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俺様王の世話係1
しおりを挟む○月✕日、三河龍一郎は社長に就任した。
歳は30歳、18の時に今の会社に入社し、平社員ながらも地道に業績を残していった。
その真面目さか、社長の目に留まり12年後社長の椅子を譲って貰う事となった。
社長に就任した日の夜、俺は元社長の杉澤会長が社員を集め会議室を使って就任パーティを開いてくれた。
うちの従業員は約50人ほどいる。
机にはたくさんのオードブルが並び、みんな片手にビールジョッキを持ち会長の挨拶が始まった。
「やはりわしの目に狂いはなかった、三河くんは真面目で、この会社に1番貢献、業績を残してくれた、これからは三河社長と社員一丸となってこの会社を盛り上げて欲しい!では乾杯!!!」
お互いにジョッキを鳴らし合い、ぐびぐびと社員は酒を流し込んだ。
……結構みんな飲むんだな、かの言う俺は実は下戸だった。
飲んで失敗したこともあるし、飲んだフリでもするか。
そんな俺の隣で俺の同期の部長こと、篠崎がポンッと肩を叩いた。
「おいおいー社長も飲みなよ~」
こいつもう出来上がってるな。
篠崎は顔を真っ赤にしながらケラケラ笑っている。
昔からこいつは苦手なんだ。無駄に馴れ馴れしく、尚且つ昔はしょっちゅう俺をライバル視していた。
「おい、篠崎まだ序盤でそんなんかよ」
「え~?俺全然社長より強いですからねぇ~ほらぁ早く飲んでくださいよぉ」
しつこい篠崎を横目に俺は仕方なくビールを口に含んだ。
「そんなちょこっとじゃだめれすよぉーほらほらぁー社長が飲まなくてどうするんれすかぁー?」
篠崎はわざと大きい声を出し他の社員達にチラチラと視線を送った。
酔っ払った社員達も尻馬に乗るように、飲め飲めーと騒いでいた。
先程少し飲んだビールが酒を飲みなれてない俺にはキツかったのか身体がカッと熱くなった。
途端に顔に熱を持つのを感じた。
「わっ社長弱いんですか?可愛い♡」
女性社員の何名かが三河の顔を見てキャッキャと近づいてきた。
「社長って身長もそこそこ高いし、イケメンだし私三河社長が社長になって良かったと思います」
「ですよね、ですよね!恋人いるんですか?」
興味津々に席を立ち上がると篠崎を押し退け三河の周りは女性社員が集まった。
三河は実は女性と付き合った事がなかったのだ
、恋愛対象は大体年下の男性だった。
そのせいか女性の扱いには慣れてなかった。
身長176cm、細マッチョ、キリッとした目、この容姿端麗さに女性は放っておくはずがないのだ。
昔付き合っていた女性がいたが、他の男と浮気しそいつを選んだ。その後付き合った女性は、俺を歩くATMでしかみてなかった。
そこからは自暴自棄だった。
女性が信じられなくなり、男性に走った。
普段は絶対飲まない酒をとあるBARで飲みまくった。
その後とある男性に声をかけられた。
一夜を共にしてみないかという誘いだった。
その後ホテルに行きセックスしたわけだが、なかなかに良かったという。
そこから俺の恋愛対象は男性となったわけだ。
「しゃちょぉー?恋人いるんですかぁ?」
酔ったせいか上の空でいたら1人の女性が痺れを切らしまた同じ質問をして来た。
「いないよ…すまないちょっと席を外す」
女性社員のえーっという残念な反応を後に俺は酔いを覚ますために屋上に上がり、風にあたった。
「これだから女性は…」
ぶつぶつ呟きながら柵に肘掛けタバコを吸った。
酔っているせいかタバコを吸うと頭がクラクラした。
ビルの上から遠くを見ると周りの灯りがぼやけて見えた。
そうこうしていると、屋上の扉が開き誰かが入ってきた。
振り返るとそこには、藤崎がいた。
藤崎は恨めしそうな顔でこう言った。
「本当にアンタってムカつくな…顔はいい、仕事は出来る、女性にモテる。俺には持ってないものばかり、いつもアンタは俺の邪魔をする…アンタさえ居なければ俺が社長候補だったんだ」
じりじりと近付いてきた篠崎に身体をどつかれた。柵にぶつかり、その柵は事あろうか傾いた。
「知ってますー?ここの柵ね、老朽化してるんですよ?」
「お前…何考えてっ」
「えー?社長は不慮の事故でお亡くなりになりました~。の筋書きでいいですか?」
ケタケタ笑いながら近づく篠崎に次の瞬間力いっぱい押された。背中から柵にぶつかり傾いた柵は力をなくし俺と共に下へと落ちた。
そこから俺はどうなったか。俺には分からない。
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