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ユミ
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5時を知らせる町内会のサイレンがなる頃、ユミは夕食の準備をしていた。ひき肉をこねながらハンバーグを作る気ではいつつも、どこかまだピーマンの肉詰めにするかを迷っていた。
スマホがぽんっと短く鳴り、画面に新着メッセージを知らせる。
「あーもうなんで!」
挽肉のこびり付いた手袋を外そうと思ったが、キッチンに置かれたスマホをひじで器用にタップしアプリを開く。
「ごめん急に客と呑みだわ遅くなるごめん…」
旦那からだった。
それをみた瞬間ユミは手袋を乱雑に外し、シンクにポイと投げ入れた。いくらか挽肉が床に落ちたが気にせずスマホを手に取る。
「なんでいつも急なのもうご飯つくってるけど」
ぽんっ
「ごめん」
ぽんっ
「ほんとごめん仕方ないからさ」
ここでユミはあえて少し待ってから、
「いいよ呑み過ぎないで」
と送った。
ぽんっ
「ごめんありがとう」
それに返信はせず、スマホを置いて床に落ちた挽肉を片付け、使い捨てのビニール手袋を軽く洗いゴミ箱へ、中途半端にこねられたハンバーグ(もしくはピーマンの肉詰め)が入ったボウルにラップをし、冷蔵庫に入れた。それと交換に缶チューハイを取り出してバンと扉を閉めた。自分で思っていたよりも大きな音がしたのを反省しながらも、気持ちがたかぶっていたから仕方ない。旦那がこの連絡をよこす時は本当に帰りが遅い。新婚の頃は健気に帰りを待つ事もあったが、朝になる事も少なくなかった。
プシュッと缶を開けた。胸あたりまであるセミロングの髪を掻き上げながらリビングのソファに向かい、立ったままごくんごくんと喉を鳴らして3口ほど飲んだ。
「くいぃ~…!」
普段は進んで口にしない炭酸で涙目になりながら、モデルのようにメリハリがある身体、くびれのおかげでさらに強調された丸い大きな尻をバフっとソファに沈めた。勢いでいくらかチューハイがこぼれた。
「…やった!」
ユミにとって最高のタイミングだった。夕食も作りかけだし、来月から始めるパートの件で相談したい事もあった。もっといえば仕事と言いながら夜の店に行っていることも気が付いてるし、女性の同僚とホテルに泊まった内容のメールを見てしまったなんて事まである。しかしユミはそれに対して言い詰めようとか、ましてや腹いせに自分も他の男と…などという考えはない。そういう事とは関係のない、ユミ個人の楽しみにとって最高のタイミングだったのだ。
スマホがぽんっと短く鳴り、画面に新着メッセージを知らせる。
「あーもうなんで!」
挽肉のこびり付いた手袋を外そうと思ったが、キッチンに置かれたスマホをひじで器用にタップしアプリを開く。
「ごめん急に客と呑みだわ遅くなるごめん…」
旦那からだった。
それをみた瞬間ユミは手袋を乱雑に外し、シンクにポイと投げ入れた。いくらか挽肉が床に落ちたが気にせずスマホを手に取る。
「なんでいつも急なのもうご飯つくってるけど」
ぽんっ
「ごめん」
ぽんっ
「ほんとごめん仕方ないからさ」
ここでユミはあえて少し待ってから、
「いいよ呑み過ぎないで」
と送った。
ぽんっ
「ごめんありがとう」
それに返信はせず、スマホを置いて床に落ちた挽肉を片付け、使い捨てのビニール手袋を軽く洗いゴミ箱へ、中途半端にこねられたハンバーグ(もしくはピーマンの肉詰め)が入ったボウルにラップをし、冷蔵庫に入れた。それと交換に缶チューハイを取り出してバンと扉を閉めた。自分で思っていたよりも大きな音がしたのを反省しながらも、気持ちがたかぶっていたから仕方ない。旦那がこの連絡をよこす時は本当に帰りが遅い。新婚の頃は健気に帰りを待つ事もあったが、朝になる事も少なくなかった。
プシュッと缶を開けた。胸あたりまであるセミロングの髪を掻き上げながらリビングのソファに向かい、立ったままごくんごくんと喉を鳴らして3口ほど飲んだ。
「くいぃ~…!」
普段は進んで口にしない炭酸で涙目になりながら、モデルのようにメリハリがある身体、くびれのおかげでさらに強調された丸い大きな尻をバフっとソファに沈めた。勢いでいくらかチューハイがこぼれた。
「…やった!」
ユミにとって最高のタイミングだった。夕食も作りかけだし、来月から始めるパートの件で相談したい事もあった。もっといえば仕事と言いながら夜の店に行っていることも気が付いてるし、女性の同僚とホテルに泊まった内容のメールを見てしまったなんて事まである。しかしユミはそれに対して言い詰めようとか、ましてや腹いせに自分も他の男と…などという考えはない。そういう事とは関係のない、ユミ個人の楽しみにとって最高のタイミングだったのだ。
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