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ツバサとジュリの目の前で銃を出した事で、二人は、涙目になっていた。だが、ここで引き下がる事も出来ず、僕はなぜ銃を召喚したのか理由を話すことにした。
決して思い付きで出したわけもない、彼女たちなら知っているかもしれないと思ったからだ。
「今、このアビリティ・スキルで戦えるものって、この銃器くらいしかない。だから、これについて実際に使ってみて、いざという時に使えないとダメだと思ったんだ」
僕が召喚した銃は、クリスベクターカスタムと呼ばれるサブマシンガンだ。内装も外装もカスタム化されているものであり、トリガーを引き銃弾を発射した際の反動は極限まで抑えられ、更に高性能サイレンサーが装着されているものだ。アビリティ・スキルの説明文に書いてあった。
「それにこれさ、クリスベクターカスタムなんとかって書かれているだけでゲームとかである、強さ的なものがわからないんだ」
僕はあまり銃器に詳しくない、アビリティ・スキルで表示されているクリスベクターカスタムの説明を読んでもよくわかっていない。高性能サイレンサーというのもよくわかってない。
「た、確かにわからないですよね」
「ジュリも詳しくなかったかぁ」
「わた、私もあまりわかりません。すみません」
「となると実際に人がいない所で撃ってみて、確かめないとな……」
そう言うと二人はビクッとした。いや、まさか君たちを撃ったりしないよ?
「あ、ごめんね。また驚かせちゃって……もし何か気づいたりしたら教えてくれると嬉しいかな、それじゃまたね」
僕はクリスベクターをアビリティ・スキルでしまうと、立ち上がりムッツーの方へ向かった。
+
「おーい、ムッツー。今ちょっといい?」
「どうした、ヨーちゃん」
「今後の事で、さ……銃器の使用について考えた方がいいと思うんだ」
僕はツバサとジュリが言っていた事を踏まえ、もっているアビリティ・スキルを使う事が生き残る確率を上げる事だと思った。
「お前、何言ってるんだ?」
「まあ、ちょっと落ち着いて聞いてくれ」
ムッツーは声を荒げていた。いきなりこんな話になるのは、確かにびっくりするけれど、聞いてほしいと思った。気が付くとタッツーとマナチが近くまで来ていた。
「いや、でもだな」
「でもだろうと、今あるものを最大限に使えるようにならないといざって時にどうする」
「法律的に……」
「その法律がここでどう守ってくれる」
「だが危ないだろう」
「一度召喚して、持っただろう?」
「持ったけれども」
「なら実際に使ってみていざって時に備えよう、って話だよ」
ムッツーとヨーちゃんは次第に険悪な雰囲気となっていき、タッツーは止めに入った。
「ムッツー、それにヨーちゃん落ち着いてどうしたの?」
「銃器を実際に使って備えたい、と言ったんだ。危ないからやめておけって言ってるが聞かないんだ」
「ヨーちゃん、それは本当?」
僕は腕を組み、ため息をついた。
「はぁ、本当だよ。これからどうするにしても、戦う力がないとダメだと思ったんだ」
「ヨーちゃん……戦う力って必要なの?」
マナチが不安げに僕の方を見た。君を守るためだ、なんてかっこよく言いたいけれど恥ずかしくて言えない。
「どうやって自分たちを守る? 襲ってこなかったら幸運だろう、襲ってきた場合は逃げる。逃げきれるのか? 逃げきれなかったらどうなる? 最低限、今自分たちが使えるアビリティ・スキルを最大限に使えるようにならないと後悔すると思ってさ」
僕は不思議なアーミーナイフを取り出し、見つめるのだった。
「……ヨーちゃん、私もそう思う」
マナチは僕の考えに同意したのだった。
「ムッツー、確かにもう死人が出ているし、備えは必要だと思う。危ないけれど……」
タッツーにも言われ、ムッツーは納得はしていない表情をしていた。
「そうだな、知っておいた方がいいな」
だが、彼女の口から出たのは、感情的には納得していないが理性で言葉を出した。僕はかっこいいな、抱いて! と思った。
昼休憩の後に、七人全員が空になったペットボトルに向かって銃を撃つことになった。それぞれがアビリティ・スキルで銃を召喚し、手に取ることとなった。初めて銃を召喚し、戸惑いながらも空のペットボトルに向けて試射していった。誰もが見た目が違う銃だったのが僕は気になったが、細かな違いとかはわからなかった。
「ムッツー、触ってみてわかっただろ」
僕はムッツーに問いかけた。
「ああ、これなら危なくないな……しかしなんでわかるんだろうな」
ムッツーは銃を構え、遠くに設置した空のペットボトルに標準を合わせた。持ち方は様になっていて、前に召喚した時のようにかっこよかった。なんというか特殊部隊にいる凄腕の兵士みたいなかっこよさがあった。
「構えて思ったのだけど、瓦礫の山の方に音が響く可能性あるよな……」
ムッツーはアビリティ・スキルで銃口のさきっぽに電動こけしみたいな円筒のものを取り付けていた。すると発砲音がスススッという音に変わった。もしかして、これがサイレンサーって事なのかと初めて知った。
僕が持ってるクリスベクターカスタムの高性能サイレンサーって発砲音を抑える役目があったのか!
決して思い付きで出したわけもない、彼女たちなら知っているかもしれないと思ったからだ。
「今、このアビリティ・スキルで戦えるものって、この銃器くらいしかない。だから、これについて実際に使ってみて、いざという時に使えないとダメだと思ったんだ」
僕が召喚した銃は、クリスベクターカスタムと呼ばれるサブマシンガンだ。内装も外装もカスタム化されているものであり、トリガーを引き銃弾を発射した際の反動は極限まで抑えられ、更に高性能サイレンサーが装着されているものだ。アビリティ・スキルの説明文に書いてあった。
「それにこれさ、クリスベクターカスタムなんとかって書かれているだけでゲームとかである、強さ的なものがわからないんだ」
僕はあまり銃器に詳しくない、アビリティ・スキルで表示されているクリスベクターカスタムの説明を読んでもよくわかっていない。高性能サイレンサーというのもよくわかってない。
「た、確かにわからないですよね」
「ジュリも詳しくなかったかぁ」
「わた、私もあまりわかりません。すみません」
「となると実際に人がいない所で撃ってみて、確かめないとな……」
そう言うと二人はビクッとした。いや、まさか君たちを撃ったりしないよ?
「あ、ごめんね。また驚かせちゃって……もし何か気づいたりしたら教えてくれると嬉しいかな、それじゃまたね」
僕はクリスベクターをアビリティ・スキルでしまうと、立ち上がりムッツーの方へ向かった。
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「おーい、ムッツー。今ちょっといい?」
「どうした、ヨーちゃん」
「今後の事で、さ……銃器の使用について考えた方がいいと思うんだ」
僕はツバサとジュリが言っていた事を踏まえ、もっているアビリティ・スキルを使う事が生き残る確率を上げる事だと思った。
「お前、何言ってるんだ?」
「まあ、ちょっと落ち着いて聞いてくれ」
ムッツーは声を荒げていた。いきなりこんな話になるのは、確かにびっくりするけれど、聞いてほしいと思った。気が付くとタッツーとマナチが近くまで来ていた。
「いや、でもだな」
「でもだろうと、今あるものを最大限に使えるようにならないといざって時にどうする」
「法律的に……」
「その法律がここでどう守ってくれる」
「だが危ないだろう」
「一度召喚して、持っただろう?」
「持ったけれども」
「なら実際に使ってみていざって時に備えよう、って話だよ」
ムッツーとヨーちゃんは次第に険悪な雰囲気となっていき、タッツーは止めに入った。
「ムッツー、それにヨーちゃん落ち着いてどうしたの?」
「銃器を実際に使って備えたい、と言ったんだ。危ないからやめておけって言ってるが聞かないんだ」
「ヨーちゃん、それは本当?」
僕は腕を組み、ため息をついた。
「はぁ、本当だよ。これからどうするにしても、戦う力がないとダメだと思ったんだ」
「ヨーちゃん……戦う力って必要なの?」
マナチが不安げに僕の方を見た。君を守るためだ、なんてかっこよく言いたいけれど恥ずかしくて言えない。
「どうやって自分たちを守る? 襲ってこなかったら幸運だろう、襲ってきた場合は逃げる。逃げきれるのか? 逃げきれなかったらどうなる? 最低限、今自分たちが使えるアビリティ・スキルを最大限に使えるようにならないと後悔すると思ってさ」
僕は不思議なアーミーナイフを取り出し、見つめるのだった。
「……ヨーちゃん、私もそう思う」
マナチは僕の考えに同意したのだった。
「ムッツー、確かにもう死人が出ているし、備えは必要だと思う。危ないけれど……」
タッツーにも言われ、ムッツーは納得はしていない表情をしていた。
「そうだな、知っておいた方がいいな」
だが、彼女の口から出たのは、感情的には納得していないが理性で言葉を出した。僕はかっこいいな、抱いて! と思った。
昼休憩の後に、七人全員が空になったペットボトルに向かって銃を撃つことになった。それぞれがアビリティ・スキルで銃を召喚し、手に取ることとなった。初めて銃を召喚し、戸惑いながらも空のペットボトルに向けて試射していった。誰もが見た目が違う銃だったのが僕は気になったが、細かな違いとかはわからなかった。
「ムッツー、触ってみてわかっただろ」
僕はムッツーに問いかけた。
「ああ、これなら危なくないな……しかしなんでわかるんだろうな」
ムッツーは銃を構え、遠くに設置した空のペットボトルに標準を合わせた。持ち方は様になっていて、前に召喚した時のようにかっこよかった。なんというか特殊部隊にいる凄腕の兵士みたいなかっこよさがあった。
「構えて思ったのだけど、瓦礫の山の方に音が響く可能性あるよな……」
ムッツーはアビリティ・スキルで銃口のさきっぽに電動こけしみたいな円筒のものを取り付けていた。すると発砲音がスススッという音に変わった。もしかして、これがサイレンサーって事なのかと初めて知った。
僕が持ってるクリスベクターカスタムの高性能サイレンサーって発砲音を抑える役目があったのか!
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