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洗脳状態から解き放たれた事で頭痛はなくなったものの、身体が重かった。ムッツーとタッツーは僕たちの話を聞いていたので洗脳が解けてもいいと思ったのだが、二人ともぼーっとしていた。また、どうやらマナチも洗脳されかけていたのか、頭を傾げながら唸っていた。
「マナチ、大丈夫か?」
「うん、頭痛もなくなった感じがする。それにしてもツバサとジュリはすごいね」
「ああ、本当に助かった……」
二人はもじもじしながら、照れていた。なにこれかわいい。
「ちょっと待て、ハルミンは頭痛はしてないのか?」
僕はハルミンの状態が気になった。彼女は大丈夫なのだろうか?
「し、してないけど……」
あれ? ということはツバサとジュリは?
「ツバサとジュリは?」
「わ、私もしてないです」
「お、同じく」
どうして、この三人は頭痛がしなかったんだ?
ハルミンは、しがみついてるタッツーに顔をうずめていた。
「マナチも頭痛はいつからしていたんだ?」
「う、うん……あのベスタチオだっけ? と目が合ってから」
「ベェスチティだ」
タッツーがいきなり会話に絡んできたのだった。マナチがまさか訂正されるとは思わなかったのもあり、びっくりしたのだった。僕も正直、いきなり会話に混ざってくるから驚いた。
「ご、ごめん」
「ハルミン、あのベェスチティを見たか?」
「知らないっ」
「そ、そうか……ありがとう」
ハルミンはいっぱいいっぱいなんだろうと思った。
「もしかしたら、視認することで洗脳されるのかもしれません」
ツバサは洗脳される条件を言った。そして、アビリティ・スキルの見ているのか、空中に視線を漂わせながら眉間に皺が寄っていた。
「ヨーちゃん、検疫されましたの意味がわかりました。自身の何らかの状態を異常にされる時に出てくるメッセージでそれが何なのか気づけば、耐性がつきます」
それが何か気づければ、耐性がつく……つまり僕は気づけなかった、疑いもしなかったから洗脳されたのか。
「あ、あと……予測しているとすでに耐性がついてるため表示されない……って書いてありました」
ジュリも新たな説明文を見つけたのか、教えてくれた。
二人がアビリティ・スキルの新たに表示された説明を読み上げた事により、自分のアビリティ・スキルの説明文もより詳細があらわれていった。。このアビリティ・スキルは一人では限界があり、仲間と協力することで強くなっていくのか?
「……だから二人は大丈夫だったということか」
僕は二人がぼそぼそと話をしていて、洗脳されなかったのも予測をしていたからアビリティ・スキルが反応し、対策されたことに繋がったと考えた。
僕は視界端にうつっていた生存確率が5%から10%まで戻っていたのを見て、安堵した。だが、それでも10%という数値に自分だけでは解決できないと思い始めていた。
「なぁ、ジュリとツバサは生存確率って見えるか?」
二人は初めて聞く言葉なのか、首をかしげ、挙動不審になった。
「いや、知らないのなら大丈夫だ……いや違うな、防具のところを調べていくと表示されるようになった。数値の意味まではわからないが、低い事はあまりよくない気がしてる。そして、これはマナチが見つけたんだ……」
僕は発見したことを周りに共有していなかった事から、今の状況を招いてしまったと痛感し、下唇を噛み、うつむいた。だが、このままだとよくないことだけはわかる。
「ど、ど、どうしましょう……」
まるで僕の心の声が口に出てしまったのかと思うようなタイミングでツバサは言った。
どうしようもなにも僕は何も思いつかなかった。洗脳はどうすればいいのか、ここから逃げてどうにかなるのか、今までの事も今のこの状況もはじめての連続だった。瓦礫の山であったネズミの死体、人の死体、爆発やネズミを追い立てていた人の事も答えが出せない。
どうすればいいのか、考えようとすると途端に全身が気だるく重く感じ、何からやればいいのかわからなくなって、身動きしないことに甘えそうになっていた。
深く息を吐いては吸い、自身を落ち着かせた。こういう時こそ、欲求に対して素直になることだ。
僕は底辺ボッチの生活から一人だけでもいいからかわいい子とイチャイチャで甘い思春期を過ごしたい。そして今は途方もないくらいそれをかけ離れた状況でファンタジーな異常事態にいる。元の世界に帰る手立てを見つけ、このかわいいマナチと可能な限り仲良くなる。元の世界に戻って甘い最高な思春期を過ごす。
よし、自分の目的は明確だ。次は――
「目的を知ろう、逃げるのはそれからにしよう。アカネというかあのベェスチティたちが何を求めているのか、知ろう」
「せ、洗脳はどうするの?」
マナチがムッツーとタッツーの状態をどうするのか聞いてきた。このままではいけないとは思うものの、今は自分たちに害を及ぼすような事をしてきていない。不自然じゃないように自然にそこにいるが、雑談や会話に混じらないところを見ると奇妙な感じだった。次第にアカネみたいにどこかおかしくなっていく可能性があるのかもしれない。
「いったん、このままにしておこう。すぐにどうするも方法がわからない。ツバサとジュリはアーミーナイフから何か新しく発見したものとか、教えてくれないか」
「さっき言っていた生存確率は私も見えるようになりました。一定の範囲内で算出されたもので、その自分を中心とした範囲で生き残っていられるかを示す数値と書いてあるけれど……よくわからない、です」
ツバサがそれが何かを説明したものの、本人もよくわかっていなかった。
「た、多分……私たち以外に何人もいて、その中で生き残っているのは今ある数値ってことなのかな?」
ジュリが自分の考えを口に出すものの、自信が持てなく言葉がしぼんでいっていた。
「これはこれ以上調べようがなさそうだから、引き続き何かわかったら教えてくれると助かる」
「あ、あの……」
「どうした?」
ツバサが僕に伝えようとしている事は、それはもしかしたらという不安やアニメや漫画など展開や設定といったものだった。
「あ、あくまで可能性なのですがこの世界は何らかが原因で文明が滅んだ世界で、私たちがこのアーミーナイフをうまく使って生き延びないといけないのかなと思います。唯一の目印となるあの遠くに見える不思議な光りを目指すことで何かわかる。その道中で様々な危険があり、それを乗り越えていくことで多分……助かるとか」
僕はその話を最初こそは、不安だからあれこれ考えてしまうのだろうと思っていたのだが、視界の隅に表示されている生存確率の数値が上昇していった事で認識が変わった。僕はツバサの話に耳を傾け、静かに聞いた。
「あとアビリティ・スキルが自分だけにしか見えないのは互いに協力する事を前提としていると思います。反面、軋轢を生みやすく人数が多くなればなるほど内部不和を招くと思いました。まるで自分だけがその情報を独占することでアドバンテージをとれる、という感じがあって……その――」
「マウントをとるか、言いなりにさせるとか、か……」
「はい、あの、その……」
ツバサは言い淀んでいるのは、ネズミの死体があった所で起きた食中毒によって死んでいた人たちの事がその結果なんじゃないかと言いたいのだろう。僕もツバサの話を聞く限り、そんな気がしてきていた。
「言いたい事はわかるし、僕もそう思う」
気が付くと生存確率が最終的に30%まで上がっていた。
「せ、洗脳につい、ついて……思う事があります」
ジュリがおずおずと話し始めたので、僕は頷いた。
「アカネさんが洗脳されているのは、ベェスチティたちが使役したいからというのがあって、あれら、いや彼ら? ネズミに対抗できないからという理由だと思います。瓦礫の山や橋の下にもネズミがたくさんいたけれど、ここの廃墟にも実は地下にたくさんいるのかもしれないと思います」
この廃墟の街の地下にネズミが大量にいる可能性はある。そういえば、道路にマンホールとかそういったものがなかったけれど、どこか地下に通じる道でもあるのかな?
「そ、それで私たちのようなアビリティ・スキルを持つ人をたくさん使役してネズミを殲滅させたいのかなと思います。なので私たちは洗脳とかされるだろうけど、多分食べられたりしないのかなと思いました」
食べる……?
僕はその言葉に違和感を感じたが、それが何か具体的に言葉にできなかった。
「ありがとう、ジュリ。ところで生存確率ってみんな何%って表示されてる?」
僕は情報を共有することで上昇した数値に少しだけ前向きになれていたのもあった。あと三人の様子を見る限り、多分数値は一緒ではないと思ったから確かめる上で聞いてみた。
「マナチ、大丈夫か?」
「うん、頭痛もなくなった感じがする。それにしてもツバサとジュリはすごいね」
「ああ、本当に助かった……」
二人はもじもじしながら、照れていた。なにこれかわいい。
「ちょっと待て、ハルミンは頭痛はしてないのか?」
僕はハルミンの状態が気になった。彼女は大丈夫なのだろうか?
「し、してないけど……」
あれ? ということはツバサとジュリは?
「ツバサとジュリは?」
「わ、私もしてないです」
「お、同じく」
どうして、この三人は頭痛がしなかったんだ?
ハルミンは、しがみついてるタッツーに顔をうずめていた。
「マナチも頭痛はいつからしていたんだ?」
「う、うん……あのベスタチオだっけ? と目が合ってから」
「ベェスチティだ」
タッツーがいきなり会話に絡んできたのだった。マナチがまさか訂正されるとは思わなかったのもあり、びっくりしたのだった。僕も正直、いきなり会話に混ざってくるから驚いた。
「ご、ごめん」
「ハルミン、あのベェスチティを見たか?」
「知らないっ」
「そ、そうか……ありがとう」
ハルミンはいっぱいいっぱいなんだろうと思った。
「もしかしたら、視認することで洗脳されるのかもしれません」
ツバサは洗脳される条件を言った。そして、アビリティ・スキルの見ているのか、空中に視線を漂わせながら眉間に皺が寄っていた。
「ヨーちゃん、検疫されましたの意味がわかりました。自身の何らかの状態を異常にされる時に出てくるメッセージでそれが何なのか気づけば、耐性がつきます」
それが何か気づければ、耐性がつく……つまり僕は気づけなかった、疑いもしなかったから洗脳されたのか。
「あ、あと……予測しているとすでに耐性がついてるため表示されない……って書いてありました」
ジュリも新たな説明文を見つけたのか、教えてくれた。
二人がアビリティ・スキルの新たに表示された説明を読み上げた事により、自分のアビリティ・スキルの説明文もより詳細があらわれていった。。このアビリティ・スキルは一人では限界があり、仲間と協力することで強くなっていくのか?
「……だから二人は大丈夫だったということか」
僕は二人がぼそぼそと話をしていて、洗脳されなかったのも予測をしていたからアビリティ・スキルが反応し、対策されたことに繋がったと考えた。
僕は視界端にうつっていた生存確率が5%から10%まで戻っていたのを見て、安堵した。だが、それでも10%という数値に自分だけでは解決できないと思い始めていた。
「なぁ、ジュリとツバサは生存確率って見えるか?」
二人は初めて聞く言葉なのか、首をかしげ、挙動不審になった。
「いや、知らないのなら大丈夫だ……いや違うな、防具のところを調べていくと表示されるようになった。数値の意味まではわからないが、低い事はあまりよくない気がしてる。そして、これはマナチが見つけたんだ……」
僕は発見したことを周りに共有していなかった事から、今の状況を招いてしまったと痛感し、下唇を噛み、うつむいた。だが、このままだとよくないことだけはわかる。
「ど、ど、どうしましょう……」
まるで僕の心の声が口に出てしまったのかと思うようなタイミングでツバサは言った。
どうしようもなにも僕は何も思いつかなかった。洗脳はどうすればいいのか、ここから逃げてどうにかなるのか、今までの事も今のこの状況もはじめての連続だった。瓦礫の山であったネズミの死体、人の死体、爆発やネズミを追い立てていた人の事も答えが出せない。
どうすればいいのか、考えようとすると途端に全身が気だるく重く感じ、何からやればいいのかわからなくなって、身動きしないことに甘えそうになっていた。
深く息を吐いては吸い、自身を落ち着かせた。こういう時こそ、欲求に対して素直になることだ。
僕は底辺ボッチの生活から一人だけでもいいからかわいい子とイチャイチャで甘い思春期を過ごしたい。そして今は途方もないくらいそれをかけ離れた状況でファンタジーな異常事態にいる。元の世界に帰る手立てを見つけ、このかわいいマナチと可能な限り仲良くなる。元の世界に戻って甘い最高な思春期を過ごす。
よし、自分の目的は明確だ。次は――
「目的を知ろう、逃げるのはそれからにしよう。アカネというかあのベェスチティたちが何を求めているのか、知ろう」
「せ、洗脳はどうするの?」
マナチがムッツーとタッツーの状態をどうするのか聞いてきた。このままではいけないとは思うものの、今は自分たちに害を及ぼすような事をしてきていない。不自然じゃないように自然にそこにいるが、雑談や会話に混じらないところを見ると奇妙な感じだった。次第にアカネみたいにどこかおかしくなっていく可能性があるのかもしれない。
「いったん、このままにしておこう。すぐにどうするも方法がわからない。ツバサとジュリはアーミーナイフから何か新しく発見したものとか、教えてくれないか」
「さっき言っていた生存確率は私も見えるようになりました。一定の範囲内で算出されたもので、その自分を中心とした範囲で生き残っていられるかを示す数値と書いてあるけれど……よくわからない、です」
ツバサがそれが何かを説明したものの、本人もよくわかっていなかった。
「た、多分……私たち以外に何人もいて、その中で生き残っているのは今ある数値ってことなのかな?」
ジュリが自分の考えを口に出すものの、自信が持てなく言葉がしぼんでいっていた。
「これはこれ以上調べようがなさそうだから、引き続き何かわかったら教えてくれると助かる」
「あ、あの……」
「どうした?」
ツバサが僕に伝えようとしている事は、それはもしかしたらという不安やアニメや漫画など展開や設定といったものだった。
「あ、あくまで可能性なのですがこの世界は何らかが原因で文明が滅んだ世界で、私たちがこのアーミーナイフをうまく使って生き延びないといけないのかなと思います。唯一の目印となるあの遠くに見える不思議な光りを目指すことで何かわかる。その道中で様々な危険があり、それを乗り越えていくことで多分……助かるとか」
僕はその話を最初こそは、不安だからあれこれ考えてしまうのだろうと思っていたのだが、視界の隅に表示されている生存確率の数値が上昇していった事で認識が変わった。僕はツバサの話に耳を傾け、静かに聞いた。
「あとアビリティ・スキルが自分だけにしか見えないのは互いに協力する事を前提としていると思います。反面、軋轢を生みやすく人数が多くなればなるほど内部不和を招くと思いました。まるで自分だけがその情報を独占することでアドバンテージをとれる、という感じがあって……その――」
「マウントをとるか、言いなりにさせるとか、か……」
「はい、あの、その……」
ツバサは言い淀んでいるのは、ネズミの死体があった所で起きた食中毒によって死んでいた人たちの事がその結果なんじゃないかと言いたいのだろう。僕もツバサの話を聞く限り、そんな気がしてきていた。
「言いたい事はわかるし、僕もそう思う」
気が付くと生存確率が最終的に30%まで上がっていた。
「せ、洗脳につい、ついて……思う事があります」
ジュリがおずおずと話し始めたので、僕は頷いた。
「アカネさんが洗脳されているのは、ベェスチティたちが使役したいからというのがあって、あれら、いや彼ら? ネズミに対抗できないからという理由だと思います。瓦礫の山や橋の下にもネズミがたくさんいたけれど、ここの廃墟にも実は地下にたくさんいるのかもしれないと思います」
この廃墟の街の地下にネズミが大量にいる可能性はある。そういえば、道路にマンホールとかそういったものがなかったけれど、どこか地下に通じる道でもあるのかな?
「そ、それで私たちのようなアビリティ・スキルを持つ人をたくさん使役してネズミを殲滅させたいのかなと思います。なので私たちは洗脳とかされるだろうけど、多分食べられたりしないのかなと思いました」
食べる……?
僕はその言葉に違和感を感じたが、それが何か具体的に言葉にできなかった。
「ありがとう、ジュリ。ところで生存確率ってみんな何%って表示されてる?」
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