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*番外編4
しおりを挟む「んっ、ぁ……っ」
胸を弄られて、もうどれくらい経っただろう。
ベッドに向かい合って座ったまま、指と舌で執拗に責められて。身を捩っても、腰に回された腕で抱き寄せられて、逃げられない。
胸はもう赤く腫れて、舌先が触れるだけでもジンジンする。
「もっ、やぁっ……」
爪を立てられ抉られて、その痛みすらも快感に変わる。何度も引っ掻かれてはたまらずに、また胸だけで達してしまった。
「や……っも、そこ、やだぁっ……」
もうずっとそこばかり。また強く摘まれて、頭の芯まで突き抜けるような快感が襲った。
最初は何も出ずにイく感覚だけだったのに、今はもう、お腹も脚も俺の出したものでドロドロになってる。
寛哉さんの綺麗に割れた腹筋にもかかってしまって、なんだか、マーキングみたい。つい手を伸ばしてお腹に触れてしまった。
「へぇ? 余裕だな?」
「っ! 違っ……いっ、あぁっ、っもぅやだぁっ」
「やめて貰えない理由、分かってんだろ?」
「っ……おれ、が、悪い猫だからっ……ですっ……」
「分かってんじゃねぇか」
「は、ぃっ……」
「お前は誰のものだ?」
「ひろやさ、のっ……寛哉さんの、もの、です……っ、!!」
ぎゅうっと尖りを摘まれて、ぼろぼろと涙が零れた。
痛い、きもちいい、痛く……なく、て、今度は出さずに達してしまった。
「ひろや、さっ……ひろやさ、ん、だけの、猫ですっ……」
ひろやさんだけ。
ひろやさんだけのねこだから。
頬を擦り寄せると、いい子だ、とばかりに頭を撫でられた。
やっと胸から手が離れて、優しいキスが髪に落ちる。
甘やかすみたいに撫でられて、泣きたいほどに嬉しかった。
好き、だいすき。
だいすき、だから……。
「そんなにこれが欲しいか?」
「っ……、ほし、ぃ……」
後ろ手に寛哉さんのものに触れる。
震える脚に力を入れて、膝立ちになって脚の間にそれを触れさせた。
寛哉さんので、俺のなかをいっぱいにして……いっぱい、突いてほしい……。
奥までぜんぶ、寛哉さんのものにしてほしい……。
「こら。欲しいんじゃないのか?」
寛哉さんが手に取ったゴムを奪って、ベッドの下に放り投げる。そばにあった他のも、全部払い落としてしまった。
猫か、って寛哉さんが呆れたように笑う。
「ひろやさんの、ほしい……」
そっと撫でると、びくりと震えてますます大きくなった。
「このまま、シて……。熱いの……、いっぱい、奥にだして……」
体の奥まで、寛哉さんでいっぱいにして……。
「っ……、悪い猫だ」
「ひっ、ああッ!」
腰を掴まれた途端、酷い衝撃が襲う。
一気に奥まで貫かれて、それだけで達してしまった。
「あ、……熱、ぃっ……」
ゴムに邪魔されない、寛哉さんの熱。熱くて、溶けてどろどろになってしまいそう。
背に回した腕でぎゅっと抱きつき、頬を擦り寄せる。入ってるだけで、何度も達してるみたいに気持ちがいい。
すると突然、寛哉さんの手が痛いくらいに腰骨を掴んだ。そして。
「っ……、やっ……まって、まってぇ……ッ」
下から思い切り突き上げられて、上げた声は悲鳴に変わった。
「ひぃっ、……ま、まだっ……イったばっかりぃっ……」
「お仕置きして欲しかったんだろ?」
「ッ……!」
耳元で囁かれ耳朶に歯を立てられて、また出さずに達してしまった。
イきっぱなしで、苦しい……。狂ってしまいそう……。
……でも俺の返事は、ひとつしか許されないんだ。
「は、ぃ……、っ……、ひっああっ」
胸を噛まれて、中だけでもう何度もイってしまう。目の前が真っ白になって、その度に意識が遠ざかったり引き戻されたりする。
「ぃ、っ……んあっ、あ、っ……?」
しばらくすると、動きが少しだけ緩やかになって、寛哉さんの唇が瞼に触れた。
「本気で嫌ならそう言えよ。我慢はするな」
指先が頬を撫でる。
頭がぼんやりとして、何を言われたか良く分からなかった。
本気、で……?
……本気で、嫌じゃ、ない。
嫌じゃないから、やめないで。
何されても大丈夫、だから……捨てないで……。
目の前の体にしがみつき、頬を擦り寄せる。すると、寛哉さんは困ったような声で笑った。
「そんな怯えた顔するな。お前が何を言おうが暴れて嫌がろうが、怒らねぇし捨てねぇよ。一生離してやらねぇから、安心しろ」
優しく背を撫でられる。その手が頬に触れて、思わず頬を擦り寄せた。
大きくて、暖かい手。たくさん撫でてくれる、大切にして、守ってくれる、大好きな手。
「ひろや、さん……」
名前を呼ぶと、嬉しそうに目を細めてくれる。
優しくて、ちょっと意地悪で、俺の欲しい言葉をたくさんくれる、寛哉さんが……。
「だいすき、です」
頬に触れた手にそっと手を重ねて、精一杯笑ってみせた。そういえば、こんな風に二人きりできちんと言葉にしたこと、あったかな。
寛哉さんは少し驚いたような顔をして、すぐにとても甘い顔をした。
「ああ、俺もだ。好きだよ、みつき」
その言葉だけで、目の奥が熱くなる。
堪えようとしたのにすぐにぼろぼろと涙が零れて、そんな俺をきつく抱き締めてくれた。
背を撫で、髪にキスをして、目元にも頬にもたくさん唇が触れた。
間近で見つめる灰色の瞳。
ああ、好きだな……。
そう思ったら、俺の方からもキスをしていた。
触れるだけのキスが深いものへと変わり、酸素が足りなくなった頃。
「まあ、本気で嫌がってねぇんなら、いいよな?」
「え? ……っ!?」
さっきまでの優しい顔とは別人のように、寛哉さんがニヤリと笑った。
「っ……!」
腰を掴まれたかと思うと、いきなり奥をガツガツ突かれて目の前に星が散る。
今!? と思ってしまった。
あの雰囲気で、いきなりこんな、確かに入ったまま止まってるのは俺もつらかったけど!
「やっ、いやですっ、いやですってばっ……!」
「へぇ?」
「っ~~、寛哉さんの意地悪っ」
「そんな俺も好きだろ?」
「好っ……」
好きじゃない、わけがないけどっ。言葉にはせずにキッと睨むと、寛哉さんは愉しげに笑った。
俺がいくら嫌がっても大丈夫だと示そうとする優しさ……だと、分かってる。分かってる、けど。
感じる場所ばかりを突かれて、抉られて、イったのにまだ突かれて。嫌だと言ってもやめてくれない。やめてと言ったらキスで誤魔化された。
イきっぱなしで、体が馬鹿になったみたいだ。
体中が性感帯になったみたいに、肌が触れる感触すらも気持ちがよくてたまらない。
「っ……な、なんか、きちゃ……ぅ、っ……こわいっ……」
快感が怖いくらいに膨らんで、震える俺を寛哉さんはきつく抱き締めてくれる。
「大丈夫だ、そのまま、……イけ」
「ッ――!!」
低く囁かれる声。感じたことがないほどの快感の波が襲い、目の前が真っ白になる。
びしゃびしゃと酷い水音がして、お腹のところが熱い。体の奥にも火傷しそうなほどの熱を感じて……。
覚えているのは、そこまでだった。
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