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第1章
第9話 フルコートの日が一番楽しい
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「スリーポイントぉ!」
「「「「ゔぉい!」」」」
部長の掛け声で練習内容が次に進む。そして、相変わらず基礎練習には全てに謎コールがある。もう諦めているけど、謎の文化過ぎる。
これは中学では無かった。高校特有の文化なのか、はたまたこの学校だけなのか。まあ、大会とか練習試合に行けば分かるだろう。
謎コールを続けながら、3年生から順番にスリーポイントシュートを1度ずつ打って行く。俺はこれが結構好きだ。スリーポイントは得意だから。
順番に放たれて行くスリーポイントは、入ったりリングに阻まれたり。流れて流れて俺の番、今日の最初の一発は綺麗に決めたい。
ボールを渡す係に回った先輩から、ボールをパスして貰う。足の先から腰に掛けて力を溜めて、バネの様にシュートを放つ。
「っ!」
綺麗な曲線を描いたボールは、ネットをくぐるパサリと言う音を残して床に落ちる。一番綺麗な決まり方だ。今日も調子が良い。
これは俺の美学なのだけれど、リングに一切触れる事なく入るシュートが一番良い。このネットだけをくぐる音はかなり気持ち良い。
スリーポイントが綺麗に入った時の音をASMRにしたら、結構人気が出ると思うがどうだろうか。
その後も数回のローテーションをした後に、次の基礎練習へと変わって行く。
基礎練習はまだまだ続く。次はレイアップシュートの時間。パス係からパスを貰って、ツーステップで飛び上がる。
バスケの最も基本的なシュートだ。ちなみにツーステップ以上してしまうとトラベリングで違反である。良く出来たルールだと思う。
フリースローラインからシュートしに行くのに、丁度良いギリギリの歩数がツーステップだ。まあトップスピードに乗っていればスリーポイントラインからでも俺はツーステップで届くけど。
コレは個人的に自慢出来るポイントだ。約7メートルの距離を、たった2歩で詰められる人はそう多くないだろう。
追われている状況から、思い切り踏み込んでディフェンスを突き放す瞬間が一番気持ち良いまである。
ちなみに最高記録はセンターサークルだ。ただし、前にディフェンスが居ない状況に限るが。下手に突っ込むとオフェンシブファウルでこっちが違反者だ。
「ふっ!」
俺の番が来たのでしっかりとこなす。綺麗なフォームで踏み込んでゴールへ。ノルマをこなしてパス係に回る。これもローテーションを数回して終了だ。
基礎は何も攻撃ばかりではない。当然ディフェンスの練習も含まれる。ディフェンスの基本姿勢、腰を落として両手と両足がL字の形になる様に開く。
自分の体を中心に、L字を作った男達が揃って同じポーズで移動していく。見方によっては何かの儀式に見えるかも知れない。なんせ、まだ謎のコールは続いているから。
バスケットシューズが奏でるキュッキュと言う音があちこちから響く。当然俺の足からも音がしている。
バスケ部員ならば、聞き飽きるほど聞いた音だ。俺はこの音がわりと好きだ。一番綺麗なキュッ! を出せた奴が優勝バトルは中学の頃から良くやっている。
この基礎練習の時間が終われば、謎のコールは無くなる。本当にこの、謎コールさえ無ければなと何度も思っている。誰も不思議に思わないのだろうか。
小休止を挟んで、ロングパスの練習に移る。サイドラインに等間隔で並んで対面に居る相手へとワンバウンドでパスを投げる。
鋭いパスを素早く送る為の練習なので、飛んで来る球速は結構早い。油断していると突き指待った無しだ。
「なあ涼介、帰りどっか寄らね?」
「別に良いけど、どこに行くんだ?」
あんまり大きい声で関係ない会話をしていたら、先輩に怒られてしまうのでギリギリの小声で信也と会話を交わす。
「ラーメンか、ハンバーガーでどうだ?」
「まあ、それぐらいなら良いぞ」
どっちも馬鹿みたいな量を頼まなければ、夕飯も余裕で食べ切れる。中学でバスケ部に入って以来、食欲の伸び方が凄まじい。それだけカロリーを消費していると言う事なのだろう。
思えば中学に入ってから3年間で、身長が30cm伸びた。1年で10cmずつ伸びたから、制服が大変だと両親に言われたっけ。
2人とも背が低いから、まさか自分達の息子がこんなにデカくなるとは思わなかったらしい。
その分凄まじい成長痛に襲われたから大変だったが、食べた分だけ成長の糧になったと思えば上々か。
それを思えば、まだ背が伸びる可能性はあるな。最近めっきり成長痛は味わっていないけれど。
「じゃ、後でな」
「ああ」
どうやら先輩に見咎められる事もなく、部活後の予定が決まった。まだまだ練習は続くけれど、部活終わりに食う間食は最高だからな。楽しみが増えたのは喜ばしい。
「集合!」
「「「ゔぉい!」」」
部長の掛け声でセンターサークルに全員が集まる。ここからは試合形式で、1年生から3年生まで入り混じって対戦していく。
この時間が一番練習で楽しい。見て学びプレイして学び、全てが自分の糧となる時間。上手い先輩の真似をしたり、弱点を探したりして。
とにかく何もかもが自分の為になる。これが練習の醍醐味なんじゃないだろうか。
「1年はそろそろオフィシャルを覚えて貰うから、和田の所へ行け」
「「「はい!」」」
何か新しい事を教えて貰えるらしい。楽しくなって来たな。どんな内容なんだろうか。
「「「「ゔぉい!」」」」
部長の掛け声で練習内容が次に進む。そして、相変わらず基礎練習には全てに謎コールがある。もう諦めているけど、謎の文化過ぎる。
これは中学では無かった。高校特有の文化なのか、はたまたこの学校だけなのか。まあ、大会とか練習試合に行けば分かるだろう。
謎コールを続けながら、3年生から順番にスリーポイントシュートを1度ずつ打って行く。俺はこれが結構好きだ。スリーポイントは得意だから。
順番に放たれて行くスリーポイントは、入ったりリングに阻まれたり。流れて流れて俺の番、今日の最初の一発は綺麗に決めたい。
ボールを渡す係に回った先輩から、ボールをパスして貰う。足の先から腰に掛けて力を溜めて、バネの様にシュートを放つ。
「っ!」
綺麗な曲線を描いたボールは、ネットをくぐるパサリと言う音を残して床に落ちる。一番綺麗な決まり方だ。今日も調子が良い。
これは俺の美学なのだけれど、リングに一切触れる事なく入るシュートが一番良い。このネットだけをくぐる音はかなり気持ち良い。
スリーポイントが綺麗に入った時の音をASMRにしたら、結構人気が出ると思うがどうだろうか。
その後も数回のローテーションをした後に、次の基礎練習へと変わって行く。
基礎練習はまだまだ続く。次はレイアップシュートの時間。パス係からパスを貰って、ツーステップで飛び上がる。
バスケの最も基本的なシュートだ。ちなみにツーステップ以上してしまうとトラベリングで違反である。良く出来たルールだと思う。
フリースローラインからシュートしに行くのに、丁度良いギリギリの歩数がツーステップだ。まあトップスピードに乗っていればスリーポイントラインからでも俺はツーステップで届くけど。
コレは個人的に自慢出来るポイントだ。約7メートルの距離を、たった2歩で詰められる人はそう多くないだろう。
追われている状況から、思い切り踏み込んでディフェンスを突き放す瞬間が一番気持ち良いまである。
ちなみに最高記録はセンターサークルだ。ただし、前にディフェンスが居ない状況に限るが。下手に突っ込むとオフェンシブファウルでこっちが違反者だ。
「ふっ!」
俺の番が来たのでしっかりとこなす。綺麗なフォームで踏み込んでゴールへ。ノルマをこなしてパス係に回る。これもローテーションを数回して終了だ。
基礎は何も攻撃ばかりではない。当然ディフェンスの練習も含まれる。ディフェンスの基本姿勢、腰を落として両手と両足がL字の形になる様に開く。
自分の体を中心に、L字を作った男達が揃って同じポーズで移動していく。見方によっては何かの儀式に見えるかも知れない。なんせ、まだ謎のコールは続いているから。
バスケットシューズが奏でるキュッキュと言う音があちこちから響く。当然俺の足からも音がしている。
バスケ部員ならば、聞き飽きるほど聞いた音だ。俺はこの音がわりと好きだ。一番綺麗なキュッ! を出せた奴が優勝バトルは中学の頃から良くやっている。
この基礎練習の時間が終われば、謎のコールは無くなる。本当にこの、謎コールさえ無ければなと何度も思っている。誰も不思議に思わないのだろうか。
小休止を挟んで、ロングパスの練習に移る。サイドラインに等間隔で並んで対面に居る相手へとワンバウンドでパスを投げる。
鋭いパスを素早く送る為の練習なので、飛んで来る球速は結構早い。油断していると突き指待った無しだ。
「なあ涼介、帰りどっか寄らね?」
「別に良いけど、どこに行くんだ?」
あんまり大きい声で関係ない会話をしていたら、先輩に怒られてしまうのでギリギリの小声で信也と会話を交わす。
「ラーメンか、ハンバーガーでどうだ?」
「まあ、それぐらいなら良いぞ」
どっちも馬鹿みたいな量を頼まなければ、夕飯も余裕で食べ切れる。中学でバスケ部に入って以来、食欲の伸び方が凄まじい。それだけカロリーを消費していると言う事なのだろう。
思えば中学に入ってから3年間で、身長が30cm伸びた。1年で10cmずつ伸びたから、制服が大変だと両親に言われたっけ。
2人とも背が低いから、まさか自分達の息子がこんなにデカくなるとは思わなかったらしい。
その分凄まじい成長痛に襲われたから大変だったが、食べた分だけ成長の糧になったと思えば上々か。
それを思えば、まだ背が伸びる可能性はあるな。最近めっきり成長痛は味わっていないけれど。
「じゃ、後でな」
「ああ」
どうやら先輩に見咎められる事もなく、部活後の予定が決まった。まだまだ練習は続くけれど、部活終わりに食う間食は最高だからな。楽しみが増えたのは喜ばしい。
「集合!」
「「「ゔぉい!」」」
部長の掛け声でセンターサークルに全員が集まる。ここからは試合形式で、1年生から3年生まで入り混じって対戦していく。
この時間が一番練習で楽しい。見て学びプレイして学び、全てが自分の糧となる時間。上手い先輩の真似をしたり、弱点を探したりして。
とにかく何もかもが自分の為になる。これが練習の醍醐味なんじゃないだろうか。
「1年はそろそろオフィシャルを覚えて貰うから、和田の所へ行け」
「「「はい!」」」
何か新しい事を教えて貰えるらしい。楽しくなって来たな。どんな内容なんだろうか。
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