【朝起きたら】人狼になったけど質問ある?生放送【イケメンに(ただし人外)】

止まり木

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【そして】人狼になったけど質問ある?生放送3【こうなった】1

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 相変わらず検証スレは、第二回放送の話題で持ちきりだった。
 人狼と紙袋のケモナーとの結婚。そして紙袋のケモナーの親登場による修羅場。最後の実の父に襲い掛かった紙袋のケモナーの様子。これだけあればスレが盛り上がるのには十分だ。
 ネットの住人達は、人狼たちを心配する声、ネタだと言い切る声、それからどうなったのかの妄想を垂れ流していたりしていた。とはいえ、しょせんは他人事。時間が立てば第二回の放送前と同じように勢いを失い、スレはだんだんと静かになっていった。

 第二回放送から数ヶ月たったある日、日本政府から重大発表があると告知された。
 突然の告知に世間は騒ぎ、マスコミは最近話題になっている某世界銀行についての発表か?などと予想を流した。
 最近は当たり前に政府主催の記者会見が某動画サイトで、生放送されるようになった。おかげで視聴者たちはやいのやいの言いながら一緒にその発表を見る事が出来る。
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| ハジマタ                 |
|重大発表ってなんだろね           |
|                      |
|        88888         |
|           あんま人いねーな   |
|                      |
|                      |
|  まぁこの時間なら、こんなもんでしょ   |
|                      |
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 政府重大発表生放送用のページが開放され、重大発表がされると告知された時間になると、"しばらくお待ちください"と表示されていた画面が切り替わる。画面に何時もの日本国旗が掲げられ、桐の紋章が付いた台が置かれた記者会見会場が映った。そこへ、官房長官が姿を現した。会場にいるカメラマン達から一斉にフラッシュがたかれ、画面を白く染める。官房長官は、それを気にした風も無く、掲げられている国旗に一礼すると、台の前に立ち、持ってきた分厚いファイルを台の上に置き、開いた。
「えー。ただ今から緊急記者会見を始めます。え~突然ですが、我々は突然変異で頭部が狼の頭部と酷似した形状に変化してしまった人物を保護しました。コレは紛れも無い事実であり、現在は保護した対象の同意の元、隔離し、どうしてその様になったかを調査しております。そして中間報告ではありますが、調査した結果、頭部が狼の頭部と類似した形状になった原因が遺伝子異常による突然変異と思われ、ウィルス等による感染症の類ではない事が分かった為、今回の発表する事になりました。なお、該当人物は日本国籍を有している日本人であります。繰り返しますがコレは紛れも無い事実です」
 記者会見の会場が一瞬の空白の後、ざわめき始めた。混乱するのも無理は無い。ある意味ファンタジーな出来事が現実に起きたのだから。まだアメリカ政府が宇宙人を確保したと発表した方がリアリティがある。だが、日本政府がわざわざ最後に「紛れも無い事実です」とつけている以上。本当の事なのだろうと記者達は何とか納得した。
 マナー違反である事は承知でその記者は声を上げた。それでも聞かずにはおれなかったからだ。
「そっそれは物語とかで出てくる伝説の人狼を保護したという事でしょうか?」
「伝説、伝承、御伽噺等で語られている人狼と該当する人物の姿が酷似しているというのは事実です。ですが、その物語で語られた人狼と同じ存在かどうかは不明です」
 記者会見の司会は、不機嫌そうにその記者を睨みつけるが官房長官は、平然とした様子で答えた。
 一方その発表を聞いたネット生放送の視聴者達は…。
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| なんとぉおおおおおおお          |
|  発見!?狼男は日本にいた!       |
|    アイツしかいねぇだろ!       |
|      人狼の事かぁあ嗚呼ああ!    |
|            あいつ本物だったの?|
|ええええええええええええええええ      |
|     【速報】人狼は本物だった!    |
|    ありえねぇ  人狼って誰だよ    |
|       まだ人狼が本物とはかぎらんだろ|
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 案の定、大盛り上がりしていた。そして感のいい視聴者は、保護された人物が何者であるかがわかった。
 そして、マスコミからの質問タイムになった。手を挙げ、指名された記者が立ち上がり、官房長官に質問した。
「あの!頭部が狼になった人の名前は公表されないのでしょうか?あと、頭が狼になった方の写真とかは見れないのでしょうか?」
「名前の公表は本人の希望により伏せさせていただきます。写真の方は本人の同意がありますので、後でHPに公開しますので、それをご覧ください」
 次に質問するために記者達が一斉に手を上げる。官房長官は慣れた様子で記者を指定して質問をさばいていく。
「われわれがその…頭が狼と似た形になってしまった人物に取材したい場合、政府に申し込めばよろしいのでしょうか?」
「取材は出来ません」
 官房長官がそう答えると、会場はざわめきだした。もちろん官房長官への不満でだ。
「何故ですか?政府は我々の報道の自由を侵害するつもりですか?」
 記者はむっとした様子を隠すことなく言った。
「いえ、そうではなく、本人に取材に関してどうするか聞いた所、全て拒否すると言ってましたので」
「それは、本当に本人が言ったんですか?」
 記者は疑り深そうに言った。
「はい。間違いなく」
「では、今後政府が我々の取材に答えてくれるのでしょうか?」
「まぁある程度はお答えしましょう。ですが本人のプライバシーもあるのであまり突っ込んだ質問は、お答えできない事を前もって言っておきます」
 そして、最後に某動画サイトの記者が指名された。
「あの~視聴者からの質問なのですが…。その人物は以前に人狼と言うHNでネット生放送をした人でしょうか?」
 記者そう言うと官房長官は台の上に置いた書類に少しの間、視線を落とすと正面を向いて答えた。
「はい。そうです」
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| マジか!? ふぅううううううううううう!?|
|うそーーーーーーーーーーーーーーー     |
|    政府公認人狼ワロタwww      |
|  やっぱりアイツだったぁああああああああ |
|      マスコミ嫌われてワロタwww  |
|    人狼すげえええええええええええええ!|
|       マスコミwwwざまぁwww  |
|  俺だったとしてもマスコミの取材は嫌   |
|    官房長官認めたー!!!!ああああああ|
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 テンションが振り切れた視聴者のコメントによって画面は埋め尽くされ、動画サイトのサーバーば悲鳴を上げる。
「それでは記者会見を終了します。ありがとうございました」
 言う事を言い切った官房長官は、パタンと台の上においていたファイルを閉じて、国旗に一礼するとさっさと舞台袖へと消え、記者会見は終わった。
 その後直ぐに政府のホームページに人狼の顔写真と全体写真が公開された。それはそっけない手術着を着た人狼が白い壁を背景にただ立っているだけのものであったが、世界に与える衝撃は凄まじかった。

 その日から、テレビもネットも人狼の話題一色だった。それは日本だけに留まらず外国メディアにも飛び火した。特にヨーロッパ方面ではワーウルフの伝承があるので特に注目された。
 人狼検証スレの方も、もちろんお祭り状態だ。何せ検証していた自称人狼が政府公認の人狼になったのだから。人狼が本物であると言っていた肯定派は、鼻高々で書き込んでいた。
 某動画サイトにある人狼のコミュニティサイトは世界各国からアクセスされサーバーが落ちた。何度か復旧するも、直ぐにアクセス過多になり落ちてしまった。その為、動画サイト運営は人狼のコミュニティサイトを一時的に封鎖する羽目になった。
 商魂逞しい企業は人狼をモデルとした商品を発売し、売り上げを伸ばす。特に人狼の顔を模したラバーマスクは、特に人気の商品だ。世間では一種の人狼フィーバーという状態になっていた。
 動画サイトの生放送では、自称人狼の生放送がはやり、人狼検証スレの住人達に検証され偽者の烙印を押されていく。
 だが、そんな騒ぎの中、人狼自身は一切世間に出る事は無く、沈黙を続けていた。
 ネットの住民達はそれは、政府にまだ隔離されているんだろう思い。
 マスコミは人狼に取材できない事に苛立ち、報道の自由を盾に人狼についての情報公開を政府に迫った。だが日本政府は、記者会見と同じようにプライバシーの保護を理由に突っぱねた。
 その様子をネットの住人達は面白がりながら見ていた。

 人狼の存在が公にされて一年がたった。
 この頃になるともう人狼フィーバーといえる現象は収束し、世間は落ち着きを取り戻した。人狼のコミュニティサイトも復活した。だが以前の賑わいは無く、完全に過去の人といった感じになっていた。
 そんなある日、人狼のコミュニティサイトにひっそりと生放送の予約が入った。

 大々的に宣伝したわけではない。某動画サイト運営は、密かにサーバーを強化し、放送にそなえた。普通ならば、某動画サイト運営は人狼が生放送するという事で大々的に宣伝したり生放送のサポートをしても不思議ではなかったが、なにやら政府から通達があり、あまり派手なことはしないで、表向きは普通のユーザーの一人として扱う事になった。
 だが、人狼の生放送がされるという事は瞬く間に広がった。

 レベルが上がった事により、人狼の生放送を見る事ができる人数は大幅に増えた。だが、人狼の生放送を見たいという視聴者はその人数の十倍を軽く超えていた。人狼の生放送ページか開放された時は、正に世界的人気アーティストのライブチケットの争奪戦を思わせる有様だった。
 動画サイトのサーバーが悲鳴を上げ、サーバー担当者が神様にどうか鯖が落ちませんように!祈った。
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| キタァーーキタァーーキタァーーーーーーーー|
|キタ━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━! |
|やっふーーーーーーーーーーーーーーーー!!!|
| 生きてたーーーーーーーーーーーーーーー! |
|   888888888888888888 |
|    キタキターーーーーーーーーーーーー!|
| キャー人狼さぁああああああああん!!!  |
|  紙袋のケモナーはどうしたーーーーーー  |
|入れた!うぉおおおおおおおおおおおおおおお!|
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 幸運にも入れた人間は、そのページに入るとハイテンションでコメントを書き込んだ。まだ本放送は始まっていないが。コメント上はかなりの盛り上がりを見せていた。
 しばらく視聴者達は人狼についての雑談に興じ、放送開始時間になった。
 コメントしか流れていなかった画面が切り替わり、人狼の上半身が映った。今回の人狼は白地に黒で胸に大きく’人狼です!’と欠かれたTシャツを着て、ちょっと豪華そうな椅子に座っていた。だが今回映っているのは彼だけじゃなかった。彼から少し離れた後ろに黒いスーツを着たラガーマンの様ながっしりと体つきの男が二人、両手を体の前で重ねた状態で立っていた。それはまるで、マフィアのボスを守るボディーガードのようだった。ただし、二人とも顔にはプロレスラーが被るような派手なマスクを被っていた。
「皆さん、初めましての方は初めまして、そうでない方はお久しぶりです。世界初、政府公認の人狼こと人狼です!」
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| 人狼が出たぁああああああ!        |
|    今回は最初からいるな人狼      |
|ケツ掘られたかー人狼おおおおおおおお!   |
| fuoooooooooooooo!  本当に人狼だ!        |
|   生人狼に感動             |
|    こんちゃーーーーーーーーーっす!  |
| 誰だよ!後ろの二人!そのマスクって・・・ |
|  紙袋のケモナーはどこだ!        |
|アレからどうなった?ケモナーはどうした?  |
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 視聴者の中にも後ろの二人が気になって、何人か質問が上がった。
「後ろのお二人ですか?あの人達は俺が放送でまずい事を言いそうになったら止める人達です。一応コレでも国家機密そのものですんで。んでマスクをしている理由は、もちろん彼らの身元が特定されない為ですね。マスクはお二人の趣味です。俺は感知してません。ちなみに今現在の俺の状況ですが、世界でも大変珍しい特殊な病気になった患者という事になってます。現在は伝染病の類ではないが、病気の特殊性により、そのまま外に出ると社会に混乱をもたらす為、政府で保護してもらってる状況です」
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| そりゃそうだろうな。           |
|    見つかったら人にもみくちゃにされたり|
|  夜に人狼見たら問答無用で叫ぶ自信がある |
|                      |
|  よし!ならばステイツにきたまえ!    |
|                      |
|        外国人スパイがいるぞ~www|
|                      |
|                      |
 ────────────────────── 
 現実、もし人狼が普通に外に出たら、人狼見たさに人が集まり、または恐怖のあまり逃げ出したりして、交通の妨げや混乱が起きる事は容易に想像できた。それに恐ろしいのは宗教だ。ご存知の通り、人狼はヨーロッパの方で有名な怪物だ。古代といわれる時代では人狼は神であったり、力をもった人間の姿を変えた姿だといわれていたりしたが、中世になると人狼は、某宗教の影響で悪魔の化身の一つとされた。ゆえに人狼は某宗教の狂信者達に命を狙われてもいるのだ。
 そんな状態で外に出せば、最悪、人狼を見つけ人々が集まった所に、狂信者が現れ、人ごみのど真ん中で自爆テロなんて事もありえなくは無い。
 そういう事情も人狼は分かっているので、唯々諾々とお上の要請と言う名の命令に従っている。
 ──────────────────────
| んでさ。前回アレからどうなったの?    |
|    そうそう俺もそれ知りたい      |
|  おうおう、ちゃっちゃと話せや      |
|                      |
|     ケモナードコダー!かむばーっく  |
|                      |
|        そうだそうだ。       |
|                      |
|      それに何で政府に保護されてんの?|
 ────────────────────── 
「あ~前回ですね。えーっとまぁ話せる範囲で話しますよ」
 そういうと人狼は静かに語りだした。
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