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*クエストクリア報酬2
しおりを挟むここで? と風真は辺りを見渡す。
誰もいない廊下。ユアンが来る気配もない。
(メッセージが出てから時間が掛かるのかな)
そう思っていると、廊下の角から突然人陰が飛び出してきた。
「げっ、神子君っ」
(げって言った)
ユアンらしくない第一声。目を瞬かせていると、ユアンは気まずそうに風真を見下ろす。
「神子君、俺に会った事は……」
「ユアンさまぁ~? どこ~?」
「ああもうっ……」
またユアンらしくなく焦った様子を見せた。
「神子君っ、こっちにっ」
「えっ?」
「君は帰れ。口外はするなよ」
早口で命じると、優秀な護衛は一つ頷き、通りすがりの一般兵を装い気の抜けた歩き方をし始めた。
(さすが神子の部屋の護衛さん、色々有能)
そんな事を考えているうちに腕を掴まれ、近くの部屋へと引きずり込まれる。
狭い室内には、大小様々な木箱が所狭しと並べられている。どうやら物置のようだ。ユアンはその一番奥、壁と木箱の隙間に風真を押し込んだ。
「ユアンさっ……」
「黙って」
その隙間にユアンも入り込み、更に奥まで進む。トンと背が当たり、風真は壁とユアンの間に挟まれてしまった。
大きな手で口を塞がれ、もう片手は顔の横に付かれる。このイベントは壁ドンスチルでもあるのだろうか。
(刺激が強いって言ってたけど、これくらいならまぁ……)
先に由茉から予告されていたおかげで、慌てず騒がず心穏やかにいられる。
「ユアンさまぁ~」
外から女性の声が聞こえ、ユアンはますます風真の方へと身を寄せた。
「ユアンさまったら~、どこ~?」
部屋の前をうろついている。相手は良識のある令嬢なのか、勝手に扉を開けるような事はしなかった。
(……いいにおいがする)
ふわりと漂う、柑橘系の香り。見た目からはバニラやムスクの甘い香りがしそうなユアンから、こんな爽やかな香りがするとは。
「出てきて~、ユアンさまぁ~」
この辺りの部屋にいると踏んでか、女性は周囲を歩き回っている。
ユアンは息を潜め焦っている様子だが、風真は、離れに戻ったら昼食をとって図書室で勉強しよう。お昼は何かな。楽しみ、とのんびりした事を考えていた。
その時、グリッ、とユアンの膝が脚の間に押し付けられる。
「んっ!」
「いい子だから、声を出さないで」
耳元で囁かれ、思考は一気に殺伐とした。
(刺激が強いイベントって、これっ?)
脚の間のソレがユアンの脚で、勘違いとは思えない動きで刺激され始める。
「ふぅっ、んっ……んんッ」
耳を甘噛みされながら絶妙な強弱で下も刺激され、グイグイとユアンの服を引いた。
(靴の次は、膝~!!)
従兄弟揃ってろくでもない。人の大事なところを何だと思っているのか。
背を叩いても離れず、それどころか首筋に舌まで這い出した。
「ほら、動かないで」
「んぅ! うっ、んうっ!」
先端部分に容赦なく膝が押し付けられ、強烈な快感が襲う。口は塞がれたまま、息苦しさに涙が零れた。
「……可愛い」
目元に柔らかいものが触れ、ユアンにキスをされたのだと知る。
「んぅっ、んっ、ふっ」
髪にも触れる感覚。その間も下への刺激は止まない。
アールの時よりも確実に感じさせる事を目的にしている。快感に震えながら涙を流し縋り付く風真を見下ろし、可愛い、ともう一度呟いた。
(もうっ、イッ……)
快感が膨らみ、達する寸前で……フッと刺激が止んだ。
「行ったみたいだね」
(え、まだイって……)
中途半端に止められ、混乱した風真はユアンの脚にソレを擦り付けた。
「咄嗟に連れて来てしまって悪かったね。説明している暇がなかったんだ」
だがユアンは風真から離れ、乱れた黒髪を指先で整える。
「彼女は留学で訪れている他国の姫君で、何度断っても、抱いて欲しいと言ってきかないんだ。さすがに王族に手を出す訳にはいかないだろ?」
困ったよ、と苦笑して風真の目元を指先でそっと拭った。
「神子君の用事は済んだのかな。部屋まで送ってもいい?」
「……はい、……あの」
今日の服は、細身のスラックスとシャツに、ベスト。どう頑張ってもそこが主張してしまう。
「ん? 神子君、それは?」
「っ! ユアンさんがっ」
「俺が何かした?」
「っ……」
(俺のち●こグリグリしたせいだよっ!)
そう怒鳴りたいが、言えばもっと何かされそうな気がする。そんな事したかな? とか、とぼけて。
ぐぬぬ、と言わんばかりに拳を握り見上げる風真に、ユアンは今までで一番の輝く笑顔を見せた。
「仕方ないな。これを貸してあげよう」
肩からコートが掛けられる。こんな状況でなければ、異世界体験! と喜んでいただろう騎士団のコートだ。
(……いや、長いし)
袖はダボダボ、裾は引きずる。そこまで身長差はないはずだが、体格差が酷い。ユアンは笑いを堪えながら、コートのベルトで裾を上げて縛った。
「俺がいなかったら、それが収まるまで帰れないところだったね」
「ユアンさんのせいですけどっ!?」
「俺のせい?」
「っ……、帰りますっ!」
ニヤニヤと笑われて、風真はグイグイとユアンを押した。彼が退かなければ外にも出られない。
「神子君は本当に警戒心がないよね」
「ちょっ、ユアンさん!」
抱きしめられ、ジタバタと暴れる。
「何をされても許してしまうし」
「許してないですっ、怒ってますっ」
「許していない相手とは、こんな風に話もしないんだよ」
口を利かないか、本気で殴るか、悲鳴を上げて助けを求めるか。そのどれもしようとしない。
「心配だな。アールとも仲良くなったようだし、色々と教えて貰ってるんだって?」
「なんか言い方が気になりますけど、勉強教えて貰っただけです」
「本当に?」
「本当です。っていうか、なんでユアンさんが怒ってるんですか?」
言い方に棘がある。それに今までなら、こんなにしつこくなく、からかったらすぐに解放していた。
「怒ってる……のかな?」
頭上から、驚いたような声が降ってくる。
(もしかして、ユアンさんも赤ちゃん?)
従兄弟揃って、自分の感情と向き合った事がないのだろうか。そういえばトキも同じような反応をしていた。全員赤ちゃんか、と風真は困惑した
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