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何でも言うこと聞くって言ったよね。前編
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それから数日後、私たちはキリアの家へと赴いた。
キリアの家は白亜の壁で覆われた庭付きの一軒家で、モフモフの大きな犬が繋がれている。
わぁ、可愛いなぁ。ちょっと撫でてみたりして――
「オン! オン!」
「うわっ、び、びっくりしたぁ……」
いきなり吠えるんだもんなぁ。ドキドキしながら距離を取る。
「おーい、どうしたホワイト。静かにしないか」
声と共に扉が開き、キリアが出てくる。
今日は鎧は着ておらず、清潔感のあるシャツに黒いパンツという服装だ。
うーん、やっぱり男に見えるなぁ。
「おや、アゼリア君。それにレジーナさんまで……」
「こんにちはキリア、この間の約束、果たして貰いに来たよ」
「約束……あぁ」
そう、先日行った勝負、私が勝ったら何でも言うことを聞く――とキリアは言っていた。
「すまない。有耶無耶にしようとしていたわけではないのだが、ドタバタしていてね。とりあえず中に入るといい」
「はーい、お邪魔しまーす」
招かれるままに中へ入る。
家の中はとても整理整頓されている。随分と綺麗好きのようだ。
「紅茶でいいかな?」
「ありがとう」
テーブルに着いて待つことしばし、キリアはティーカップを四つと茶菓子を運んできた。
いやぁ、すみませんなぁ。あ、この茶菓子美味しい。
「紅茶も美味しいですよご主人様」
「うん、良い所の茶葉を使っているね」
ウチの実家で使っている茶葉と比べても遜色ない香り高さだ。
「ブルーゴニ地方で採られた茶葉かな。しかも高原で育てられたいいやつでしょ」
「ほう、この味がわかるとは大したものだ」
感心したように唸るキリア。
これでも実家は古い良家だ。お茶の味の良し悪しくらいは分かるのである。
ちなみに私は甘いのが好み。砂糖は二杯でよろしく。
レジーナは砂糖を一つも入れず、カップに唇を付ける。
「ふふっ、キリアって実は結構お嬢様だものね。お父さんが聖騎士団長だっけ?」
「親の七光りでいい暮らしをさせて貰っているだけでして、全くお恥ずかしい限りです……っと、それより本題に入ろうか。アゼリア君」
バツが悪かったのか、話を変えるキリア。
親の話を出されると照れ臭いよね。私もそうだからよくわかる。
小さい頃は何も考えなかったが、成長すると身内が他人と絡むのはなんか嫌なものだ。
だってほら、親兄弟は自分の幼い頃のことを知っているんだよ? 恥ずかしい秘密とかが何かの弾みに他人に知られたら困るじゃないの。
「約束通り何でも言うことを聞こう。騎士に二言はない。遠慮なく言い給え」
「それじゃあキリア、私に剣術を教えてちょうだい」
色々考えたがやっぱこれでしょ。冒険者と言えば剣術は基本である。
それに聖騎士団仕込みの剣技なんてカッコいいしね。
「ふむ、剣術指南か。それくらいならお安い御用だとも」
「あ、キリアが忙しいなら親父さんに頼んで貰ってもいいけど?」
「……やめてくれ。頼むから」
私の言葉にキリアは恥ずかしそうに顔を俯ける。
うそうそ、冗談だよ。
◇
という分けで私たちは早速庭に出る。
庭は訓練場のようになっており、木人形や的、よくわからない道具が色々と置かれており、そのどれもがボロボロになっている。
キリアが普段、どれだけ訓練をしているのかが見てわかるようだ。
感心しているとキリアに訓練用の木剣を渡される。
「では軽く剣を振ってみせてくれ。そうだな。そこの板を狙って打ち込むといい」
キリアが指差したのは、庭の木に吊るされた板である。
おおっ、こういうの読んだことある。剣の訓練の時に当て感というのを養うものだ。
凄腕の剣士がこう格好よくカンカンカン、と連続で当てているのを読んで、胸が躍ったものである。
「うん、やってみる」
元気よく返事をし、私は木剣を上段に構えた。
「てぇい!」
しかし、私の振るった木刀はスカッと空を切る。
……恥ずかしい。そうだった。私、止まっているスライムにも当てられなかったんだ。
だがキリアは真剣な顔のまま私に言う。
「手の握りが逆だな。あと肩に力が入り過ぎている」
「こう、かな?」
「脇も締めて、腰も深く沈めて……うん、これでやってみるといい」
「な、なんか窮屈なんだけど……」
キリアに構えを直されたが、どうにも身体が動かしにくく力が入らない。
「それが基本の型。アゼリア君はそれがなってないから身体の軸がぶれ、狙い通りに振れないのだ。型を馴染ませる為に何度も素振りをするといい」
「はーい」
言われた通り、ぶん、ぶんと何度か素振りを行う。
「ほら、肩に力が入っているぞ」
「腕を振る時は真っ直ぐに」
「背筋が曲がってる」
キリアに逐一指摘をされながら、何度も振る。
……十回もやっていると、もう手が痛くなっていた。
日差しも強いし、そろそろキツい。
「ち、ちょっと休憩……」
「む? 仕方あるまい」
日陰に行って座り込む。……はぁ、疲れたなぁ。
「大丈夫ですかご主人様」
「うん、やはり日中は力が出ないね」
こちとら夜の眷属、日が照っていると体力激減なのだ。
なのですぐバテる。貧弱貧弱である。
「しかし剣術を教えてとか押しかけておいてこの体たらくでは、キリアも呆れているのではないですかね?」
「うっ……やっぱそうかな?」
メフィの言葉が突き刺さる。
まともに当てられもしないし、すぐバテるような私が剣を教えてくれだなんて、呆れられても仕方ないだろう。
「そんなつもりはないから安心したまえ」
会話に割って入ってきたのは、飲み物を手にしたキリアだ。
私に冷たい水を渡しながら、隣に座る。
「誰だって最初はそんなものだよ。出来ないからって見捨てていては、育てる楽しさは味わえない……なんて、レジーナさんの受け売りなんだけどね」
照れ臭そうに笑いながら、キリアは続ける。
「今では偉そうなことを言っているが、僕も修行中はよく怒られたものだよ。その上へこたれたり、腐ったり……自分でも呆れる体たらくだったよ。それでもレジーナさんは根気強く教えてくれた。そんな日々を過ごすうち、僕は次第にあの人に惹かれていったのさ」
目を細めて、部屋で本を読むレジーナを見つめるキリア。その頬はやや赤く染まっていた。
本当に尊敬しているんだなぁ。そんなことを考えながら私は水を口を含む。冷たい水が火照った身体に染みわたるようだった。
「だから僕は決して君を見捨てはしない! さぁ休憩は終わりだ。ビシビシ行くぞ!」
「うんっ!」
立派な考えだ。キリアに剣術を教われて良かったなぁ。
ちゃんと出来るように頑張らなきゃね。
そうして素振りを再開する。少しやっては休憩、また少しやっては休憩……と地道にそれを繰り返したのである。
積み重ねが大事だというキリアを信じ、とにかく繰り返す。
そのうちになんとなくわかってきた気がしてきた。
剣の振る音が明らかに変わっている。
剣筋がまっすぐになっている。
剣を振った感触でその良し悪しが、自分でもわかるようになっている。
「……ふむ、少しは形になってきたかな。よしアゼリア君。もう一度その板に当ててみせてくれ」
「わかった。……よぉし」
肩に力は入れず、リラックス。的をよーく見ながら――真っ直ぐに振り下ろす。
――と、かぁん! と音がして板が跳ねた。……というかぶっ飛んだ。
真っ二つに斬り分かれた板の片方は壁に当たって突き刺さり、残った木に括りつけられた方は木の枝にぐるぐる回転しながら巻き付いて、勢いのままに枝をへし折った。
「おおっ! 当たった! 当たったよ!」
私はぴょんと飛び上がってキリアの手を取る。
すごいすごい。本当に当てられるようになるなんて、キリアは教え方が上手だなぁ。
「な、何だ今の鋭すぎる振り……揺れる板を木剣で切断したというのか? しかもその破片が壁を砕くって、一体どんな速度で叩っ斬ればこうなると……?」
キリアはあんぐりと口を開けているが、私はそれよりまともに剣が当たるようになったのが楽しくて仕方ない。
まだ枝にぶら下がっている板に何度も木剣を当てると、そのたびに破片が地面に落ちていく。
いやー、こんな小さな的にも当てられるようになるなんて、これが剣術か。楽しいなー。
楽しく剣を振る私をキリアはドン引きしながら見ている。
「あのー……つかぬことを伺いますがレジーナさん。僕が彼女に剣術を教える理由、あります?」
「……まぁ、戦闘面では全く必要ないわね。でも本人が教わりたいって言っているのだし、キリアも弟子が欲しいと言っていたでしょう?」
「それはそうですが、師匠より強い弟子など……」
「ふふ、弟子に鍛えられることだってあるものよ。ホラ、師匠らしくシャキっとしなさいな」
「は、はぁ……」
何やらレジーナに励まされているようだ。一体何をしているのだろうか。
キリアは私をじっと見つめた後、胸を張って笑う。
「や、やるじゃないかアゼリア君。少し教えただけでここまでやるようになるとは……驚いたよ。はは、ははは……」
何だか乾いた笑い声だが……ともあれやはり我流よりも、その道の先生に習った方が上達は早いものである。
「うん、ありがとうキリア」
私がお礼を言うと、キリアは引きつった笑みを浮かべるのだった。
キリアの家は白亜の壁で覆われた庭付きの一軒家で、モフモフの大きな犬が繋がれている。
わぁ、可愛いなぁ。ちょっと撫でてみたりして――
「オン! オン!」
「うわっ、び、びっくりしたぁ……」
いきなり吠えるんだもんなぁ。ドキドキしながら距離を取る。
「おーい、どうしたホワイト。静かにしないか」
声と共に扉が開き、キリアが出てくる。
今日は鎧は着ておらず、清潔感のあるシャツに黒いパンツという服装だ。
うーん、やっぱり男に見えるなぁ。
「おや、アゼリア君。それにレジーナさんまで……」
「こんにちはキリア、この間の約束、果たして貰いに来たよ」
「約束……あぁ」
そう、先日行った勝負、私が勝ったら何でも言うことを聞く――とキリアは言っていた。
「すまない。有耶無耶にしようとしていたわけではないのだが、ドタバタしていてね。とりあえず中に入るといい」
「はーい、お邪魔しまーす」
招かれるままに中へ入る。
家の中はとても整理整頓されている。随分と綺麗好きのようだ。
「紅茶でいいかな?」
「ありがとう」
テーブルに着いて待つことしばし、キリアはティーカップを四つと茶菓子を運んできた。
いやぁ、すみませんなぁ。あ、この茶菓子美味しい。
「紅茶も美味しいですよご主人様」
「うん、良い所の茶葉を使っているね」
ウチの実家で使っている茶葉と比べても遜色ない香り高さだ。
「ブルーゴニ地方で採られた茶葉かな。しかも高原で育てられたいいやつでしょ」
「ほう、この味がわかるとは大したものだ」
感心したように唸るキリア。
これでも実家は古い良家だ。お茶の味の良し悪しくらいは分かるのである。
ちなみに私は甘いのが好み。砂糖は二杯でよろしく。
レジーナは砂糖を一つも入れず、カップに唇を付ける。
「ふふっ、キリアって実は結構お嬢様だものね。お父さんが聖騎士団長だっけ?」
「親の七光りでいい暮らしをさせて貰っているだけでして、全くお恥ずかしい限りです……っと、それより本題に入ろうか。アゼリア君」
バツが悪かったのか、話を変えるキリア。
親の話を出されると照れ臭いよね。私もそうだからよくわかる。
小さい頃は何も考えなかったが、成長すると身内が他人と絡むのはなんか嫌なものだ。
だってほら、親兄弟は自分の幼い頃のことを知っているんだよ? 恥ずかしい秘密とかが何かの弾みに他人に知られたら困るじゃないの。
「約束通り何でも言うことを聞こう。騎士に二言はない。遠慮なく言い給え」
「それじゃあキリア、私に剣術を教えてちょうだい」
色々考えたがやっぱこれでしょ。冒険者と言えば剣術は基本である。
それに聖騎士団仕込みの剣技なんてカッコいいしね。
「ふむ、剣術指南か。それくらいならお安い御用だとも」
「あ、キリアが忙しいなら親父さんに頼んで貰ってもいいけど?」
「……やめてくれ。頼むから」
私の言葉にキリアは恥ずかしそうに顔を俯ける。
うそうそ、冗談だよ。
◇
という分けで私たちは早速庭に出る。
庭は訓練場のようになっており、木人形や的、よくわからない道具が色々と置かれており、そのどれもがボロボロになっている。
キリアが普段、どれだけ訓練をしているのかが見てわかるようだ。
感心しているとキリアに訓練用の木剣を渡される。
「では軽く剣を振ってみせてくれ。そうだな。そこの板を狙って打ち込むといい」
キリアが指差したのは、庭の木に吊るされた板である。
おおっ、こういうの読んだことある。剣の訓練の時に当て感というのを養うものだ。
凄腕の剣士がこう格好よくカンカンカン、と連続で当てているのを読んで、胸が躍ったものである。
「うん、やってみる」
元気よく返事をし、私は木剣を上段に構えた。
「てぇい!」
しかし、私の振るった木刀はスカッと空を切る。
……恥ずかしい。そうだった。私、止まっているスライムにも当てられなかったんだ。
だがキリアは真剣な顔のまま私に言う。
「手の握りが逆だな。あと肩に力が入り過ぎている」
「こう、かな?」
「脇も締めて、腰も深く沈めて……うん、これでやってみるといい」
「な、なんか窮屈なんだけど……」
キリアに構えを直されたが、どうにも身体が動かしにくく力が入らない。
「それが基本の型。アゼリア君はそれがなってないから身体の軸がぶれ、狙い通りに振れないのだ。型を馴染ませる為に何度も素振りをするといい」
「はーい」
言われた通り、ぶん、ぶんと何度か素振りを行う。
「ほら、肩に力が入っているぞ」
「腕を振る時は真っ直ぐに」
「背筋が曲がってる」
キリアに逐一指摘をされながら、何度も振る。
……十回もやっていると、もう手が痛くなっていた。
日差しも強いし、そろそろキツい。
「ち、ちょっと休憩……」
「む? 仕方あるまい」
日陰に行って座り込む。……はぁ、疲れたなぁ。
「大丈夫ですかご主人様」
「うん、やはり日中は力が出ないね」
こちとら夜の眷属、日が照っていると体力激減なのだ。
なのですぐバテる。貧弱貧弱である。
「しかし剣術を教えてとか押しかけておいてこの体たらくでは、キリアも呆れているのではないですかね?」
「うっ……やっぱそうかな?」
メフィの言葉が突き刺さる。
まともに当てられもしないし、すぐバテるような私が剣を教えてくれだなんて、呆れられても仕方ないだろう。
「そんなつもりはないから安心したまえ」
会話に割って入ってきたのは、飲み物を手にしたキリアだ。
私に冷たい水を渡しながら、隣に座る。
「誰だって最初はそんなものだよ。出来ないからって見捨てていては、育てる楽しさは味わえない……なんて、レジーナさんの受け売りなんだけどね」
照れ臭そうに笑いながら、キリアは続ける。
「今では偉そうなことを言っているが、僕も修行中はよく怒られたものだよ。その上へこたれたり、腐ったり……自分でも呆れる体たらくだったよ。それでもレジーナさんは根気強く教えてくれた。そんな日々を過ごすうち、僕は次第にあの人に惹かれていったのさ」
目を細めて、部屋で本を読むレジーナを見つめるキリア。その頬はやや赤く染まっていた。
本当に尊敬しているんだなぁ。そんなことを考えながら私は水を口を含む。冷たい水が火照った身体に染みわたるようだった。
「だから僕は決して君を見捨てはしない! さぁ休憩は終わりだ。ビシビシ行くぞ!」
「うんっ!」
立派な考えだ。キリアに剣術を教われて良かったなぁ。
ちゃんと出来るように頑張らなきゃね。
そうして素振りを再開する。少しやっては休憩、また少しやっては休憩……と地道にそれを繰り返したのである。
積み重ねが大事だというキリアを信じ、とにかく繰り返す。
そのうちになんとなくわかってきた気がしてきた。
剣の振る音が明らかに変わっている。
剣筋がまっすぐになっている。
剣を振った感触でその良し悪しが、自分でもわかるようになっている。
「……ふむ、少しは形になってきたかな。よしアゼリア君。もう一度その板に当ててみせてくれ」
「わかった。……よぉし」
肩に力は入れず、リラックス。的をよーく見ながら――真っ直ぐに振り下ろす。
――と、かぁん! と音がして板が跳ねた。……というかぶっ飛んだ。
真っ二つに斬り分かれた板の片方は壁に当たって突き刺さり、残った木に括りつけられた方は木の枝にぐるぐる回転しながら巻き付いて、勢いのままに枝をへし折った。
「おおっ! 当たった! 当たったよ!」
私はぴょんと飛び上がってキリアの手を取る。
すごいすごい。本当に当てられるようになるなんて、キリアは教え方が上手だなぁ。
「な、何だ今の鋭すぎる振り……揺れる板を木剣で切断したというのか? しかもその破片が壁を砕くって、一体どんな速度で叩っ斬ればこうなると……?」
キリアはあんぐりと口を開けているが、私はそれよりまともに剣が当たるようになったのが楽しくて仕方ない。
まだ枝にぶら下がっている板に何度も木剣を当てると、そのたびに破片が地面に落ちていく。
いやー、こんな小さな的にも当てられるようになるなんて、これが剣術か。楽しいなー。
楽しく剣を振る私をキリアはドン引きしながら見ている。
「あのー……つかぬことを伺いますがレジーナさん。僕が彼女に剣術を教える理由、あります?」
「……まぁ、戦闘面では全く必要ないわね。でも本人が教わりたいって言っているのだし、キリアも弟子が欲しいと言っていたでしょう?」
「それはそうですが、師匠より強い弟子など……」
「ふふ、弟子に鍛えられることだってあるものよ。ホラ、師匠らしくシャキっとしなさいな」
「は、はぁ……」
何やらレジーナに励まされているようだ。一体何をしているのだろうか。
キリアは私をじっと見つめた後、胸を張って笑う。
「や、やるじゃないかアゼリア君。少し教えただけでここまでやるようになるとは……驚いたよ。はは、ははは……」
何だか乾いた笑い声だが……ともあれやはり我流よりも、その道の先生に習った方が上達は早いものである。
「うん、ありがとうキリア」
私がお礼を言うと、キリアは引きつった笑みを浮かべるのだった。
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