俺様王様の世話係

茶子ちゃ

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俺様王の世話係2

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俺は死んだのか?
まぁあの高さだしな。せっかく地道に頑張って社長になれたのに。篠崎の野郎、化けて出てやるからな。
でもおかしいな?今こうやって無にならずに俺は考える事が出来ている、もしかして夢だったのか?あー全部夢か。


「なら夢なら…どこからが夢だったんだ?」

「お前は何者だ?」


耳に入って来たのは普通の人間だったら腰砕けそうなくらいの色気ある低い声だった。

その声が誰なのか気になり、俺は目を開けた。

視界が覚束無いが一生懸命目を凝らすとやっと見えてきた。

「見た所この地の者ではないな…まさか。異世界の者か…」

低い声の持ち主は、強面ではあるが、美形だった。
金色の綺麗な髪に瞳は紅く自分の国では見た事がないまさに神がかっていた。
ここは、まさか天国か。


「神様なのか?」

「ふっ…ククク…はははは…」

その一言に美形な男は火がついたように笑い始めた。


「面白い奴だ、名はなんと言う?」

「え、三河龍一郎です」

「ほう、変わった名だな。では…龍、俺はファラス、デミリオンという。ここの国の王だ」


一瞬王と聞いた途端息を飲んだ。確かに周りを見渡すと。ここの部屋は王宮の部屋だと言われても納得いく。
まさか俺は本当に異世界に来てしまったのか。
しかもこの王様イケメンだが、どんな性格だかわからない。もしかしたら怪しまれて処刑されるとか、無いこともない。
人何人も殺してそうな顔つきではあるし。


「おい…なにやら失礼な発言を心の中でしてないか?」

「い、いえそのような事は。俺ここの世界の人間ではないんです、日本ってとこにいまして」

「ほう、ニホン…初めて聞くな。この前読んだ古い本には、その様な名前は書いてなかったが、本には、ごく稀に異世界から何らかの理由で別の地に辿り着いてしまう、という事が書かれていた」


まさか、その本の通り俺はこの地に来てしまったのか。今更戻っても俺はあっちでは死んでるんだろうし。
ならばこの地でどうにか生きていけば。また違う人生が歩めるのかもしれない。


「帰る場所が無いのか?」

「はい…俺日本で、高いところから落とされて…多分…死んでると思います、せっかく…せっかく社長になれたのに…苦労したのに」


悔しさに少し涙が出た、拳を握りしめグッと耐えたが感情は溢れかえるばかりだった。
その手に大きな手が重なる。
少し温かかった。


「社長とは…俺みたいに上に立つ者の事か?」

「ファラス王よりかはかなり劣りますが、ちょっと似てますね…」

「そうか、お前とは気が合いそうだ」


顔は強面なのに心は優しい人なんだな。少し感情が落ち着いた気がした。

「ファラスでいい、お前にはこの王宮で働いてもらおう、きちんと衣食住も完備しておくから安心してくれ、時にお前はいくつだ?」

「ほ、本当ですか!ありがとうございます。この前30になりました」

「ほう…まさか俺より年上だったとは」


やっぱり言われると思った。両親が2人とも歳の割に顔若かったからな。まさに童顔というやつだ。


「ファラスさんはおいくつなんですか?」

「ファラスだ「え?」

「ファラスと呼べと言っている、敬語も不要だ!お前は俺と仲良くなった、という事で国民の前でお前の事を異世界の友と伝えるとしよう…ちなみに俺は23歳だ」


淡々と応えるとファラスは三河の顎を綺麗な手で自分の方へ引き上げた。


「龍…お前はなかなか美人だな。夜伽はしたことあるか?」


ニヤリと笑うと背筋がゾクッとした。
夜伽…夜の営みのことだろう。確かに男の経験はあるがぶっちゃけタチ専門の自分からしたらどう見てもファラスの方がタチにしか見えない。

「まさか俺が組み敷かれるのか?」

「当たり前だ、お前の方が小さいし、ましてや俺は王だ…」


この俺様的な笑顔に結局俺は負けてしまったのだった。
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