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第九章 《植物型》攻略編
第156話 危険信号の伝え方
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「《植物型》と【大型】について、軽くおさらいしよか」
モーズと共に閉じ込められた樹洞の中で、柴三郎は授業を始めていた。
ステージ5感染者の変異の1つ、《植物型》。
その特徴は名の通り、菌糸が蔦状へ変貌し、感染者本人がその場から動かずとも、菌糸が縦横無尽に動く事ができる。また《植物型》感染者が〈根〉となった場合、菌床との融合が強くなり、他のタイプでは建物などに侵蝕する形で菌床を生成する所、《植物型》の場合は、太く分厚く硬く、それでいて動きが柔軟な蔦状菌糸を用いて、菌床を好きに生成してしまう。
菌糸を大木のように生やし、モーズ達を樹洞の中に閉じ込めてしまったように。
「モーズは〈根〉としか交信がでけんて言いよったけど、菌床とん融合が特に強か《植物型》なら、どこん菌糸からも信号ば届くはずや」
そして【大型】とは。
ステージ5感染者が菌糸を大量に纏い、重量が増した時の呼称。明確な定義はなく、観測者が大きいと思えばそれは【大型】となる。では何故そんな呼称が使われているのか。
理由は至極シンプル。対象が何であれ、大きさは脅威に直結するからだ。
しかも硬く重い『珊瑚』によって肥大化した【大型】は、菌糸を鎧として防御性があがる。それでいて、その重さだけで生物を圧死させる事が可能。
移動する。ただそれだけで凶悪な災害となるのが【大型】だ。
「それから【大型】は他んタイプよりも知性が低めとされとる。動きが単調やけんね。先が読みやすか」
こんこんと、柴三郎は深紅の色をした菌糸の壁を拳で軽く叩いて言う。
「人間ば軽う閉じ込むるぐらいデカかこん《植物型》は、【大型】と見ていかろう」
「そうだな。私は【大型】を観測した事はないが、これで大型でなかったら世の中の尺度を疑う」
モーズの同意も得られた所で、柴三郎は右手に持っていた短刀の切先で、菌糸の壁の表面に円を描くよう傷をつけた。
「そこで! 知性が単純ならば信号ん動きも単純と予想し、こん辺り限定に指示ば出して芽胞ば発芽して貰おうて思う!」
「限定、限定的にか……」
「いっぺんに発芽したら、四方から菌糸が襲うてきて串刺しになるかもしれんけんね」
「う、ううむ」
動きが柔軟な《植物型》ならば、局地的に芽胞を解く事もできる。
その指示を〈根〉の触覚的な機能も持つ胞子や菌糸からではなく、モーズに出して貰い、毒耐性を下げた箇所から外へ繋がる穴を作ってしまおう。というのが柴三郎の作戦だった。
「モーズはともかく発信に集中してくれたらよか。自分の身は自分で守るけんね。さぁ実験開始や。頑張ろう!」
柴三郎は印を付けた壁から少し離れ、短刀を構えつつも見るからにわくわくしながら待機をしている。
そもそも『実験』と口に出してしまっている辺り、脱出そのものよりも探究欲が優っているのがわかる。
(まぁ手立て自体は試す価値はあるか……)
何だかいいように乗せられてしまっている気がするが、柴三郎の作戦自体は有効そうだと判断したモーズは印を付けた壁に右手を当てて、まずは手首からアイギスの触手を生やす。
その時点で柴三郎は「おお! 生アイギス初めて見た!」と興奮した声をあげていた。
(アメリカの菌床に赴いた時と同じように、人へ声をかける感覚で……。いやしかし、伝える内容はどうしたものか)
モーズはアイギスの触手の先を壁に這わせ、どんな信号を送ろうか思考を巡らせる。
単に「芽胞を発芽しろ」やら「菌糸に穴を空けろ」やら命じた所で言うことは聞かないだろう。わざわざエネルギーを消費してまで、そうする理由がないのだから。
(発芽を促すに足る理由……。ううむ……。耐えるよりも、回避が有効と考えさせる、とかか……?)
芽胞を生成している間、『珊瑚』は岩のように動かない。けれど動かざるを得ないような危機的状況だ、と伝わる信号を送れば生存を優先し芽胞を発芽してくれるかもしれない。
ちなみにセレウス菌やボツリヌス菌などの細菌が芽胞を形成した場合、激しい気温差によるストレスことヒートショックや、圧力をかける事によって発芽をさせる事が可能だ。
しかし相手は細菌ではなく真菌。それ以前にヒートショックを与えられるような物も、圧力をかけられるような物もない今は参考にならない。与えるならば別の刺激を考えた方がいいだろう。
(ならばやはり毒素……。芽胞を生成しようと問答無用で襲いかかってくる、毒素のイメージを……)
例えば毒耐性の高いステージ6の手足を容赦なく貫いていた、抽射器の弾丸。ニコチンの毒素。
モーズは目を閉じ、この樹洞へ白い発光体が迫ってくる光景をイメージした。建造物も感染者の肉壁も障害とせず、真っ直ぐ一直線にここへ向かってきて、今この瞬間、芽胞を貫かんとしている。
ステージ5が喰らえば瞬く間に全身に毒素が周り、痙攣し、窒息し、死滅し、壊死し、殺菌し、死ぬ。
当たれば、終わる。
そのイメージを思い浮かべた途端、危険信号を受け取ったと判断したらしい〈根〉は、印を付けた箇所の芽胞を発芽させ、そのまま弾丸一発分の穴を形成した。
「おお! すごか! ほんなこつ交信できた! しかも勝手に穴が空いた!」
ドスッ!
その弾丸一発分の穴に向け、柴三郎は躊躇なく短刀を突き立てる。
そのまま体重を乗せ、可能な限り壁を切り裂いて、顔を覗き込める大きさまで素早く穴を広げた。
(切り替えが早い……)
「よかと! これで外へん連絡が……っ!」
モーズが芽胞を発芽させ柴三郎が広げた壁の穴、その向こう側には――青空が広がっていた。
「いや、たっっっか」
「お、降りれないな。コレは」
地上が遠い。軽く見積もっても4階分の高さがあるのではなかろうか。
精々、2階分の高さだろうと踏んでいた2人の予想は外れてしまった。この後、上手いこと人が通れるだけ穴を広げられたとしても、これでは飛び降りる事ができない。また、地上の人達に居場所を伝える事も難しい。
「すまない。私がアイギスを使いこなせたら降下ができたのだが」
「謝らんくてよかよ。ばってん、相変わらず電波が通じんし次は違う信号ば出してみるか? 菌糸で滑り台とか作れたら楽なんやけど」
「そうだな。滑り台が作れるかはわからないが、他にできる事もないのだし、色々と試して……」
【素晴らしい】
その時、モーズの近くでしわがれた声が響いた。だが辺りを見回しても柴三郎以外、誰もいない。
【素晴らしい。実に、素晴らしい】
このしわがれた声の聞こえ方は、〈根〉の声が聞こえる感覚と似ている。耳ではなく、頭に直接響いてくる感覚。
次いでぱちぱちぱちと、手を叩くような乾いた音もどこからか聞こえてきた。
(ええと。この声に拍手は、フルグライト会長……?)
【もっとよく、見せておくれ】
その直後、モーズの目の前が、暗転する。
モーズと共に閉じ込められた樹洞の中で、柴三郎は授業を始めていた。
ステージ5感染者の変異の1つ、《植物型》。
その特徴は名の通り、菌糸が蔦状へ変貌し、感染者本人がその場から動かずとも、菌糸が縦横無尽に動く事ができる。また《植物型》感染者が〈根〉となった場合、菌床との融合が強くなり、他のタイプでは建物などに侵蝕する形で菌床を生成する所、《植物型》の場合は、太く分厚く硬く、それでいて動きが柔軟な蔦状菌糸を用いて、菌床を好きに生成してしまう。
菌糸を大木のように生やし、モーズ達を樹洞の中に閉じ込めてしまったように。
「モーズは〈根〉としか交信がでけんて言いよったけど、菌床とん融合が特に強か《植物型》なら、どこん菌糸からも信号ば届くはずや」
そして【大型】とは。
ステージ5感染者が菌糸を大量に纏い、重量が増した時の呼称。明確な定義はなく、観測者が大きいと思えばそれは【大型】となる。では何故そんな呼称が使われているのか。
理由は至極シンプル。対象が何であれ、大きさは脅威に直結するからだ。
しかも硬く重い『珊瑚』によって肥大化した【大型】は、菌糸を鎧として防御性があがる。それでいて、その重さだけで生物を圧死させる事が可能。
移動する。ただそれだけで凶悪な災害となるのが【大型】だ。
「それから【大型】は他んタイプよりも知性が低めとされとる。動きが単調やけんね。先が読みやすか」
こんこんと、柴三郎は深紅の色をした菌糸の壁を拳で軽く叩いて言う。
「人間ば軽う閉じ込むるぐらいデカかこん《植物型》は、【大型】と見ていかろう」
「そうだな。私は【大型】を観測した事はないが、これで大型でなかったら世の中の尺度を疑う」
モーズの同意も得られた所で、柴三郎は右手に持っていた短刀の切先で、菌糸の壁の表面に円を描くよう傷をつけた。
「そこで! 知性が単純ならば信号ん動きも単純と予想し、こん辺り限定に指示ば出して芽胞ば発芽して貰おうて思う!」
「限定、限定的にか……」
「いっぺんに発芽したら、四方から菌糸が襲うてきて串刺しになるかもしれんけんね」
「う、ううむ」
動きが柔軟な《植物型》ならば、局地的に芽胞を解く事もできる。
その指示を〈根〉の触覚的な機能も持つ胞子や菌糸からではなく、モーズに出して貰い、毒耐性を下げた箇所から外へ繋がる穴を作ってしまおう。というのが柴三郎の作戦だった。
「モーズはともかく発信に集中してくれたらよか。自分の身は自分で守るけんね。さぁ実験開始や。頑張ろう!」
柴三郎は印を付けた壁から少し離れ、短刀を構えつつも見るからにわくわくしながら待機をしている。
そもそも『実験』と口に出してしまっている辺り、脱出そのものよりも探究欲が優っているのがわかる。
(まぁ手立て自体は試す価値はあるか……)
何だかいいように乗せられてしまっている気がするが、柴三郎の作戦自体は有効そうだと判断したモーズは印を付けた壁に右手を当てて、まずは手首からアイギスの触手を生やす。
その時点で柴三郎は「おお! 生アイギス初めて見た!」と興奮した声をあげていた。
(アメリカの菌床に赴いた時と同じように、人へ声をかける感覚で……。いやしかし、伝える内容はどうしたものか)
モーズはアイギスの触手の先を壁に這わせ、どんな信号を送ろうか思考を巡らせる。
単に「芽胞を発芽しろ」やら「菌糸に穴を空けろ」やら命じた所で言うことは聞かないだろう。わざわざエネルギーを消費してまで、そうする理由がないのだから。
(発芽を促すに足る理由……。ううむ……。耐えるよりも、回避が有効と考えさせる、とかか……?)
芽胞を生成している間、『珊瑚』は岩のように動かない。けれど動かざるを得ないような危機的状況だ、と伝わる信号を送れば生存を優先し芽胞を発芽してくれるかもしれない。
ちなみにセレウス菌やボツリヌス菌などの細菌が芽胞を形成した場合、激しい気温差によるストレスことヒートショックや、圧力をかける事によって発芽をさせる事が可能だ。
しかし相手は細菌ではなく真菌。それ以前にヒートショックを与えられるような物も、圧力をかけられるような物もない今は参考にならない。与えるならば別の刺激を考えた方がいいだろう。
(ならばやはり毒素……。芽胞を生成しようと問答無用で襲いかかってくる、毒素のイメージを……)
例えば毒耐性の高いステージ6の手足を容赦なく貫いていた、抽射器の弾丸。ニコチンの毒素。
モーズは目を閉じ、この樹洞へ白い発光体が迫ってくる光景をイメージした。建造物も感染者の肉壁も障害とせず、真っ直ぐ一直線にここへ向かってきて、今この瞬間、芽胞を貫かんとしている。
ステージ5が喰らえば瞬く間に全身に毒素が周り、痙攣し、窒息し、死滅し、壊死し、殺菌し、死ぬ。
当たれば、終わる。
そのイメージを思い浮かべた途端、危険信号を受け取ったと判断したらしい〈根〉は、印を付けた箇所の芽胞を発芽させ、そのまま弾丸一発分の穴を形成した。
「おお! すごか! ほんなこつ交信できた! しかも勝手に穴が空いた!」
ドスッ!
その弾丸一発分の穴に向け、柴三郎は躊躇なく短刀を突き立てる。
そのまま体重を乗せ、可能な限り壁を切り裂いて、顔を覗き込める大きさまで素早く穴を広げた。
(切り替えが早い……)
「よかと! これで外へん連絡が……っ!」
モーズが芽胞を発芽させ柴三郎が広げた壁の穴、その向こう側には――青空が広がっていた。
「いや、たっっっか」
「お、降りれないな。コレは」
地上が遠い。軽く見積もっても4階分の高さがあるのではなかろうか。
精々、2階分の高さだろうと踏んでいた2人の予想は外れてしまった。この後、上手いこと人が通れるだけ穴を広げられたとしても、これでは飛び降りる事ができない。また、地上の人達に居場所を伝える事も難しい。
「すまない。私がアイギスを使いこなせたら降下ができたのだが」
「謝らんくてよかよ。ばってん、相変わらず電波が通じんし次は違う信号ば出してみるか? 菌糸で滑り台とか作れたら楽なんやけど」
「そうだな。滑り台が作れるかはわからないが、他にできる事もないのだし、色々と試して……」
【素晴らしい】
その時、モーズの近くでしわがれた声が響いた。だが辺りを見回しても柴三郎以外、誰もいない。
【素晴らしい。実に、素晴らしい】
このしわがれた声の聞こえ方は、〈根〉の声が聞こえる感覚と似ている。耳ではなく、頭に直接響いてくる感覚。
次いでぱちぱちぱちと、手を叩くような乾いた音もどこからか聞こえてきた。
(ええと。この声に拍手は、フルグライト会長……?)
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--
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