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【朝起きたら】人狼になったけど質問ある?生放送【イケメンに(ただし人外)】1
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---カメラ良し、マイク良し、背景良し。さぁ行くぞ!俺の一世一代の晴れ舞台!
ディスプレイに映っている時計には15:29と表示されている。
彼は、意を決してマウスを操作し、配信開始ボタンを押した。
──────────────────────
| ざわざわ |
| |
| これ何の生放送? |
| |
| |
| 人狼ってゲームの? |
| |
| マダ|
| |
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放送が始まる前、当然の事ながら【朝起きたら】人狼になったけど質問ある?生放送【イケメンに(人外)】の配信画面を見ていた視聴者は少ない。そもそもこの放送自体一体何を放送するのかが分からない。番組情報を読んでもタイトルと同じ事しか書いていないのだ。
この時から、配信画面を見ていたのは、"汝は人狼なりや?"と言うゲームに関連した番組と勘違いした者と、良く分からないけど暇だし気になるからちょっと見てみようかと思っていた暇人が10人ほど集まっていた。
──────────────────────
| ハジマタ |
| |
| 8888 わこつ |
| |
| |
| え? |
| |
| なにこれ? |
| |
──────────────────────
放送が始まった瞬間、視聴者達はドン引きした。画面に某軍用艦船擬人化ゲームのキャラクターがプリントされた抱き枕カバーが部屋に張られたロープに何枚も暖簾のように吊るされている光景(もちろん健全な抱き枕カバーだ)が映ったからだ。そして、その後ろには誰かが立っている様だった。
この段階で10人程いた視聴者が一気に5人にまで減った。減った5人は配信者が萌え豚だと思った瞬間、容赦なくブラウザのタブにある×ボタンを容赦なく押した。
──────────────────────
|タ これはないwww |
| |
|88 わこつ ○これwww |
| |
| |
| え? |
| |
| 速き事|
| |
──────────────────────
ある意味、残った視聴者達はツワモノと言えるだろう。中にはお気に入りのキャラクターの台詞をコメントする者までいた。チラチラと抱き枕の間から少しだけ姿がみえるが、どのような人物かは分からない。ただ、赤いジャージを着ているのが分かった。
すると抱き枕カバーの後ろにいる配信者が話し始めた。
「ようこそ皆様。私の【朝起きたら】人狼になったけど質問ある?生放送【イケメンに(人外)】へ。どうも配信主の人狼です。配信内容も良く分からない番組に良くぞお集まりいただきました。まことにありがとうございます」
──────────────────────
|配信者出て来いwww |
| 配信説明ヨロ |
| |
| わこつ |
| |
| 島○ちゃんのカバーください |
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| |
| |
──────────────────────
画面にもっともな質問が流れる。
「配信説明ですが…。口で説明するより、もう見て貰った方が速いですね。行きます!」
配信者そう言うと自分の前に会った抱き枕カバーで作られた暖簾を跳ね上げ、配信者は姿を現した。
──────────────────────
| え? |
| おお |
| すげぇ |
| |
| ←おいw|
| |
| 見えたっ! |
| |
| |
──────────────────────
画面に映ったのはだぼだぼの赤ジャージの上下に超高級某ライダー変身ベルト玩具を装備した長身の男だった。それも某ライダー2号の変身ポーズで。
ただ、ここまでだったら普通のオタク趣味の男だ。しかし、その男にはそれらを凌駕する大きな特徴があった。
男の頭が明らかに人ではなかった。グレーと白が入り混じった短い毛に覆われた顔。鼻梁が前に大きく伸びその先に黒く濡れた鼻がちょんと乗っている。正面から見れは金色に見える目。頭の上についたピンと立った獣耳。口の周りから生える長い髭。そして口からちらりと見える白くて鋭い牙。
──────────────────────
| 人狼キター! |
| もふもふ! |
| 何これ特殊メイク? |
| 狼ヘッド!? |
| やべー! |
| キター! |
| 2号ワラタ |
| 確かにイケメン(人外)www|
| 何と言うクオリティwww |
──────────────────────
それもホームセンターなどで売られている馬などに代表されるゴム製の変身グッズとは比べ物にならないクオリティだった。獣の耳がぴくぴくと動き、生気を宿した瞳が、カメラを見つめている。まるで生きているようだった。事実、それは生きていた。
画面に映った配信者"人狼"は、自分が現れた事によるコメントがある程度流れるのを待つと口を開いた。
「はい、ご覧の通り私は人狼になってしまいました。事の起こりは一週間位前だったでしょうか。その前日から私は、風邪を引いて寝込んでいたんですが、朝起きたらごらんの通り、人狼になってました」
人狼は、画面外からキャスター付きの椅子を持ってきてカメラの付いているPCの前に座った。
──────────────────────
| 自演乙 |
| ねぇよwww |
| マジかよ!ちょっと風邪引いてくる! |
| やべー! |
| うぁすげぇ造詣 |
| |
|その特殊メイクの技術うちで生かしませんか? |
| ちょケモナースレ行ってくる|
| ちょwスカウトwww |
──────────────────────
視聴者の反応が、予想通りだったのか人狼は腕を組んでうんうんと頷いた。
「ですよね~。普通こんな事信じられないですよね~。けどこの身に起きた事実なんですよ~。ちなみにこれが人狼になる前の姿です」
人狼は画面外に手を伸ばして一枚のA4サイズの紙を取るとカメラの前に晒した。
──────────────────────
| ブッサ! |
| デブイ!|
| ブラクラ見せてんじゃねぇぞ! |
| ちょ背景おんなじwww |
| うぁああああああああ|
| モザイク入れんなwww |
| |
| 服も|
| これは…デブだ |
──────────────────────
その紙にプリントされていたのは、同じ背景同じ赤ジャージを着た、ものすごく太った男がピースしながら映っていた。ジャージはパンパンで今にもはちきれそうだった。ただその男の顔にはモザイクが入っており、誰か分からないように細工されている。
「モザイクは勘弁してください。武士の情けで。これが以前の私の姿です。どうです?痩せたでしょ?」
人狼は、かつての自分が映った紙を顔の横に持ってきて比べやすいようにした。
──────────────────────
| 痩せたってレベルじゃねー |
| そのダイエット方法を聞こうか |
| ねぇよwww |
| よし風邪を引こう!(使命感)|
| |
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| |
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「いやぁ本当に大変だったんですよ。朝起きたら人狼になってたんですよ?とうとうニート生活が長すぎて自分の頭がおかしくなったのかと思いましたよ。それで自分が人狼になったって現実を受け入れたのはその日の夕方ぐらいでしたね。んで、最初にしたのは某密林の注文を全部キャンセルする事でした。ああ、今月の新作なんどロイド楽しみにしてたのになぁ…」
人狼は、デスクに突っ伏した。人狼が注文したフィギュアは、某密林で予約開始10分で予約が締め切られるほどの人気商品だったのだ。
そして、このあたりから少しずつ視聴者が増え始める。5人にまで減っていた視聴者が10人にまで戻ってきた。
──────────────────────
| 何でキャンセルしたし |
| 確か今月は、妖怪ボー…いやなんでもない |
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| |
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「なんで、キャンセルしたかって?当たり前でしょう!僕はもう人間の姿して居ないんですよ!こんな姿で荷物受け取りに行ったら通報されちゃいますよ!そして警察とか政府に捕まって、そのまま国の秘密研究所に連れて行かれて、ケツの穴覗かれて、一生実験動物として無理やり生かされるんですよ!そんなの嫌に決まってますよ!」
人狼はもふもふとした頭を両手で掻き毟るとその手を頭の後ろに回した状態でデスクに肘をついた。
──────────────────────
| 何だろうこの被害妄想 |
| ケツの穴wwwそれは嫌だなw |
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| |
| |
| |
| |
|人狼になっちゃった子は仕舞っちゃおうね |
| ←ぼ○ぼ○ なつい |
──────────────────────
「…最初は家にある備蓄で、何とか食いつないでいたんですが…。人狼になって一週間。とうとう備蓄の食糧がなくなりました。そして僕は思ったんです!どうせ実験動物として一生を過ごすなら最後に一花咲かせてやろうと!生放送で僕の存在を知らしめようと!!」
人狼は顔を上げながら手を顔の前に持ってきて握りこぶしを作る、そして決意(?)を込めた視線をカメラに向けた。
本人は、大真面目にかっこつけていたが、言っている事が残念すぎる。
──────────────────────
|ニ○生でしらしめようって |
| え?はぁ |
| |
| 別にそのまま外に出れば良くね? |
| |
| 最後の一花がニ○生www |
| |
| |
| |
──────────────────────
「と言うわけで僕の番組をご覧の皆様!人狼になった僕が何でも質問に答えるよ!僕の顔が偽者じゃないかと思う人の質問又はリクエストも大募集!宣伝も歓迎するよ!」
人狼はわざとらしく両手を広げ、カモ~ンとジェスチャーしながら言った。
──────────────────────
| おお、そういう事か |
| タイトル回収 |
| ん?今… |
| よっしゃ、脱げ |
| じゃ脱ごうか。 |
| リクエスト:全ネ果 |
| |
| |
| お前ら全裸好き過ぎwww |
──────────────────────
「…皆全裸好きすぎるだろ。まぁ、そのリクエストは想定していたよ。まぁ脱いでも良いけど海パン一丁で勘弁してください。さすがに運営にバンされるは嫌なんで」
"運営にバン"とは、生放送中に動画サイトが規定した利用規約に違反すると、動画サイトを運営している中の人達に放送を強制的に停止させられ、そのほかに色々なペナルティを科される事を言う。
生放送で最後の一花咲かせる事が人狼の目的なので、生放送を止められるのは避けたかった。
──────────────────────
| チッ! チッ! |
| しゃーなしだな |
| チッ! ちっ! |
| へたれが |
| チッ!とかひでぇ|
| チッ! |
| |
| まぁまぁwww |
| チッ! |
──────────────────────
「では行きます!」
人狼は、勢い良くジャージのジッパーを引き下ろし、どこぞのアーティストがやっていたようにガバッとジャージ(上)を脱ぎ捨てた。
後ろの方に脱ぎ捨てられたジャージは枕カバーが吊るされたロープに引っかり、抱き枕カバーを隠す。
──────────────────────
| おお |
| ウホッ! |
| おお |
| ウホッいい腹筋 |
| すげ |
| 腹筋割れとるwww |
| |
| 何と言う肉体美 |
| |
──────────────────────
画面に映ったのは、すさまじい肉体美を誇る細マッチョ。大胸筋は引き締まり腹筋は六つに割れている。それはまるで古代ギリシャに作られた英雄の彫刻の様であった。
人狼は、良くボディビールダーがしているポーズを見よう見真似で次々としていく。
一通りポーズを取って満足した人狼はそのまま椅子に座った。
「すごい体つきでしょ!元はこれっ!」
そこで人狼は、再び自称かつての自分が映った紙をカメラの前に突きつける。
──────────────────────
| やめろwww |
| |
| ゲボッ! |
| |
| やまてっ! |
| |
| 首何処だよ |
| |
| 何と言うデブ体型 |
──────────────────────
この頃になると視聴者が50人を超えた。配信主の嘘を暴こうとするもの、何処かの親切な人が宣伝して興味本位そして……。
──────────────────────
| 獣人キター!ケモナースレから来ました|
| ケモナースレから |
| ケモナースレから |
| もふもふはぁはぁ! |
| ケモナースレか|
| もふもふだぁああああ!! |
| 本物ダー! |
| ケモナースレから |
| 何だ男かよorz |
──────────────────────
「うぉ!いきなり視聴者さんが増えましたねぇ~。ケモナースレですか…なかなか業の深そうな所からようこそ」
人狼は突然増えてきた視聴者に若干ビビリながらも受け入れ、放送を続ける。
ディスプレイに映っている時計には15:29と表示されている。
彼は、意を決してマウスを操作し、配信開始ボタンを押した。
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| ざわざわ |
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| これ何の生放送? |
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| 人狼ってゲームの? |
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| マダ|
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放送が始まる前、当然の事ながら【朝起きたら】人狼になったけど質問ある?生放送【イケメンに(人外)】の配信画面を見ていた視聴者は少ない。そもそもこの放送自体一体何を放送するのかが分からない。番組情報を読んでもタイトルと同じ事しか書いていないのだ。
この時から、配信画面を見ていたのは、"汝は人狼なりや?"と言うゲームに関連した番組と勘違いした者と、良く分からないけど暇だし気になるからちょっと見てみようかと思っていた暇人が10人ほど集まっていた。
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| ハジマタ |
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| 8888 わこつ |
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| え? |
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| なにこれ? |
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放送が始まった瞬間、視聴者達はドン引きした。画面に某軍用艦船擬人化ゲームのキャラクターがプリントされた抱き枕カバーが部屋に張られたロープに何枚も暖簾のように吊るされている光景(もちろん健全な抱き枕カバーだ)が映ったからだ。そして、その後ろには誰かが立っている様だった。
この段階で10人程いた視聴者が一気に5人にまで減った。減った5人は配信者が萌え豚だと思った瞬間、容赦なくブラウザのタブにある×ボタンを容赦なく押した。
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|タ これはないwww |
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|88 わこつ ○これwww |
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| え? |
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| 速き事|
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ある意味、残った視聴者達はツワモノと言えるだろう。中にはお気に入りのキャラクターの台詞をコメントする者までいた。チラチラと抱き枕の間から少しだけ姿がみえるが、どのような人物かは分からない。ただ、赤いジャージを着ているのが分かった。
すると抱き枕カバーの後ろにいる配信者が話し始めた。
「ようこそ皆様。私の【朝起きたら】人狼になったけど質問ある?生放送【イケメンに(人外)】へ。どうも配信主の人狼です。配信内容も良く分からない番組に良くぞお集まりいただきました。まことにありがとうございます」
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|配信者出て来いwww |
| 配信説明ヨロ |
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| わこつ |
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| 島○ちゃんのカバーください |
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画面にもっともな質問が流れる。
「配信説明ですが…。口で説明するより、もう見て貰った方が速いですね。行きます!」
配信者そう言うと自分の前に会った抱き枕カバーで作られた暖簾を跳ね上げ、配信者は姿を現した。
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| え? |
| おお |
| すげぇ |
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| ←おいw|
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| 見えたっ! |
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画面に映ったのはだぼだぼの赤ジャージの上下に超高級某ライダー変身ベルト玩具を装備した長身の男だった。それも某ライダー2号の変身ポーズで。
ただ、ここまでだったら普通のオタク趣味の男だ。しかし、その男にはそれらを凌駕する大きな特徴があった。
男の頭が明らかに人ではなかった。グレーと白が入り混じった短い毛に覆われた顔。鼻梁が前に大きく伸びその先に黒く濡れた鼻がちょんと乗っている。正面から見れは金色に見える目。頭の上についたピンと立った獣耳。口の周りから生える長い髭。そして口からちらりと見える白くて鋭い牙。
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| 人狼キター! |
| もふもふ! |
| 何これ特殊メイク? |
| 狼ヘッド!? |
| やべー! |
| キター! |
| 2号ワラタ |
| 確かにイケメン(人外)www|
| 何と言うクオリティwww |
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それもホームセンターなどで売られている馬などに代表されるゴム製の変身グッズとは比べ物にならないクオリティだった。獣の耳がぴくぴくと動き、生気を宿した瞳が、カメラを見つめている。まるで生きているようだった。事実、それは生きていた。
画面に映った配信者"人狼"は、自分が現れた事によるコメントがある程度流れるのを待つと口を開いた。
「はい、ご覧の通り私は人狼になってしまいました。事の起こりは一週間位前だったでしょうか。その前日から私は、風邪を引いて寝込んでいたんですが、朝起きたらごらんの通り、人狼になってました」
人狼は、画面外からキャスター付きの椅子を持ってきてカメラの付いているPCの前に座った。
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| 自演乙 |
| ねぇよwww |
| マジかよ!ちょっと風邪引いてくる! |
| やべー! |
| うぁすげぇ造詣 |
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|その特殊メイクの技術うちで生かしませんか? |
| ちょケモナースレ行ってくる|
| ちょwスカウトwww |
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視聴者の反応が、予想通りだったのか人狼は腕を組んでうんうんと頷いた。
「ですよね~。普通こんな事信じられないですよね~。けどこの身に起きた事実なんですよ~。ちなみにこれが人狼になる前の姿です」
人狼は画面外に手を伸ばして一枚のA4サイズの紙を取るとカメラの前に晒した。
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| ブッサ! |
| デブイ!|
| ブラクラ見せてんじゃねぇぞ! |
| ちょ背景おんなじwww |
| うぁああああああああ|
| モザイク入れんなwww |
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| 服も|
| これは…デブだ |
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その紙にプリントされていたのは、同じ背景同じ赤ジャージを着た、ものすごく太った男がピースしながら映っていた。ジャージはパンパンで今にもはちきれそうだった。ただその男の顔にはモザイクが入っており、誰か分からないように細工されている。
「モザイクは勘弁してください。武士の情けで。これが以前の私の姿です。どうです?痩せたでしょ?」
人狼は、かつての自分が映った紙を顔の横に持ってきて比べやすいようにした。
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| 痩せたってレベルじゃねー |
| そのダイエット方法を聞こうか |
| ねぇよwww |
| よし風邪を引こう!(使命感)|
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「いやぁ本当に大変だったんですよ。朝起きたら人狼になってたんですよ?とうとうニート生活が長すぎて自分の頭がおかしくなったのかと思いましたよ。それで自分が人狼になったって現実を受け入れたのはその日の夕方ぐらいでしたね。んで、最初にしたのは某密林の注文を全部キャンセルする事でした。ああ、今月の新作なんどロイド楽しみにしてたのになぁ…」
人狼は、デスクに突っ伏した。人狼が注文したフィギュアは、某密林で予約開始10分で予約が締め切られるほどの人気商品だったのだ。
そして、このあたりから少しずつ視聴者が増え始める。5人にまで減っていた視聴者が10人にまで戻ってきた。
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| 何でキャンセルしたし |
| 確か今月は、妖怪ボー…いやなんでもない |
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「なんで、キャンセルしたかって?当たり前でしょう!僕はもう人間の姿して居ないんですよ!こんな姿で荷物受け取りに行ったら通報されちゃいますよ!そして警察とか政府に捕まって、そのまま国の秘密研究所に連れて行かれて、ケツの穴覗かれて、一生実験動物として無理やり生かされるんですよ!そんなの嫌に決まってますよ!」
人狼はもふもふとした頭を両手で掻き毟るとその手を頭の後ろに回した状態でデスクに肘をついた。
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| 何だろうこの被害妄想 |
| ケツの穴wwwそれは嫌だなw |
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|人狼になっちゃった子は仕舞っちゃおうね |
| ←ぼ○ぼ○ なつい |
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「…最初は家にある備蓄で、何とか食いつないでいたんですが…。人狼になって一週間。とうとう備蓄の食糧がなくなりました。そして僕は思ったんです!どうせ実験動物として一生を過ごすなら最後に一花咲かせてやろうと!生放送で僕の存在を知らしめようと!!」
人狼は顔を上げながら手を顔の前に持ってきて握りこぶしを作る、そして決意(?)を込めた視線をカメラに向けた。
本人は、大真面目にかっこつけていたが、言っている事が残念すぎる。
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|ニ○生でしらしめようって |
| え?はぁ |
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| 別にそのまま外に出れば良くね? |
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| 最後の一花がニ○生www |
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「と言うわけで僕の番組をご覧の皆様!人狼になった僕が何でも質問に答えるよ!僕の顔が偽者じゃないかと思う人の質問又はリクエストも大募集!宣伝も歓迎するよ!」
人狼はわざとらしく両手を広げ、カモ~ンとジェスチャーしながら言った。
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| おお、そういう事か |
| タイトル回収 |
| ん?今… |
| よっしゃ、脱げ |
| じゃ脱ごうか。 |
| リクエスト:全ネ果 |
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| お前ら全裸好き過ぎwww |
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「…皆全裸好きすぎるだろ。まぁ、そのリクエストは想定していたよ。まぁ脱いでも良いけど海パン一丁で勘弁してください。さすがに運営にバンされるは嫌なんで」
"運営にバン"とは、生放送中に動画サイトが規定した利用規約に違反すると、動画サイトを運営している中の人達に放送を強制的に停止させられ、そのほかに色々なペナルティを科される事を言う。
生放送で最後の一花咲かせる事が人狼の目的なので、生放送を止められるのは避けたかった。
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| チッ! チッ! |
| しゃーなしだな |
| チッ! ちっ! |
| へたれが |
| チッ!とかひでぇ|
| チッ! |
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| まぁまぁwww |
| チッ! |
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「では行きます!」
人狼は、勢い良くジャージのジッパーを引き下ろし、どこぞのアーティストがやっていたようにガバッとジャージ(上)を脱ぎ捨てた。
後ろの方に脱ぎ捨てられたジャージは枕カバーが吊るされたロープに引っかり、抱き枕カバーを隠す。
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| おお |
| ウホッ! |
| おお |
| ウホッいい腹筋 |
| すげ |
| 腹筋割れとるwww |
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| 何と言う肉体美 |
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画面に映ったのは、すさまじい肉体美を誇る細マッチョ。大胸筋は引き締まり腹筋は六つに割れている。それはまるで古代ギリシャに作られた英雄の彫刻の様であった。
人狼は、良くボディビールダーがしているポーズを見よう見真似で次々としていく。
一通りポーズを取って満足した人狼はそのまま椅子に座った。
「すごい体つきでしょ!元はこれっ!」
そこで人狼は、再び自称かつての自分が映った紙をカメラの前に突きつける。
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| やめろwww |
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| ゲボッ! |
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| やまてっ! |
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| 首何処だよ |
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| 何と言うデブ体型 |
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この頃になると視聴者が50人を超えた。配信主の嘘を暴こうとするもの、何処かの親切な人が宣伝して興味本位そして……。
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| 獣人キター!ケモナースレから来ました|
| ケモナースレから |
| ケモナースレから |
| もふもふはぁはぁ! |
| ケモナースレか|
| もふもふだぁああああ!! |
| 本物ダー! |
| ケモナースレから |
| 何だ男かよorz |
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「うぉ!いきなり視聴者さんが増えましたねぇ~。ケモナースレですか…なかなか業の深そうな所からようこそ」
人狼は突然増えてきた視聴者に若干ビビリながらも受け入れ、放送を続ける。
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