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第2章
最後に笑うのは誰だ
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「ででんっ!」
「だ――」
「――って言いたいところですが!」
「へ?」
俺の言葉を遮るようにぴょんが言葉をかぶせてくる。
なんだ? どうした?
「本命候補だっただい選手は、以前に聞いていたという不正行為があったため、失格にしまーす」
「お~、名判断!」
「カンニングはダメですもんね」
「えっ? 何よカンニングって……。べ、別に失格でもいいけど……」
強がってるけど、あ、なんかちょっとだけ凹んでるようにも見える。
こいつそこまで俺にカラオケ代払わせたかったのか?
「では気を取り直して! まず、好きな衣装部門! あ、チャイナはダメだぞー」
「え、まさかの細分化!? 何部門あるんだよ!?」
「え、そりゃ、好きな衣装部門、可愛かった部門、似合ってた部門だろ」
「3人で3部門!?」
「ほら、早く言えよ」
「ぴょんは強引だな~」
「これで呼ばれなかったらちょっとショックですね」
ゆきむらそれはプレッシャーだよ!
でも、その三部門なら、うまく分けられる、かな。
「えーと、好きな衣装部門は……ゆきむら」
「え? あ、ありがとうございます」
「なるほど、巫女好きか。覚えとこ」
「デートで神社はダメだね~、目移りされちゃう」
「何の話だ!?」
でも、俺に名前を言われたゆきむらはちょっと嬉しそうな顔に、なった気がする。
こういう面もあるのか……ちょっと可愛い。
「続きましてー、可愛かった部門」
「ゆめ」
「即答ね……」
「えへへ~、知ってた~」
「お、おい!?」
再びセーラー服姿のゆめが俺の右腕に抱き着いてくる。
もう何度目かって話だが、その恰好はだめ!
知らない人が見たら援〇交際だから!
「あざといなー」
「甘え上手って言ってほしいな~」
「そうすればいいんですか?」
「えっ!?」
ゆめに続いて、ゆきむらが俺の左腕に抱き着いてくる。
ゆきむらさん!?
右手にセーラー服、左手に巫女。そして俺はスーツ姿の教師……いや、これもう犯罪臭の光景だぞ!?
「おお、ゆっきーも大胆だね~」
「争奪戦、ですもんね」
「ゆっきーにあまり変なこと教えないのっ」
お説教モードのだいが俺からゆきむらを引き離す。
ゆきむら自体はぽーっとした表情のままで、やっぱりちょっと何考えてるかは分からないな。
「それでは、一番似合ってた部門! なおこの部門は27歳以上の方しか受賞できませんので、あしからず」
「せこ~」
「それって、ぴょんさんしか――」
「ゆっきーそれを言っちゃダメ!」
あ、やっぱ最後まで呼ばれなかったからか、さすがにぴょんもちょっと凹んでる、のかな?
そんな条件つけなくても、似合ってたのはぴょんにするつもりだったんだけどな。
「年齢制限なくてもぴょんだよ。ほんとにいそうだし」
「……これあれだな、あんまし嬉しくないな!」
「お前から言ったくせに!?」
「うるせえ!」
「ぴょん照れてる~」
「照れてねぇし!」
え!? これ照れなの!?
なんでゆめ分かるの!?
「ごほん! では、最優秀賞はー!?」
「え、まだあったの!?」
「だいはダメだよ~」
え、マジか! 結局選ばなきゃいけないのかよ!
うーん、どうする!? どうする!?
「優勝者のカラオケ代を、ゼロやん持ちにするのよね?」
「おう、そうだぞー」
!!!
ナイス! ナイスアシストだい!
そうか、カラオケ代無料にする名分があれば、答えは出せたな!!
再び行われるぴょんのドラムロール真似。
そして。
「ででんっ」
「優勝は……ゆきむらで!」
……あれ?
なぜか室内を包み込む、一瞬の沈黙。
え、俺変なこと言った?
「あ、私ですか?」
「なんだー。若さの勝利かー」
「むぅ、イケてたと思うんだけどな~」
ちらっとだいに視線を向けると、小さく頷いてくれた。
さ、さすがだぜ相棒。伊達に7年来の付き合いじゃないな!
しかしゆきむらの表情はそんなに変わらな――
「嬉しいです」
「あ」
笑った。
俺の左隣のゆきむらが、今日一番の笑顔を見せていた。
それは本当に自然な笑顔で、この子、こんな表情もできたのかとびっくりするくらい、綺麗な笑顔だった。
甲乙つけられなかった俺が、一番若いし、学生だし、支払い持ってあげようとかそういう邪道な理由で選んだだけなのに、なんでそんなに嬉しそうな顔しちゃうかな……!
今俺は、どんな顔してこの笑顔と向き合えているのだろうか?
いやいや、5個も下の子にドキッとするとか、おっさんしっかりしろよ……!
「だ――」
「――って言いたいところですが!」
「へ?」
俺の言葉を遮るようにぴょんが言葉をかぶせてくる。
なんだ? どうした?
「本命候補だっただい選手は、以前に聞いていたという不正行為があったため、失格にしまーす」
「お~、名判断!」
「カンニングはダメですもんね」
「えっ? 何よカンニングって……。べ、別に失格でもいいけど……」
強がってるけど、あ、なんかちょっとだけ凹んでるようにも見える。
こいつそこまで俺にカラオケ代払わせたかったのか?
「では気を取り直して! まず、好きな衣装部門! あ、チャイナはダメだぞー」
「え、まさかの細分化!? 何部門あるんだよ!?」
「え、そりゃ、好きな衣装部門、可愛かった部門、似合ってた部門だろ」
「3人で3部門!?」
「ほら、早く言えよ」
「ぴょんは強引だな~」
「これで呼ばれなかったらちょっとショックですね」
ゆきむらそれはプレッシャーだよ!
でも、その三部門なら、うまく分けられる、かな。
「えーと、好きな衣装部門は……ゆきむら」
「え? あ、ありがとうございます」
「なるほど、巫女好きか。覚えとこ」
「デートで神社はダメだね~、目移りされちゃう」
「何の話だ!?」
でも、俺に名前を言われたゆきむらはちょっと嬉しそうな顔に、なった気がする。
こういう面もあるのか……ちょっと可愛い。
「続きましてー、可愛かった部門」
「ゆめ」
「即答ね……」
「えへへ~、知ってた~」
「お、おい!?」
再びセーラー服姿のゆめが俺の右腕に抱き着いてくる。
もう何度目かって話だが、その恰好はだめ!
知らない人が見たら援〇交際だから!
「あざといなー」
「甘え上手って言ってほしいな~」
「そうすればいいんですか?」
「えっ!?」
ゆめに続いて、ゆきむらが俺の左腕に抱き着いてくる。
ゆきむらさん!?
右手にセーラー服、左手に巫女。そして俺はスーツ姿の教師……いや、これもう犯罪臭の光景だぞ!?
「おお、ゆっきーも大胆だね~」
「争奪戦、ですもんね」
「ゆっきーにあまり変なこと教えないのっ」
お説教モードのだいが俺からゆきむらを引き離す。
ゆきむら自体はぽーっとした表情のままで、やっぱりちょっと何考えてるかは分からないな。
「それでは、一番似合ってた部門! なおこの部門は27歳以上の方しか受賞できませんので、あしからず」
「せこ~」
「それって、ぴょんさんしか――」
「ゆっきーそれを言っちゃダメ!」
あ、やっぱ最後まで呼ばれなかったからか、さすがにぴょんもちょっと凹んでる、のかな?
そんな条件つけなくても、似合ってたのはぴょんにするつもりだったんだけどな。
「年齢制限なくてもぴょんだよ。ほんとにいそうだし」
「……これあれだな、あんまし嬉しくないな!」
「お前から言ったくせに!?」
「うるせえ!」
「ぴょん照れてる~」
「照れてねぇし!」
え!? これ照れなの!?
なんでゆめ分かるの!?
「ごほん! では、最優秀賞はー!?」
「え、まだあったの!?」
「だいはダメだよ~」
え、マジか! 結局選ばなきゃいけないのかよ!
うーん、どうする!? どうする!?
「優勝者のカラオケ代を、ゼロやん持ちにするのよね?」
「おう、そうだぞー」
!!!
ナイス! ナイスアシストだい!
そうか、カラオケ代無料にする名分があれば、答えは出せたな!!
再び行われるぴょんのドラムロール真似。
そして。
「ででんっ」
「優勝は……ゆきむらで!」
……あれ?
なぜか室内を包み込む、一瞬の沈黙。
え、俺変なこと言った?
「あ、私ですか?」
「なんだー。若さの勝利かー」
「むぅ、イケてたと思うんだけどな~」
ちらっとだいに視線を向けると、小さく頷いてくれた。
さ、さすがだぜ相棒。伊達に7年来の付き合いじゃないな!
しかしゆきむらの表情はそんなに変わらな――
「嬉しいです」
「あ」
笑った。
俺の左隣のゆきむらが、今日一番の笑顔を見せていた。
それは本当に自然な笑顔で、この子、こんな表情もできたのかとびっくりするくらい、綺麗な笑顔だった。
甲乙つけられなかった俺が、一番若いし、学生だし、支払い持ってあげようとかそういう邪道な理由で選んだだけなのに、なんでそんなに嬉しそうな顔しちゃうかな……!
今俺は、どんな顔してこの笑顔と向き合えているのだろうか?
いやいや、5個も下の子にドキッとするとか、おっさんしっかりしろよ……!
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