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第2章
第83話 真嶋を追え!
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清志とアイナが探索を進める第3デッキの中心には研究設備が非常に多く、主要施設であった事が分かる。
ガラス張りの壁の中には様々な機器と、実験体らしき生物が入った大型の容器があちこちに見られる。
その中身は大体が異形の生命体であり、マッドサイエンティストの産物としか思えない。
「この辺りまでは来て無かったけど、これは……」
「ま、こういう研究をしていたってわけよ」
「あんな変なのが蔓延っているのも納得だ」
所々に置かれている容器の中には、陸上生物と海洋生物が混ざった様な実験体が浮かんでいる。
このエリアはアイナとシャーロットが見た実験体とはまた違うらしい。この船の中はエリアによって研究内容が少しずつ違っている。
それはシャーロットが見つけたデータにも記載されていた事だ。水中での活動をメインに陸上でも活動出来るタイプと、その逆で陸上での活動が主となるタイプ。
そして完全な水陸両用の生物の開発に大きく分けて3つのタイプが、研究開発のプランとしてはあったらしい。
「この辺りの生物を見るに、あのSG03ってヤツは陸上型だったのか?」
「そうねぇ、この辺りのは魚っぽいのが多い気はするわ」
「何だよこれ。虎の頭に魚の体って、質の悪いギャグかよ」
2人の予想通りこのエリアは、水中での活動をメインとする生物が研究されている様だ。その生産量は凄まじく、物量だけならかなりあるらしい。
その分言葉通りのタイガーフィッシュを造ってしまう辺り、迷走具合も中々の様だが。
恐らくはベースが海洋生物である事から、水中メインの実験体の方が作り易くはあったのだろう。
魚に翼を与えてみたり、鋭い爪を与えてみたりと色々と試された成果がズラリと並んでいる。
そこに意味はあったのか、価値のある結果が得られたのか怪しい者が大半に見える。
2人には全く価値の分からない研究にしか見えなかった。だが黄泉津大神は興味深そうに見ている。
「人間って不思議ねぇ。何がしたいのか分からないわ」
「それは俺達も思ってるから」
「同じ人間って括りには入れて欲しくないけどね」
アイナはアプリで真嶋の痕跡をチェックしながら、嫌そうな顔で返した。真っ当に生きて来た人間であれば、こんな研究をしている者達とは一緒にされたくないだろう。
精神を病んだ人々が作ったオブジェクトかと聞きたくなる様な、前衛芸術めいた生物達が展示されている。
清志とアイナが比較的こういう場所に慣れているだけであり、一般人が見れば正気度を失いそうな光景だ。
海洋生物を愛する人が目にすれば、発狂してしまうのではないだろうか。生命への冒涜という言葉が実に相応しい研究だった。
「待って、この足跡は数分前のモノだと出ているわ」
「ホントか!? じゃあそろそろ」
「ええ、気を引き締めた方が良いかも」
魔導協会が作成したアプリは中々優秀であり、魔術的な分析から特定した痕跡の大まかな経過時間まで算出する事が可能である。
今アイナが持つスマートフォンの画面には、真嶋の物と思われる足跡が表示されており、その分析結果は約5分前と表示されている。
アイナと清志は視線を交わすと、気を引き締めながら先へと進む。それから暫くして、清志達は少し開けた広い部屋に出た。
そこはこれまでの部屋にあった容器よりも、更に大きな物が大量に設置されている。
巨大な水槽まであり、異形生物の水族館に来たのかと錯覚させる様な光景が広がっている。
これまでで一番趣味が悪い空間であった。そしてその奥には、探していた真嶋の姿があった。
「見付けたわよ!」
「アイツか!」
「ひっ、ひひひ! 捕まってたまるか!」
真嶋が何かのパネルを操作すると、急速に水槽の水が引いていく。それと共に警報音が鳴り響く。
真嶋が何をしたのか分からない為、清志達は周囲を警戒する。その一瞬の隙を突いて、真嶋が居る場所へと続く通路が閉ざされて行く。
急いで清志が確保に向かうが、ギリギリの所で間に合わず分断されてしまう。しかし完全に閉じる直前、アイナの射撃が間に合い真嶋の肩を貫いた。
殺さない様に加減したので仕方ないが、またしても逃亡されてしまった。それと同時に、周囲の床や水槽のガラスが可動していく。
何が起きたているのか把握しようと、2人が周囲を見ると、驚きの光景が広がっていた。
「おいおい、嘘だろ。今度はこれか?」
「サメと、ワニでも混ぜたの?」
「B級ホラー映画かよ!」
清志達の周囲を取り囲む様に出現したのは、体はワニで頭部がサメという、小学生が考えたのかと問いたい生物だ。
しかしこの実験体は、わりと良い成績を残した完成品である。水中ではサメに近い速度で泳ぎ、陸上ではワニの様に活動が可能だ。
そしてその体長は4メートルに達する巨体である。人間を相手にするならば、十分過ぎるパワーと体重がある。
それが少なくとも20匹以上は集まって来ている。監督の気が狂ったとしか思えないB級サメ映画の様な光景に、清志が叫びたくなるのも無理は無い。
「仕方ない、やるぞ!」
「ええ、さっさと倒して真嶋を追うわよ!」
新たに出現した生物兵器との戦いが始まる。今回はイソギンチャク頭のSG03よりは強力な個体であり、それなりに手間をかけさせられる事となった。
ガラス張りの壁の中には様々な機器と、実験体らしき生物が入った大型の容器があちこちに見られる。
その中身は大体が異形の生命体であり、マッドサイエンティストの産物としか思えない。
「この辺りまでは来て無かったけど、これは……」
「ま、こういう研究をしていたってわけよ」
「あんな変なのが蔓延っているのも納得だ」
所々に置かれている容器の中には、陸上生物と海洋生物が混ざった様な実験体が浮かんでいる。
このエリアはアイナとシャーロットが見た実験体とはまた違うらしい。この船の中はエリアによって研究内容が少しずつ違っている。
それはシャーロットが見つけたデータにも記載されていた事だ。水中での活動をメインに陸上でも活動出来るタイプと、その逆で陸上での活動が主となるタイプ。
そして完全な水陸両用の生物の開発に大きく分けて3つのタイプが、研究開発のプランとしてはあったらしい。
「この辺りの生物を見るに、あのSG03ってヤツは陸上型だったのか?」
「そうねぇ、この辺りのは魚っぽいのが多い気はするわ」
「何だよこれ。虎の頭に魚の体って、質の悪いギャグかよ」
2人の予想通りこのエリアは、水中での活動をメインとする生物が研究されている様だ。その生産量は凄まじく、物量だけならかなりあるらしい。
その分言葉通りのタイガーフィッシュを造ってしまう辺り、迷走具合も中々の様だが。
恐らくはベースが海洋生物である事から、水中メインの実験体の方が作り易くはあったのだろう。
魚に翼を与えてみたり、鋭い爪を与えてみたりと色々と試された成果がズラリと並んでいる。
そこに意味はあったのか、価値のある結果が得られたのか怪しい者が大半に見える。
2人には全く価値の分からない研究にしか見えなかった。だが黄泉津大神は興味深そうに見ている。
「人間って不思議ねぇ。何がしたいのか分からないわ」
「それは俺達も思ってるから」
「同じ人間って括りには入れて欲しくないけどね」
アイナはアプリで真嶋の痕跡をチェックしながら、嫌そうな顔で返した。真っ当に生きて来た人間であれば、こんな研究をしている者達とは一緒にされたくないだろう。
精神を病んだ人々が作ったオブジェクトかと聞きたくなる様な、前衛芸術めいた生物達が展示されている。
清志とアイナが比較的こういう場所に慣れているだけであり、一般人が見れば正気度を失いそうな光景だ。
海洋生物を愛する人が目にすれば、発狂してしまうのではないだろうか。生命への冒涜という言葉が実に相応しい研究だった。
「待って、この足跡は数分前のモノだと出ているわ」
「ホントか!? じゃあそろそろ」
「ええ、気を引き締めた方が良いかも」
魔導協会が作成したアプリは中々優秀であり、魔術的な分析から特定した痕跡の大まかな経過時間まで算出する事が可能である。
今アイナが持つスマートフォンの画面には、真嶋の物と思われる足跡が表示されており、その分析結果は約5分前と表示されている。
アイナと清志は視線を交わすと、気を引き締めながら先へと進む。それから暫くして、清志達は少し開けた広い部屋に出た。
そこはこれまでの部屋にあった容器よりも、更に大きな物が大量に設置されている。
巨大な水槽まであり、異形生物の水族館に来たのかと錯覚させる様な光景が広がっている。
これまでで一番趣味が悪い空間であった。そしてその奥には、探していた真嶋の姿があった。
「見付けたわよ!」
「アイツか!」
「ひっ、ひひひ! 捕まってたまるか!」
真嶋が何かのパネルを操作すると、急速に水槽の水が引いていく。それと共に警報音が鳴り響く。
真嶋が何をしたのか分からない為、清志達は周囲を警戒する。その一瞬の隙を突いて、真嶋が居る場所へと続く通路が閉ざされて行く。
急いで清志が確保に向かうが、ギリギリの所で間に合わず分断されてしまう。しかし完全に閉じる直前、アイナの射撃が間に合い真嶋の肩を貫いた。
殺さない様に加減したので仕方ないが、またしても逃亡されてしまった。それと同時に、周囲の床や水槽のガラスが可動していく。
何が起きたているのか把握しようと、2人が周囲を見ると、驚きの光景が広がっていた。
「おいおい、嘘だろ。今度はこれか?」
「サメと、ワニでも混ぜたの?」
「B級ホラー映画かよ!」
清志達の周囲を取り囲む様に出現したのは、体はワニで頭部がサメという、小学生が考えたのかと問いたい生物だ。
しかしこの実験体は、わりと良い成績を残した完成品である。水中ではサメに近い速度で泳ぎ、陸上ではワニの様に活動が可能だ。
そしてその体長は4メートルに達する巨体である。人間を相手にするならば、十分過ぎるパワーと体重がある。
それが少なくとも20匹以上は集まって来ている。監督の気が狂ったとしか思えないB級サメ映画の様な光景に、清志が叫びたくなるのも無理は無い。
「仕方ない、やるぞ!」
「ええ、さっさと倒して真嶋を追うわよ!」
新たに出現した生物兵器との戦いが始まる。今回はイソギンチャク頭のSG03よりは強力な個体であり、それなりに手間をかけさせられる事となった。
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