後追いした先の異世界で、溺愛されているのですが。2

雪 いつき

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*ご褒美だった

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「ッ……、は、ぁっ……」

 背後から抱き締められたまま、オスカー自身が体の中に入ってくる。先程までウィリアム自身でぐちゃぐちゃにされていた後孔は、規格外のモノを呑み込んでも痛みもなかった。
 髪や耳にキスをされ、優しく名を呼ばれる。先程とは打って変わって甘い雰囲気。
 ……だが。

「う、うぅ~~っ……」

 暖人はるとは呻いた。
 あまりにもゆっくりと挿れられていく。じわじわとナカを広げられる感覚。もどかしくて腰を落としたくても、しっかりと掴まれて出来ない。
 甘やかすと言っていたが、これではご褒美ではなく、お仕置きだ。

「オスカーさんっ……」
「ん?」
「次はご褒美ってっ……」
「ああ、そうか。お前は一気に挿れる方が好きだったな」
「え……、ッうぁ!」

 グッと一気に腰を引き落とされ、ガツ、と奥に当たる。そのまま動きを止められ、びくびくと小刻みに震えた。

「止ま、られる方がっ、きついですっ……」

 先程擦られ過ぎた内壁が、快楽を求めてオスカー自身に絡み付く。勝手にうねるナカが小さな快感も拾ってしまった。


 一度半ばまで抜かれ、ホッと息を吐く。まだつらいのはつらいが。

「そうか、悪かった」
「絶対わざとですよねっ?」

 しれっと謝られ、暖人は口を尖らせた。クッと笑うオスカーは、意地悪を隠すつもりはないらしい。

「……ご褒美って言ったのに」

 つい、ぼそりと呟いてしまう。
 言葉にするつもりはないが、本当は少し期待していた。半分は、まあ、どうせ意地悪もされるだろうなとは思っていたが。それでもご褒美と言った早々とは思わなかった。

「悪かった」

 拗ねた声を出す暖人に、今度は本気で悪いと思っている声がする。

「何だろうな。お前はつい苛めたくなる」
「……そうですか」

涼佑りょうすけと同じこと言ってる……)

 二人ともが言うなら、……いや、ウィリアムも今までこんな事なかったと言うくらいいじめたいと思っているらしく、どうやら自分はいじめたい雰囲気があるのか、返す反応が良いのか、そんな感じらしい。

(……大袈裟にひんひん言われたら、そうなのかも……?)

 Sっ気がない自覚のある自分でも、三人が自分の手で反応してくれたらもっと見たいと思う。そういう事なら、分かる気がした。

 自分の事に当てはめて考えた暖人は、それなら仕方ないな、とあっさりと許してしまったのだった。


「でも、もう意地悪しないでください」
「っ、……分かった」

 振り返りオスカーを見上げてそんな事を言う暖人に、つい理性がグラついてしまう。この言動が無意識だから怖い。

「きちんと甘やかしてやる」
「はい。っ……んっ、……は、ぁ……」

 言うが早いか緩い抽挿が始まり、暖人は甘い吐息を零す。
 焦らす事なく感じる場所を優しく刺激され、甘い痺れが全身に広がった。

(気持ちいい……)

 じれったいと思わないギリギリの快感。背後からすっぽりと抱き締められ、全身で感じる体温に心まで満たされていく。

「んぁっ……」

 突然胸へと触れる熱いもの。

「ハルト、可愛い」
「うぁっ……、ぁ、ウィルさ、んっ」

 熱い舌がねっとりと絡み付き、舌全体で押し潰されては舌先で擽られる。
 噛まれる事はなく、それでも襲う強い快感に背を撓らせた。

「あっ、ウィル、さんっ……ひぁっ、ん、んぅっ……」

 ふと舌の動きが緩やかになり、じわじわとした気持ち良さに変わる。
 胸が弱い暖人は、ウィリアムが思っていたよりも感じてしまったのだ。甘やかすと言いながら、これでは胸でイかせ続ける事になってしまう。


「ハルト、そいつの事ばかり呼ぶな」
「っぁ、っ……」

 耳元に甘く低めた声と熱い吐息が触れ、ぴくんっ、と反応を返す。
 ハルト、とまた呼ばれ、ぎゅっと目を閉じた。

「ほら、呼んでみろ」
「ぁ……、オスカーさん、っ……」

 耳を甘噛みされ、首を竦める。

「……可愛いな」

 小さな反応が可愛くて、オスカーはそっと目を細めた。

「ゃっ……オスカーさんっ、それだめっ……」

 耳へと舌が触れ、わざとぴちゃぴちゃと音を立て、聴覚からも犯される感覚。
 それに合わせるようにウィリアムも胸へと、ちゅぱっと音を立てて吸い付く。

(連携プレイっ……)

 上と下から淫靡な音が響き、耳を塞ぎたくてもオスカーの腕でがっちりと抱き締められて出来ない。
 また意地悪を、と言うには甘すぎる快感。

「あっぁ、んっ……」

 ナカを緩く擦られ、耳元はオスカーの舌で、ウィリアムには胸元と頬を愛撫され、全身に伝わる甘い痺れに身をくねらせた。
 すぐに達してしまう暖人の自身だけは、触れられないまま。

「ふ、っ……はぁっ……んぁっ、ぁ」

 気持ちが良くて、頭がふわふわする。
 とろりと蕩けた瞳がウィリアムを見つめ、胸元で揺れる白金の髪に指を絡めた。

「ぁ……きもち、ぃ……」

 達する為ではなく、感じさせる為の刺激。
 ずっと気持ちが良くてたまらない。

(ご褒美だ……)

 ぼんやりと思う。
 頬も髪も褒めるように撫でられ、可愛い、いい子、と言葉でも褒められて、たっぷりと甘やかされる。
 二人がかりで愛されて、心も体も気持ちが良くて……。

「ウィルさ、ん……オスカーさん、っ……」

 二人の名を呼び、気持ちがいいと伝える。

「ハルト、ちゃんと言えていい子だね」

 ウィリアムは言葉で褒め、オスカーは髪へとキスをする。

(気持ちいい、嬉しい……)

 じわりと目の奥が熱くなり、ウィリアムの頭を胸に抱き込む。勝手に出てしまう涙なのに、見られたら心配されてしまうかもしれない。

 ウィリアムの髪を撫で、背後のオスカーへは、届かない代わりにナカをきゅうきゅうと締める。
 小さく呻いたオスカーだったが、暫くは緩やかな動きが続いて。たっぷりと、甘やかされ尽くした頃。


「ッ……! うあっ、あぁっ」

 オスカーの手が腰を掴み、動きが速められた。
 前立腺を先端で擦りながら、奥を突く動き。

「あっ、ゃっ……、イっちゃ、……」
「ああ、イっていい」
「ッんぁっ……、あぁッ――」

 脳まで痺れるような甘く低い声が注がれ、あっさりと達してしまう。
 背を撓らせ突き出した胸を、きつく吸い上げられる。絶頂に更に快感が重なって……。

(これ、だめっ……)

 目の前に星が散り、そう思った瞬間、ぷつりと意識が途切れた。





 ふと目を開けると、安堵したような青の瞳が見つめていた。

「ハルト」
「…………俺、どのくらい……」
「一分も経っていないよ」

 優しく髪を撫でられ、暖人も胸を撫で下ろす。自分だけ気持ち良くして貰って眠ってしまうのは、嫌だったのだ。
 ふと意識すると、ナカのモノはまだ固いまま。

「オスカーさんは、まだですよね……」

 たっぷり抱かれた過去の経験から、オスカーがあれで達する事はないと知っていた。

「お待たせしてすみません。動いてください」
「まだつらいだろ。お前が落ち着くまでは、このままでいい」

 確かにまだ余韻は続いているが、それよりオスカーの方がつらいはず。この状態で我慢出来たオスカーの忍耐力と理性に感心してしまう。
 それに、大切にされていると感じて嬉しかった。

「もう大丈夫です。……俺も、好きな人が感じてる姿を見るのは嬉しいですし……」

 わざとギュッとナカを締めると、オスカーは小さく呻く。

「俺に煽られてください」

 背後へと視線を向けると、グッと耐える顔をして、すぐに口の端を上げた。

「お前がそう言うなら」

 褒美だからな、と付け足して、腰を掴む。
 それからはもう、先程以上に感じる場所ばかりを突かれ、ウィリアム以上に激しい動きに暖人は少しだけ後悔した。
 だが。


「ひぁッ、あっ、オスカーさ、っ……きもち、ぃですかっ……?」
「ああ、気持ちいいよ……」

 上がる声を必死に抑え問うと、今までで一番感じ入った声が返った。

「うれし、ですっ……」

 頑張ってナカをきゅうきゅうと締める。するとまた呻き、お返しとばかりに奥をガツリと穿たれた。

 ウィリアムは先程からゆるゆると暖人自身を扱き、感じる顔を眺めて恍惚とした表情を浮かべている。
 自分がしている時はそんな余裕もなく、それにこんなに間近で、暖人の感じる顔を見られる。暖人も見られているからと気にする余裕もなく、隠す事なく全てを見せてくれていた。

「ハルトっ……」

 耳元で名を呼ばれ、暖人はぼろぼろと涙を零す。
 気持ちが良くて、感じてくれているのが嬉しくて、ぎゅうっとオスカーの腕を掴んだ。

「っ……」

 呻き声と共に、ナカのモノがびくりと震える。
 薄い膜越しに吐き出されるもの。


(……欲しかった、な)

 暖人もまた達し、勿体ないと思ってしまう。
 その熱いものを、体内に注いで欲しかった。この体で受け止めたかった。全部、欲しかった。

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