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*忘れてください
しおりを挟む「……もっ、と……」
ずるりとナカから抜け、背後でゴムを外す気配に、暖人はぽそりと呟く。
「そのまま、挿れてください……」
「……それは」
「一日だけじゃ、赤ちゃん出来ないです、大丈夫です……」
とろりと蕩けた瞳で、オスカーを見つめる。向かい合わせになり、オスカー自身を愛しげに撫でた。
「だが……」
「オスカー。一日だけなら大丈夫だよ」
「……そう思うか?」
「ああ。君も二週間の間に、ハルトの中に出した事があるだろう?」
「……まあ、あるな」
何度かは。
「だが、今のコイツの様子だと」
「それでも一日だけなら問題ない」
「本当にそう思うか?」
「ああ。それに、ハルトがこんなに望んでいるんだ。叶えてやりたいだろう」
暖人の望みなら何だって叶えてやりたい。
もし暖人が望んでくれるなら、自分も後でさせて貰いたいと思っている。そのくらい自信があるウィリアムに、オスカーは小さく息を吐いた。
「ハルト。本当にいいんだな?」
「はい……」
「また長くなるが」
「はい、途中で栄養剤飲ませてください……」
早く欲しい、とオスカー自身を本格的に扱き始めた。
愛され尽くした後の二度の絶頂で、理性が完全に飛んでいる。うっとりとして自分の半身を撫でる暖人に、体は正直に応えるもので。
すぐに硬度を取り戻したそれを、今度は向かい合わせで暖人を膝に乗せ、ナカへと埋め込んだ。
「ぁ……、ぁ、ぅ……」
脚はガクガクと震え、意識も朦朧としている。肌に触れられただけでもずっと達しているような感覚。
栄養剤を与えられ、体力が回復しても、感度の上がった体はそのままだ。
「ぅぁ……、ぁっ……ッ、ぅ……」
感じすぎてつらい。
でも、やめないで。
もっと、ほしい。
「ひ……ぁ、うぅっ」
背後から胸へと回った手。ウィリアムの指が、両方の尖りを優しく撫でては摘み上げる。
舌とは違い、今度は爪を立てたり引っ掻いたりと強い刺激を与えられて。
「あっ、ぁ、ぁ」
背を反らし達しても、先端からはもう薄くなった体液が零れるだけ。
それでもやめて欲しくなくて、オスカーの腕に力なく添える手で、きゅっと掴んだ。
それに応えるように奥を突かれる。
擦られ過ぎたナカが痛い。それすらも快感に変わり、甘えるように内壁がオスカー自身に絡みつく。
「っ、ハルト……」
髪を撫で、甘い声を零す。それだけでゾクゾクと快感が駆け抜けた。
絶頂をめがけ、突き上げる速度が増す。
「ぃッ、ぁ、ら……めっ……きもひ、ぃっ……」
もう呂律も回らなくなってしまった。
感じすぎた体は無意識に快楽から逃げようと身を捩り、背を撓らせる。だが腰骨を痛い程に掴まれ奥を突かれ、声もなく悲鳴を上げた。
「ぅぁ、ぃっ……ッ――……」
がくがくと震え、絶頂を迎える。
「くッ……」
きつく絞め上げられてはオスカーもたまらず、呻き声を上げ暖人のナカへと熱いものを吐き出した。
「ぁ……ぁ、……」
ドクドクと体のナカで脈打つ感覚。奥へと放たれる衝撃に、甘い声を上げ続ける。いっぱいに注がれた、好きな人の……。
(オスカーさん、の……)
ゆるゆると腕を伸ばし、腹を撫でる。
ここに、たくさん注がれている。彼の愛情と、子種が。
恍惚とした表情でオスカーを見上げると、願った通りにキスをされる。甘く、優しいキス。
熔ける程に熱いもので満たされて、ふわふわと全てが蕩けていくようだった。
・
・
・
目を覚ますと、眩しい朝の光が室内に注いでいた。
「……忘れてください」
仰向けになった暖人の目の前には、輝く笑顔で暖人を見つめるウィリアムと、慈しむような目をして暖人の髪を撫でるオスカーがいた。
「忘れてください……」
もう一度言って、布団を頭まで引き上げる。
昨日、帰宅した夕方から夜中までたっぷりと愛され、もっともっと、と強請る暖人に二人は応えてくれた。
結局あの後、栄養剤をもう半分と言う暖人に、ウィリアムは口移しで飲ませた。
ウィリアムとしては、暖人の疲弊具合から、残念ながら自分の番はまた今度だろうと思っていた。栄養剤で疲労が癒えたらそのまま眠るだろうと。
だが暖人は呼吸が整うと、今度はウィリアムの上に乗り上げたのだ。
それからはもう、目を覆いたくなる惨状。……暖人の記憶が。
どういうわけか、大体の事は覚えている。あの栄養剤は、脳の疲労まで取ってくれるのかもしれない。
(動けない……)
身を捩ろうとして、出来ない事に気付いた。
腰も、お尻も、背中も、体中が痛くて。
喉も痛くて声が酷く掠れている。
栄養剤の限界を越えてしまった。
三人でするにあたり、二人の格好良すぎる顔を直視しなければいけると思ったが、見る余裕すらなかった。
こちらが見られていた気もするが、そこは良く覚えていない。
「積極的なハルトも綺麗だったよ」
「忘れてくださいっ……」
「押し倒して上に乗って貰えるなんて、もう少し先だと思っ」
「忘れてください!!」
わっと叫んで顔を覆った。咳き込む事がなかったのは、やはり栄養剤が効いているのか。
「ウィル、あまり苛めるな」
まさかのオスカーが庇ってくれた。ちらりと目元だけ覗かせる。……と。
「冷静になったコイツには、俺たちの子種が欲しいと言って絞り取ろうとしてた事実は忘れたいだろ」
「忘れてたんですけどっ!?」
わざわざ思い出させてくれて!
わあっと叫んでまた布団を被る。少し前までは顔色を窺う事さえあったというのに、今ではこれだ。
「出逢った頃よりも、ハルトは随分と元気になったね」
「……ウィルさんたちが意地悪になったからです」
「そうかい? ……そうかもしれないな」
一瞬迷ったのは本気か。本気でそう思っているのかと、暖人は頭を抱えたくなった。
ぽんぽんと布団の上から背や腹を撫でられるが、絶対顔を見せてやるものかと強い意志を持って布団を握り締める。
「恥じらうハルトも愛らしいな……」
「あの大胆さは何処に行ったんだろうな」
二人して感嘆の溜め息をつく。
そのままひとしきり布団の上から撫で、ふと腹の辺りを撫でていた手が止まった。
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