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*Day.1-4
しおりを挟む夕食も勿論ウィリアムの手から食べさせられ、歯磨きもウィリアムが。それから……射精管理まで。ウィリアムの許しがなければ出す事も出来なかった。
(確かに抱かれてはないけどっ……)
根本を指で戒められ、はくはくと口を喘がせる。
「もう少し我慢してみようか」
「やだっ、もうイきたいですっ……」
「駄目だよ。一度で身体が収まるようにしないとね」
「そんなっ……、うあっ、あ、んんっ」
戒められたまま竿を扱かれ、ウィリアムの腕を離させようと手を伸ばす。だがガチャリと鳴る鎖に阻まれ、届かなかった。
「やだっ、これやだっ外してっ」
押し倒された時に、わざと手が届かない位置まで体を下げられたのだ。
ガチャガチャと鎖を鳴らしても、手首には痛みはない。暖人を傷付けないよう、内側が柔らかな素材で出来たものを選んでいた。
(優しさを感じる、けどっ……)
きっと吟味して選んだだろうそれに、うっかり愛情を感じている場合ではない。
だが元はといえば、うっかり反応してしまった自分が悪い。ウィリアムに歯磨きをされただけで、勝手に勃ってしまったのだ。誤魔化せないほど、全力で。
「ひ、ぅっ……」
先端に爪を立てられ、軽く達する。そのままぐりぐりと刺激され、何度も絶頂を迎える感覚が襲った。
「もう少しだけ、頑張れるかな」
「やっ……出来な、っあ、ぃっ……やぁっ」
「もう少し、……うん、いいよ」
「ひぃッ……――!」
突然戒めを外され、その指で上下に扱かれる。もう片手は先端を弄られて、背をしならせ勢い良く熱を吐き出した。
荒い呼吸が収まるまで、ウィリアムは暖人の頬や髪を撫で続けた。時々キスが落ちて、暖人は心地よさと絶頂の余韻に浸る。
(……本当に一回で収まってしまった)
暖人は混乱する。まるで何度も出したようにすっきりとして、心地よい気怠ささえある。
一体これは、とそっと瞼を持ち上げウィリアムを見ると、愛しげに目を細められた。
(オスカーさんの手だけじゃなくて、ウィルさんもだった……)
もう一度目を閉じ、いい子だとばかりに撫でられる心地よさに身を委ねた。
それからバスムームに運ばれ、髪と体を洗われて、着替えもウィリアムの手でされた。
風呂上がりの水も、ウィリアムがグラスを傾けてそれをコクコクと飲み干す。
自分で出来たのは、呼吸と生きている事くらい。
(人間としての尊厳が失われた気がする……)
そう冷静に思える辺り、まだ大丈夫なのだが。
少し手が重いくらい、なんて間違いだった。ウィリアムが安心するならと思う気持ちはあるが、これはいけない。とにかくいけない。
「あの、ウィルさん」
「何だい?」
「今更ですけど、公爵家の人にこんなにお世話して貰うのは良くないなって……」
「俺は公爵家の人間ではなく、ハルトの恋人だよ。ハルトが気になるなら、戸籍から外して」
「それは駄目です! すみません! そういえばウィルさん貴族だなってちょっと思っただけですっ」
本当は、申し訳ないから今からは全部自分でする、と言いたかった。それなのに大変な事態になるところだった。
だが、慌てる暖人の心中は、ウィリアムには全てお見通しだ。
「ハルトはそんな事を気にしていたのか……。すまない、恋人としての接し方が足りなかったね」
「えっ、そんなことはっ」
「これからは、今日以上に君を大切にするよ」
蕩けるような笑みを浮かべ、暖人が口を開く前に、その唇を塞いだ。
(お世話する理由が変わってる!)
そう言いたくても、全力で恋人なキスをされて息も出来ない。
せめて手錠はもうやめてほしい、と伝えられたのは、長い長いキスが終わり、息が出来るようになってからだった。
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