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何か不穏な空気に包まれたが、アカネはそんなことを気に留めずに別の廃墟へ向かって同じように投げ込んでいた。
「ちょ、ちょっと待ってくれ、普段からしてるのか?」
ムッツーは慌てながら聞いていた。アカネがネズミに対しての特攻武器らしきものを持っていて、それを躊躇なく使用していた事を異常に感じているのがわかった。僕も同感だけども、その躊躇ない行動のおかげで助かったなぁとぼんやり思った。
「ネズミは駆除しないと死んじゃうからねぇ、このあたりは定期的に出てくるの知ってるからやってるよぉ」
「なぁ、君もこのアーミーナイフを持っているのか?」
「あ、それ! 私も持ってる! ってことはやっぱり仲間なんだね!」
するとアカネもアーミーナイフを出した。僕たちのと同じ大きさで違うのは色が赤色だった。僕たちの中で赤色のアーミーナイフを持っているのは誰もいない。
今までこの七人以外の不思議なアーミーナイフの所持者と会話したことはなかったのもあり、自分たちだけなのかもしれないと思っていたりした。だが、実際にアカネが不思議なアーミーナイフを持ってるのを見て、武器を躊躇なく使ったことで怖さが倍増された。
ハルミンはタッツーにしがみつきながら隠れ、ジュリとツバサの二人は硬直しており、マナチは僕に頼ろうとし、服の裾をつまんでいた。僕は抱き着いてもいいんだよと思ったが厚ぼったい防具が当たって痛いだけだなと思い直した。ラッキースケベは固い防具の前では起こりえない。
僕は険しい表情を浮かべながら、どうやったらラッキースケベになるのか考えようとしたが、視界の隅っこにある生存確率が目に入ってしまい、冷静になった。あれが自分たちに向けられた場合、死を覚悟しないといけないくらいヤバイ可能性高いなと思った。するとワクワクムラムラした気持ちが吹き飛んだ。
ため息をつきそうになり、それを押しとどめてアカネの方を見ると彼女の表情はどこか恍惚としており、やっぱどこか常軌を逸していると感じざる得なかった。
「じゃあ、次の場所行くねぇ~」
はたしてこのままついて行っていいのか、案内すると言っているが狂気とは何かを案内させられている気分になってきて、ホラー映画一丁目なのかなと思ってきた。その気持ちは、周りにも伝染していってるような感じがし、もう帰る! 知らない! ってできればよかったのだけど、そんな気持ちすら出てこない。不思議。
アカネに案内されるがまま、時間が経っていき、廃墟に致死性の毒ガスをぶん投げていっていた。その光景になれてしまってきてる自分たちは最初のように驚くことはなくなっていった。むしろ、これからどんな所に案内されるのだろうというのが気になり始めていた。
「その私たちが向かっている場所は、あとどのくらいで着くんだ?」
さすがにムッツーも自分たちが向かっている場所がどこなのか、気になり始めていた。
「ここの通りを抜けた先にある場所だよ~、ほら、見えてきたっ!」
廃墟の街が途切れ、一面にあるのは不規則に並ぶ建築物がある不思議な場所だった。どれも地面に対して何本かの柱の上に建物があり、ネズミ返しがつけられていた。窓はなく出入口しかないが、ドアもなく、そのドアに入るために階段状になってる棒があった。
ネズミが入ってこないようにしている建物しかなく、どんだけネズミを恐れているんだというのが伝わってきた。
「こ、ここはなんだ?」
「あたしが住んでる場所だよぉ、これから紹介するね。襲ってきたりしないから、驚かないでね」
「襲ってきたりしないっていうのはどういう意味だ?」
僕はもっと警戒しておくべきだったのかもしれないとその建物を見て感じた。何がどうというのではないが、何か気味悪さがあり、どの建物からも気配はあるものの、誰も外にいない。どの建物も廃墟になっている建物を再利用して造られたような建物だった。
「んー、あたしは瓦礫の山にいたんだけど、最近こっちに越してきてさ。ここにいる人たちと住んでるんだ」
返答が返答になっていなかった。会話が通じてない事に、ムッツーも首をかしげていた。
僕の後ろの方ではジュリとツバサは、小さな声で話し合っていた。
「こ、これ絶対に嫌な予感します」
「わかる、わかる、わかりみあり過ぎて辛い。これ絶対人間じゃない見た目がヤバイのが出てきて脳みそ吸うやつがいたり、人間食べるようなやつがいたり――」
ジュリはどこで知ったのかB級映画に出てきそうな展開を早口かつ小さな声でツバサに吐露していた。僕もなんだかそんな気がしてきて、胸がドキドキしてきた。
タッツーにしがみついてるハルミンは、あたりを見ようとせずに顔をタッツーに埋めていた。昔お化け屋敷が怖いけれど入ってみたけれど、怖くて目をつぶって手を引いてもらう子みたいだなと思った。いやこれ現実だから、驚いただけじゃなくて下手したら命にかかわるから、ヤバイか……。
「ちょ、ちょっと待ってくれ、普段からしてるのか?」
ムッツーは慌てながら聞いていた。アカネがネズミに対しての特攻武器らしきものを持っていて、それを躊躇なく使用していた事を異常に感じているのがわかった。僕も同感だけども、その躊躇ない行動のおかげで助かったなぁとぼんやり思った。
「ネズミは駆除しないと死んじゃうからねぇ、このあたりは定期的に出てくるの知ってるからやってるよぉ」
「なぁ、君もこのアーミーナイフを持っているのか?」
「あ、それ! 私も持ってる! ってことはやっぱり仲間なんだね!」
するとアカネもアーミーナイフを出した。僕たちのと同じ大きさで違うのは色が赤色だった。僕たちの中で赤色のアーミーナイフを持っているのは誰もいない。
今までこの七人以外の不思議なアーミーナイフの所持者と会話したことはなかったのもあり、自分たちだけなのかもしれないと思っていたりした。だが、実際にアカネが不思議なアーミーナイフを持ってるのを見て、武器を躊躇なく使ったことで怖さが倍増された。
ハルミンはタッツーにしがみつきながら隠れ、ジュリとツバサの二人は硬直しており、マナチは僕に頼ろうとし、服の裾をつまんでいた。僕は抱き着いてもいいんだよと思ったが厚ぼったい防具が当たって痛いだけだなと思い直した。ラッキースケベは固い防具の前では起こりえない。
僕は険しい表情を浮かべながら、どうやったらラッキースケベになるのか考えようとしたが、視界の隅っこにある生存確率が目に入ってしまい、冷静になった。あれが自分たちに向けられた場合、死を覚悟しないといけないくらいヤバイ可能性高いなと思った。するとワクワクムラムラした気持ちが吹き飛んだ。
ため息をつきそうになり、それを押しとどめてアカネの方を見ると彼女の表情はどこか恍惚としており、やっぱどこか常軌を逸していると感じざる得なかった。
「じゃあ、次の場所行くねぇ~」
はたしてこのままついて行っていいのか、案内すると言っているが狂気とは何かを案内させられている気分になってきて、ホラー映画一丁目なのかなと思ってきた。その気持ちは、周りにも伝染していってるような感じがし、もう帰る! 知らない! ってできればよかったのだけど、そんな気持ちすら出てこない。不思議。
アカネに案内されるがまま、時間が経っていき、廃墟に致死性の毒ガスをぶん投げていっていた。その光景になれてしまってきてる自分たちは最初のように驚くことはなくなっていった。むしろ、これからどんな所に案内されるのだろうというのが気になり始めていた。
「その私たちが向かっている場所は、あとどのくらいで着くんだ?」
さすがにムッツーも自分たちが向かっている場所がどこなのか、気になり始めていた。
「ここの通りを抜けた先にある場所だよ~、ほら、見えてきたっ!」
廃墟の街が途切れ、一面にあるのは不規則に並ぶ建築物がある不思議な場所だった。どれも地面に対して何本かの柱の上に建物があり、ネズミ返しがつけられていた。窓はなく出入口しかないが、ドアもなく、そのドアに入るために階段状になってる棒があった。
ネズミが入ってこないようにしている建物しかなく、どんだけネズミを恐れているんだというのが伝わってきた。
「こ、ここはなんだ?」
「あたしが住んでる場所だよぉ、これから紹介するね。襲ってきたりしないから、驚かないでね」
「襲ってきたりしないっていうのはどういう意味だ?」
僕はもっと警戒しておくべきだったのかもしれないとその建物を見て感じた。何がどうというのではないが、何か気味悪さがあり、どの建物からも気配はあるものの、誰も外にいない。どの建物も廃墟になっている建物を再利用して造られたような建物だった。
「んー、あたしは瓦礫の山にいたんだけど、最近こっちに越してきてさ。ここにいる人たちと住んでるんだ」
返答が返答になっていなかった。会話が通じてない事に、ムッツーも首をかしげていた。
僕の後ろの方ではジュリとツバサは、小さな声で話し合っていた。
「こ、これ絶対に嫌な予感します」
「わかる、わかる、わかりみあり過ぎて辛い。これ絶対人間じゃない見た目がヤバイのが出てきて脳みそ吸うやつがいたり、人間食べるようなやつがいたり――」
ジュリはどこで知ったのかB級映画に出てきそうな展開を早口かつ小さな声でツバサに吐露していた。僕もなんだかそんな気がしてきて、胸がドキドキしてきた。
タッツーにしがみついてるハルミンは、あたりを見ようとせずに顔をタッツーに埋めていた。昔お化け屋敷が怖いけれど入ってみたけれど、怖くて目をつぶって手を引いてもらう子みたいだなと思った。いやこれ現実だから、驚いただけじゃなくて下手したら命にかかわるから、ヤバイか……。
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