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【そして】人狼になったけど質問ある?生放送3【こうなった】3
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「いや、マジです」
その時、人狼の居る部屋からガチャリと扉の開く音がした。
人狼が音の方をした方を向くと、人狼の頬が緩んだ。
視聴者達が人狼のその様子を見て何だ?と思っていると、画面に一人…いや二人の人物が映った。
一人は、人狼の名実共に妻になった紙袋を被り、白いゆったりとしたワンピースを着たケモナー。そしてもう一人はおくるみに包まれ、ケモナーに抱っこされている赤ん坊だ。残念ながら今は、まだカメラに顔は映ってない。
ケモナーが入ってきた瞬間、人狼の後ろに立っていたマスクマン達の背筋が異様にピンとした。
──────────────────────
| ケモナーキター!!! |
| 紙袋キター |
| 恐怖の権化キター!!! |
| うぁあああああああああ! |
| 抱えているのは赤ちゃんか? |
| |
| うほ~見てぇ! |
|キター 赤ちゃん見せてぇ~! |
| 相変わらず紙袋被ってるのな |
──────────────────────
「皆さんお久しぶりです。このたび、人狼との子供を授かったケモナーです。彼と結婚して今私は、幸せです!」
ケモナーは、赤ん坊を抱えながら、一礼すると軽やかに笑った。もちろんその笑顔は、頭に被っている紙袋によって隠されており、視聴者が見えたのは紙袋に開けられた穴から見える、目だけだ。それしか見えていない視聴者達は、目だけが笑っている様にしか見えず、ただ不気味なだけだった。
ケモナーは人狼の隣に立ち、人狼はそのケモナーの肩を抱くように手を回した。その光景は、よくある家族写真の様であったが、夫の頭が狼、妻の頭には紙袋、それで赤ん坊を抱えて仲睦まじく立っている絵は、かなりシュールだった。
──────────────────────
|テラシュールwww |
| |
| 今なんかア○ムスファミリーみたい |
| www |
| いや、ジャックとサリーの方だろ |
| |
| 何気に合ってるのが怖いwww |
| |
| |
──────────────────────
「ははは、確かにこの状態だと変な感じですけど、妻は紙袋取ると美人なんですよ。本当です」
「やだっもうっ!あなたったら!」
人狼の言葉に照れたケモナーが、人狼に向かって軽くタックルした。そのタックルを受けて人狼の顔がデレっとした。その様子を見せらた視聴者たちは、その相手がケモナーだったと分かっていながらも、ギリギリと燃える嫉妬の炎が燃え上がらざるをえない。
その時、眠っていたのを起されたのか、おくるみに包まれた赤ん坊が泣き声を上げた。その声は意外にも普通の赤ん坊の泣き声だった。
「ああ!ゴメンね。びっくりしちゃったよね」
「ほら、べろべろバー」
泣き声に気付いたケモナーと人狼は、赤ん坊に謝り、あやした。ケモナーと人狼の顔を見ると直ぐに赤ん坊は機嫌を直し、キャッキャッと笑った。
笑っている様子の見て安心した二人は、ゆっくりと近づいて、赤ん坊をカメラの方へ向けた。
「俺の…いや、俺達の娘です」
──────────────────────
|うぉおおおおおおめっちゃかわええええええ! |
| 何か顔つきが人間に近づいているね |
| かぁわぁいいいいいいいいいいいい! |
| 耳がぴくぴくしてたまらん!! |
| 抱っこしてぇ!!!! |
| 義父さん!娘さんを僕にください! |
| いや、僕にください! |
| かわいいけど、公表しちゃっていいの? |
| 俺が彼女を幸せにすると誓おう |
──────────────────────
世界で初めて人狼の赤ちゃんの映像が公開された。
カメラに映った赤ん坊は、人狼と同じように人の頭ではなく、子供の狼の頭をしていた。子犬特有のくりくりした目に、ぴんと立った耳、それに湿った鼻。それでいて人狼(父)の顔よりは、人に近くなっていて、それがまたかわいい。
人狼娘は最初きょとんとした様子でカメラの下にあるモニター画面を見ると、おくるみの中から小さな手をモニターの方に伸ばした。
その姿のあまりのかわいらしさに、画面がコメントで覆われ、何が書き込まれたのかが分からない程だ。
怒涛のコメント攻勢が落ち着いた時、人狼が静かに語りだした。
「先ほどのコメントの中に、うちの子の存在を公表していいの?って書き込んだ人が居ました。それはもちろん俺達も考えました。この子の存在を公にしなければ、狙われる可能性が減る。だけど、子の情報化社会の中、情報はどんなに隠しても漏れるもの、と俺達は思いました。それが機密や極秘であればあるほど、他所の国から狙われます。秘密があるという事、事態がが狙われる理由になりますから。そして、この子の存在が知られれば、よからぬ事を考える連中に狙われることでしょう。それでもし、この子が誘拐されたら?そう考えた時、このままではダメだと思いました。"知られていない"というのは狙われないという事に関しては無敵です。ですが一旦知られてしまえば、それは逆に足枷になります。もし、この子が誘拐され、色んな所に助けを求めても、効果は薄いです。仮に助けを求めた先の国家が、誘拐に関与していた場合、知らぬ存ぜぬと白を切られて、最悪そのまま行方不明になって二度と会えない可能性もあります。だからこそ、そういう時に俺達が期待しているのは、モニターの前の皆さんです」
──────────────────────
| |
| は?俺達? |
| よしやったるわwwww |
| ねぇよ |
| ばかばかしい |
| どゆこと? |
| |
| 味方にすると頼りなく |
| 敵にすると恐ろしいネット民だぞ|
──────────────────────
「もし、俺達の子供が誘拐されたら、その捜索を手伝って欲しいのです。ネットの力は凄いです。それは、身にしみて分かっています。…実際それで俺はケモナーに捕まりましたし…」
人狼はその時を思い出しているかのように目をつぶり、うんうんと頷いた。
──────────────────────
| ああwww |
| あれは、びびった |
| |
| |
|ああ、あったなそんな事 |
| |
| そういえばなんで、ケモナーは特定できたんだ|
| |
| 鬼女顔負けの捜査能力だったな |
──────────────────────
「あれは、元々私の家が人狼の家に近かったからよ。それで、あなたが生放送中に喋ってた事や、外から聞こえてくる音で貴方の家が分かったの」
「それで突撃してくるって…。俺、めちゃくちゃ怖かったよ!」
思わず人狼は叫んだ。
「もういいじゃないの。そのおかげでこの子を授かったんだから!ねぇ」
クスクスと笑いながらケモナーは言うが、人狼はそこはかとない圧力を感じる。
「ああ、うん。そうだね…」
そう答えた人狼の耳は見事にヘタレていた。人狼はそこで咳払いを一つして話を戻す。
「ゴホンっ!見ず知らずの人間が突然誘拐されて、報道とかで誘拐されましたって言われても、その子をかわいそうとは思うけど、それで何かしようとはなかなか思わないじゃないですか?でもそれが身近な人間なら?と思ったんです。その為に、俺は娘の成長ブログを作りろうとと思います}
──────────────────────
| |
| 成長ブログ…だと!? |
| その子の成長が見れる!?最高 |
| 変な奴わきそう |
| 神様仏様人狼様、ありがとうございます! |
| カハッ何て破壊力だ!? |
|なん…だと!? |
| ブクマ確定。 何て物を作りやがるんだ!|
| ヒューーーーーーー! |
──────────────────────
俺は娘をアイドルみたいな物にするつもりは無いけど、この子は、特殊な生まれのせいで、きっと普通の人生を生きる事は出来ないでしょう」
人狼は微笑みながら娘に手を伸ばし、その小さな頭をなでる。娘は人狼の手に猫のような声を上げながら嬉しそうに頭をこすりつけた。
その様子に視聴者達はたちまちメロメロになった。
──────────────────────
| …そうか、コレが真の萌 |
| 俺は、ハートを打ち抜かれたぜ |
| くっ!俺は負けねぇ! |
| かわええ |
| やべぇ。この子の為なら死ねる |
| 貴様らの穢れた目で見てんじゃねぇ! |
| いやいや、あんたも穢れてる |
| おおかみよ かわいさの前では無力だったよ|
| コレはトップアイドル級の逸材ですわ |
──────────────────────
「だから、その人生を少しでも助けてくれる人達を増やしてやりたいって思ったんですよ。…まぁその分、怪しい連中も増えるんでしょうが…。それでも…それだからこそ多くの味方を増やしてやりたいと思います」
そこで人狼は、娘をなでる手を止めて、真っ直ぐカメラを見た。
「そして皆さんにこの子の成長を見守ってもらい、身近に感じてもらって、申し訳ないですが、いざと言う時にこの子の力になってもらいたいから。我ながら身勝手な言い分だと思いますが、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
人狼とケモナーは深々と頭を下げた。
──────────────────────
|やぁああああってやるぜ! |
| 任された |
| 守るぜ!超守るぜ! |
| おう! かわいい子は世界の宝だ! |
| この子は世界遺産だ! |
| 遺産て・・・ |
| よし、最初にここに居る奴らを通報しよう|
|ハァハァ。当然守ります。はぁはぁ |
| 変態がここに一人いマース |
──────────────────────
「でも、あなた達の中で変な奴が湧いたら直々に私がその人を潰しに行きますからね」
盛り上がる視聴者一堂だが、頭をあげたケモナーからの一言に凍りつく。そして全員が思った。"コイツは絶対殺る"と。
妙な威圧を出しているケモナーの隣で冷や汗を流していた人狼は、空気を変えようと声を上げた。
「とっとにかく、ここまで結構一方的に喋ってたけど、…何か質問ある?」
人狼は、画面外に合った椅子を二つ持ってきて、その片方に赤ん坊を抱えたケモナーを座らせると、残りの一つに自分が座った。
──────────────────────
| おっしゃ待望の質問ターイム |
| その子の名前は!?教えてくれ!なのむ!|
| 娘さんを僕にください!絶対幸せにします!!|
| 今は何処に住んでんの? |
| 赤ちゃんの誕生日は? |
| 成長ブログのアドレスは? |
| ケモナーとのせい活はどうでした? |
|海外に行く予定は? しもネタ禁止! |
| これから人狼はどうするの? |
──────────────────────
「この子の名前ですか?秘密です。今のところは人狼娘でお願いします」
「寝言は寝て言え。以上」
人狼は牙をむき出しにして答えた。
「ここは、国の秘密研究所(笑)です。なので場所は秘密です」
「この子の誕生日は、そうですね。今日という事で」
「アドレスは、後日、俺のコミュニティサイトの方に載せますのでそれを見てください」
「海外か~。行く予定はありませんね。俺自身言葉が通じない場所に行くのは怖いですし…。それにしばらくは、この子のそばに居ます」
「これからですか?しばらくは、親子共々研究所暮らしが続くと思いますよ。それが終わったら…。そうだなぁ。何か娘の為になる事でもしましょうか
」
そんな風に質問に答えていく。時々ケモナーに対しての質問あり、その質問に対してはケモナーが答えた。
「おっと、そろそろ放送終了の時間ですね。本当なら延長とかもしてもいいと思うんですけど、政府との約束で延長は出来ないんですよ。ね?」
後ろを振り向きながら人狼が後ろに居る二人に問いかけると、マスクマン達は、ゆっくりと頷いた。
"ええー"というコメントで画面が多い尽くされてるが、それは人狼にはどうしようもない。
「というわけで、今日の放送はコレまでです。また機会があれば生放送したいですけど、しばらく忙しくなるそうですので」
──────────────────────
| リア獣爆発しろ! |
| おつー 次回楽しみにしてるぞ |
| 末永く爆発しやがれ! |
| おつ おつかれ~ 8888 |
| しっかり子育てしろよ! おつ |
| 888888 |
| よし、俺も絶対風邪を引こう。そして…|
| 初めてまともに終わったな… |
| 必ずお嬢さんを迎えに行きます! |
──────────────────────
画面に手を振る人狼と、ケモナー。そしてケモナーに手を持たれて手を振らされている人狼娘が映ると画面がだんだんと真っ黒にフェードアウトして放送が終了した。
放送を始めて三回目にして、ようやく何事も無く、終了する事が出来た。
それから人狼はしばらく、色々な国の医療関係者から診察や調査を受け入れ(もちろん、それらは医療関係者を日本に招待して、国内で用意された設備でおこなれた)、その結果、複数の国に所属する医師達からも、人狼一家は外で生活しても問題なし、とお墨付きを受けた。とはいえ軽々しく外に出る事は出来ない。その後、ニートである人狼は、嘱託の国家公務員として働くことになった。仕事内容は、未だに未知の塊である人狼の能力の調査、開発、研究。そして、ある意味人狼にとって一番したくは無いが、しなくてはいけない仕事。メディアへの露出。いずれ、社会に出るであろう娘が、なるべく奇異の目に見られないようにする為に、自らを世間に晒し、少しでも普通の人達に人狼に慣れさせる事。政府協力のもと、一日警察署長、一日消防署長、一日自衛官など歴任する事になる。…でもそれはまた別のお話。
その時、人狼の居る部屋からガチャリと扉の開く音がした。
人狼が音の方をした方を向くと、人狼の頬が緩んだ。
視聴者達が人狼のその様子を見て何だ?と思っていると、画面に一人…いや二人の人物が映った。
一人は、人狼の名実共に妻になった紙袋を被り、白いゆったりとしたワンピースを着たケモナー。そしてもう一人はおくるみに包まれ、ケモナーに抱っこされている赤ん坊だ。残念ながら今は、まだカメラに顔は映ってない。
ケモナーが入ってきた瞬間、人狼の後ろに立っていたマスクマン達の背筋が異様にピンとした。
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| ケモナーキター!!! |
| 紙袋キター |
| 恐怖の権化キター!!! |
| うぁあああああああああ! |
| 抱えているのは赤ちゃんか? |
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| うほ~見てぇ! |
|キター 赤ちゃん見せてぇ~! |
| 相変わらず紙袋被ってるのな |
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「皆さんお久しぶりです。このたび、人狼との子供を授かったケモナーです。彼と結婚して今私は、幸せです!」
ケモナーは、赤ん坊を抱えながら、一礼すると軽やかに笑った。もちろんその笑顔は、頭に被っている紙袋によって隠されており、視聴者が見えたのは紙袋に開けられた穴から見える、目だけだ。それしか見えていない視聴者達は、目だけが笑っている様にしか見えず、ただ不気味なだけだった。
ケモナーは人狼の隣に立ち、人狼はそのケモナーの肩を抱くように手を回した。その光景は、よくある家族写真の様であったが、夫の頭が狼、妻の頭には紙袋、それで赤ん坊を抱えて仲睦まじく立っている絵は、かなりシュールだった。
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|テラシュールwww |
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| 今なんかア○ムスファミリーみたい |
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| いや、ジャックとサリーの方だろ |
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| 何気に合ってるのが怖いwww |
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「ははは、確かにこの状態だと変な感じですけど、妻は紙袋取ると美人なんですよ。本当です」
「やだっもうっ!あなたったら!」
人狼の言葉に照れたケモナーが、人狼に向かって軽くタックルした。そのタックルを受けて人狼の顔がデレっとした。その様子を見せらた視聴者たちは、その相手がケモナーだったと分かっていながらも、ギリギリと燃える嫉妬の炎が燃え上がらざるをえない。
その時、眠っていたのを起されたのか、おくるみに包まれた赤ん坊が泣き声を上げた。その声は意外にも普通の赤ん坊の泣き声だった。
「ああ!ゴメンね。びっくりしちゃったよね」
「ほら、べろべろバー」
泣き声に気付いたケモナーと人狼は、赤ん坊に謝り、あやした。ケモナーと人狼の顔を見ると直ぐに赤ん坊は機嫌を直し、キャッキャッと笑った。
笑っている様子の見て安心した二人は、ゆっくりと近づいて、赤ん坊をカメラの方へ向けた。
「俺の…いや、俺達の娘です」
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|うぉおおおおおおめっちゃかわええええええ! |
| 何か顔つきが人間に近づいているね |
| かぁわぁいいいいいいいいいいいい! |
| 耳がぴくぴくしてたまらん!! |
| 抱っこしてぇ!!!! |
| 義父さん!娘さんを僕にください! |
| いや、僕にください! |
| かわいいけど、公表しちゃっていいの? |
| 俺が彼女を幸せにすると誓おう |
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世界で初めて人狼の赤ちゃんの映像が公開された。
カメラに映った赤ん坊は、人狼と同じように人の頭ではなく、子供の狼の頭をしていた。子犬特有のくりくりした目に、ぴんと立った耳、それに湿った鼻。それでいて人狼(父)の顔よりは、人に近くなっていて、それがまたかわいい。
人狼娘は最初きょとんとした様子でカメラの下にあるモニター画面を見ると、おくるみの中から小さな手をモニターの方に伸ばした。
その姿のあまりのかわいらしさに、画面がコメントで覆われ、何が書き込まれたのかが分からない程だ。
怒涛のコメント攻勢が落ち着いた時、人狼が静かに語りだした。
「先ほどのコメントの中に、うちの子の存在を公表していいの?って書き込んだ人が居ました。それはもちろん俺達も考えました。この子の存在を公にしなければ、狙われる可能性が減る。だけど、子の情報化社会の中、情報はどんなに隠しても漏れるもの、と俺達は思いました。それが機密や極秘であればあるほど、他所の国から狙われます。秘密があるという事、事態がが狙われる理由になりますから。そして、この子の存在が知られれば、よからぬ事を考える連中に狙われることでしょう。それでもし、この子が誘拐されたら?そう考えた時、このままではダメだと思いました。"知られていない"というのは狙われないという事に関しては無敵です。ですが一旦知られてしまえば、それは逆に足枷になります。もし、この子が誘拐され、色んな所に助けを求めても、効果は薄いです。仮に助けを求めた先の国家が、誘拐に関与していた場合、知らぬ存ぜぬと白を切られて、最悪そのまま行方不明になって二度と会えない可能性もあります。だからこそ、そういう時に俺達が期待しているのは、モニターの前の皆さんです」
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| は?俺達? |
| よしやったるわwwww |
| ねぇよ |
| ばかばかしい |
| どゆこと? |
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| 味方にすると頼りなく |
| 敵にすると恐ろしいネット民だぞ|
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「もし、俺達の子供が誘拐されたら、その捜索を手伝って欲しいのです。ネットの力は凄いです。それは、身にしみて分かっています。…実際それで俺はケモナーに捕まりましたし…」
人狼はその時を思い出しているかのように目をつぶり、うんうんと頷いた。
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| ああwww |
| あれは、びびった |
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|ああ、あったなそんな事 |
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| そういえばなんで、ケモナーは特定できたんだ|
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| 鬼女顔負けの捜査能力だったな |
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「あれは、元々私の家が人狼の家に近かったからよ。それで、あなたが生放送中に喋ってた事や、外から聞こえてくる音で貴方の家が分かったの」
「それで突撃してくるって…。俺、めちゃくちゃ怖かったよ!」
思わず人狼は叫んだ。
「もういいじゃないの。そのおかげでこの子を授かったんだから!ねぇ」
クスクスと笑いながらケモナーは言うが、人狼はそこはかとない圧力を感じる。
「ああ、うん。そうだね…」
そう答えた人狼の耳は見事にヘタレていた。人狼はそこで咳払いを一つして話を戻す。
「ゴホンっ!見ず知らずの人間が突然誘拐されて、報道とかで誘拐されましたって言われても、その子をかわいそうとは思うけど、それで何かしようとはなかなか思わないじゃないですか?でもそれが身近な人間なら?と思ったんです。その為に、俺は娘の成長ブログを作りろうとと思います}
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| 成長ブログ…だと!? |
| その子の成長が見れる!?最高 |
| 変な奴わきそう |
| 神様仏様人狼様、ありがとうございます! |
| カハッ何て破壊力だ!? |
|なん…だと!? |
| ブクマ確定。 何て物を作りやがるんだ!|
| ヒューーーーーーー! |
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俺は娘をアイドルみたいな物にするつもりは無いけど、この子は、特殊な生まれのせいで、きっと普通の人生を生きる事は出来ないでしょう」
人狼は微笑みながら娘に手を伸ばし、その小さな頭をなでる。娘は人狼の手に猫のような声を上げながら嬉しそうに頭をこすりつけた。
その様子に視聴者達はたちまちメロメロになった。
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| …そうか、コレが真の萌 |
| 俺は、ハートを打ち抜かれたぜ |
| くっ!俺は負けねぇ! |
| かわええ |
| やべぇ。この子の為なら死ねる |
| 貴様らの穢れた目で見てんじゃねぇ! |
| いやいや、あんたも穢れてる |
| おおかみよ かわいさの前では無力だったよ|
| コレはトップアイドル級の逸材ですわ |
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「だから、その人生を少しでも助けてくれる人達を増やしてやりたいって思ったんですよ。…まぁその分、怪しい連中も増えるんでしょうが…。それでも…それだからこそ多くの味方を増やしてやりたいと思います」
そこで人狼は、娘をなでる手を止めて、真っ直ぐカメラを見た。
「そして皆さんにこの子の成長を見守ってもらい、身近に感じてもらって、申し訳ないですが、いざと言う時にこの子の力になってもらいたいから。我ながら身勝手な言い分だと思いますが、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
人狼とケモナーは深々と頭を下げた。
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|やぁああああってやるぜ! |
| 任された |
| 守るぜ!超守るぜ! |
| おう! かわいい子は世界の宝だ! |
| この子は世界遺産だ! |
| 遺産て・・・ |
| よし、最初にここに居る奴らを通報しよう|
|ハァハァ。当然守ります。はぁはぁ |
| 変態がここに一人いマース |
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「でも、あなた達の中で変な奴が湧いたら直々に私がその人を潰しに行きますからね」
盛り上がる視聴者一堂だが、頭をあげたケモナーからの一言に凍りつく。そして全員が思った。"コイツは絶対殺る"と。
妙な威圧を出しているケモナーの隣で冷や汗を流していた人狼は、空気を変えようと声を上げた。
「とっとにかく、ここまで結構一方的に喋ってたけど、…何か質問ある?」
人狼は、画面外に合った椅子を二つ持ってきて、その片方に赤ん坊を抱えたケモナーを座らせると、残りの一つに自分が座った。
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| おっしゃ待望の質問ターイム |
| その子の名前は!?教えてくれ!なのむ!|
| 娘さんを僕にください!絶対幸せにします!!|
| 今は何処に住んでんの? |
| 赤ちゃんの誕生日は? |
| 成長ブログのアドレスは? |
| ケモナーとのせい活はどうでした? |
|海外に行く予定は? しもネタ禁止! |
| これから人狼はどうするの? |
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「この子の名前ですか?秘密です。今のところは人狼娘でお願いします」
「寝言は寝て言え。以上」
人狼は牙をむき出しにして答えた。
「ここは、国の秘密研究所(笑)です。なので場所は秘密です」
「この子の誕生日は、そうですね。今日という事で」
「アドレスは、後日、俺のコミュニティサイトの方に載せますのでそれを見てください」
「海外か~。行く予定はありませんね。俺自身言葉が通じない場所に行くのは怖いですし…。それにしばらくは、この子のそばに居ます」
「これからですか?しばらくは、親子共々研究所暮らしが続くと思いますよ。それが終わったら…。そうだなぁ。何か娘の為になる事でもしましょうか
」
そんな風に質問に答えていく。時々ケモナーに対しての質問あり、その質問に対してはケモナーが答えた。
「おっと、そろそろ放送終了の時間ですね。本当なら延長とかもしてもいいと思うんですけど、政府との約束で延長は出来ないんですよ。ね?」
後ろを振り向きながら人狼が後ろに居る二人に問いかけると、マスクマン達は、ゆっくりと頷いた。
"ええー"というコメントで画面が多い尽くされてるが、それは人狼にはどうしようもない。
「というわけで、今日の放送はコレまでです。また機会があれば生放送したいですけど、しばらく忙しくなるそうですので」
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| リア獣爆発しろ! |
| おつー 次回楽しみにしてるぞ |
| 末永く爆発しやがれ! |
| おつ おつかれ~ 8888 |
| しっかり子育てしろよ! おつ |
| 888888 |
| よし、俺も絶対風邪を引こう。そして…|
| 初めてまともに終わったな… |
| 必ずお嬢さんを迎えに行きます! |
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画面に手を振る人狼と、ケモナー。そしてケモナーに手を持たれて手を振らされている人狼娘が映ると画面がだんだんと真っ黒にフェードアウトして放送が終了した。
放送を始めて三回目にして、ようやく何事も無く、終了する事が出来た。
それから人狼はしばらく、色々な国の医療関係者から診察や調査を受け入れ(もちろん、それらは医療関係者を日本に招待して、国内で用意された設備でおこなれた)、その結果、複数の国に所属する医師達からも、人狼一家は外で生活しても問題なし、とお墨付きを受けた。とはいえ軽々しく外に出る事は出来ない。その後、ニートである人狼は、嘱託の国家公務員として働くことになった。仕事内容は、未だに未知の塊である人狼の能力の調査、開発、研究。そして、ある意味人狼にとって一番したくは無いが、しなくてはいけない仕事。メディアへの露出。いずれ、社会に出るであろう娘が、なるべく奇異の目に見られないようにする為に、自らを世間に晒し、少しでも普通の人達に人狼に慣れさせる事。政府協力のもと、一日警察署長、一日消防署長、一日自衛官など歴任する事になる。…でもそれはまた別のお話。
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キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
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量産英雄伝から来ました!両作品ともとても楽しかったです!
これからのご活躍を楽しみにしております!
面白いです
更新楽しみにしてます(o^-^o)