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シャボン玉飛ばす二人
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その後、ギュードの群れを探したが見つからず、とりあえず本日の狩りは終了である。
あっさり捕まえられるかと思ったが、意外と苦戦するもんだ。
鳥肉の燻製に塩コショウをかけ、口いっぱいにほおばる。
「本当なら今頃、霜降り肉のBBQだったんだけどなぁ」
「あはは、こっちもヘルシーでいいじゃん?」
「たまには脂っこいのも食べたいんだよ」
食べられないとわかると余計に、である。
くそう、胃袋が脂分を欲しがってるぜ。
「まぁ獲れなかったのはしゃーないよ。明日またがんばろー!」
「だなー」
カオリの言う通りだ。へこんでいてもしょうがない。
考えなきゃいけないなら考えるだけの話だ。簡単だ。
食事が終わった俺は、風呂に入りながらゆっくり考える。
(奴らが逃げるってのなら逃げ道を塞ぐ……? だがあの巨体は無理だろうな。ならいっそ……)
水の中で息を吐くと、ぶくぶくと泡が浮かんでは消えていく。
泡、泡か……なるほど、やってみる価値はあるかもしれない!
――――翌日、俺たちは早起きし、早速ギュード狩りにくりだした。
今日こそは必ず捕らえる。
「おー、燃えてるねーユキトくん」
「ふふふ、我に必勝の手あり、というやつだ」
「自信満々ーこりゃあ期待できるね! やったね!」
「……ま、そこまで期待されてもその、つらいんだが」
必勝は言い過ぎだが、手はある。
ともあれまずは群れを見つけない事にはどうしようもない。
時折カオリにジャンプさせながら、索敵を行うこと1時間-―――
「お! いたよいたよー! あっちにいっぱい!」
「よし、とりあえず近づこう」
「ほいー」
俺たちは先日と同じように、群れの近くまで近寄った。
「んでんで、必中の手ってのはなになに?」
「む、あまり期待されるとちょっと困るんだがな」
アイテムボックスから取り出したのは、バケツ代わりに使っているポーションの空ビン。
そこへは氷の魔法と火の魔法で作った水がはいっている。
更に、他のものも色々と。
「何かの液体?」
「すぐにわかるさ」
「あーーーーっ!」
もう一つ取り出したもので、カオリも察しがついたようだ。
取り出したるは針金を曲げて作った、輪。
これを液の中に浸けると、輪の中に膜が出来ていた。
そう、もうお分かりだろう。
「シャボン玉!」
「いえーす」
少々特別性だがな。
俺は大きく息を吸うと、シャボン膜の前でゆっくり吐いた。
ぷーーーーー、と大きなシャボン玉が幾つが生まれ、ギュードの方へと飛んでいく。
「なるほど!好奇心を刺激してこちらに誘き寄せる作戦ね!」
「あぁ、コントロールは火の魔法である程度可能だ」
火の魔法により生まれる熱波で、シャボン玉をギュードの群れまで運ぶ予定である。
「でもあそこまでシャボン玉、もつ?結構遠いよ?」
「あのシャボン玉は特別性なのさ。まぁ見てろ」
火に運ばれて飛んでいくシャボン玉は、50メートル程移動しても割れる気配がない。
「おーーーー? 確かに割れないねぇー? どうやったん?」
「タネは蜂蜜だ」
シャボン玉は砂糖や蜂蜜など、甘いものを混ぜると耐久力が大幅に上がる。
ちなみに食べちゃダメ。絶対。
「モ?」
一匹がシャボン玉に気づいたようだ。
火を動かし、シャボン玉を揺らして更に興味を引かせる。
ギュードはこちらに移動してきた。
よしよし、いいぞーそのままそのまま。
「おおっ! やるねやるねやるねー! 」
ゆっくりとではあるが、ギュードは群れを離れこちらに近寄ってくる。
あと500メートル、400、300……
群れから大分離れ、もう大丈夫かと思ったその時である。
不意に、イタズラな風が吹いた。
マズい。最悪のタイミング――――シャボン玉は風に吹き飛ばされてしまった。
しばらくシャボン玉を見上げていたギュードだったが、思い出したかのように群れへと帰ろうとする。
――――帰ろうとしたギュードだったが、動きが止まった。
「んぎぎぎぎ……」
ギュードの尻尾をカオリが掴んだのだ。
必死に掴んではいるが、滑ってすっぽ抜けそうである。
その前に俺は火の魔法を念じ、ギュードの背に火を放った。
「モ? モ……? ゥゥゥモ……ォォォォォォォッッッ!?」
「おわっと!?」
半狂乱になって暴れまわるギュード。
地面に転がり火を消した。背中に残った焦げ跡から煙を上げながら、立ち上がる。
「モォォォォォォォォォォォォォォ!!」
そして一鳴きすると、俺たちに向け突進してきた。
「カオリ!」
「あいあいさー!」
カオリは俺の前に立ちふさがり、ギュードはそこへ突っ込んでくる。
鋭い角がカオリに突き刺さる直前、両手でがっしとその双角を掴み取った。
がっぷりよっつ、迫力のせめぎ合いである。
「モ……ゥゥゥゥゥ……!」
「ふ、ふふふ……中々パワーあるじゃない」
カオリの脚が地面に沈んでいく。
少し押されているようだ。
いくらカオリでもあの巨体相手では部が悪そうだ。
ここはひとつ、あの手でいくか。
「カオリ!もう少し耐えてくれ!」
「うひ……ぃ……結構……キツイ……よ、これ……っ!」
割と限界近いのか、カオリの顔は真っ赤だ。
とっとと決めてしまわないとな。
「氷よ」
俺は地面に手をつけると、氷の魔法を発動させる。
氷は地面を這うようにして広がっていき、カオリとギュードをも飲み込んでいく。
「モ!?」
「ちょ!ユキトくん!?私まで巻き込まれてるんですけど!?」
「大丈夫大丈夫、多分」
「多分てどういうことすかー!?」
カオリの悲鳴を無視し、氷を更に広げていく。
氷を魔法最大出力、辺りは一面氷に包まれた。
「さむーーーい!!」
カオリの吐く息は白く、ギュードも突然の事態に戸惑っているようだ。
何せ脚が氷に覆われたのである。
焦るのも当然だ。
(ってかやべぇ、めっちゃ疲れるこれ!)
出力最大の氷の魔法は精神にクる。
だがここで気を失う訳にはいかない。
カオリへの攻撃を止めたギュードは、ともかく脱出しようと両足に力を込める。
氷の破片を撒き散らしながら足を引き抜くギュードだったが……
「モッ!?」
つるん、と滑り、転んでしまった。
ガラスの割れるような音と共に地面に叩きつけられたギュードは、起き上がれずにもがいている。
巨体であればあるほど、立ち上がるのに力を要するものだ。
競走馬などもレース中に転倒してまえば、二度と立ち上がれなることも多い。
しかも足場は全て氷。
「モ……ゥゥゥゥゥ……」
ギュードの動きが、止まった。
あっさり捕まえられるかと思ったが、意外と苦戦するもんだ。
鳥肉の燻製に塩コショウをかけ、口いっぱいにほおばる。
「本当なら今頃、霜降り肉のBBQだったんだけどなぁ」
「あはは、こっちもヘルシーでいいじゃん?」
「たまには脂っこいのも食べたいんだよ」
食べられないとわかると余計に、である。
くそう、胃袋が脂分を欲しがってるぜ。
「まぁ獲れなかったのはしゃーないよ。明日またがんばろー!」
「だなー」
カオリの言う通りだ。へこんでいてもしょうがない。
考えなきゃいけないなら考えるだけの話だ。簡単だ。
食事が終わった俺は、風呂に入りながらゆっくり考える。
(奴らが逃げるってのなら逃げ道を塞ぐ……? だがあの巨体は無理だろうな。ならいっそ……)
水の中で息を吐くと、ぶくぶくと泡が浮かんでは消えていく。
泡、泡か……なるほど、やってみる価値はあるかもしれない!
――――翌日、俺たちは早起きし、早速ギュード狩りにくりだした。
今日こそは必ず捕らえる。
「おー、燃えてるねーユキトくん」
「ふふふ、我に必勝の手あり、というやつだ」
「自信満々ーこりゃあ期待できるね! やったね!」
「……ま、そこまで期待されてもその、つらいんだが」
必勝は言い過ぎだが、手はある。
ともあれまずは群れを見つけない事にはどうしようもない。
時折カオリにジャンプさせながら、索敵を行うこと1時間-―――
「お! いたよいたよー! あっちにいっぱい!」
「よし、とりあえず近づこう」
「ほいー」
俺たちは先日と同じように、群れの近くまで近寄った。
「んでんで、必中の手ってのはなになに?」
「む、あまり期待されるとちょっと困るんだがな」
アイテムボックスから取り出したのは、バケツ代わりに使っているポーションの空ビン。
そこへは氷の魔法と火の魔法で作った水がはいっている。
更に、他のものも色々と。
「何かの液体?」
「すぐにわかるさ」
「あーーーーっ!」
もう一つ取り出したもので、カオリも察しがついたようだ。
取り出したるは針金を曲げて作った、輪。
これを液の中に浸けると、輪の中に膜が出来ていた。
そう、もうお分かりだろう。
「シャボン玉!」
「いえーす」
少々特別性だがな。
俺は大きく息を吸うと、シャボン膜の前でゆっくり吐いた。
ぷーーーーー、と大きなシャボン玉が幾つが生まれ、ギュードの方へと飛んでいく。
「なるほど!好奇心を刺激してこちらに誘き寄せる作戦ね!」
「あぁ、コントロールは火の魔法である程度可能だ」
火の魔法により生まれる熱波で、シャボン玉をギュードの群れまで運ぶ予定である。
「でもあそこまでシャボン玉、もつ?結構遠いよ?」
「あのシャボン玉は特別性なのさ。まぁ見てろ」
火に運ばれて飛んでいくシャボン玉は、50メートル程移動しても割れる気配がない。
「おーーーー? 確かに割れないねぇー? どうやったん?」
「タネは蜂蜜だ」
シャボン玉は砂糖や蜂蜜など、甘いものを混ぜると耐久力が大幅に上がる。
ちなみに食べちゃダメ。絶対。
「モ?」
一匹がシャボン玉に気づいたようだ。
火を動かし、シャボン玉を揺らして更に興味を引かせる。
ギュードはこちらに移動してきた。
よしよし、いいぞーそのままそのまま。
「おおっ! やるねやるねやるねー! 」
ゆっくりとではあるが、ギュードは群れを離れこちらに近寄ってくる。
あと500メートル、400、300……
群れから大分離れ、もう大丈夫かと思ったその時である。
不意に、イタズラな風が吹いた。
マズい。最悪のタイミング――――シャボン玉は風に吹き飛ばされてしまった。
しばらくシャボン玉を見上げていたギュードだったが、思い出したかのように群れへと帰ろうとする。
――――帰ろうとしたギュードだったが、動きが止まった。
「んぎぎぎぎ……」
ギュードの尻尾をカオリが掴んだのだ。
必死に掴んではいるが、滑ってすっぽ抜けそうである。
その前に俺は火の魔法を念じ、ギュードの背に火を放った。
「モ? モ……? ゥゥゥモ……ォォォォォォォッッッ!?」
「おわっと!?」
半狂乱になって暴れまわるギュード。
地面に転がり火を消した。背中に残った焦げ跡から煙を上げながら、立ち上がる。
「モォォォォォォォォォォォォォォ!!」
そして一鳴きすると、俺たちに向け突進してきた。
「カオリ!」
「あいあいさー!」
カオリは俺の前に立ちふさがり、ギュードはそこへ突っ込んでくる。
鋭い角がカオリに突き刺さる直前、両手でがっしとその双角を掴み取った。
がっぷりよっつ、迫力のせめぎ合いである。
「モ……ゥゥゥゥゥ……!」
「ふ、ふふふ……中々パワーあるじゃない」
カオリの脚が地面に沈んでいく。
少し押されているようだ。
いくらカオリでもあの巨体相手では部が悪そうだ。
ここはひとつ、あの手でいくか。
「カオリ!もう少し耐えてくれ!」
「うひ……ぃ……結構……キツイ……よ、これ……っ!」
割と限界近いのか、カオリの顔は真っ赤だ。
とっとと決めてしまわないとな。
「氷よ」
俺は地面に手をつけると、氷の魔法を発動させる。
氷は地面を這うようにして広がっていき、カオリとギュードをも飲み込んでいく。
「モ!?」
「ちょ!ユキトくん!?私まで巻き込まれてるんですけど!?」
「大丈夫大丈夫、多分」
「多分てどういうことすかー!?」
カオリの悲鳴を無視し、氷を更に広げていく。
氷を魔法最大出力、辺りは一面氷に包まれた。
「さむーーーい!!」
カオリの吐く息は白く、ギュードも突然の事態に戸惑っているようだ。
何せ脚が氷に覆われたのである。
焦るのも当然だ。
(ってかやべぇ、めっちゃ疲れるこれ!)
出力最大の氷の魔法は精神にクる。
だがここで気を失う訳にはいかない。
カオリへの攻撃を止めたギュードは、ともかく脱出しようと両足に力を込める。
氷の破片を撒き散らしながら足を引き抜くギュードだったが……
「モッ!?」
つるん、と滑り、転んでしまった。
ガラスの割れるような音と共に地面に叩きつけられたギュードは、起き上がれずにもがいている。
巨体であればあるほど、立ち上がるのに力を要するものだ。
競走馬などもレース中に転倒してまえば、二度と立ち上がれなることも多い。
しかも足場は全て氷。
「モ……ゥゥゥゥゥ……」
ギュードの動きが、止まった。
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