比較的救いのあるBLゲームの世界に転移してしまった

雪 いつき

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*一度目の摂取

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「そういえば、殿下は一緒に入られましたね?」
「……何かあったにしては、神子君が静かだな」
「声が出せない状態なのでしょうか」
「だから、想像させないでくれ」
「私はおかしな事は言っていませんよ?」

 トキはにっこりと笑う。そうこうしているうちに、風真ふうまとアールがトイレから出てきた。

「フウマさん、ご無事ですか?」
「え? 無事です……?」
「何もなかったようで安心しました」
「あ、はいっ。アールが支えててくれたので転びませんでした」

 心配されていたのかと、へらりと笑う。

「……そうですか」
「神子君は眩しいな……。浄化されたよ……」

 二人の罪悪感に満ちた声。風真は首を傾げた。


「あの、……ユアンさん、途中ですみません」
「気にしないでいいよ」
「すみません……」

 アールが風真をベッドに降ろすと、手を取られてユアンのソレへと導かれた。

「ユアン、早く出せ」
「善処するよ」

 順番待ちで苛立ち始めたアールに、ユアンはつい小さく笑ってしまう。

「頑張りますっ」

 飲むのは一度だけではなかった。風真は慌ててソレを口に入れた。

「んぅっ……ん、んーっ!」

 トキの手が今度は胸に触れ、きゅうっと粒を摘まれる。弱い場所を刺激されてはたまらずに、口を離してへたりとユアンの脚の上へと倒れ込んだ。

「ふぁ、ひゃっ、ひゃあんッ」

 その間も両方の粒を捏ねられ、びくびくと震える。頬に当たる固いモノ。黒髪がそれを擽り、ユアンは小さく吐息を零した。
 だがそんな些細な刺激では達せない。ユアンは愛しげに風真を見下ろし、顎を掴み上向かせた。


「神子君、お口が留守になってるよ」
「んむっ」

(ユアンさん、時々こういう言い方するーっ)

 後頭部をそっと押さえられ、逃げられないようにされる。腰を器用に揺らして上顎に擦り付けられて、ゾクゾクとした快感が生まれた。

「ふ……うぅンッ、ん、んむっ」

(俺が気持ちよくなってどうすんの!)

 視界が利かない分、感覚が鋭くなっている。咥内を擦られる感覚も、容赦なく抓り上げられる胸も、いつの間にか下着だけにされた自身も腰が揺れてシーツに擦り付けてしまい、全てが気持ちいい。
 快楽が込み上げ、びくびくと震える。全身が痺れる感覚。それでも下肢に濡れた感触はなかった。

(やば……ずっとイってる……)

 全身に快感が走り、身を捩る。生理的な涙が零れ、気持ち良さに勝手に腰が揺れ続けた。

「もっと気持ちよくなりましょうね」
「ンッ! んぅッ――!」

 ぎゅっと自身を掴まれ、下着の上から先端を爪で弄られる。白い視界の中でパチパチと火花が散り、途方もない快感に襲われた。

「くっ……」

 喉奥に締め付けられ、ユアンも絶頂を迎える。咥内に熱い体液が叩き付けられ、風真はまたびくりと震えた。


「は……、ぅ……」

 咥内には甘い蜜の味。まるで媚薬のように体を熱くして、頭の中までとろりと快楽に蕩ける。
 ユアンのモノが口から抜かれた時には、風真はぐったりとしていた。

「ぁ……、……も、気持ちいの……や、です……」

 二人に責められ、途方もない快楽を知ってしまった。こんなものを続けられたら、頭も体も馬鹿になってしまう。

「びゃっ!!」
「っ……すみません、つい……」

 グッと風真自身を掴んだ手を離し、トキは珍しく慌てる。アールとユアンの前で、風真を快楽に顔を歪ませて泣き喚かせるところだった。

「トキ、気持ちは分かるよ。今の神子君は、煽り方が完璧だった」
「はい。無意識ですから困ります……」
「困るな」
「俺の方が……困ります……」

 三人ともに溜め息をつかれても、煽った気などないのだから困ってしまう。

(ゲームの要素、まだ残ってんだな)

 治療や譲る話で合意したとはいえ、特にアールはここまで落ち着いていられないと思っていた。それが当然のように三人でえっちなあれこれをされる流れになるとは。

(……え、これってバッドエンドフラグ立った?)

 回避したはずのバッドエンドは、三人の玩具。三人の愛のある玩具にされるフラグを立ててしまったのではないか。
 そんなまさか。無意識にぶるっと震えると、寒いと勘違いされたのか、肩から薄手の毛布が掛けられた。

「あ……ありがとう、ございます」

 誰が掛けてくれたか分からない。だがこの優しさは、バッドエンドルートには入らないと言われているようだった。


「視界は、どう?」
「……やっぱりまだ、全然です」
「じゃあ、もう一回だね」

 それでもまだ足りないと三人には分かる。次もユアンのソレが唇に触れ、風真は咄嗟に口を覆った。

「ちょっとだけ、休憩ください。ユアンさんの大きすぎて、顎が……」
「ありがとう、神子君。……あ、ごめんね、神子君」
「本音の方が出ちゃったんですね」
「褒められたら嬉しいよね」
「そうでしょうね。羨ましいです」

 見えない目でユアンのそれを見つめ、つん、とつつく。

「……煽らないで。二人がいなかったら限界だったよ」
「すみません……」

 今のは失敗だった。風真は慌ててユアンのソレを掴み、扱き始める。


「理性が飛ぶ前に、身体を落ち着かせようとしているのでしょうが……」
「今の状態で触れるのは自殺行為だな」
「そうなの!?」

 風真はパッと手を離す。

「途中で止められると余計に襲いたくなる」
「どうしろと!?」

 また掴み、扱きながら先端をちゅうちゅうと吸った。どちらにしろ駄目なら、早く出して貰うしかない。

「っ、上手だよ、フウマ……」

(ユアンさんの声やばいんだってっ……)

 褒めるように顎下を擽られ、胸がきゅうっとなる。呼応するように体が反応して、また勝手に腰が揺れた。

 今度はトキには触れられず、じわじわと体の奥に熱が溜まっていく。
 触って欲しいなど言えない。これもトキの意地悪だろうか。咥内を擦る固いものに感じながら、ぽろぽろと快楽に涙を零した。

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