、ジュリがきっと何とかしてくれるはずだとは思うが、急いだほうが良さそうだ」
僕は二人に告げた。
「あ、ああ」
ムッツーが返事をし、頭痛がひどいのか、歯を食いしばりながら、ふらふらだがゆっくりと建物の外へ向かった。僕は苦しそうにしているタッツーに肩を貸し、一緒に建物の外に向かった。外に向かう途中、ふと僕は後ろを振り向いた。
「どうしたのヨーちゃん?」
そこにはさっきと変わらずの臓器の塊が鎮座しており、全身をぷるぷるさせていた。正面の口があったと思われる場所からは、赤い液体のようなものが漏れ出しており、それが何を意味するのか僕は察した。
僕はクリスベクターカスタムブレイクスルーの銃口を臓器の塊に向けた。
「ヨーちゃん……?」
タッツーが僕の名前を呼ぶが僕はそれに構ってられるほど、冷静じゃなかった。引き金を引こうにも、引き金は重く、僕は引くに引けず、銃口を下ろした。すでにアカネが死んでいて、アカネの姿が見えないのに撃てずにいた。
それが後になって後悔するかもしれないとし、撃つべきだったとわかってはいても、撃てなかった。
もう一度、銃口を向け引き金を引こうとした時に生存確率が90%になっていた。だけど僕は引き金を引けなかった。
銃口を下したら生存確率が低くなっていき、僕は見るのをやめて建物の外に向かった。外から銃声も聞こえておらず、誰か生き残っていてくれという思いが足を進めるたびに不安が掻き立てられていった。
「ごめん、ごめんね……ほんとに、ごめんなさい」
タッツーの言葉が僕の耳にかすかに入っていったが、それが何の謝罪なのか僕にはわからなかった。僕はその声から、彼女の胸が僕に当たっている事に気づき、こんな時に僕は本当に僕らしいなと少しだけ余裕を持つことができた。本当に持ちたいのはおっぱいだけどね。絶対に生き延びてやる。
建物の外に出るとムッツーが柱状の階段の前にいて、階段から降りようとしていなかった。すでに階段から降りているツバサとジュリは二人とも別々の方向を見ながら銃を構えていた。
ツバサはあたりをひっきりなしに見ており、ジュリは建物の下の方を見ていた。
ハルミンは柱状の階段の隙間に倒れ、マナチがハルミンを抱きかかえながら、銃を建物の下へ向けていた。
「ヨーちゃん、建物の下に……ベェスチティがいるらしい」
ムッツーは教えてくれた、僕はマナチの方を見ると柱状の階段が邪魔でおそらく撃てないのか、引き金をそもそも引けないのか、どちらかだろうと思った。ジュリは撃ちたくても柱の影に隠れているベェスチティがマナチとハルミンに重なるように隠れているから撃てないと思った。
僕はくそっと言葉に出そうになったが、歯を食いしばって言葉にはしなかった。
あたりを見渡すとベェスチティがゆっくりとだが、包囲してきていた。これはなかなか厄介だと思った。幸いにもベェスチティの動きは思ったよりも遅かった。
どうする? どうやって降りる? 僕が建物の下にいるベェスチティに向かって撃つか? いや当たるのか?
思考がうまくまとまらない中で、遠くで聞いたことがある爆発音がした。それが瓦礫の山で散々聞いた爆発音だった。爆発音が連鎖したあとに、遠くの建物から赤い火も現れた。
「うっ……くっ……痛ッ、くそ」
「いたっ……なにこれ?」
ムッツーとタッツーが頭を抱え、その場でしゃがみこんで倒れた。
「二人とも、大丈夫か? 何が起きているかわかるか?」
僕は二人に駆け寄り、もしかしたら洗脳が解けたのかもしれないと思った。さっきの光が何なのかわからなかったが、僕の視界端に表示されている生存確率が上昇した事によって思えた。
アカネが取り込まれる前は、5%まで下がり、取り込まれて淡い光りがアーミーナイフに入った後では30%まで上がったからだ。
僕は三人に話しかけた。多分僕と同じく混乱してどうしていいかわからない状態だと思った。
「マナチ、ツバサ、ジュリ、早くここから出よう」
だから、いったんここから出ようと言った。
「でも、あれ……どうし――」
マナチがアカネの方を震えながら指さし、助けないといけないという考えになってるように感じた。だがアカネの眼は虚ろになっており、表情は変わらずだった。それはもうすでに死んでいるからと僕は言えなかった。
ボキボキャリと骨が折れるような音がすると臓器の塊の中に頭も取り込まれていったのだった。
ジュリは、軽量型小型自動散弾銃参禄式の銃口を臓器の塊に向けていた。手が震えており、撃ったとしてもどこかに当たるだろう。
「ジュリ、行こう。逃げよう……」
それを止めたのは、ツバサだった。ジュリは銃口を下げ、ツバサと一緒に建物の外へと向かった。
「マナチ、二人を頼む。僕はムッツーとタッツー、ハルミンを連れて外に出る」
僕は二人を立たせようとし、腕を掴もうとした。
「わ、わか――」
マナチが返事をすると外から悲鳴が聞こえた。
「きゃああああ!!」
マナチは悲鳴を聞き、すぐに外に駆け出していった。
外からハルミンの悲鳴が聞こえ、僕はいつの間に外に出たのかと思った。完全にハルミンの事を見失っていた。ムッツーとタッツーは頭を抱え、まだ本調子ではなくうまく立てないでいた。。
「ムッツー、歩けるか!?」
僕は彼女に鞭を打つように言った。ハルミンの悲鳴が気になっているのもあり、余裕がなかった。
「くっ、なんとか……」
彼女は歯を食いしばりながら立ち上がった。
「私とタッツーと外に出る。タッツー、行けるか?」
「行くわ、最悪の気分だわ」
タッツーは顔をゆがめながら立ち上がった。歯を食いしばらなかったのは彼女らしさなのだろうと思った。
「マナチ、ツバサ、ジュリがきっと何とかしてくれるはずだとは思うが、急いだほうが良さそうだ」
僕は二人に告げた。
「あ、ああ」
ムッツーが返事をし、頭痛がひどいのか、歯を食いしばりながら、ふらふらだがゆっくりと建物の外へ向かった。僕は苦しそうにしているタッツーに肩を貸し、一緒に建物の外に向かった。外に向かう途中、ふと僕は後ろを振り向いた。
「どうしたのヨーちゃん?」
そこにはさっきと変わらずの臓器の塊が鎮座しており、全身をぷるぷるさせていた。正面の口があったと思われる場所からは、赤い液体のようなものが漏れ出しており、それが何を意味するのか僕は察した。
僕はクリスベクターカスタムブレイクスルーの銃口を臓器の塊に向けた。
「ヨーちゃん……?」
タッツーが僕の名前を呼ぶが僕はそれに構ってられるほど、冷静じゃなかった。引き金を引こうにも、引き金は重く、僕は引くに引けず、銃口を下ろした。すでにアカネが死んでいて、アカネの姿が見えないのに撃てずにいた。
それが後になって後悔するかもしれないとし、撃つべきだったとわかってはいても、撃てなかった。
もう一度、銃口を向け引き金を引こうとした時に生存確率が90%になっていた。だけど僕は引き金を引けなかった。
銃口を下したら生存確率が低くなっていき、僕は見るのをやめて建物の外に向かった。外から銃声も聞こえておらず、誰か生き残っていてくれという思いが足を進めるたびに不安が掻き立てられていった。
「ごめん、ごめんね……ほんとに、ごめんなさい」
タッツーの言葉が僕の耳にかすかに入っていったが、それが何の謝罪なのか僕にはわからなかった。僕はその声から、彼女の胸が僕に当たっている事に気づき、こんな時に僕は本当に僕らしいなと少しだけ余裕を持つことができた。本当に持ちたいのはおっぱいだけどね。絶対に生き延びてやる。
建物の外に出るとムッツーが柱状の階段の前にいて、階段から降りようとしていなかった。すでに階段から降りているツバサとジュリは二人とも別々の方向を見ながら銃を構えていた。
ツバサはあたりをひっきりなしに見ており、ジュリは建物の下の方を見ていた。
ハルミンは柱状の階段の隙間に倒れ、マナチがハルミンを抱きかかえながら、銃を建物の下へ向けていた。
「ヨーちゃん、建物の下に……ベェスチティがいるらしい」
ムッツーは教えてくれた、僕はマナチの方を見ると柱状の階段が邪魔でおそらく撃てないのか、引き金をそもそも引けないのか、どちらかだろうと思った。ジュリは撃ちたくても柱の影に隠れているベェスチティがマナチとハルミンに重なるように隠れているから撃てないと思った。
僕はくそっと言葉に出そうになったが、歯を食いしばって言葉にはしなかった。
あたりを見渡すとベェスチティがゆっくりとだが、包囲してきていた。これはなかなか厄介だと思った。幸いにもベェスチティの動きは思ったよりも遅かった。
どうする? どうやって降りる? 僕が建物の下にいるベェスチティに向かって撃つか? いや当たるのか?
思考がうまくまとまらない中で、遠くで聞いたことがある爆発音がした。それが瓦礫の山で散々聞いた爆発音だった。爆発音が連鎖したあとに、遠くの建物から赤い火も現れた。
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