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第2章
第82話 合流したパートナー
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無事本来のパートナーと合流出来た清志達。ここからは元々のコンビ同士で行動する事になる。
情報の共有によって、イソギンチャク頭の正式名称がSG03であるという事が清志と愛花に伝わった。
その変わりに既に相当な数が湧いている事をアイナとシャーロットは知る。異界に入った事や幽霊の少女など、それらの情報も共有された。
「そう言えば亮二と茉莉を見てない?」
「いいえ、見なかったわね」
「ええ。私も見ておりませんね」
「まあアイツらなら大丈夫だとは思うが」
同じくアドベンチャー号の調査をしている清志の友人、安倍亮二と真田茉莉の2人は未だ行方が分からないまま。
諜報のスペシャリストである為に、清志達とは違う動きをしているのは間違いないだろう。ただ船内がややこしい事になっているので、清志としては少し気がかりだった。
戦闘力は十分あるので、ピンチに陥る事はないと清志も考えてはいる。ただ状況的に何が起こるか分からないという意味では不安も残る。
いずれにせよこの状況を打破せねば彼らを探すのも難しい。ここからまた二手に分かれて対処する事に決まった。
「俺達が真嶋って男を探せばいいんだな」
「で、私達がSG03の親玉を探すと」
「ねぇ逆にしない? 私嫌なんだけど」
「何を言っておりますの? 適材適所でしょうに」
シャーロットが愛花と合流した事で、大量に湧くSG03の殲滅が容易になった。具体的に言えば、愛花が水を撒いてシャーロットが凍らせればそれで終了だ。
閉所で知性のない大群を相手にするなら、この2人の方が清志達よりも向いている。特にアイナの場合は、全力を出すと船体が損傷し兼ねない。
下手をして船底に穴でも開いたら厄介な事になる。その場合はアイナが修理すれば解決はするが、どう考えても効率は悪い。
そんな事をするぐらいならば、対生物戦で圧倒的に有利な愛花達の方が良い。体温を急激に奪うというのは、大体の生物に有効な手段だ。
今回の件では、水の魔術師と氷の魔術師の組み合わせは非常に強力である。
「それじゃあシャーロットにこれを渡しておくわね」
「これは、トランシーバーですか?」
「私の魔力を注いであるから、ある程度は妨害に抵抗できる筈よ」
船内に広がっている妨害魔術は、通信機器にも影響を及ぼしている。有線接続ならともかく、無線の類は殆ど使い物にならない。
この状況に対抗する為にアイナが作成した物で、ある程度の時間ならギリギリ使用出来る。アイナの呪われた魔力は、当然妨害魔術の効果を受けない。
その性質を利用して、トランシーバーの内部にアイナの魔力を貯めて妨害魔術から内部を守っている。
飛ばすのも電波ではなくアイナの魔力なので、妨害魔術に対する耐性を持つ。ただしシャーロットに渡した方は、使えば使う程アイナの魔力は減ってしまう。
内部の魔力量と妨害魔術への抵抗力を考えると、もってせいぜい1時間が良い所と思われる。
「何かあったら、すぐ呼べよ」
「分かっておりますわ」
「はぁ……またあのウネウネの相手かぁ」
「それじゃあまた後で会いましょう!」
シャーロットと愛花はSG03の巣を探しに、清志とアイナは消えた真嶋の行方を探す。暇そうにしていた黄泉津大神も清志達について行く。
いつもの2人と1柱になり、動き易さが上がった2人。今度はアイナがスマートフォンでアプリを使用し目標の痕跡を探す。
真嶋は第3デッキのどこか、もしくはそれよりも上に向かっていると思われる。痕跡を辿りながら清志達は先へと進んで行く。
このエリアは大体清志と愛花が殲滅しているので、SG03の姿は見られない。倒された後の死骸を見て、アイナは嫌悪感を覚えた。
「確かにこれは……愛花も嫌がるわけね」
「見た目はまあ、良くはないな」
「良くこんな実験をやろうと考えたものね」
見た目の生理的嫌悪感も当然あるのだが、それ以上に生命への冒涜感が大きい。実験の記録を見ただけでもアイナが感じた怒りは相当なものだ。
この様な命を弄ぶ実験はどれもそうだが、関係者のぶっ飛んだ倫理観が必ずどこかに表れる。普通に生きて来たら絶対にやろうとは考えない所業。
それを平然とやれてしまう非常識さが、吐き気を催す邪悪さを醸し出す。こう言った現場を清志とアイナは何度も見て来ている。
今回の件はその中でも上位に入る、独特な悪辣さが隅々まで行き渡っている。何百年経とうが変わらない、人間の欲望と愚かさが詰まっている。
「はぁ、本当に何がしたかったのやら」
「本当にな。早く真嶋って奴を締め上げよう」
「ちゃんと会話になるか、怪しいけどね」
既に人ではない何かへ変わってしまった関係者の生き残り。あの男を捕まえてもっと詳しい話を聞かねばならない。
この船で行われていた実験の数々は、大きな事件として知れ渡るだろう。その動機や真の狙い、レヴィアタンを捕まえると言うバカげた夢と兵器にしようとした理由。
その全てを解き明かし、裏にいる出資していた者達にも捜査の手を伸ばさねばならない。それが清志達の使命であり、執行者としての業務だ。
その為の貴重な手掛かりを持つ男を、本来のパートナーと合流した2人は追い続けた。
情報の共有によって、イソギンチャク頭の正式名称がSG03であるという事が清志と愛花に伝わった。
その変わりに既に相当な数が湧いている事をアイナとシャーロットは知る。異界に入った事や幽霊の少女など、それらの情報も共有された。
「そう言えば亮二と茉莉を見てない?」
「いいえ、見なかったわね」
「ええ。私も見ておりませんね」
「まあアイツらなら大丈夫だとは思うが」
同じくアドベンチャー号の調査をしている清志の友人、安倍亮二と真田茉莉の2人は未だ行方が分からないまま。
諜報のスペシャリストである為に、清志達とは違う動きをしているのは間違いないだろう。ただ船内がややこしい事になっているので、清志としては少し気がかりだった。
戦闘力は十分あるので、ピンチに陥る事はないと清志も考えてはいる。ただ状況的に何が起こるか分からないという意味では不安も残る。
いずれにせよこの状況を打破せねば彼らを探すのも難しい。ここからまた二手に分かれて対処する事に決まった。
「俺達が真嶋って男を探せばいいんだな」
「で、私達がSG03の親玉を探すと」
「ねぇ逆にしない? 私嫌なんだけど」
「何を言っておりますの? 適材適所でしょうに」
シャーロットが愛花と合流した事で、大量に湧くSG03の殲滅が容易になった。具体的に言えば、愛花が水を撒いてシャーロットが凍らせればそれで終了だ。
閉所で知性のない大群を相手にするなら、この2人の方が清志達よりも向いている。特にアイナの場合は、全力を出すと船体が損傷し兼ねない。
下手をして船底に穴でも開いたら厄介な事になる。その場合はアイナが修理すれば解決はするが、どう考えても効率は悪い。
そんな事をするぐらいならば、対生物戦で圧倒的に有利な愛花達の方が良い。体温を急激に奪うというのは、大体の生物に有効な手段だ。
今回の件では、水の魔術師と氷の魔術師の組み合わせは非常に強力である。
「それじゃあシャーロットにこれを渡しておくわね」
「これは、トランシーバーですか?」
「私の魔力を注いであるから、ある程度は妨害に抵抗できる筈よ」
船内に広がっている妨害魔術は、通信機器にも影響を及ぼしている。有線接続ならともかく、無線の類は殆ど使い物にならない。
この状況に対抗する為にアイナが作成した物で、ある程度の時間ならギリギリ使用出来る。アイナの呪われた魔力は、当然妨害魔術の効果を受けない。
その性質を利用して、トランシーバーの内部にアイナの魔力を貯めて妨害魔術から内部を守っている。
飛ばすのも電波ではなくアイナの魔力なので、妨害魔術に対する耐性を持つ。ただしシャーロットに渡した方は、使えば使う程アイナの魔力は減ってしまう。
内部の魔力量と妨害魔術への抵抗力を考えると、もってせいぜい1時間が良い所と思われる。
「何かあったら、すぐ呼べよ」
「分かっておりますわ」
「はぁ……またあのウネウネの相手かぁ」
「それじゃあまた後で会いましょう!」
シャーロットと愛花はSG03の巣を探しに、清志とアイナは消えた真嶋の行方を探す。暇そうにしていた黄泉津大神も清志達について行く。
いつもの2人と1柱になり、動き易さが上がった2人。今度はアイナがスマートフォンでアプリを使用し目標の痕跡を探す。
真嶋は第3デッキのどこか、もしくはそれよりも上に向かっていると思われる。痕跡を辿りながら清志達は先へと進んで行く。
このエリアは大体清志と愛花が殲滅しているので、SG03の姿は見られない。倒された後の死骸を見て、アイナは嫌悪感を覚えた。
「確かにこれは……愛花も嫌がるわけね」
「見た目はまあ、良くはないな」
「良くこんな実験をやろうと考えたものね」
見た目の生理的嫌悪感も当然あるのだが、それ以上に生命への冒涜感が大きい。実験の記録を見ただけでもアイナが感じた怒りは相当なものだ。
この様な命を弄ぶ実験はどれもそうだが、関係者のぶっ飛んだ倫理観が必ずどこかに表れる。普通に生きて来たら絶対にやろうとは考えない所業。
それを平然とやれてしまう非常識さが、吐き気を催す邪悪さを醸し出す。こう言った現場を清志とアイナは何度も見て来ている。
今回の件はその中でも上位に入る、独特な悪辣さが隅々まで行き渡っている。何百年経とうが変わらない、人間の欲望と愚かさが詰まっている。
「はぁ、本当に何がしたかったのやら」
「本当にな。早く真嶋って奴を締め上げよう」
「ちゃんと会話になるか、怪しいけどね」
既に人ではない何かへ変わってしまった関係者の生き残り。あの男を捕まえてもっと詳しい話を聞かねばならない。
この船で行われていた実験の数々は、大きな事件として知れ渡るだろう。その動機や真の狙い、レヴィアタンを捕まえると言うバカげた夢と兵器にしようとした理由。
その全てを解き明かし、裏にいる出資していた者達にも捜査の手を伸ばさねばならない。それが清志達の使命であり、執行者としての業務だ。
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