醜姫（仮）

アフロディーテの悲劇

簡素な部屋

姫が目を覚ましたのは、狭く湿っぽい暗い部屋でした。
部屋には簡素なベッドとテーブルと椅子があるだけです。
窓もなく、黒ずんだ木の扉は外から鍵が掛けられています。
お城にこんな部屋、あったかしら？
アフィーは混乱していました。
先ほどの人々の声が頭から離れません。
「醜い姫」「化け物よ」「悪魔だー」
胸に何かがこみ上げてきました。
その時、メイドがお盆を持って、入ってきました。
お盆の上にはご飯があるようです。
メイドはお盆を乱暴にテーブルに置いて、そのまま一言も言わずに、出て行ってしまいました。
いつもは優しいメイドの変わりように、アフィーは戸惑っていました。
これを食べろ、ということかしら。
アフィーはお盆の上の冷え切ったご飯を食べました。
普通なら熱々なはずのスープでさえ、冷たいものでした。
ご飯を食べてから少しするとなぜだか眠気に襲われ、いつの間にかアフィーは眠ってしまいました。