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第六章 恋⬛︎⬛︎乙女荵ウ縺ョ謌螟ァ――改め、アメリカ遠征編
第117話 ヒトゴロシ
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「俺がラボに来る前に殺した人間は皆んな、恥も外聞も捨てて泣き叫んで抵抗して、命乞いをしていた。たまに子供を庇う人間も居ましたけど、それは子孫を残したい本能からでしょう? 卵を守る虫と同じ。人間も動物っスから、そんなもんだとぼんやり思っていたんスけど……。今日の事でなんだかよく、わからなくなって」
事前に交流の合った人間を、殺める。
それ自体はタリウムにとって珍しい事ではない。だからクリスが〈根〉になった話を聞いた時も何の感情も湧かなかった。水銀から「お嬢さんへ積極的に声をかけろ。内容はこう」と面倒な指示は出ていたものの、その他はいつも通り粛々と処分すればいいと思っていた。
彼女が自決するまでは。
人間は自殺する事があると、知識でしか知らなかったタリウムにとっては未知の出来事で、未だに飲み込む事が出来ないのだ。
するとシアンは嬉しそうに口角をあげ、タリウムの首に腕を回すとぐいと自身に引き寄せてきた。
「タッちゃんも順調に情緒が育ってきとるみたいで、安心したわぁ。いやぁ、ラボに来たばっかのロボット染みてた頃が懐かし~」
「ちょっと、シアンさん。あんまり昔の話は、」
「けど、ナイフを鈍らせたらアカンで?」
次いでタリウムの耳元で、シアンは冷たい声音で言う。
「タリウムはおねんねしている2人と違うて、完全な『毒』。幾ら似た所が多くとも、お前のお役目は殺しだけや。もしもその役目を放棄したら廃棄になる。――ゆめゆめ忘れるな」
顔も声も背丈も、色素以外の全てが似ているタリウムにカリウムにナトリウム。そんな2人と一緒に居ると勘違いしそうになってしまうが、タリウムは2人と違い人体必須元素でもなければ栄養素たる面も一切なく、人間にとっては毒でしかない。
害を与える事でしか、人の役に立てない存在。
故にナイフを持つ事をやめれば、役立たずになる。
「……はい」
それをタリウムもわかっているので、ただ小さく頷いた。
「ええ子」
そこでシアンはタリウムの首に回していた腕を離すと、頭を軽く撫でた後に彼を解放する。
「情緒が育つ事自体は歓迎やで! 人間の理解に繋がるからなぁ。真似事も上手くなる」
「真似が上手くなると、何か得があるんスか?」
「あるで~。真似事が上手になるとなぁ、人は懐に入れさせて貰えるんや! 隣に座らせてもろたり、お喋りに付き合ってくれたりな。スキンシップを許してくれる事もあるんやで!」
情緒を育て人の真似事を学べば、人に甘えられるようになる。
その果てに、
「そしたらめっちゃ、殺し易くなるやろ?」
油断しきった人間の背中を刺せると、シアンは笑って言った。
そんな物騒な会話をしているシアンの席から離れた前方座席では、モーズとフリッツがラボに居る水銀と端末で連絡を取り、情報交換を行っていた。
そしてクリスの心拍数が、タリウムを起因として変動していた事を知った。
「モーズくん。裏付けが、取れたようだ。水銀くんの検証結果からしても、ステージ5の意識レベルは大方人間と同等。幾ら身体が支配されていたとしても、幾ら身体が変質してしまっていても、……人だ。人間、なんだね」
「そのよう、だな」
モーズがずっと唱えてきた仮説。ステージ5感染者も意識が残っている人間なのだという、確証に近い実験結果。
それを得られたのに、その過程が、犠牲が、被害が、あまりにも深刻で、喜ぶ事は出来なかった。
「僕の仮説は間違っていたようだ。ステージ5でこれならば、ステージ4は更に人の意思が、残って……」
「……フリッツ?」
フリッツの声が震えている。膝の上に乗せている手もズボンを握り締め、異様に力んでいる。
「あぁ、ごめん。ごめんね。話を遮ってしまって」
「謝罪の必要は、ない。私も今回の事は喜びよりもショックの方が」
「違う、違うんだ。僕の胸が痛むのは、とても身勝手な、理由なんだ。だって、これで、わかってしまったから。僕は、僕はね、あの日、あの時、あの瞬間」
言葉に詰まりながらも、フリッツは語った。
「友達を、この手で殺していたんだ。って」
過去に犯した自分の罪を。
「ねぇ、モーズくん。僕の話を聞いてくれるかい? ただの懺悔になって、しまうのだけれど」
フリッツの声は未だに震えていて、泣きそうなのを堪えている事がわかる。
菌床処分が終わるまで、飛行機に搭乗するまで、ずっと気を張って、耐えていたのだろう。罪の意識に苛まれ、泣き叫んでしまいたくなる心を。
ならば吐き出させてあげなくては。
「問題ない。私は教会の孤児院の出だ、慣れている」
「頼もしいね。……ありがとう」
フリッツは一つ深呼吸をして、気持ちを落ち着けてから、口を開いた。
「4年前。ドイツの感染病棟で、僕は友達を、掛け替えのない学友を、殺した」
◇
「ニュース見たか? ビル街で災害が起きたってやつ!」
「見た見た! ラジオもテレビもそればっかで、しつこいったら!」
「10年振りの悲劇だか何だか知らねぇけど、死者数半端ないよなぁ! 使えねぇアメリカ軍だなぁ!」
アメリカのカルフォニア州から程近い――スラム街。
ゴミが散乱する入り組んだ住宅街の奥、スプレーの落書きで埋め尽くされたシャッター街の前で、違法薬物を片手にたむろする若者達は下卑た笑い声をあげていた。
「アメリカ軍は感染者の脅威から必ず国民をお守りしますぅ~。なんて聞こえのいい事言っといてこの体たらくとかウケるな!」
「あんなんヘッドショットすりゃ死ぬゾンビだろ? クソエイムかましたんかなぁ!」
「いざ目の前にしたらビビってちびっちまっまんじゃねぇ? 燃えるゴミ相手にさ! ギャハハハ!」
衛生環境がまともに整っていない、金銭的余裕もない者が多いスラム街では治療を受けられず、珊瑚症が悪化した感染者が度々現れる。だが警察沙汰は避けたい訳ありも集う此処では、住民自ら感染者を片す事も多かった。具体的に言うと動けないようリンチにしてからの、焼却処分。
ただし彼らが認識している『感染者』はステージ4以下。身体を激しく損壊させれば動かなくなる者ばかりで、本当の脅威など知る由もなかった。
ズ……
そんな彼らの背後、落書きに塗れたシャッターが、突如として赤く染まる。まるで血管が浮かび上がってきたかのように。
「あ……?」
「何だ、これ」
その不可思議な現象に気付いた男達は訝しみ、シャッターを凝視する。
シャッターに浮かび上がった血管のような模様は徐々に中央に集まり、人の形をなしていった。更には平面ではなく立体的な形へと変わっていき、シャッターからぼこりと盛り上がり、とうとうその血管らしき物の集合体は、ベリベリと剥がれるようにしてシャッターから離れ、路地に現れた。
「うわぁ!?」
「な、何だこの化け物!」
「うっ、撃て撃て!」
動転した男達は思わず持っていたピストルで、血管の塊らしき何かを撃つ。
だが鉛玉は血管の中に吸い込まれていくだけで、何の効果も現さない。
「近場の菌糸を辿ってみたら……。何と荒廃した場所だ」
血管らしき塊の中から、男の声がする。
すると人の形を作っていた血管に似た赤い糸が、毛糸のセーターを解くように形を崩していき……中から澄んだ海に似た水色の瞳をした男、ラリマーが現れた。
彼の左腕は依然と、欠けている。
「まぁ、いい。血を寄越せ」
彼は目の前の狼狽える男3人に向け、血管に似た赤い糸を、菌糸を操り針状にすると、逃げる間を与えず彼らの首に、突き刺した。
その直後、ミイラのように干からびて倒れる男達。これによって養分を多少補給出来たラリマーは左腕の二の腕を、断面から伸びた糸を紡ぐ形で腕の形を再現し、じわじわ再生していく。
しかし肘から先はまだ治っていない。
『おやまぁ。手酷くやられてしまいましたね、ラリマー』
その時、ラリマーの頭に直接ルチルの声が届いた。
「うるさい。何だあの出鱈目なウミヘビは。これだから人造人間は……」
ぶつくさ文句を言いながら、ラリマーは倒れた男の1人から上着を奪い肩にかけ、次いで【顔の皮】を剥ぎ取り始める。
剥ぎ取った【顔の皮】を仮面代わりに自身の顔を覆うと、接着面の細胞を結合し、ラリマーは《成り代わった》。
「俺は暫く身を潜める。消耗し過ぎた」
『ゆっくり休んでください。ネフェリンの事は残念ですが、情報を明け渡す事なく殉教なさった事ですし、貴方も無事に逃れた』
「あれは明け渡さなかったというより、毒の回りが速すぎて喋る間もなかっただけな気がするが……」
『どちらでもよいのですよ。何にせよ今回の事で【教祖様】が咎める事はないでしょう。しかし最近はウミヘビも徒党を組んでいるみたいですね。となると、今後はこちらも集団で向かうのがいいでしょうか』
「そんな事、わかっている。だが矢面に立ちたい信徒は少なかろう」
『生存第一ですからね、仕方ありません。では時間がかかりますが、菌床を強化するのはどうでしょうか?』
「強化だと? 超規模も一蹴してきたというのに、これ以上の強化なぞあるのか?」
『ありますよ。大木とて、枝ばかり伸ばしても元が細ければ直ぐに折れてしまう。ですからまずは幹を太くしてあげましょう』
ルチルはそう言って、一つの提案をする。
『学会の準備をする傍ら、《植物型》を育ててみますね』
▼△▼
次章より『死に損ないのフリードリヒ』、開幕。
ここまでお読みいただき誠にありがとうございます。
『恋⬛︎⬛︎乙女荵ウ縺ョ謌螟ァ――改め、アメリカ遠征編』これにて完結です。ようやくシアンの登場まで書き進められました。しかしまだまだ出したいウミヘビが溜まっているので頑張ります。
次章は過去編から始まり、新しいクスシも登場する予定です。お楽しみに!
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事前に交流の合った人間を、殺める。
それ自体はタリウムにとって珍しい事ではない。だからクリスが〈根〉になった話を聞いた時も何の感情も湧かなかった。水銀から「お嬢さんへ積極的に声をかけろ。内容はこう」と面倒な指示は出ていたものの、その他はいつも通り粛々と処分すればいいと思っていた。
彼女が自決するまでは。
人間は自殺する事があると、知識でしか知らなかったタリウムにとっては未知の出来事で、未だに飲み込む事が出来ないのだ。
するとシアンは嬉しそうに口角をあげ、タリウムの首に腕を回すとぐいと自身に引き寄せてきた。
「タッちゃんも順調に情緒が育ってきとるみたいで、安心したわぁ。いやぁ、ラボに来たばっかのロボット染みてた頃が懐かし~」
「ちょっと、シアンさん。あんまり昔の話は、」
「けど、ナイフを鈍らせたらアカンで?」
次いでタリウムの耳元で、シアンは冷たい声音で言う。
「タリウムはおねんねしている2人と違うて、完全な『毒』。幾ら似た所が多くとも、お前のお役目は殺しだけや。もしもその役目を放棄したら廃棄になる。――ゆめゆめ忘れるな」
顔も声も背丈も、色素以外の全てが似ているタリウムにカリウムにナトリウム。そんな2人と一緒に居ると勘違いしそうになってしまうが、タリウムは2人と違い人体必須元素でもなければ栄養素たる面も一切なく、人間にとっては毒でしかない。
害を与える事でしか、人の役に立てない存在。
故にナイフを持つ事をやめれば、役立たずになる。
「……はい」
それをタリウムもわかっているので、ただ小さく頷いた。
「ええ子」
そこでシアンはタリウムの首に回していた腕を離すと、頭を軽く撫でた後に彼を解放する。
「情緒が育つ事自体は歓迎やで! 人間の理解に繋がるからなぁ。真似事も上手くなる」
「真似が上手くなると、何か得があるんスか?」
「あるで~。真似事が上手になるとなぁ、人は懐に入れさせて貰えるんや! 隣に座らせてもろたり、お喋りに付き合ってくれたりな。スキンシップを許してくれる事もあるんやで!」
情緒を育て人の真似事を学べば、人に甘えられるようになる。
その果てに、
「そしたらめっちゃ、殺し易くなるやろ?」
油断しきった人間の背中を刺せると、シアンは笑って言った。
そんな物騒な会話をしているシアンの席から離れた前方座席では、モーズとフリッツがラボに居る水銀と端末で連絡を取り、情報交換を行っていた。
そしてクリスの心拍数が、タリウムを起因として変動していた事を知った。
「モーズくん。裏付けが、取れたようだ。水銀くんの検証結果からしても、ステージ5の意識レベルは大方人間と同等。幾ら身体が支配されていたとしても、幾ら身体が変質してしまっていても、……人だ。人間、なんだね」
「そのよう、だな」
モーズがずっと唱えてきた仮説。ステージ5感染者も意識が残っている人間なのだという、確証に近い実験結果。
それを得られたのに、その過程が、犠牲が、被害が、あまりにも深刻で、喜ぶ事は出来なかった。
「僕の仮説は間違っていたようだ。ステージ5でこれならば、ステージ4は更に人の意思が、残って……」
「……フリッツ?」
フリッツの声が震えている。膝の上に乗せている手もズボンを握り締め、異様に力んでいる。
「あぁ、ごめん。ごめんね。話を遮ってしまって」
「謝罪の必要は、ない。私も今回の事は喜びよりもショックの方が」
「違う、違うんだ。僕の胸が痛むのは、とても身勝手な、理由なんだ。だって、これで、わかってしまったから。僕は、僕はね、あの日、あの時、あの瞬間」
言葉に詰まりながらも、フリッツは語った。
「友達を、この手で殺していたんだ。って」
過去に犯した自分の罪を。
「ねぇ、モーズくん。僕の話を聞いてくれるかい? ただの懺悔になって、しまうのだけれど」
フリッツの声は未だに震えていて、泣きそうなのを堪えている事がわかる。
菌床処分が終わるまで、飛行機に搭乗するまで、ずっと気を張って、耐えていたのだろう。罪の意識に苛まれ、泣き叫んでしまいたくなる心を。
ならば吐き出させてあげなくては。
「問題ない。私は教会の孤児院の出だ、慣れている」
「頼もしいね。……ありがとう」
フリッツは一つ深呼吸をして、気持ちを落ち着けてから、口を開いた。
「4年前。ドイツの感染病棟で、僕は友達を、掛け替えのない学友を、殺した」
◇
「ニュース見たか? ビル街で災害が起きたってやつ!」
「見た見た! ラジオもテレビもそればっかで、しつこいったら!」
「10年振りの悲劇だか何だか知らねぇけど、死者数半端ないよなぁ! 使えねぇアメリカ軍だなぁ!」
アメリカのカルフォニア州から程近い――スラム街。
ゴミが散乱する入り組んだ住宅街の奥、スプレーの落書きで埋め尽くされたシャッター街の前で、違法薬物を片手にたむろする若者達は下卑た笑い声をあげていた。
「アメリカ軍は感染者の脅威から必ず国民をお守りしますぅ~。なんて聞こえのいい事言っといてこの体たらくとかウケるな!」
「あんなんヘッドショットすりゃ死ぬゾンビだろ? クソエイムかましたんかなぁ!」
「いざ目の前にしたらビビってちびっちまっまんじゃねぇ? 燃えるゴミ相手にさ! ギャハハハ!」
衛生環境がまともに整っていない、金銭的余裕もない者が多いスラム街では治療を受けられず、珊瑚症が悪化した感染者が度々現れる。だが警察沙汰は避けたい訳ありも集う此処では、住民自ら感染者を片す事も多かった。具体的に言うと動けないようリンチにしてからの、焼却処分。
ただし彼らが認識している『感染者』はステージ4以下。身体を激しく損壊させれば動かなくなる者ばかりで、本当の脅威など知る由もなかった。
ズ……
そんな彼らの背後、落書きに塗れたシャッターが、突如として赤く染まる。まるで血管が浮かび上がってきたかのように。
「あ……?」
「何だ、これ」
その不可思議な現象に気付いた男達は訝しみ、シャッターを凝視する。
シャッターに浮かび上がった血管のような模様は徐々に中央に集まり、人の形をなしていった。更には平面ではなく立体的な形へと変わっていき、シャッターからぼこりと盛り上がり、とうとうその血管らしき物の集合体は、ベリベリと剥がれるようにしてシャッターから離れ、路地に現れた。
「うわぁ!?」
「な、何だこの化け物!」
「うっ、撃て撃て!」
動転した男達は思わず持っていたピストルで、血管の塊らしき何かを撃つ。
だが鉛玉は血管の中に吸い込まれていくだけで、何の効果も現さない。
「近場の菌糸を辿ってみたら……。何と荒廃した場所だ」
血管らしき塊の中から、男の声がする。
すると人の形を作っていた血管に似た赤い糸が、毛糸のセーターを解くように形を崩していき……中から澄んだ海に似た水色の瞳をした男、ラリマーが現れた。
彼の左腕は依然と、欠けている。
「まぁ、いい。血を寄越せ」
彼は目の前の狼狽える男3人に向け、血管に似た赤い糸を、菌糸を操り針状にすると、逃げる間を与えず彼らの首に、突き刺した。
その直後、ミイラのように干からびて倒れる男達。これによって養分を多少補給出来たラリマーは左腕の二の腕を、断面から伸びた糸を紡ぐ形で腕の形を再現し、じわじわ再生していく。
しかし肘から先はまだ治っていない。
『おやまぁ。手酷くやられてしまいましたね、ラリマー』
その時、ラリマーの頭に直接ルチルの声が届いた。
「うるさい。何だあの出鱈目なウミヘビは。これだから人造人間は……」
ぶつくさ文句を言いながら、ラリマーは倒れた男の1人から上着を奪い肩にかけ、次いで【顔の皮】を剥ぎ取り始める。
剥ぎ取った【顔の皮】を仮面代わりに自身の顔を覆うと、接着面の細胞を結合し、ラリマーは《成り代わった》。
「俺は暫く身を潜める。消耗し過ぎた」
『ゆっくり休んでください。ネフェリンの事は残念ですが、情報を明け渡す事なく殉教なさった事ですし、貴方も無事に逃れた』
「あれは明け渡さなかったというより、毒の回りが速すぎて喋る間もなかっただけな気がするが……」
『どちらでもよいのですよ。何にせよ今回の事で【教祖様】が咎める事はないでしょう。しかし最近はウミヘビも徒党を組んでいるみたいですね。となると、今後はこちらも集団で向かうのがいいでしょうか』
「そんな事、わかっている。だが矢面に立ちたい信徒は少なかろう」
『生存第一ですからね、仕方ありません。では時間がかかりますが、菌床を強化するのはどうでしょうか?』
「強化だと? 超規模も一蹴してきたというのに、これ以上の強化なぞあるのか?」
『ありますよ。大木とて、枝ばかり伸ばしても元が細ければ直ぐに折れてしまう。ですからまずは幹を太くしてあげましょう』
ルチルはそう言って、一つの提案をする。
『学会の準備をする傍ら、《植物型》を育ててみますね』
▼△▼
次章より『死に損ないのフリードリヒ』、開幕。
ここまでお読みいただき誠にありがとうございます。
『恋⬛︎⬛︎乙女荵ウ縺ョ謌螟ァ――改め、アメリカ遠征編』これにて完結です。ようやくシアンの登場まで書き進められました。しかしまだまだ出したいウミヘビが溜まっているので頑張ります。
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