151 / 344
第八章 特殊学会編
第149話 ステージ6の見付け方
しおりを挟む
「……以上の映像記録から読み取れるのは、他の感染者の進行の促進、毒の耐性の向上、怪我の回復の速さ、菌床の〈根〉を含めた感染者と菌糸を操れる、見た目は健常者と同等で、なおかつ知性も人並みに持っている。などですね」
ドイツの菌床で接触した、《ステージ6》と目される少年オニキス。顔はぼかしての公開だが、明らかに自分の意思で菌糸を操っていたり、足に穴が空いても動いていたり、という異質さははっきり伝えられる。
モーズはそのまま同じく《ステージ6》と予想されるネフェリンの記録映像も流して、数日前まで確かにあったステージ2の症状が綺麗に消えていたり、菌糸を生やしてその先端を凶器として振るっていたり、ウミヘビに対して敵意を剥き出しにしていたりと、不可解な言動をしていた場面を聴講者へ見せた。
「纏めますと《ステージ6》は人の姿をした災害といっていい。アメリカで一晩のうちに広まった超規模菌床がもたらした『暁の悲劇』も、《ステージ6》の存在が大きく関わっていただろうという推測が……」
「いい加減にしろ! 荒唐無稽すぎる!」
その時、聴講者席からドンッ! と机を叩く音と共に聴講者の1人から怒鳴り声が発せられる。
「私は今まで何百人もの感染者を診てきたが、変異体だろうと正気に戻ってくれた患者はいなかったぞ!」
「おいおい、質疑応答はまだだってのに……」
「前例のない話ですからね。無理もない。順番に説明します」
壁に寄り掛かって発表を眺めていたパウルは呆れているが、モーズは発表を一旦止め、発言の返答を優先した。
「感染病棟で診る患者はステージ4までです。そして《ステージ6》はステージ5を経由しなければならない。《ステージ6》が観測されたのはここ最近、という点を除いても、接する機会はまず訪れなかったでしょう」
「ステージ4が正気に戻る可能性はゼロだと?」
「今回のテーマは《鼠型》や《虫型》に続く変異体ではなく、あくまで進行度が進んだ感染者の話です。私の結論ではステージ5を経由せずして《ステージ6》になる事は、ない。それに、感染者が正気に戻っているのとも違うかと」
そこでモーズは演台に置いていたパソコンを操作し、壇上の真上にホログラム画像を投影する。
投影されたのは、2つの脳。聴講者から見て右側には《ステージ5》、左側には『健常者』という文字が上に浮かんでいる。
並べられた2つの脳が異なる点は、色だ。健常者の脳は白に近い桃色をしているが、ステージ5感染者の脳は絵の具でも塗りたくったような赤色に染まっている箇所がある。
それは寄生菌『珊瑚』に侵蝕されている証だった。
「これは標本を元に作製した、人の脳のホログラム映像です。実物をご覧になった事がある方もいるでしょうが、比較として並べました。その上で、こちらをご覧ください」
モーズはそのまま、もう1つホログラム映像を投影する。
その映像は、絵の具のダマを脳の形に固めたかのような、歪な物。凹凸はあるものの表面が滑らか。まるでプラスチックで作製した粗悪な模型のようだ。並べて映されている断面図もまた同様に、模型を切断したかのようだった。
その脳擬きの上には、《ステージ6》という文字が浮かんでいた。
「これは《ステージ6》の『珊瑚』を人工人間へ寄生させた結果、変質した脳です。……いや、脳らしきもの、と言った方がいいかもしれません。表面だけよく真似ていますが実際は――人体の構造とかけ離れた、模造品だ」
次いでモーズは壇上の端に控えていたホルムアルデヒドへ向け、「持って来て貰っていいか?」とハンドサインを送る。
「残念ながら《ステージ6》の『珊瑚』は4、5と同じように人工人間の中では生きられないらしく、この人工脳は『珊瑚』ごと間もなく壊死。実物を会場へ持って来れませんでした。けれど擬態をしている、という事は伝わるかと。
《ステージ6》感染者の人皮を剥いた中身には、真菌が詰まっている」
指示を受けたホルムアルデヒドは床に置いていた棺桶サイズのケースを軽々と持ち上げて、壇上の中心へと運ぶ。そして蓋を開け、セレンにカメラを構えさせてその中身をスクリーンへと映した。
そうしてスクリーンに、保存処理が施されたネフェリンの遺体が映る。
「彼女はアメリカの菌床で処分した《ステージ6》感染者。脳だけでなく、様々な箇所が真菌に侵されている」
次いでモーズがセレンにカメラへ映させたのは、ネフェリンの腹部の傷。
皮膚が開き中の肉が見えるほど大きく裂けた切り傷、その内側。
「それも肉眼でわかるレベルに」
そこには薬品で固定された胞子状の真っ赤な真菌が筋肉全体を覆い尽くし、白い筋繊維が見えなくなるほど侵蝕しているのがわかった。
本来ならば筋肉の筋が定まった方向に規則的に走っている筈なのに、一切の判別がつかない。
まるで腹の中を絵の具で塗り固めたような、異様な光景。
「ラボがこの特異な感染者を『変異体』としなかったのは、このように体内に侵蝕している『珊瑚』の増殖具合がステージ5を遥かに上回っているとわかるからです。何せステージを決めるのは感染経緯や進行速度ではなく、『珊瑚』の侵蝕具合」
ガンが体内にどれほど転移しているかどうかでステージの呼称が変わるのと同じように、珊瑚症も皮膚の変質や症状などから侵蝕具合を見てステージを決める。
そしてネフェリンの遺体は外皮こそ健康的に見えるものの、内側はステージ5の解剖記録よりエゲツない量の『珊瑚』が蔓延っている。
それが目視で確認できてしまう。
「だから《ステージ6》と名付けました」
モーズは侵蝕具合を根拠にそう結論付ける。
「この情報は既に国連警察に渡しております。きっと今後、《ステージ6》と見られる感染者が続々と現れる事でしょう。皆さんの身近に潜んでいる可能性も十分ある」
「つまりだ。君は我々の不安を煽り、疑心暗鬼にさせる為に学会へ来たというのか?」
「いいえ」
他の聴講者から出た疑問にも、モーズは丁寧に対応した。
「私の話したい本題は寧ろ、ここからです。私は今から皆さんに、感染者と健常者の【見分け方】をお伝えいたします」
モーズがはっきりと言い放った内容に、聴講席が騒つく。
「見分け方!? サンプルはそこに横たわる女性だけだというのに……!」
「はい。検証が不十分というのは重々承知です。しかしたった1人分のサンプルだろうと、《ステージ6》な事には変わりない。決して無視することはできないと、私は強く思っています。故に彼女から得られた情報は最大限、活用する事にいたしました」
「……で? 肝心の見分け方は?」
今まで静かに発表を聴いていた審査役のルイが、ここで初めて口を開く。
「体温か? 採血か? 尿検査か? 脳波か? レントゲンか? MRIか? DNA鑑定か? まさか、そこの遺体のように解剖をしろと言うのではなかろうな? 大規模になるほど時間も金もかかる。ややこしい手順が必要だとすれば、病棟と患者の負担からして実用化するのは現実的ではないぞ」
「ご安心ください。もっとシンプルな方法です」
そこでモーズはしゃがみ込んで、演台の下に置いていた鞄を開けごそごそと何かを取り出す。そして再び立ち上がった彼の手が持っていたのは、家電売り場でよく見るオーソドックスな体重計。
医師ならば健康診断などで幾度も使用する、非常に身近な物。
「【体重測定】。これでわかります」
ドイツの菌床で接触した、《ステージ6》と目される少年オニキス。顔はぼかしての公開だが、明らかに自分の意思で菌糸を操っていたり、足に穴が空いても動いていたり、という異質さははっきり伝えられる。
モーズはそのまま同じく《ステージ6》と予想されるネフェリンの記録映像も流して、数日前まで確かにあったステージ2の症状が綺麗に消えていたり、菌糸を生やしてその先端を凶器として振るっていたり、ウミヘビに対して敵意を剥き出しにしていたりと、不可解な言動をしていた場面を聴講者へ見せた。
「纏めますと《ステージ6》は人の姿をした災害といっていい。アメリカで一晩のうちに広まった超規模菌床がもたらした『暁の悲劇』も、《ステージ6》の存在が大きく関わっていただろうという推測が……」
「いい加減にしろ! 荒唐無稽すぎる!」
その時、聴講者席からドンッ! と机を叩く音と共に聴講者の1人から怒鳴り声が発せられる。
「私は今まで何百人もの感染者を診てきたが、変異体だろうと正気に戻ってくれた患者はいなかったぞ!」
「おいおい、質疑応答はまだだってのに……」
「前例のない話ですからね。無理もない。順番に説明します」
壁に寄り掛かって発表を眺めていたパウルは呆れているが、モーズは発表を一旦止め、発言の返答を優先した。
「感染病棟で診る患者はステージ4までです。そして《ステージ6》はステージ5を経由しなければならない。《ステージ6》が観測されたのはここ最近、という点を除いても、接する機会はまず訪れなかったでしょう」
「ステージ4が正気に戻る可能性はゼロだと?」
「今回のテーマは《鼠型》や《虫型》に続く変異体ではなく、あくまで進行度が進んだ感染者の話です。私の結論ではステージ5を経由せずして《ステージ6》になる事は、ない。それに、感染者が正気に戻っているのとも違うかと」
そこでモーズは演台に置いていたパソコンを操作し、壇上の真上にホログラム画像を投影する。
投影されたのは、2つの脳。聴講者から見て右側には《ステージ5》、左側には『健常者』という文字が上に浮かんでいる。
並べられた2つの脳が異なる点は、色だ。健常者の脳は白に近い桃色をしているが、ステージ5感染者の脳は絵の具でも塗りたくったような赤色に染まっている箇所がある。
それは寄生菌『珊瑚』に侵蝕されている証だった。
「これは標本を元に作製した、人の脳のホログラム映像です。実物をご覧になった事がある方もいるでしょうが、比較として並べました。その上で、こちらをご覧ください」
モーズはそのまま、もう1つホログラム映像を投影する。
その映像は、絵の具のダマを脳の形に固めたかのような、歪な物。凹凸はあるものの表面が滑らか。まるでプラスチックで作製した粗悪な模型のようだ。並べて映されている断面図もまた同様に、模型を切断したかのようだった。
その脳擬きの上には、《ステージ6》という文字が浮かんでいた。
「これは《ステージ6》の『珊瑚』を人工人間へ寄生させた結果、変質した脳です。……いや、脳らしきもの、と言った方がいいかもしれません。表面だけよく真似ていますが実際は――人体の構造とかけ離れた、模造品だ」
次いでモーズは壇上の端に控えていたホルムアルデヒドへ向け、「持って来て貰っていいか?」とハンドサインを送る。
「残念ながら《ステージ6》の『珊瑚』は4、5と同じように人工人間の中では生きられないらしく、この人工脳は『珊瑚』ごと間もなく壊死。実物を会場へ持って来れませんでした。けれど擬態をしている、という事は伝わるかと。
《ステージ6》感染者の人皮を剥いた中身には、真菌が詰まっている」
指示を受けたホルムアルデヒドは床に置いていた棺桶サイズのケースを軽々と持ち上げて、壇上の中心へと運ぶ。そして蓋を開け、セレンにカメラを構えさせてその中身をスクリーンへと映した。
そうしてスクリーンに、保存処理が施されたネフェリンの遺体が映る。
「彼女はアメリカの菌床で処分した《ステージ6》感染者。脳だけでなく、様々な箇所が真菌に侵されている」
次いでモーズがセレンにカメラへ映させたのは、ネフェリンの腹部の傷。
皮膚が開き中の肉が見えるほど大きく裂けた切り傷、その内側。
「それも肉眼でわかるレベルに」
そこには薬品で固定された胞子状の真っ赤な真菌が筋肉全体を覆い尽くし、白い筋繊維が見えなくなるほど侵蝕しているのがわかった。
本来ならば筋肉の筋が定まった方向に規則的に走っている筈なのに、一切の判別がつかない。
まるで腹の中を絵の具で塗り固めたような、異様な光景。
「ラボがこの特異な感染者を『変異体』としなかったのは、このように体内に侵蝕している『珊瑚』の増殖具合がステージ5を遥かに上回っているとわかるからです。何せステージを決めるのは感染経緯や進行速度ではなく、『珊瑚』の侵蝕具合」
ガンが体内にどれほど転移しているかどうかでステージの呼称が変わるのと同じように、珊瑚症も皮膚の変質や症状などから侵蝕具合を見てステージを決める。
そしてネフェリンの遺体は外皮こそ健康的に見えるものの、内側はステージ5の解剖記録よりエゲツない量の『珊瑚』が蔓延っている。
それが目視で確認できてしまう。
「だから《ステージ6》と名付けました」
モーズは侵蝕具合を根拠にそう結論付ける。
「この情報は既に国連警察に渡しております。きっと今後、《ステージ6》と見られる感染者が続々と現れる事でしょう。皆さんの身近に潜んでいる可能性も十分ある」
「つまりだ。君は我々の不安を煽り、疑心暗鬼にさせる為に学会へ来たというのか?」
「いいえ」
他の聴講者から出た疑問にも、モーズは丁寧に対応した。
「私の話したい本題は寧ろ、ここからです。私は今から皆さんに、感染者と健常者の【見分け方】をお伝えいたします」
モーズがはっきりと言い放った内容に、聴講席が騒つく。
「見分け方!? サンプルはそこに横たわる女性だけだというのに……!」
「はい。検証が不十分というのは重々承知です。しかしたった1人分のサンプルだろうと、《ステージ6》な事には変わりない。決して無視することはできないと、私は強く思っています。故に彼女から得られた情報は最大限、活用する事にいたしました」
「……で? 肝心の見分け方は?」
今まで静かに発表を聴いていた審査役のルイが、ここで初めて口を開く。
「体温か? 採血か? 尿検査か? 脳波か? レントゲンか? MRIか? DNA鑑定か? まさか、そこの遺体のように解剖をしろと言うのではなかろうな? 大規模になるほど時間も金もかかる。ややこしい手順が必要だとすれば、病棟と患者の負担からして実用化するのは現実的ではないぞ」
「ご安心ください。もっとシンプルな方法です」
そこでモーズはしゃがみ込んで、演台の下に置いていた鞄を開けごそごそと何かを取り出す。そして再び立ち上がった彼の手が持っていたのは、家電売り場でよく見るオーソドックスな体重計。
医師ならば健康診断などで幾度も使用する、非常に身近な物。
「【体重測定】。これでわかります」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
タイムワープ艦隊2024
山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。
この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!

『星屑の狭間で』(チャレンジ・ミッション編)
トーマス・ライカー
SF
政・官・財・民・公・軍に拠って構成された複合巨大組織『運営推進委員会』が、超大規模なバーチャル体感サバイバル仮想空間・艦対戦ゲーム大会『サバイバル・スペースバトルシップ』を企画・企図(きと)し、準備して開催(かいさい)に及んだ。
そのゲーム大会の1部を『運営推進委員会』にて一席を占める、ネット配信メディア・カンパニー『トゥーウェイ・データ・ネット・ストリーム・ステーション』社が、配信リアル・ライヴ・バラエティー・ショウ『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』として、順次(じゅんじ)に公開している。
アドル・エルクを含む20人は艦長役として選ばれ、それぞれがスタッフ・クルーを男女の芸能人の中から選抜して、軽巡宙艦に搭乗(とうじょう)して操り、ゲーム大会で奮闘する模様を撮影されて、配信リアル・ライヴ・バラエティー・ショウ『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』の中で出演者のコメント付きで紹介されている。
『運営推進本部』は、1ヶ月に1〜2回の頻度(ひんど)でチャレンジ・ミッションを発表し、それへの参加を強く推奨(すいしょう)している。
【『ディファイアント』共闘同盟】は基本方針として、総てのチャレンジ・ミッションには参加すると定めている。
本作はチャレンジ・ミッションに参加し、ミッションクリアを目指して奮闘(ふんとう)する彼らを描く…スピンオフ・オムニバス・シリーズです。
『特別解説…1…』
この物語は三人称一元視点で綴られます。一元視点は主人公アドル・エルクのものであるが、主人公のいない場面に於いては、それぞれの場面に登場する人物の視点に遷移(せんい)します。
まず主人公アドル・エルクは一般人のサラリーマンであるが、本人も自覚しない優れた先見性・強い洞察(どうさつ)力・強い先読みの力・素晴らしい集中力・暖かい包容力を持ち、それによって確信した事案に於ける行動は早く・速く、的確で適切です。本人にも聴こえているあだ名は『先読みのアドル・エルク』と言う。
追記
以下に列挙しますものらの基本原則動作原理に付きましては『ゲーム内一般技術基本原則動作原理設定』と言う事で、ブラックボックスとさせて頂きます。
ご了承下さい。
インパルス・パワードライブ
パッシブセンサー
アクティブセンサー
光学迷彩
アンチ・センサージェル
ミラージュ・コロイド
ディフレクター・シールド
フォース・フィールド
では、これより物語は始まります。
No One's Glory -もうひとりの物語-
はっくまん2XL
SF
異世界転生も転移もしない異世界物語……(. . `)
よろしくお願い申し上げます
男は過眠症で日々の生活に空白を持っていた。
医師の診断では、睡眠無呼吸から来る睡眠障害とのことであったが、男には疑いがあった。
男は常に、同じ世界、同じ人物の夢を見ていたのだ。それも、非常に生々しく……
手触り感すらあるその世界で、男は別人格として、「採掘師」という仕事を生業としていた。
採掘師とは、遺跡に眠るストレージから、マップや暗号鍵、設計図などの有用な情報を発掘し、マーケットに流す仕事である。
各地に点在する遺跡を巡り、時折マーケットのある都市、集落に訪れる生活の中で、時折感じる自身の中の他者の魂が幻でないと気づいた時、彼らの旅は混迷を増した……
申し訳ございませんm(_ _)m
不定期投稿になります。
本業多忙のため、しばらく連載休止します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる