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*これだめなやつ

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 太股まで下げられただけの服の所為で、脚が開かずに余計にウィリアム自身を感じてしまう。

「ハルト、好きだよ」
「ぁ、ウィルさ、っ……あ、ぁっ」

 背後からすっぽり包み込むように抱き締められ、体を揺さぶられる。全身を包む暖かな体温に、心まで満たされる。……が。

(……これ、だめなやつだ)

 すぐに気付いた。
 がっちりとホールドされ、背を反らす事も、身動ぎする事すら出来ない。快楽を逃がす事が出来ずにただ与えられ続ける体勢。

「ウィルさん、これだめですっ……、離してくださいっ」
「駄目だよ。離さない」
「やっ、離してっ……」
「愛しているよ、ハルト」
「ぅあッ、っ……」

 耳元で囁かれ、項にキスをされる。それだけで体から力が抜けてしまう。
 項から首筋へと軽く吸い上げたり押し付けたり、そこからまた徐々に上って耳朶に舌が触れ、ぎゅっと目を瞑った。


(これだめなやつっ、だめなやつだっ……)

 耳元で名を呼ぶ、熟れた果実のように甘い声。
 肌に触れる、柔らかで暖かな唇。
 擽るように胸の尖りを撫でる指先。

 背後からの体勢が、こんなに全身責められるとは知らなかった。

(今日は上半身触るの無しって言ったのにっ……)

「ひぅッ……、ぁっ、これっ、だめぇっ」

 背を反らしたくても身動ぎも出来ない。緩やかな刺激が全身を苛み、生理的な涙が零れた。
 軽く揺さぶられているだけだというのに、ずっと絶頂を迎えているように体が小刻みに震える。

「だめっ……も、イっ、てる……イっ、ぅあ、ぁっ……」

 快感が駆け上がり絶頂を迎えた、筈だが、ずっと気持ちがよくて達しているのかも分からない。

「そうだね。いっぱい、気持ちがいいね」
「ひゃぅッ、っ……ッ」
「ハルトのナカ、ずっと俺に絡み付いているよ。分かるかい?」

 熱い吐息ごと声を注がれ、また達した感覚が襲う。あまりの快楽に麻痺した思考で、こくこくと何度も頷いた。

「いい子だ」
「ッ……!」

 その言葉に、ぎゅうぅっとナカを締め付けてしまう。ウィリアムが小さく呻き、ナカのモノがびくりと跳ねた。
 だがまだ達してはなく、硬度を保ったまま。

「……ウィルさん、は、気持ちよく、ないですか……?」

 自分ばかりよくして貰って、と暖人はるとは一瞬戻った理性で問い掛ける。力の入らない体で、頑張ってきゅうきゅうとナカを締め付けた。

「っ、俺も気持ちがいいよ」
「ッ! あ、あぁッ」
「ハルトも、気持ちいい?」
「うぁっ、ぁ……ッ」

 こくこくと頷き、ぎゅうっと目を閉じる。ウィリアムが達するまで我慢したいと思っても、感じ過ぎた身体は簡単に絶頂へと駆け上がってしまう。

「ッ――……!」

 抱き竦められたまま打ち付けるように奥を穿たれ、少しも保たずに達してしまった。


「ハルトっ……」

 ガクガクと震える体を何度も揺さぶられる。体の奥から、何かがせり上がる感覚。

「っは……ぁ、ぁ……ゃ、で、でちゃ……、っ」

 なにかくる、と感じた瞬間。ウィリアムが絶頂を迎えると同時に、ぷしゃぁ、と透明の液体が暖人自身から吹き出した。
 少量のそれは太股を濡らし、さらさらと下へと落ちていく。

 それが何かと考える間もなく、絶頂の余韻に目を閉じると、ふと全身から力が抜けた。



 意識を飛ばしていたのはほんの一瞬だったらしい。
 ウィリアム自身が抜けていく感覚に、ぴくりと体を震わせた。
 暖人を抱えたままで器用にゴムを結び、地面へと置くところを横目で眺める。

(……どうしよう……すごく、……気持ち、よかった……)

 素直に認めてはいけない気になるほど、とんでもない気持ちよさだった。
 これは拘束プレイになるのだろうか。予期せぬ上級者向けプレイを体験してしまった、と暖人は何ともいえない気持ちになる。

「ハルト、痛いところはないかい?」
「あ、はい。大丈夫です」

 そう答えると、褒めるように頭を撫でられる。頬も撫でられ、くすぐったさに首を竦めた。


「少し意地悪をしてしまったね。すまない。外ですると開放的な気分になるようで……」
「開放感は抜群ですよね……。俺としては、見られたらどうしようって思ってましたけど」

 目の前は少し開けた空間。空も見えて、隠すものが背後のウィリアムの体しかない。

「お屋敷だとウィルさんは主人ですし、そういう立場から離れた開放感もあるんでしょうか?」
「……ああ、そうかもしれないね」
「それなら、この機会にいっぱい開放的になってほしいです」

 ふわりと笑う暖人を、ウィリアムはたまらずにぎゅうっと抱き締めた。

「ハルトは、公爵家でも騎士でもない俺も、受け入れてくれるのかな」
「勿論です。俺はウィルさんという一人の人を好きになったんですから」
「……ありがとう、ハルト」

 目元にキスをすると、恥ずかしそうに、だが嬉しそうに笑う。そんな暖人だから、救世主だろうとなかろうと、守りたいと思ったのだ。



 暫し抱き締められていると、ふとウィリアムの手が脚に触れる。そして、膝の辺りで蟠っていた服を下着ごと脱がされた。

「っ、あの、ウィルさん……?」
「ハルトの可愛いところを、この世界に見て貰おうか」
「え……、っわ!」

 ガバリと大きく脚を開かされ、慌てて両手で脚の間を隠す。

「待っ……本当に全部見えちゃいますからっ」
「そうだね。繋がっているところまで見られてしまうね」
「え、ッあぅ……!」

 いつの間に付けたのか、ゴムに包まれたウィリアム自身が暖人のナカにすんなりと収まってしまった。

「ウィルさんっ、脚閉じさせてくださいっ」
「ハルト、ほら、手も離して」
「俺はこういう開放感は求めてませんからっ」

 優しく手を掴まれ引き離され、あらぬところに風を感じる。恥ずかしいやらいたたまれないやら、暖人は真っ赤になってぷるぷると震えた。


「ハルトは、挿れた事には何も言わないね?」
「え? だって、まだ一回しかしてないですし」

 当然もう一回くらいはすると思っていた。今日は長い前戯もなく、時間に追われる事もない。暖人は不思議そうに答える。
 オスカーや涼佑とも一回で終わる事はほぼなく、暖人としても体力はまだあるのだからそれが当然だと思っていた。
 だが、もう一回しますよね? と強請るような発言に聞こえる事に気付き、スッと視線を逸らす。

「……ウィルさん、一回で終わるわけないなって、思って」
「ああ、そうだね。もう少しハルトを感じていたいな」

 その気遣いが逆に恥ずかしくて、暖人はバタバタと脚を動かした。
 その仕草さえ愛しいとばかりに目を細めたウィリアムは、ますます脚を開かせ、言葉通り世界に見せつけるように腰を揺らし始めたのだった。

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