2 / 82
2
しおりを挟む
僕たちは歩きながら、光りが見える方向へ歩いていった。その光は朝焼けのような眩しさはなく、直視しても目が痛くならない程の淡い光を放っていた。
「あの光りがある所まで、どのくらいなんだろ」
マナチが足を引きずっているような足取りをしながら、ボヤいた。僕が後ろを振り返るとツバサとジュリも同じような感じで歩いてるのが目に入った。
「マナチ、わかる。ほんと遠いよね、私は休みたくなってきた」
ハルミン、彼女も疲れているのかマナチに同調した。
「ヨーちゃんも一休みしたくない?」
「ん、ああ」
突然、あだ名を呼ばれたことでドキッとしてしまい、下手な返事しかできなかった。僕は返事をした後に、指で自分の唇を触り、落ち着かせた。
「休むにしてもあたり一面砂利だらけで、座れる場所もないぞ」
「確かに、汚れてしまいますね」
ムッツーとタッツーはどうやら先を急ぎたいようだった。
「とはいえ、歩き続けないと今日中にたどり着けるかわからないしな。ジュリとツバサは大丈夫か?」
ムッツーは七人の中で遅れてきてる二人に声をかけた。
「は、はい、大丈夫です。行けます」
ジュリは身長が低い分、歩幅も他よりも短く遅く、また体力もそこまでなかった。
「わ、私も・・・だい、大丈夫です。はい」
ツバサは運動が苦手でありジュリと同じペースであり、体力もそこまでなかった。
どう見てもこの二人は休憩しないときつそうだった。
「ねぇムッツー、ここらでちょっと休憩いれましょう」
「さんせーさんせー」
タッツーはムッツーに提案するとハルミンはすかさず同意した。一同はいったん立ち止まり、その場でしゃがんだり息を整えたりし、休憩することになった。
「み、水がほしい・・・」
マナチはその場にしゃがみ込みぼそりと嘆いた。僕はそれを見て、このまま飲まず食わずのままではいずれ力尽きてしまうと思った。
マナチがため息をして、手のひらをにぎにぎしていると水が入ったペットボトルが彼女の手に握られていた。
「えっ・・・」
彼女は驚き、僕もその光景に驚いた。そして、こともあろうかペットボトルを開けて、そのまま飲み始めた。ごくごくと勢いよく飲み、口の端から水が少しこぼれていった。
「お、おい」
ペットボトルを開けるのを見ていたのは僕だけじゃなく、ムッツーも見ていたのか後ろから声がした。マナチは気にせずごくごくと飲んだ。半分くらい飲み干した後に、マナチはムッツーの方を向き、間抜けな顔をしていた。
「おま、いや、マナチそれどうしたんだ?」
「なんかあった」
「いや、あったって・・・持っていたのか?いや、あり得ない・・・えっ、どういうこと?」
「わからない、水がほしいと思ったら目の前にあった」
「そ、それで・・・開けて、飲んだと?」
「うん、普通に水だった。飲む?」
僕は目の前の状況についていけなかった。それはムッツーも同じく、ついていけてなかく、理解が追い付かないのか頭を抱えた。
「ねぇ、そのペットボトルってどうやって見つけたの?」
タッツーは頭を抱えるムッツーの横からマナチにやさしく聞いた。
「水が欲しいと思ったら目の前に出てきた」
「む~」
タッツーは唸りながら目を閉じ、水が欲しいと願ったが何も起きなかった。
「他はどんな事、思ったりした?」
「コンビニにおいてあるペットボトルの水が欲しいなぁと思ったよ」
タッツーはマナチが言われたように思い浮かべたのか、タッツーの手には水が入ったラベルのないペットボトルが握られていた。
その時のタッツーの顔は、マナチもたじろぐくらいの表情だった。僕からはその表情は伺えなかったが、マナチの驚きようから相当不思議な表情をしていたのだろうと思った。
落ち着いたタッツーはペットボトルを開け中身の臭いを嗅ぎ、口につけて飲んだのだった。
「水ね」
「た、タッツー? それ・・・どうしたんだ?」
「ムッツー、落ち着いて聞いて、ペットボトルの水を欲しいと思い浮かべたら出てきたわ」
「え、どういうこと?」
何かあったと察したほかの四人は、いつの間にか周りにいて、タッツーが言っていることを実践し、それぞれペットボトルを手に入れ、開けて飲んだ。
「え? え? え・・・?」
ムッツーだけ状況がのめず、水を飲めずにいた。
なお僕は普通に水のペットボトルを召喚できた。ムッツーの慌てようを見ていて、ちょっとかわいいところがあるんだなと心の中で思った。
「あの光りがある所まで、どのくらいなんだろ」
マナチが足を引きずっているような足取りをしながら、ボヤいた。僕が後ろを振り返るとツバサとジュリも同じような感じで歩いてるのが目に入った。
「マナチ、わかる。ほんと遠いよね、私は休みたくなってきた」
ハルミン、彼女も疲れているのかマナチに同調した。
「ヨーちゃんも一休みしたくない?」
「ん、ああ」
突然、あだ名を呼ばれたことでドキッとしてしまい、下手な返事しかできなかった。僕は返事をした後に、指で自分の唇を触り、落ち着かせた。
「休むにしてもあたり一面砂利だらけで、座れる場所もないぞ」
「確かに、汚れてしまいますね」
ムッツーとタッツーはどうやら先を急ぎたいようだった。
「とはいえ、歩き続けないと今日中にたどり着けるかわからないしな。ジュリとツバサは大丈夫か?」
ムッツーは七人の中で遅れてきてる二人に声をかけた。
「は、はい、大丈夫です。行けます」
ジュリは身長が低い分、歩幅も他よりも短く遅く、また体力もそこまでなかった。
「わ、私も・・・だい、大丈夫です。はい」
ツバサは運動が苦手でありジュリと同じペースであり、体力もそこまでなかった。
どう見てもこの二人は休憩しないときつそうだった。
「ねぇムッツー、ここらでちょっと休憩いれましょう」
「さんせーさんせー」
タッツーはムッツーに提案するとハルミンはすかさず同意した。一同はいったん立ち止まり、その場でしゃがんだり息を整えたりし、休憩することになった。
「み、水がほしい・・・」
マナチはその場にしゃがみ込みぼそりと嘆いた。僕はそれを見て、このまま飲まず食わずのままではいずれ力尽きてしまうと思った。
マナチがため息をして、手のひらをにぎにぎしていると水が入ったペットボトルが彼女の手に握られていた。
「えっ・・・」
彼女は驚き、僕もその光景に驚いた。そして、こともあろうかペットボトルを開けて、そのまま飲み始めた。ごくごくと勢いよく飲み、口の端から水が少しこぼれていった。
「お、おい」
ペットボトルを開けるのを見ていたのは僕だけじゃなく、ムッツーも見ていたのか後ろから声がした。マナチは気にせずごくごくと飲んだ。半分くらい飲み干した後に、マナチはムッツーの方を向き、間抜けな顔をしていた。
「おま、いや、マナチそれどうしたんだ?」
「なんかあった」
「いや、あったって・・・持っていたのか?いや、あり得ない・・・えっ、どういうこと?」
「わからない、水がほしいと思ったら目の前にあった」
「そ、それで・・・開けて、飲んだと?」
「うん、普通に水だった。飲む?」
僕は目の前の状況についていけなかった。それはムッツーも同じく、ついていけてなかく、理解が追い付かないのか頭を抱えた。
「ねぇ、そのペットボトルってどうやって見つけたの?」
タッツーは頭を抱えるムッツーの横からマナチにやさしく聞いた。
「水が欲しいと思ったら目の前に出てきた」
「む~」
タッツーは唸りながら目を閉じ、水が欲しいと願ったが何も起きなかった。
「他はどんな事、思ったりした?」
「コンビニにおいてあるペットボトルの水が欲しいなぁと思ったよ」
タッツーはマナチが言われたように思い浮かべたのか、タッツーの手には水が入ったラベルのないペットボトルが握られていた。
その時のタッツーの顔は、マナチもたじろぐくらいの表情だった。僕からはその表情は伺えなかったが、マナチの驚きようから相当不思議な表情をしていたのだろうと思った。
落ち着いたタッツーはペットボトルを開け中身の臭いを嗅ぎ、口につけて飲んだのだった。
「水ね」
「た、タッツー? それ・・・どうしたんだ?」
「ムッツー、落ち着いて聞いて、ペットボトルの水を欲しいと思い浮かべたら出てきたわ」
「え、どういうこと?」
何かあったと察したほかの四人は、いつの間にか周りにいて、タッツーが言っていることを実践し、それぞれペットボトルを手に入れ、開けて飲んだ。
「え? え? え・・・?」
ムッツーだけ状況がのめず、水を飲めずにいた。
なお僕は普通に水のペットボトルを召喚できた。ムッツーの慌てようを見ていて、ちょっとかわいいところがあるんだなと心の中で思った。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
殿下、人違いです。殿下の婚約者はその人ではありません
真理亜
ファンタジー
第二王子のマリウスが学園の卒業パーティーで婚約破棄を突き付けた相手は人違いだった。では一体自分の婚約者は誰なのか? 困惑するマリウスに「殿下の婚約者は私です」と名乗り出たのは、目も眩まんばかりの美少女ミランダだった。いっぺんに一目惚れしたマリウスは、慌てて婚約破棄を無かったことにしようとするが...
可不可 §ボーダーライン・シンドローム§ サイコサスペンス
竹比古
ライト文芸
先生、ぼくたちは幸福だったのに、異常だったのですか?
周りの身勝手な人たちは、不幸そうなのに正常だったのですか?
世の人々から、可ではなく、不可というレッテルを貼られ、まるで鴉(カフカ)を見るように厭な顔をされる精神病患者たち。
USA帰りの青年精神科医と、その秘書が、総合病院の一角たる精神科病棟で、或いは行く先々で、ボーダーラインの向こう側にいる人々と出会う。
可ではなく、不可をつけられた人たちとどう向き合い、接するのか。
何か事情がありそうな少年秘書と、青年精神科医の一話読みきりシリーズ。
大雑把な春名と、小舅のような仁の前に現れる、今日の患者は……。
※以前、他サイトで掲載していたものです。
※一部、性描写(必要描写です)があります。苦手な方はお気を付けください。
※表紙画:フリーイラストの加工です。
異世界で水の大精霊やってます。 湖に転移した俺の働かない辺境開拓
穂高稲穂
ファンタジー
旧題 神癒の湖の大精霊 〜なんか俺の周りが発展していく〜
自他共認める超無気力男、冴島凪。
いつものように学校の机に突っ伏してうつらうつらと春の陽射しを浴びながら窓の外を眺めていた。
このまま居眠りに洒落込もうとしたその瞬間、全身麻酔をかけられたかのようにストンと意識を失う。
気がつくとそこは学校でも病院でもなく水の中だった。
いや……水そのものになっていた。
頭の中に不思議な知識が流れ込む。
『俺は……大精霊ってのになったのか……』
考えるのがめんどくさくなり、流れに身を任せる。
無能を装って廃嫡された最強賢者は新生活を満喫したい!
えながゆうき
ファンタジー
五歳のときに妖精と出会った少年は、彼女から自分の置かれている立場が危ういことを告げられた。
このままではお母様と同じように殺されてしまう。
自分の行く末に絶望した少年に、妖精は一つの策を授けた。それは少年が持っている「子爵家の嫡男」という立場を捨てること。
その日から、少年はひそかに妖精から魔法を教えてもらいながら無能者を演じ続けた。
それから十年後、予定通りに廃嫡された少年は自分の夢に向かって歩き出す。
膨大な魔力を内包する少年は、妖精に教えてもらった、古い時代の魔法を武器に冒険者として生計を立てることにした。
だがしかし、魔法の知識はあっても、一般常識については乏しい二人。やや常識外れな魔法を使いながらも、周囲の人たちの支えによって名を上げていく。
そして彼らは「かつてこの世界で起こった危機」について知ることになる。それが少年の夢につながっているとは知らずに……。
こじらせ中年の深夜の異世界転生飯テロ探訪記
陰陽@2作品コミカライズと書籍化準備中
ファンタジー
※コミカライズ進行中。
なんか気が付いたら目の前に神様がいた。
異世界に転生させる相手を間違えたらしい。
元の世界に戻れないと謝罪を受けたが、
代わりにどんなものでも手に入るスキルと、
どんな食材かを理解するスキルと、
まだ見ぬレシピを知るスキルの、
3つの力を付与された。
うまい飯さえ食えればそれでいい。
なんか世界の危機らしいが、俺には関係ない。
今日も楽しくぼっち飯。
──の筈が、飯にありつこうとする奴らが集まってきて、なんだか騒がしい。
やかましい。
食わせてやるから、黙って俺の飯を食え。
貰った体が、どうやら勇者様に与える筈のものだったことが分かってきたが、俺には戦う能力なんてないし、そのつもりもない。
前世同様、野菜を育てて、たまに狩猟をして、釣りを楽しんでのんびり暮らす。
最近は精霊の子株を我が子として、親バカ育児奮闘中。
更新頻度……深夜に突然うまいものが食いたくなったら。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる