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第1章
第11話 恋愛相談
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「うわ最悪~1年以上放置したの?」
「放置じゃないよ! 連絡とかはしてたし」
「私なら無理だなぁ」
高校生になってから再会を果たした女子、中野翠に凛ちゃんの件で相談をしてみた。
同じ吹奏楽部だし、価値観も近いんじゃないかと思って。そうしてみたら、即ダメ出しされた。どうやら俺が悪かったらしい。
「どうしたら良かったんだ?」
「そりゃあ、ちゃんと恋人して欲しかったでしょ」
そう言うモノなのか、女の子って。付き合うとかそう言うのは、もうちょい大人になってからじゃないのか。
中学生の時からそんな事を考えるのかよ。知らないよそんなの、早く教えてくれそれは。全然そこまで頭が回ってないよ俺は。
「なら、今からじゃダメなのか?」
「まあ無理じゃない? 遊ばれたって思うよ普通」
「……そんなつもり無いのに」
とんでもない誤解だ。そんな風に思った事は一度もない。馬鹿にしたりもしていないし、本当に仲が良い奴にしか教えていない。
裏で笑ったりした事もない。遊びにするつもりなんて無かったのに。本当に心から好きな、特別な女の子だっと言うのに。
だけど、そう考えたなら距離を置くのも無理はない。不誠実な遊び人だと思われてしまったのなら、それは俺の責任だ。
毎日好きだと伝えた訳じゃない。あの日だけしか言えていない。ちょっと恥ずかしくて、何度も口には出来ない。
と言うよりも、口に出した事がない。文章で伝えただけに過ぎない。思い返せば、自分のやった事の酷さに頭が痛くなって来る。誠実とは正反対を行く行動しか出来ていないじゃないか。
「最悪嫌われてるかも」
「………………終わった」
「いい勉強になったと思うしかないよ」
可哀想な目で見てくれるな。美人の憐れみの視線は特に痛いんだから。すっかり綺麗な女の子になったよね君。
こんな子が昔は好きで居てくれたなんて、ちょっと信じられない。少し長めの髪を、茶色に染めた線の細い女の子。
少し眼がキツめではあるけれど、笑うと見える八重歯が特徴の女の子。見た目は非力そうだけど、トロンボーンを持ち上げる腕力はしっかりある。
スイミングスクールに通っていたぐらいだから、運動が苦手なタイプではない。凛ちゃんとは対象的だ。
いや、もう良いだろ凛ちゃんの話は。いい加減区切りを付けよう。俺が悪かったんだよ、今日までの俺が。
「終わった俺の話はもう良いだろ。そっちはどうなんだよ」
「それがさ~嫌だって言われて」
「は? アイツ何が嫌なの?」
こんなに可愛い女の子なのに、友人の安田正樹は恋人にしたくないらしい。何が不満なんだアイツは?
恋人としては100点満点だろ中野は。明るいし話も面白いし、性格も真っ直ぐで嫌な所はない。
多少気は強いかも知れないが、今時そんなの珍しくない。スタイルも全然良い方だし、身長も極端じゃなく平均的。
こんな子を嫌と言える男が羨ましいよ。安田はイケメンだから、異性には苦労していないんだろう。なんて贅沢な奴だ。
黙ってたらカッコいいと、昔から言われ続けて来ただけはある。俺はそんな事一度も言われた事がないぞ。
「合わないって言われてそれで終わり」
「何だそれ、俺が一言言っとくよアイツに」
「喧嘩しないでよ? 怒ってはいないから」
もちろんそんなつもりは無い。ただ、贅沢を言うなと抗議したいだけだ。中野レベルの女の子を、合わないの一言で切り捨てるのは有り得ない。
アイツは彼女が居ないんだから、一度ぐらい付き合ってみれば良いのに。
と思ってみたけど、俺もそうじゃないか。凛ちゃんに対して、やった事は殆ど同じだ。女の子の期待に一切応えていない。
ただ女の子に、告白させただけじゃないか。そっか、目の前の女の子と同じ目に合わせたんだ。
「俺も同じか」
「まだマシじゃない? 好きとは返したんでしょ?」
「文字でだけなんだけどな」
難しいなぁ女の子との関係って。もしかして、俺が気付いてないだけで他にも? 誰かに似た様な事をしてしまって居るんだろうか。
そんな事はない筈だけど、今後は気を付けた方が良いかも知れない。それに凛ちゃんにも謝らないと。
謝って許されるのか、やり直せるのかは分からないけど。
「俺はこうなったけど、中野は諦めるなよ」
「え? 無理じゃないもう?」
「俺が説得してみるから!」
せめてこの子には、幸せな未来があって欲しい。安田は家も近いし、頻繁に顔を合わせるから直接言ってやろう。
中野みたいな女の子に好かれるのが、どれだけ幸せな事かを。モテるからと天狗になっているんじゃないかと、問い正してやろう。お前は凄い幸運を、無駄にしているんだぞと。
「藤木もオタク辞めたら彼女出来るって」
「……何で皆それ言う? そんなにオタク駄目?」
「まあ、イメージ良くはないかなやっぱり」
そんなに駄目なのオタクって。何かこう、世間的には皆がやんわりオタクみたいな感じじゃないの? そう言う世の中になったんじゃないの? 理不尽だよ、世の中って。
どうせ彼女を作るなら、オタクでも許してくれる女の子が良いな。ま、そんな女の子が周りに居ないんですけどね。
「放置じゃないよ! 連絡とかはしてたし」
「私なら無理だなぁ」
高校生になってから再会を果たした女子、中野翠に凛ちゃんの件で相談をしてみた。
同じ吹奏楽部だし、価値観も近いんじゃないかと思って。そうしてみたら、即ダメ出しされた。どうやら俺が悪かったらしい。
「どうしたら良かったんだ?」
「そりゃあ、ちゃんと恋人して欲しかったでしょ」
そう言うモノなのか、女の子って。付き合うとかそう言うのは、もうちょい大人になってからじゃないのか。
中学生の時からそんな事を考えるのかよ。知らないよそんなの、早く教えてくれそれは。全然そこまで頭が回ってないよ俺は。
「なら、今からじゃダメなのか?」
「まあ無理じゃない? 遊ばれたって思うよ普通」
「……そんなつもり無いのに」
とんでもない誤解だ。そんな風に思った事は一度もない。馬鹿にしたりもしていないし、本当に仲が良い奴にしか教えていない。
裏で笑ったりした事もない。遊びにするつもりなんて無かったのに。本当に心から好きな、特別な女の子だっと言うのに。
だけど、そう考えたなら距離を置くのも無理はない。不誠実な遊び人だと思われてしまったのなら、それは俺の責任だ。
毎日好きだと伝えた訳じゃない。あの日だけしか言えていない。ちょっと恥ずかしくて、何度も口には出来ない。
と言うよりも、口に出した事がない。文章で伝えただけに過ぎない。思い返せば、自分のやった事の酷さに頭が痛くなって来る。誠実とは正反対を行く行動しか出来ていないじゃないか。
「最悪嫌われてるかも」
「………………終わった」
「いい勉強になったと思うしかないよ」
可哀想な目で見てくれるな。美人の憐れみの視線は特に痛いんだから。すっかり綺麗な女の子になったよね君。
こんな子が昔は好きで居てくれたなんて、ちょっと信じられない。少し長めの髪を、茶色に染めた線の細い女の子。
少し眼がキツめではあるけれど、笑うと見える八重歯が特徴の女の子。見た目は非力そうだけど、トロンボーンを持ち上げる腕力はしっかりある。
スイミングスクールに通っていたぐらいだから、運動が苦手なタイプではない。凛ちゃんとは対象的だ。
いや、もう良いだろ凛ちゃんの話は。いい加減区切りを付けよう。俺が悪かったんだよ、今日までの俺が。
「終わった俺の話はもう良いだろ。そっちはどうなんだよ」
「それがさ~嫌だって言われて」
「は? アイツ何が嫌なの?」
こんなに可愛い女の子なのに、友人の安田正樹は恋人にしたくないらしい。何が不満なんだアイツは?
恋人としては100点満点だろ中野は。明るいし話も面白いし、性格も真っ直ぐで嫌な所はない。
多少気は強いかも知れないが、今時そんなの珍しくない。スタイルも全然良い方だし、身長も極端じゃなく平均的。
こんな子を嫌と言える男が羨ましいよ。安田はイケメンだから、異性には苦労していないんだろう。なんて贅沢な奴だ。
黙ってたらカッコいいと、昔から言われ続けて来ただけはある。俺はそんな事一度も言われた事がないぞ。
「合わないって言われてそれで終わり」
「何だそれ、俺が一言言っとくよアイツに」
「喧嘩しないでよ? 怒ってはいないから」
もちろんそんなつもりは無い。ただ、贅沢を言うなと抗議したいだけだ。中野レベルの女の子を、合わないの一言で切り捨てるのは有り得ない。
アイツは彼女が居ないんだから、一度ぐらい付き合ってみれば良いのに。
と思ってみたけど、俺もそうじゃないか。凛ちゃんに対して、やった事は殆ど同じだ。女の子の期待に一切応えていない。
ただ女の子に、告白させただけじゃないか。そっか、目の前の女の子と同じ目に合わせたんだ。
「俺も同じか」
「まだマシじゃない? 好きとは返したんでしょ?」
「文字でだけなんだけどな」
難しいなぁ女の子との関係って。もしかして、俺が気付いてないだけで他にも? 誰かに似た様な事をしてしまって居るんだろうか。
そんな事はない筈だけど、今後は気を付けた方が良いかも知れない。それに凛ちゃんにも謝らないと。
謝って許されるのか、やり直せるのかは分からないけど。
「俺はこうなったけど、中野は諦めるなよ」
「え? 無理じゃないもう?」
「俺が説得してみるから!」
せめてこの子には、幸せな未来があって欲しい。安田は家も近いし、頻繁に顔を合わせるから直接言ってやろう。
中野みたいな女の子に好かれるのが、どれだけ幸せな事かを。モテるからと天狗になっているんじゃないかと、問い正してやろう。お前は凄い幸運を、無駄にしているんだぞと。
「藤木もオタク辞めたら彼女出来るって」
「……何で皆それ言う? そんなにオタク駄目?」
「まあ、イメージ良くはないかなやっぱり」
そんなに駄目なのオタクって。何かこう、世間的には皆がやんわりオタクみたいな感じじゃないの? そう言う世の中になったんじゃないの? 理不尽だよ、世の中って。
どうせ彼女を作るなら、オタクでも許してくれる女の子が良いな。ま、そんな女の子が周りに居ないんですけどね。
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