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30話 The fun is mine③
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「衆徒蒼雲の仇ッ!!!この快雲が果たしてみせるッ!!」
店先の扉を蹴破り侵入した、教団S内の集団帰納の首魁快雲は口上を述べた。
その目は黒一色。正確には強膜(白目の部分)に墨を入れているようだ。そのようにして、瞳孔の動きを悟らせない。これは教団S戦闘員に施される術の一つ静刻の法と呼ばれるものであった。
(蒼雲...仇...? 先程俺が打ち倒した暴漢のことか?奴もコイツらと同じような出立ちであったが...)
店内の少し奥に居る松野は、すかさず銃剣に手をかける。
次の瞬間!!
「フッ!!!」
突入した悪漢達が横並びになったところへ、櫻田が瞬時に立ち上がりざま十八番の早抜き一閃。快雲を含む3名の禿頭に風穴が開き、膝から倒れ込む。
続く教団の信徒達は一瞬たじろいだようだ。
「あんた達、カルトかい?あんまり不躾な連中だと思って思わずぶっ放しちまったよ...」
櫻田は溜息を吐きながらそう呟いた。
(銃声は3発に聞こえたが、一人につき身体中央(鳩尾)と頭部に2発ずつ重瞬発射。合計6発、回転弾倉に装填された全弾を撃ち込んだと見える。未だ装填をせず銃口を奴らに向けたままなのは、弾切れを悟られないためか...)
松野は即座に推察をし、実際それは非常に正確な見立てであった。
櫻田は右手で回転拳銃を構えたまま、左手で背面に回すと、ベルトに差されていた4つの銃身を持つ拳銃を取り出した。
一方回転拳銃は再度ホルスターに戻し、再度右手を突き出す。そして、その手には小ぶりのプッシュダガーが握られていた。一連の動作は恐るべき速度であり、松野は刹那感嘆の声をあげる。
「すんばらしいッ!!良いものを見せてもらった!!」
思わずそう漏らした松野に櫻田ほか店内の全員が目を向ける。それは教団の信徒達も一緒であった。
松野は続けて信徒達に向け声を張り上げた。
「貴方がたの仰る事は分かりかねる...そして此処は私の聖地なのだ。直ちに退いていただこうッ!!」
左手にて銃剣を抜き逆手持ち、剣の峰を左前腕部に接っするように手首を曲げる。まるで旋棍のような握り。これを國体術では縁鞘という。主に守勢で用いられる型である。これにより前腕部の守りを固め、刀剣類を払受けなどで防ぐ。
櫻田がほぅ、と安堵した様子を見せる。
教団員らにとっては、松野はただの刃物を持った中年である。しかし、先程彼の技量を目にした櫻田にとっては松野が自身と敵対していないことが、なりよりも有難いことなのだった。
「軽雲様...いかがしますか?」
「なんだこのジィさんは...対象と目撃者は生捕り、もしくは捨て置けとの仰付け...しかし既にこちらは3名を失っている上、輩は予想以上の使い手...致し方ない。膾斬りにしてしまえッ!!」
集団帰納のナンバー2である軽雲は部下に問われて指示を出した。と同時に右手を上げる。
ザッ。
信徒達が一斉に得物を構えなおす。
「近所迷惑にもなりますし、あまり声を荒らげないでいただきたいのですが...」
店主立向居は調理台を回転させ、収納されていた六角棒を取り出す。
右手にソレを握り、左手では人差し指を伸ばしながら中指と拇指をつけて合図を送った。
「了解しましたです、師匠...」
隣室の沢村美幸は小銃の安全装置を解除し、頬をさすった。
「状況開始ッ!!」
軽雲の一声がサムハラに響く。
店先の扉を蹴破り侵入した、教団S内の集団帰納の首魁快雲は口上を述べた。
その目は黒一色。正確には強膜(白目の部分)に墨を入れているようだ。そのようにして、瞳孔の動きを悟らせない。これは教団S戦闘員に施される術の一つ静刻の法と呼ばれるものであった。
(蒼雲...仇...? 先程俺が打ち倒した暴漢のことか?奴もコイツらと同じような出立ちであったが...)
店内の少し奥に居る松野は、すかさず銃剣に手をかける。
次の瞬間!!
「フッ!!!」
突入した悪漢達が横並びになったところへ、櫻田が瞬時に立ち上がりざま十八番の早抜き一閃。快雲を含む3名の禿頭に風穴が開き、膝から倒れ込む。
続く教団の信徒達は一瞬たじろいだようだ。
「あんた達、カルトかい?あんまり不躾な連中だと思って思わずぶっ放しちまったよ...」
櫻田は溜息を吐きながらそう呟いた。
(銃声は3発に聞こえたが、一人につき身体中央(鳩尾)と頭部に2発ずつ重瞬発射。合計6発、回転弾倉に装填された全弾を撃ち込んだと見える。未だ装填をせず銃口を奴らに向けたままなのは、弾切れを悟られないためか...)
松野は即座に推察をし、実際それは非常に正確な見立てであった。
櫻田は右手で回転拳銃を構えたまま、左手で背面に回すと、ベルトに差されていた4つの銃身を持つ拳銃を取り出した。
一方回転拳銃は再度ホルスターに戻し、再度右手を突き出す。そして、その手には小ぶりのプッシュダガーが握られていた。一連の動作は恐るべき速度であり、松野は刹那感嘆の声をあげる。
「すんばらしいッ!!良いものを見せてもらった!!」
思わずそう漏らした松野に櫻田ほか店内の全員が目を向ける。それは教団の信徒達も一緒であった。
松野は続けて信徒達に向け声を張り上げた。
「貴方がたの仰る事は分かりかねる...そして此処は私の聖地なのだ。直ちに退いていただこうッ!!」
左手にて銃剣を抜き逆手持ち、剣の峰を左前腕部に接っするように手首を曲げる。まるで旋棍のような握り。これを國体術では縁鞘という。主に守勢で用いられる型である。これにより前腕部の守りを固め、刀剣類を払受けなどで防ぐ。
櫻田がほぅ、と安堵した様子を見せる。
教団員らにとっては、松野はただの刃物を持った中年である。しかし、先程彼の技量を目にした櫻田にとっては松野が自身と敵対していないことが、なりよりも有難いことなのだった。
「軽雲様...いかがしますか?」
「なんだこのジィさんは...対象と目撃者は生捕り、もしくは捨て置けとの仰付け...しかし既にこちらは3名を失っている上、輩は予想以上の使い手...致し方ない。膾斬りにしてしまえッ!!」
集団帰納のナンバー2である軽雲は部下に問われて指示を出した。と同時に右手を上げる。
ザッ。
信徒達が一斉に得物を構えなおす。
「近所迷惑にもなりますし、あまり声を荒らげないでいただきたいのですが...」
店主立向居は調理台を回転させ、収納されていた六角棒を取り出す。
右手にソレを握り、左手では人差し指を伸ばしながら中指と拇指をつけて合図を送った。
「了解しましたです、師匠...」
隣室の沢村美幸は小銃の安全装置を解除し、頬をさすった。
「状況開始ッ!!」
軽雲の一声がサムハラに響く。
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