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ネズミの群れに飲み込まれずに、橋からやってくるネズミの群れを撃退できた。それは僕だけの力だけじゃなく、見ず知らずのカースト上位にいそうな釣り目なメスガキだった。
そのメスガキであるアカネは念入りに何か煙を出すものを橋に投げ込みまくっていた。
「死ね! 死ね! くらばれ! 消えろ!」
かなり物騒なことを叫びながら橋の上が煙で見えなくなった。煙は巻き上がったりせず、その場に沈むように留まっていた。煙が充満し、ネズミの群れすら見えなくなるとアカネは満足したのか、投げるのをやめた。
「その投げていたのは何なんだ?」
僕が持ってる銃みたいに何か召喚して投げていたものだろうと思った。
「これ? これ膝下くらいの動物を殺す煙を吐き出すやつだよ。たしかぁ……致死性有毒ガス筒って書いてある」
彼女は僕と同じアビリティ・スキルを持っているとわかった。僕には見えないステータスウィンドウを見ながらそれが何か言ったからだ。
「そっかぁ、すごいね」
「でしょでしょ~! てかヨーちゃんもすごいよぉ! あの群れをその銃で倒しまくるなんてすごいよぉ!」
「あ、ありがとう」
僕はなぜ彼女が一人なのか、そして、他に仲間がいるのか、気になった。都合よくこの橋に来たのは何か他に理由があるんじゃないかと思った。あの瓦礫の山でいまだに爆発している二人の仲間なのかもしれないとも思った。
「それにしてもすごい爆発と火だねぇ、いやぁ、なにあれ意味わかんな~い」
「君の仲間じゃないの?」
僕は正直に聞くことにした。
「え、知らないよ? あたしの仲間はあっちの方にいるよ~」
「あっち?」
「そそそ! あたしはそこに住んでて、仲間に入れてもらったんだ」
「そうなんだ、僕も仲間がいて、今は別行動してるから合流しなきゃ」
「一人じゃ寂しいもんね~」
僕はこのままこのアカネと二人っきりにいるのは何か嫌だった。単純に好みではないのが大きい。
「それじゃ、僕は別行動してる仲間を探すよ。助けてくれてありがとう」
「え、もう行っちゃうの? あ、私も一緒に探すよ。あっちから来たんでしょ、こっちは地理わかる? 大丈夫、あたしが案内してあげるよ」
「え、あ、うん」
「キャハッ、もう気にしすぎだよ~。一緒にネズミを殺した仲間だから任せてぇ!」
僕は相手のノリに飲まれた。
「てか、ヨーちゃんってさ、もしかしてマスクとるとかっこいいんじゃね?」
アカネは防護マスクを外し、自分も外せという空気を醸し出してきた。仕方なく、僕は防護マスクを外した。
「べ、別にかっこよくないだろ」
声が上ずった。恥ずかしさから顔をそらした。これだからカースト上位は嫌いだ。
「全然ありありっ」
「そ、そうか……それより案内してくれるんだろ?」
僕は防護マスクをし直した。
「え、ああ、うん。じゃ、行ってみよう~」
アカネがどんな表情をしているのか後ろ姿からはわからなかった。僕は彼女の後ろについて歩き、向かっている方向を見るとそこは薄暗さでよくわからなかった。次第に目が慣れてくるとそこは街だったのがわかった。ただどの建物も人の気配がなく、廃墟だというのが一目でわかる状態だった。
植物がなくただ風化している廃墟の街だった、ひび割れた外壁や崩れている外壁など多種多様な廃墟が立ち並んでいた。道路もひび割れており、盛り上がっていたり、へこんでいる部分が目立っていた。大道路と思われる場所をアカネは歩き、僕はその後ろについていった。
街灯らしきものはあるが、灯りがついてるわけもなく、何をどうしたらこんな廃墟になるのだろうという状態だった。道路には車などもなく、廃墟の中を見ても何か置いてあるわけでもなかった。まるで建物だけつくって、住まないまま放置されているようだった。
「なぁ、ところでどこに向かってるんだ?」
「あの大きな建物の屋上に行けば、上から下が見れるよ」
ああ、なるほどと思った。この廃墟の街のどこかにマナチたちがテントを設営したとしたら、明かりが漏れたりするからそこに向かえば仲間と合流ができるという事か。
「確かに上から探せば見つかるかもしれない」
そのまま彼女についていき、大きな建物に入っていった。ドアなどもなく、中もがらんとしていた。階段で屋上まで登り、街を一望できる場所だった。
遠くを見ると光りがあり、その光りが地面から湧き出ているような、大きな光る樹のような感じだった。
「ヨーちゃんもあの光りが気になる? あれ、なんだろうねぇ~」
僕が気になっていたのが伝わったのか、彼女が話しかけてきた。
「アカネもあれが何かわからない感じなのか」
「前は気になっていたんだけど、今はなんか怖いっていうかよくわからないんだよねぇ」
僕は適当に相槌を打ちながら、マナチたちがどこかにいるのか見渡す事にした。
すると学校の廃墟みたいな場所があり、そこに明かりがあるのが見えた。他にも明かりがある建物があるのか見渡し、特に見当たらなかった事からその場所に行ってみようと思った。
「やっぱあそこ気になる? あたしも気になる! 昨日とか一昨日とかあそこに人が居たことなかったし、多分そこにヨーちゃんの仲間がいるんじゃない? 行ってみよっ!」
アカネのテンションは苦手だが、彼女がいなければマナチたちと合流するのは大変だったかもと思うと礼の一つは言っておかないといけないなと思った。
「ありがとう、助かったよ」
「いやぁ、いいっていいって! ネズミを殺した仲間だしぃ、それに行ってみないとヨーちゃんの仲間かまだわからないじゃない?」
「そ、そうだな」
「それじゃ、行ってみよぉ~!」
僕たちは、屋上から降り、廃墟の学校を目指し歩いた。
そのメスガキであるアカネは念入りに何か煙を出すものを橋に投げ込みまくっていた。
「死ね! 死ね! くらばれ! 消えろ!」
かなり物騒なことを叫びながら橋の上が煙で見えなくなった。煙は巻き上がったりせず、その場に沈むように留まっていた。煙が充満し、ネズミの群れすら見えなくなるとアカネは満足したのか、投げるのをやめた。
「その投げていたのは何なんだ?」
僕が持ってる銃みたいに何か召喚して投げていたものだろうと思った。
「これ? これ膝下くらいの動物を殺す煙を吐き出すやつだよ。たしかぁ……致死性有毒ガス筒って書いてある」
彼女は僕と同じアビリティ・スキルを持っているとわかった。僕には見えないステータスウィンドウを見ながらそれが何か言ったからだ。
「そっかぁ、すごいね」
「でしょでしょ~! てかヨーちゃんもすごいよぉ! あの群れをその銃で倒しまくるなんてすごいよぉ!」
「あ、ありがとう」
僕はなぜ彼女が一人なのか、そして、他に仲間がいるのか、気になった。都合よくこの橋に来たのは何か他に理由があるんじゃないかと思った。あの瓦礫の山でいまだに爆発している二人の仲間なのかもしれないとも思った。
「それにしてもすごい爆発と火だねぇ、いやぁ、なにあれ意味わかんな~い」
「君の仲間じゃないの?」
僕は正直に聞くことにした。
「え、知らないよ? あたしの仲間はあっちの方にいるよ~」
「あっち?」
「そそそ! あたしはそこに住んでて、仲間に入れてもらったんだ」
「そうなんだ、僕も仲間がいて、今は別行動してるから合流しなきゃ」
「一人じゃ寂しいもんね~」
僕はこのままこのアカネと二人っきりにいるのは何か嫌だった。単純に好みではないのが大きい。
「それじゃ、僕は別行動してる仲間を探すよ。助けてくれてありがとう」
「え、もう行っちゃうの? あ、私も一緒に探すよ。あっちから来たんでしょ、こっちは地理わかる? 大丈夫、あたしが案内してあげるよ」
「え、あ、うん」
「キャハッ、もう気にしすぎだよ~。一緒にネズミを殺した仲間だから任せてぇ!」
僕は相手のノリに飲まれた。
「てか、ヨーちゃんってさ、もしかしてマスクとるとかっこいいんじゃね?」
アカネは防護マスクを外し、自分も外せという空気を醸し出してきた。仕方なく、僕は防護マスクを外した。
「べ、別にかっこよくないだろ」
声が上ずった。恥ずかしさから顔をそらした。これだからカースト上位は嫌いだ。
「全然ありありっ」
「そ、そうか……それより案内してくれるんだろ?」
僕は防護マスクをし直した。
「え、ああ、うん。じゃ、行ってみよう~」
アカネがどんな表情をしているのか後ろ姿からはわからなかった。僕は彼女の後ろについて歩き、向かっている方向を見るとそこは薄暗さでよくわからなかった。次第に目が慣れてくるとそこは街だったのがわかった。ただどの建物も人の気配がなく、廃墟だというのが一目でわかる状態だった。
植物がなくただ風化している廃墟の街だった、ひび割れた外壁や崩れている外壁など多種多様な廃墟が立ち並んでいた。道路もひび割れており、盛り上がっていたり、へこんでいる部分が目立っていた。大道路と思われる場所をアカネは歩き、僕はその後ろについていった。
街灯らしきものはあるが、灯りがついてるわけもなく、何をどうしたらこんな廃墟になるのだろうという状態だった。道路には車などもなく、廃墟の中を見ても何か置いてあるわけでもなかった。まるで建物だけつくって、住まないまま放置されているようだった。
「なぁ、ところでどこに向かってるんだ?」
「あの大きな建物の屋上に行けば、上から下が見れるよ」
ああ、なるほどと思った。この廃墟の街のどこかにマナチたちがテントを設営したとしたら、明かりが漏れたりするからそこに向かえば仲間と合流ができるという事か。
「確かに上から探せば見つかるかもしれない」
そのまま彼女についていき、大きな建物に入っていった。ドアなどもなく、中もがらんとしていた。階段で屋上まで登り、街を一望できる場所だった。
遠くを見ると光りがあり、その光りが地面から湧き出ているような、大きな光る樹のような感じだった。
「ヨーちゃんもあの光りが気になる? あれ、なんだろうねぇ~」
僕が気になっていたのが伝わったのか、彼女が話しかけてきた。
「アカネもあれが何かわからない感じなのか」
「前は気になっていたんだけど、今はなんか怖いっていうかよくわからないんだよねぇ」
僕は適当に相槌を打ちながら、マナチたちがどこかにいるのか見渡す事にした。
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「やっぱあそこ気になる? あたしも気になる! 昨日とか一昨日とかあそこに人が居たことなかったし、多分そこにヨーちゃんの仲間がいるんじゃない? 行ってみよっ!」
アカネのテンションは苦手だが、彼女がいなければマナチたちと合流するのは大変だったかもと思うと礼の一つは言っておかないといけないなと思った。
「ありがとう、助かったよ」
「いやぁ、いいっていいって! ネズミを殺した仲間だしぃ、それに行ってみないとヨーちゃんの仲間かまだわからないじゃない?」
「そ、そうだな」
「それじゃ、行ってみよぉ~!」
僕たちは、屋上から降り、廃墟の学校を目指し歩いた。
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